俺の名前は藤丸立香。とくに何の才能もない魔術師の端くれだ。
そんな俺にあるとき『カルデア』という機関から召集命令があった。俺の聞いた説明によると、カルデアとは人理継続保障機関であり、よくわからんのだが、とにかくこの世界の『人理』というものを観測している機関らしい。
そのカルデアで、ある日突然人類が2017年に滅びる、ということがカルデアの観測システムである『シバ』によって証明されてしまったのだ。そこでカルデアは魔術師を集め、突如現れた観測できない箇所、2004年の日本のある地方都市が原因なのではないかという判断を下した。そして、それを解決するためまだ実験途中だったシステムを使い、魔術師を過去へと転送。このシステムは『レイシフト』と呼ばれていた。送られた者はマスターとなりサーヴァントと契約し、これを解決する、という計画だった。
しかしこれが実現することはなかった。魔術師を過去へとレイシフトする瞬間、謎の爆発によりレイシフトは緊急停止。俺以外のマスター候補の生死は不明となってしまった。
レイシフトの部屋へと駆けつけたとき、俺は重症を負った少女、マシュを発見した。俺が彼女へと駆け寄った瞬間、再びレイシフトのシステムが再稼働。俺はマシュの手を握りしめ、光へと飲み込まれた。
次に俺が目覚めると、そこは燃え盛る街だった。どうやら俺は偶然にもレイシフトに成功したらしく、マシュもデミ・サーヴァント、というものになり無事だったようだ。今は俺がマスターとして魔力を供給している状態である。
そして、話しは現状へと至る。
「くっ、数が多い!気を付けろマシュ!」
「はいっ、先輩!」
「ラ、ランサー、頑張って!」
「お任せを」
俺達はフードを被ったような敵に襲われていた。現状俺達は4人いる。俺とマシュ。そして、先ほど見つけた、俺と同じマスター候補の女性、星野澪と彼女のサーヴァントのランサー、ディルムッド。どうやら彼女も運よくレイシフトに成功したらしく、こちらに来た後ランサーが召喚され、契約したそうだ。
俺、マシュ、澪の3人は正直いって戦闘の素人だ。本格的な戦いなんて一度もしたことがない。その点ランサーがいてくれて本当に助かった。マシュはサーヴァントになったとはいえ、まだ力を使いこなせていない。それもあり、今は彼の力を頼りにしている。
「戦闘終了です、先輩」
「こちらも終わりました、マスター」
「ありがとうマシュ」
「あ、ありがとね、ランサー」
自分が直接戦闘するわけではないとはいえ、やはり戦いは緊張する。戦闘を終え、俺達は一息つく。
「ふぅ、お疲れ様」
「お疲れ様です。ディルムッドさんもありがとうございました」
「いえ、大丈夫ですよ。マスターを守るのが私の使命ですから」
「ごめんねランサー。私みたいなのがマスターで」
「いいのですよ、お気になされなくて。誰もが最初の戦いというのは怖いものです」
「うん、ありがとう」
「っ、先輩!敵性反応です!これは・・・、まさかサーヴァント!?」
「マスターお下がりを」
一息ついたのも束の間、今度はサーヴァントが襲ってきた。数は3体。見た目は影に覆われていて、様子がおかしいが、サーヴァントなのにはかわりない。サーヴァント相手ではマシュでは荷が重いだろう。やられはしないだろうが、ディルムッドさんでも同時に3体を相手にしたら、確実に俺達を守りきれるとは限らない。
まずい、と思っていた次の瞬間、2体のサーヴァントが消滅した。1体は両断され、もう1体は槍で貫かれていた。1人は長髪に赤い目、黒い戦闘服をきた女性だ。そしてもう1人の男も同じく全身を真っ黒の傷んだ胴着を着たとにかく黒い男だ。 いつ倒したのかまったくわからなかった。残った1体もすぐに倒され、俺達の戦闘は戦わずして終わってしまった。何やらディルムッドさんは驚いていたが。
そんなサーヴァントを倒した二人が話しかけてきた。
「君たちは生き残ったマスターかい?」
◆
「ふむ、どうやら大丈夫のようだな」
今俺とスカサハはある戦闘を見守っていた。ピンチなようなら助けようと思っていたが、英霊もいるようだし、問題なさそうだ。盾を持っている彼女はいまいち英霊の力を使いこなせていないようだが。
「そうだな。恐らくかれはディルムッド・オディナだろう」
「ん、スカサハ知っているのか?」
「ああ。直接の面識はないが、同じケルトの者だからな」
「なるほど。ケルト神話の者達はみな総じて強いからな」
(彼らがピンチにならくなってしまったので、出るタイミングを逃してしまったな)
とか思っていると、今度はあの影のサーヴァントが現れた。数は3体
「存外、3体同時にくると面倒だな」
「一応は元英霊だからな。低級の敵とは違う」
「ここらで俺達も参戦しようか」
「私は別に構わんぞ」
というわけで、俺達はシャドウサーヴァントを倒すために彼らの元へと向かった。
シャドウサーヴァントを倒した俺はとりあえず彼らに話しかけることにした。
「君たちは生き残ったマスターかい?」
突然現れた俺達を警戒しているのか、誰も反応を返してこない。
「俺達は一応マスターとサーヴァントだ。君たちと敵対するつもりはない」
「マスター・・・ですか?しかしあなたからはサーヴァントと同じような反応を感じますが・・・」
「まぁ色々わけありなのさ。とりあえずはお互いで情報共有でもしないか?」
「そうですね。まずはそうしましょうか」
それからお互いについて話しをしたのだが、何やらすごい情報が色々出てきた。彼らの名前はマスターが、藤丸立香と星野澪。そして、デミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトとランサーのディルムッド・オディナ。
聞いた話しによると彼らは『カルデア』という機関の人間らしい。で、何やら世界の危機でそれを救うためにこの特異点を修正にきたのだとか。
ずいぶんと壮大な話しになってきたな。ということは、やはりこれは通常の聖杯戦争とは違った代物になっているようだ。それならばこの街の現状もシャドウサーヴァントにも納得できる。
さて、そうは言ってもどうしたものか・・・
「失礼、あなたはスカサハであっているだろうか?」
「ん?ああそうだ。私はスカサハだよディルムッド・オディナ」
「まさかあなたのような人とこんなところで会えるとは。」
と、何やらケルト組は勝手に話しているようだ。こっちのマスター組にも一応俺の成り行きは話したから、とりあえず理解してくれた。
「しかし、サーヴァント、英霊でありマスターですか。不思議なこともあるものですね。これも特異点のせいでしょうか・・・」
「俺のことはどうでもいいさ。今はこの特異点をどうやったら解決できるか、だろ」
「そうだな。ひとまず休憩し終わったらまだ生き残りがいないか探索の続きをしよう」
「わ、私はみんなに任せるよ。特にで、できることもないし」
「よし、それじゃあ準備ができたら声をかけてくれ」
「わかった。それと、改めてさっきは助けてくれてありがとう。これからよろしく頼む」
「ん、こちらこそよろしく」
「私もよ、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
少しだが親睦深めることができてよかった。何より仲間がいるというのはいいことだ。今まであまり仲間がいたことがなかったからな。
「私は仲間ではないのかな?マスター」
「ナチュラルに心を読んでくるんじゃない。もちろん、スカサハも立派な仲間さ」
「そうか?それはよかった」
そんな何気ない会話をしながら長い1日が終了した。
◆
次の日俺達は手がかりを求めて移動を開始した。今日は普通の人である立香達がいるから昨日ほどの移動速度は出せないが。
「きゃああああああ!!!」
しばらくするといきなり女性の悲鳴が聞こえてきた。
「生存者か?」
「急いで向かいましょう!」
悲鳴が聞こえた方へ向かってみるとそこにいたのは、白い長髪のいかにも魔術師然とした女性だった。
「マシュ、彼女はもしかして・・・」
「はい。もしかします先輩。彼女はオルガマリー所長です」
どうやら彼らの知り合いのようだ。
読了ありがとうございました。