触れた物を鋼鉄に変える。また、体を鋼鉄化させる。
「すいません、今丁度お酒を切らしてしまって.......」
マキノが遠慮がちに山賊の頭であろう男に酒が無いことを告げる。
「じゃあ、コイツらが飲んでんのは水か?」
「いえ、ですが今出している酒はこれで全部」
「いやー、悪いな。酒は俺達が買い占めちまった」
マキノに助け船を出すようにシャンクスが笑いながら話に割り込んだ。
山賊が顔をしかめる。
「これで良ければやるよ。まだ詮も開けてない」
シャンクスが持っていた酒を差し出すが.....
パリィン!
山賊頭の剣が酒ビンを破壊し、中身が飛び散る。その反動でシャンクスが床に倒れた。
「おい海賊、俺が誰か知らねぇのか?」
そう言うと山賊頭が懐から紙を取りだし、開いた。
紙には男の顔写真と賞金500万ベリーと書かれている。
ヤチは紙を一瞥すると一口水を飲む。
500万ベリーって誇れるような数字じゃねえだろ、寧ろ賞金首の中で最低賞金だから恥じゃねぇか?
現に賞金稼ぎ時代でもここまで低い賞金首に僕は会ったことねぇしな。
そんなヤチの心情など知るはずもない山賊頭はどや顔で語り始めた。
「分かるか、俺は500万ベリーの賞金首なんだよ?だからこれッポチの酒じゃあ、満足」
「マキノさん、悪いけど雑巾持ってきてくれ」
「シャンクスさん、いいんですよ。私がやりますから」
「いや、大丈夫」
シャンクスはデスクの下にしゃがむとビンの破片を拾っていく。
「て、てめぇ.....」
山賊頭は話の腰を折られ、顔に青筋を浮かべる。そして無言で剣を振り上げた。
横目で見たヤチはため息をつく。
たくっ、赤髪の奴、もう少し黙ってれば穏便に済んだって言うのに......チッ、仕方ねぇな。
ヤチはシャンクスの近くに置いてある椅子に触れた。
「そんなに掃除が好きならもっと増やしてやるよ!」
ブォン!
山賊頭が剣を勢いよく薙ぐ、が.......
カァン!パラパラ.......
「どうなってんだ!?剣が刃こぼれしやがった!クソッ」
山賊頭は訳が分からず、剣を見るがすぐに八つ当たりをするように椅子を蹴飛ばした。
「腰抜けどもが!俺の剣をこんなにしやがってっ」
もう二度とここには来ねぇ、山賊頭はそう言うと手下を連れて店から出ていった。
「船長!また派手にやられたな!ガハハハッ!!」
「全くだ!アハハハ!!」
二人の笑い声に周りの海賊達も笑う。
本当にコイツらは......
「ヤチ!さっきは助かった。借りができたな」
「気にするんじゃねぇよ、僕はただ店が散らかるのを防ぎたかっただけだから」
「素直じゃねぇな」
シャンクスがまた大声で高笑いするが、その様子を見て今まで黙っていたルフィが口を叫んだ。
「何で戦わねぇんだよ!あんなのカッコ悪いじゃんか!」
「戦う必要は無かっただろ、穏便に済んだんだから」
「何だよそれ!ヤチはあんな事言われて悔しくないのかよ!」
「全然、あんなの雑魚の遠吠えだしな」
「そんなの言い訳じゃんか!皆が、皆が戦わないなら俺が戦う!」
ルフィは椅子から降りると店の外に走った。
次から少し変わっていくかも.....原作から