「あの、いいんですか?ルフィのこと、ほっといても」
走り去るルフィの後ろ姿を見ながら、マキノが心配そうにヤチに聞いた。
喧騒とした酒屋にヤチにだけ静寂が訪れる。
「大丈夫じゃねぇか?」
「でも、ルフィがあの山賊達の所に行ったかもしれないんですよ」
「心配しすぎだ。ルフィが馬鹿でも流石にあの大人数相手に喧嘩は売らねぇだろ......多分」
「多分って.....」
マキノがヤチの言葉に顔をしかめるが、当のヤチはコップの水を飲み干し、新たに水をコップに注いでいる。
険悪な雰囲気が2人に漂い始めた。その空気を察し、シャンクスが2人をいさめる。
「まあ、マキノさん落ち着いて。ヤチも別にルフィを心配してない訳じゃないさ。な?ヤチ」
「ああ、当たり前だろ」
「それなら.....」
「俺にもああいう時期があったからな。だからまぁ、ルフィが何かして大人の注意を引こうとしてるって分かるんだ」
マキノの顔が少し和らぐ。どうやら俺の気持ちが少しは通じたようだ。
「分かりました。でも、後でルフィの様子は見に行ってくださいね?シャンクスさんも」
「え~、俺もか?マキノさん」
「お願いします」
「んー、分かった。女に頭まで下げさせて行かないのは悪いからな」
シャンクスの返事にマキノが笑みを浮かべ、酒を取り出す。
何だ、まだあるじゃねぇか。
ヤチは心の中で呟くが、文句を言おうとしなかった。山賊に飲ませるよりもシャンクス達に飲ませる方がマシ、と思ったからだ。
「ほどほどにしろよ、赤髪」
「それは無理だな。酒にも出してくれたマキノさんにも悪い」
「嘘つけっ、ただ飲みたいだけだろうがっ」
ヤチがシャンクスに怒鳴るが、バン!と扉の開く音にかきけされた。
扉から入ってきたのはこの村の村長、ウープ・スラップだ。
「どうしたんですか!?村長さん、顔が真っ青ですよっ」
「ワシの事はいい。それよりもルフィが、ルフィが」
「ルフィに何かあったんですか!」
「山賊に捕まった!」
ヤチとシャンクスが同時にイスから立ち上がる。
「それで場所はどこだ?爺」
「港じゃ。頼む、ルフィを助けてくれ」
シャンクスとヤチはウープに向かって言い放った。その顔は先程のふざけた顔と違い、真剣さが滲み出ていた。
「「言われなくても分かってる」」
「おや?誰かと思えば昼間の腰抜けどもじゃねぇか」
「シャンクス!ヤチ!離せ、このヤロー!」
「ルフィ!?」
港につくと山賊頭とその他大勢の山賊がいた。ルフィもその中にいる。
シャンクスとヤチが山賊頭に向かって歩く。その足取りは速くもなく、遅くもなく一定の速さだ。
「ルフィを返してもらおうか、山賊」
「返してもらおうか、だぁ」
山賊達が一斉に笑うが、それでも2人は歩みを止めず、真っ直ぐ進んでいく。その足取りに迷いはない。
「止まりな!」
山賊の2人がシャンクスとヤチの頭に銃を突きつける。
2人とも歩みを止める。
「お前ら、それを使うって事は脅しじゃすまないぞ。命を賭けろ」
「はぁ?」
山賊が頭に?マークを浮かべるが、構わずヤチがシャンクスの言葉を引き継ぐ。
「銃は脅しの道具じゃねぇって言ってんだよ」
その刹那。
パァン!ドォン!
銃を突きつけていた2人の内1人は銃で頭を撃たれ、もう1人は天高くヤチの一撃で舞い上がった。
山賊から怒声が響き、シャンクス達に向かって剣を掲げ、突撃する。数だけなら山賊の方が多い。
だが、結果は.....
「スゲェ.....」
ルフィが感嘆とした表情で呟いた。
僅か数分で戦いは終わった。山賊多勢に対し、海賊側は数人で山賊を頭を除く全員を倒したのだ。
あり得ない光景に山賊の顔に焦りと不安が現れる。
「ま、待て海賊ども!動くんじゃねえぞ。このガキの命が惜しけりゃあなっ」
そう言って、山賊頭はルフィの喉元に腰の剣を当てる。
ヤチは目配せでシャンクスに合図を送った。俺が行く、と。
だが、その前に山賊頭が地面に球状の物を叩きつける。辺りを白煙が包む。
「クッ、煙幕か!?」
「こざかしい真似を.....」
しばらくすると煙が晴れたがその時には.....クソッ。
「あ~~~どうしようっ!!?ルフィが連れていかれた!!!」
「うるせぇ!そんな事言ってる場合じゃねぇだろうが!?探すぞっ!」
ヤチの言葉に全員がバラバラに別れた。
逆上をした山賊頭がルフィに何をするか分からない。時間は刻々と迫っていた。
次でルフィの子供編は終わりかも.....