「クソッ、あの山賊どこに隠れたっ」
島は殆ど探したぞ。家も森もしらみ潰しに。
ヤチが焦りを感じ、他に隠れられそうな所を考えていると
「ヤチ!」
「ヤソップ!そっちはどうだった!?」
ヤソップは無言で首を振る。
そっちも外れか。となると残りは赤髪。
「ヤソップ!赤髪はどこに向かったっ」
「船長?船長なら港の方に」
「港?.......そうか!」
それを聞き、ヤチは走った。
簡単な事じゃねぇか。陸にいないなら海に出ている可能性だってあり得る。
「間に合え......」
「てめぇのせいで散々な目に遭ったぜ。小僧」
山賊はそう言って、ルフィの首根っこを掴み、持ち上げる。
「うるせー!全部お前の自業自得だろっ」
「口の減らねぇガキだ。まぁ、これで最後だから好きに言ってろ」
山賊はルフィを海の上に持ち上げたまま移動させる。その間ルフィはがむしゃらに山賊に拳を突き出すが一発も当たらない。
山賊が楽しそうに笑みを浮かべ、
「じゃあな。ガキ」
海へとルフィを放り投げた。
(クソッ、あんな奴なのに一発も当てられなかった)
ルフィは泣きながら海へと落ちた。
山賊が高笑いを上げ、バタバタと溺れてるルフィを見る。
「ヒャハハハっ。無駄な抵抗はやめな。どうせ悪魔の実を食べた奴は泳げねぇんだからよ」
そうして笑っていた山賊の耳に
ゴゴゴゴ......
「ん?何の音だ」
大きな音が響くと同時に山賊の頭上に大きな影ができる。
振り返った山賊の顔が血の気を失っていく。
「か、海王類!!!何でこんな所」
そこにいたのは10メートルを越す大蛇の海王だった。
そして最後まで言う事なく
ザバァァン!!!
「ギャアアアアア!!?」
叫び声と共に山賊と船が消えた。そして溺れるルフィが残った。
「はぁゲホゴホ!」
ギョロ。
海王類の目がルフィを捉える。
「ゲホ!だ、誰かっ」
ルフィの声に海王類が大口を開け、勢いよく飛びかかった。
ガシッ
死んだ。そう思ったルフィの体を誰かが支えた。
誰?
その疑問を解消しようと眼を開けると
「遅くなったな。ルフィ」
「しゃ、シャングズぅ!」
支えていたのは優しげな笑みを浮かべた赤髪の海賊だった。
だが、助かったとは言えない。後ろには今にも襲いかからんと大口を開けた海王類がいるのだから。
「シャンクス!後ろ」
「大丈夫だ」
それでもシャンクスは笑ったままルフィを支えているだけだった。
「でも」
「ロックシャワー!」
言いかけたルフィの声を遮るように背後から声が響いた。
ドンドンドンドンドン!
「ギシャァァァ!?」
大蛇に大量の黒い水滴がかかる。すると大きな音をたて、大蛇が海に沈んでいく。
よく見ると大蛇の体に所々から大きな傷が出来ていた。
「九死に一生を得たな。お前ら。だが、お前が無茶しなかったら僕もこんな無茶せずに済んだんじゃねえか。なぁ、馬鹿赤髪。」
「ハハハハッ!そう言うなよ、ヤチ。結果的にルフィは助かったじゃねえか。それよりも腕はまだ鈍っていないようで何よりだ」
「当たり前だろ。賞金稼ぎは止めても、腕を磨くのは辞めてねぇんだから。」
「えっ!?やっぱ、今のってヤチがやったのか!?」
「ああ。ていうかあの状況で俺しかいなかっただろうが」
「ヤチって本当に強かったのか.....」
「ま、ルフィが知らねぇのも無理はねぇよ。ここに来てからこの力も使わなかったしな。平和だったから......とほら、そろそろ船に乗れ。風邪引くぞ。ルフィ」
「ヤチ、俺にも」
「自分で上がれ」
「海よりも冷たいな。ヤチ」
ボソッと呟くシャンクスの言葉を流しつつヤチ、ルフィ、シャンクスの3人は村長等が待っているフーシャ村に向かって小船を漕いだ。
そして1夜明け、朝。ヤチは港でシャンクスと別れの挨拶を交わしていた。
今日でシャンクス達は航海に戻るらしい。つまり、僕は赤髪の見送りに来たという訳だ。
「寂しくなるな、ヤチ。どうだ?これを機に俺達の海賊団に入らねぇか?」
「どの機だよ。赤髪。それに、海賊はリスクが高い。絶対ェお断りだ」
「ダハハハハッ!やっぱりそうかっ。まぁ、お前ならそう言うと思ったよ、鋼鉄」
「うるせぇよ、馬鹿......ふぁぁ」
ヤチは大きく欠伸し、赤髪に背を向ける。
「それじゃあな。赤髪」
「おいおい、最後まで見送りしないのか?」
「早起きして来ただけでも有り難いと思え。僕はまだ寝たりないんだ」
「そう言う所も前と変わってないな。お前は」
「俺と話している暇があるならアイツと話したらどうだ?さっきからチラチラとこっちを見てるじゃねぇか」
そう言って、ルフィの方をヤチは見るとそのまま家に向かって歩く。ふぁ、寝みぃ。
昼頃、いつものようにマキノの所で飯を食いに行くとルフィが嬉しそうに赤髪の麦わら帽子を被っていた。
どうやら、麦わら帽子は赤髪がくれたらしい。
そして海賊になる事ばかりを話しているルフィ.......
もう更正は無理かもしれねぇな.....
「海王類」
何気にシャンクスの片腕消失フラグは回避しています。