そして、あけましておめでとうございます
今年も、私と本作共々、よろしくお願いいたします
「…つまんないねぇ」
「なにがつまんない、じゃこのアホォォォ!!」
今は朝
睡眠欲に負け、お嬢様を残して寝てしまった次の日である
寝て、次に起きたら既に鉄扉は開いており、お嬢様の姿は無かった
お嬢様の寝たような形跡はなく、残されていたのは床に空いた二つの穴のみ
「年頃の男女二人っきりの夜でやることは一つでしょ」
「実の息子の前であんたは何を言ってんだぁぁ!!」
「何って、子作りのことを――」
「そのまま言えって誰が言った!? 双方の合意なしにやるわけ…って何言わせてるんじゃぁぁ!!」
「やっぱり蒼夜もそんな年頃なのねぇ」
「誰のせいだよ!! というか二マニマしながら言うんじゃない!!」
「あらあらうふふ」
「あーもう!!」
朝起きて早々、お母さんからからかわれています
誰か、助けてください
「あのー…」
「あ、なんでしょうか」
朝なので、もちろん開店前である
その開店前の店の扉を開けたのは、隣でお茶屋を営んでいる女性である
「朝から大声を出されるとちょっと…」
「あ、すいません」
苦情だった
とりあえず謝っているが、悪いのは俺じゃない。お母さんだ。
責任転嫁じゃない、絶対そうじゃない
「あ、聞いてくださいよ松田さん。うちの息子ったら夜の営みすらできない意気地なしなんですよ」
松田さんとは、先ほど言った隣でお茶屋を営んでいる女性のことである
というか何を広めてくれてんの?
「あら、そうですの? 私の夫はそんなこと無かったのに。最初の夜なんてケダモノみたいに―――」
「はい! それまでにしておいてくださいな! 俺のいるところで話すことでもないでしょうに!」
話がどんどんイケナイ方向へ傾いていたので、無理やり話を切って終わらせることにした
「それよりお母さん、お嬢様は?」
「女の子なら蒼夜が起きてくる少し前に出ていったわよ。あの様子だと寝てなかったみたいだけど」
寝てなかった…
確かに、今思うとそんなに知らない男の布団で寝ようとは思わないだろう
いや、それよりも
「そういえばお母さん、あの扉は鉄か何かで作ってあるの?」
昨日の夜には開かなかった扉も、俺が寝ている間に開いたのだろう
最後にその扉に触ったのはお母さんなのだ
何かしらは知っているだろう
「いや、その襖は普通の襖よ?」
…はい?
いやいや、そんなわけないだろう
九割不信、一割疑問の思いで襖へ近づく
そして、襖に手をかけ閉めようとする
すると、難なく閉まった
「…はい?」
もう一度開けようとする
難なく開いた
閉めようとする
閉まる
開く
閉まる
開く
閉まる
閉く
開まる
「…なんでや」
「タネ明かししてもいいんだけどね、つまんないし秘密ってことで」
「はいぃ? なぜに? 教えてよ」
問うが、母から返ってくる言葉はただ一つ
「ひみつ♪」
「気になるだろぉぉ!!」
この日、二度目の苦情が来たことは言うまでもないだろう
「閉まる」と「開く」の漢字が入れ替わっていたの、気づきました?