東方双赤星 ~A story of ECLIPSE~   作:ドリル隊長

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霊夢の背中のあれは「ターンデルタ」が元ネタです。マニアックな部分を使った事を反省してます(ただし後悔はしてない模様)


第二次侵食異変篇
Episode01 ~異変、そのSOS~


201〇/6/26 P.M.4:13

Report:Haruto Sensuji

 

この状況は、最悪と言っても過言では無い。

直線上約二千メートル先に五、八時の方向の約三千メートル先に四の生体。

糸瓜のグリーンカーテン越しに監視を続けているが、17時間ずっと留まり続けている。

 

このタイミングを狙ってくる可能性があるのは、以前から知っていた。

では、なぜばれてしまったのだろうか。

紫さんと藍さんが不在の日は、他の誰も知らないはずだ。

あの二人に限って秘密を簡単に暴露するはずが無い。

 

誰かが俺達を監視していた、という説もあり得ない。

この廃墟に接近すれば、必ず俺の視界に留まる。

だが、残念ながら心当たりは無い。

 

二人が幻想郷に戻って来るまでの四日間を、俺一人で耐久できるだろうか?

誰がどう考えてもそんな結論には至らない。

 

敵のうち四体は、非常に高い霊力を保持していると見た。

弱点の多い俺がたった一人で“アレ”を守り切るのは可能だろうか?

否。そんなわけがない。

 

 

ここで俺が導いた最善策は・・・。

 

 

 

-その少年、千條遥斗が胸部の前に、少し離して手を置いた。-

 

-両手のひらの延長線上は、心臓のちょうど真下。-

 

-それから数秒後、遥斗は呟いた。-

 

 

 

「強制探知、バイオセンサ・・・!!」

 

 

 

俺の導いた最善の答え、それは「異変を起こす」ことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

Report:Reimu Hakurei

 

夏が来た。

夏といったら、夏の大宴会。

異変が無かろうと、問答無用で宴会が始まる。ここ、博麗神社で。

 

 

「萃香ー、次は奥の小さいのを出して。」

 

 

「あいよー、これ終わったら酒飲んでいい?」

 

 

「勝手にしなさい、でも今月分の残りをよーく考てよ。」

 

 

萃香が、小さく舌打ちするのが聞こえた気がした。

 

出費の七割は博麗神社が持つことになっている。

食器や机、畳のレンタル、酒、主菜、全ての費用を払うとなると、五月末から食費と酒をいつもの半分まで抑えないといけなくなる。

 

慢性的な空腹の中、辛うじて買い取ることができた机を倉庫から運び出しているのが、私、博麗霊夢である。

 

 

「なー、ええ加減今年は断ったらどうだ?こっちには得が無いだろ?」

 

 

「仕方ないでしょ、参拝客がたくさん来る日なんてあとは正月しか無いから貴重な収入源だよ。」

 

 

とは言え、出費も考えたら利潤は僅かしか無いのも事実である。

料理を受け持ってくれる知り合いがいる事が、僅かな救いだろうか。

 

ため息をつき、二メートルほどある木製のテーブルを抱えながら倉庫の外に足を踏み出したその時、私は奇妙な感覚に襲われた。

 

 

「な・・・!?」

 

 

まるで時間が止まったような不動の空間の中で、私が見たもの。

それは、私の霊力の流動、テーブルを持ち上げようとしている萃香の霊力の流動。

そして、運び出したものの汚れを落としている針妙丸の霊力の流動であった。

 

そして、ここから遥か遠くの何処かにいる、人型の物体が見えた。

それが両手の平を胸に向け、心臓の下の部分が特に色濃く映っていた。

 

その感覚からはすぐに解放され、普段通りの視界に切り替わった。

片足を地面から離している事を忘れていた私は、よろけながらも姿勢を戻した。

一瞬、蝉の声が鳴き止んだような気がした。

 

「今のは、一体・・・。」

 

 

「霊夢も感じたのか?」

 

 

「ええ。一瞬、何か、違う感覚を。」

 

 

 

「皆さん、大丈夫ですか!」

 

 

本殿から針妙丸が走って来る。

全力疾走だが、身体が小さいが故に非常にのろい。

私は、持ち上げたままだった机を壁に立て掛けた。

 

 

「な、何だったんですか今の!」

 

 

私達は、それぞれが体感した感覚を話し合った。

 

しかし、ここで一つの矛盾が生まれた。

 

 

「私はそんなの見なかったぞ。」

 

 

「私もです。」

 

 

萃香、針妙丸、ともに、あるものを見ていなかった。

 

 

「確かに私は見たわよ。ここから南西のけっこう遠くにそんな感じの誰かが見えたわ。」

 

 

二人とも、神社の境内にいる計三人の姿しか見ていなかったのだ。

本来ならば、恐らく近くにいる人妖しか見えないのだろうか。

だとしたら、私は何故その姿が見えたのか。

 

それは分からない。だが、私は直感に従った。

 

 

 

「思うに・・・。 これは異変。そして、何か知ってる奴が南西にいる。」

 

 

 

「そいつが間違えて能力を暴発させた、って事もあり得ませんか?」

 

 

「そうだとしても、私だけが見えるのも気になる。だから・・・。」

 

 

 

-本殿からお祓い棒と水筒を持ち出し、霊夢は真っ赤な鳥居の前で両足を地面につけた。-

 

-軽く息を整えると、今度は足が浮き、背後に赤い逆正三角形の物体が二つ現れた。-

 

-博麗陰陽術の術式がびっしりと刻まれたそれに背中を押されるように、霊夢の身体は鳥居をくぐった。-

 




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