侵略!パンツァー娘   作:慶斗

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※形式の都合上、キャラの名前が一部略称になっています。


ダージリン→ダー
オレンジペコ→ペコ
アッサム→アッサ

ニセイカ娘→ニセ娘
ペパロニ→ペパ


カチューシャ→カチュ
クラーラ→クラ

黒森峰隊隊員A・B・C・・・・→黒森A・B・C・・・・

大学選抜隊隊員A→大学A


Chapter21:挟撃!二大巨塔です!

ドォン!

バァン!

 

カチュ「な、何!?砲撃!?どこでやってるの!?」

 

突如起きた砲撃音に戸惑うカチューシャ。

 

愛里寿「隊の先頭、中心部。きっとダージリンのところ」

 

逆に冷静に位置を把握し対応する愛里寿。

 

ザザッ

 

ダー 『こちら先頭チャーチル、現在Ⅳ号フラッグ車と交戦中』

 

ダージリンからシンプルな無線通知が届く。

 

カチュ「フラッグ車って・・・・ミホーシャ!?どいういこと!?」

 

予想していなかった相手の正体に目を丸くする。

 

バァン!

ドゴオン!

 

開けた交差点を舞台に戦闘を繰り広げるチャーチルとⅣ号。

お互いの距離が至近距離にも関わらず、双方被弾を許さない戦車さばきで未だ進展が無い。

と____

 

バギンッ!

 

別方向から放たれた一発の砲弾がⅣ号履帯の保護装甲を削り取る。

突如訪れた進展に追い討ちをかけようと迫るチャーチル。

 

ドォン!

 

それを追い払うかのように放たれたⅣ号の砲撃に、僅かに速度を落とすチャーチル。

その隙にⅣ号はバックのまま離脱、交差点から北に向かって逃れようとし始めた。

当然のように追う姿勢を取るチャーチル。

 

カチュ「ダージリン!」

 

そこへ、先程の砲撃を放ったカチューシャのT-34/85とノンナのIS-2、BT-7が駆けつける。

 

カチュ「ミホーシャは!?フラッグ車はどこ!?」

ダー 「あちらですわ」

 

ダージリンに言われた方向を見ると、未だバックで逃げ続けるⅣ号と、キューポラからこちらを凝視するみほの姿が確認できた。

 

カチュ「ミホーシャ・・・・!」

 

みほの姿を捉え、更なる闘志が湧き上がるカチューシャ。

 

カチュ「追うわよ!」

ダー 「・・・・」

 

追いかけるべく声を荒げるが、ダージリンはどこかへ無線を飛ばしている。

 

カチュ「もう、何やってるのダージリン!先に行くわよ!」

 

無線を続けるダージリンを残し、T-34/85、IS-2、BT-7の三両がⅣ号を追い始める。

 

カチュ「これはチャンスよ!ミホーシャのⅣ号はフラッグ車。ならあれを倒しちゃえば、一気にこちらの勝利条件達成しやすくなるわ!」

ノンナ「現在あちらの被撃破数はわずか四両。ですがフラッグ車を撃破できれば、あとは五両撃破でこちらの勝利です」

カチュ「ふふふ、油断したわねミホーシャ!一気呵成で攻め倒して、勝利をもぎ取ってやるんだから!」

 

またとないチャンスに興奮するカチューシャ。

三両に追われながら、焦りを見せないみほ。

Ⅳ号を追う三両は、速度差から縦並びになり始める。

戦闘はBT-7、次いでT-34/85、そしてIS-2。

やがて再び交差点に差し掛かると、これまで直進し続けていたⅣ号が突如バックのまま左折、姿を隠す。

 

カチュ「あっ、曲がったわ!きっと隠れてやり過ごすつもりよ、そうはさせるもんですか!先行しなさい!シベリアトラみたいに食い付いて離しちゃダメよ!」

プラA「ダー!」

 

ギャギャギャギャ!

 

速度を合わせていたBT-7が速度を上げ曲がり角を曲がる。

見失うまいと急ぎ曲がったが、Ⅳ号はそんな気配を見せず曲がった先をバックで真っ直ぐ進み続けている。

 

ヴィィィィィン!

 

カチューシャの命通り、食い付くべく急接近していくBT-7。

やや遅れながらも、速度を上げながら交差点を曲がるT-34/85とIS-2。

その様子を、全く表情を変えずに見つめるみほだった。

 

ダー 「『一本の矢は折れやすくとも、纏めた三本の矢は折れ難い』」

ペコ 「島津義弘・・・・ですね。急にどうされましたか?」

ダー 「じゃあ、その方の得意とされていた戦術はお分かり?」

ペコ 「えっと、確か・・・・あ!」

 

ダージリンの言わんとしていることが分かったオレンジペコが声を上げた瞬間____

 

ドゴォン!

 

住宅地の影に隠れていたエレファントの88mm砲が、目の前を横切ろうとしたBT-7の土手っ腹にめり込んだ。

 

ドガアン!

シュポッ

 

完全に不意をつかれたBT-7は大きく真横に吹っ飛び、建物の中に放り込まれたような姿勢で白旗を上げた。

 

カチュ「な、何!?待ち伏せ!?」

ノンナ「カチューシャ、罠です!」

 

ギャラギャリギャリ

キャラキャラキャラ

 

眼前のBT-7の惨事に足を止めたT-34/85とIS-2の背後から、巧妙に隠れていたチヌとパンターGが退路を防ぐように姿を現す。

気づいた時には四両の戦車に前後を固められた形になってしまっているカチューシャたち。

 

ペコ 「『釣り野伏』・・・・!」

 

バァン!

ドォン!

 

即座に始まる前後からの強烈な砲撃の包囲網により、防戦一方になるT-34/85とIS-2。

 

ねこ 「おおー、伏兵大成功だにゃー」

ぴよ 「相手に知力差大ダメージぴよ」

もも 「今回の場合統率で語る方が合うと思うもも」

 

後方を塞ぐチヌ内部では作戦成功にはしゃぐアリクイさんチームの面々がゲーム談義を繰り広げる。

 

カチュ「くうっ、あんな連中に追い込まれるなんて!」

ノンナ「カチューシャ、私を盾にして下さい。こちらに砲撃が集中している間に貴女は離脱を」

カチュ「ニエット!冗談じゃないわ!同志を置いて逃げるなんて、あんな思いは二度としたくないわ!また

逃げるくらいならマカロニスープを鍋一杯飲み方法がマシよ!」

 

 

~~その頃~~

 

 

ニセ娘『へっくし!』

 

道路を進むサハリアノの上で、大きなくしゃみの音が響く。

 

ペパ 「どーしたんすかドゥーチェ、風邪っすか?」

ニセ娘『いや・・・・なんかパスタの悪口言われたような気がする』

 

 

~~場面が戻る~~

 

 

バァン!

 

未だ包囲網を抜けられないT-34/85とIS-2。

致命傷を避けてはいるが、じわじわと狭めてくる前後の砲撃はかわしきれない。

 

ねこ 「よし!ここで一気に前に出てトドメの一撃でござるー!」

もも 「承知ー!」

 

ガコンッ!

 

ももがーが勢いよくギアチェンジし、思い切りアクセルを踏む。

すると____

 

アリ 「ありゃあらららららら!?」

 

ヴィィィィィン!

 

ギアを切り替え間違えたチヌが勢いよくバックし始める。

直後____

 

バァン!

シュポッ

 

チヌがさっきまでいた場所に横からの砲撃が直撃、並んだ位置にいたパンターGが撃破された。

 

もも 「横撃!?」

ねこ 「グロリアーナにゃ!」

 

ギャギャギャギャギャ

 

一足遅れ現場にたどり着いたダージリンたち。

カチューシャらの窮地にも焦らず、陣形を揃えて粛々と更新を行なっている。

チヌは慌ててカチューシャ側に足を進め、交差点から姿を消した。

 

ダー 「カチューシャ、まだ無事かしら」

カチュ『遅いわよダージリン!なにちんたらやってたの!』

ニル 「自分たちだけ先に行っちゃっただけなのに、言われようですね」

ルク 「抜け駆けして突撃して罠にかかって助けられて文句言うなんて、知波単以下だな!」

カチュ『偉そうなこと言ってんじゃないわようっかりおさげ!』

ルク 「誰がうっかりおさげだ誰が!」

ダー 「採用」

ルク 「ダージリン様!」

ダー 「冗談はさておき。カチューシャ、そちらの現状は?」

カチュ『背後が一両いなくなったから、少しはマシになったわ。だけどまだ挟み撃ちにされてるから、援護に来ても構わないわよ!』

ルク 「素直に助けて下さいって言えこのナマイキおチビ!」

カチュ『なんですってー!どの面下げて私に意見してるの、おとほげおさげ!』

ルク 「名称変わってんじゃねえか!」

 

などと口論している間に状況に動きが出始めた。

 

キャラキャラキャラ・・・・

 

前方に陣取っていた二両、エレファントとⅣ号がゆっくりと後退し遠ざかり始めている。

 

カチュ「あっ!ミホーシャが逃げるわよ!」

ノンナ「増援が来たため不利と判断したのでしょう」

 

バァン!

 

逃がすまいと一発狙うのだが、惜しくも命中せず二両は交差点を曲がり姿を消した。

 

ノンナ「追いますか」

カチュ「いえ、どうせあれも誘いよ。同じ手を食らってあげるほどうっかりしてないわ、あそこのおマヌケおさげと違って」

ルク 「いい加減にしろっつの!」

 

再び合流したカチューシャとダージリン。

Ⅳ号の去った方を睨む。

 

カチュ「ミホーシャのくせに姑息な手を使ってくれるじゃない。返り討ちにできなかったのは残念だけど、カチューシャに待ち伏せなんて通用しないって思い知ったかしら!」

ノンナ「当然です」

 

ふんぞり返ってるカチューシャを尻目に、ダージリンは地図を広げている。

 

カチュ「どうしたのよダージリン」

ダー 「もちろん追撃ですわ。せっかく現れてくれたフラッグ車ですもの、追わない手はありませんわ」

カチュ「あら、ダージリンも割とうっかりさんなのね!ミホーシャを追いかけても次の待ち伏せがいるのは見え見えじゃないの!まだまだね」

 

自分が引っかかったのを棚に上げて偉そうに語るカチューシャ。

だがダージリンは意に介さない。

 

ダー 「もちろんそのまま追いかけて囲まれるのは愚の骨頂。策というのは講じてこそ意味があるのもですわ」

カチュ「?どーゆうことよ」

 

ダージリンの言うことの真意を測り損ねているカチューシャが、ふと周囲を見渡す。

 

カチュ「あら?ちびっこ大学生はどこ行ったの?」

 

愛里寿がいないことに気付いたカチューシャが尋ねた直後。

 

ドォ・・・・ン

 

遠く離れた場所で砲撃の音が聞こえて来た。

 

カチュ「え?今のどこのからの音?」

ダー 「タイミング完璧。流石ですわ」

カチュ「まさか!?」

 

ドォン!

 

音の先・住宅街北端。

カチューシャらのいる南側から正反対である北側の更に外郭に回り込んでいた愛里寿の隊が、Ⅳ号の追っ手を待ち受けていた黒森峰戦車隊に強襲を仕掛けていた。

 

バァン!

シュポッ

ドォン!

シュポッ

 

愛里寿隊に背後を突かれ、黒森峰の戦車が次々と白旗を上げていく。

 

愛里寿「攻撃の手を緩めるな。相手が体制を立て直す前に限界まで叩く」

 

愛里寿の指示のもと猛攻を続けるパーシングやチャーフィー。

背後からの攻撃に気付き始めたパンターGらが威嚇しながらじりじりと後退し、住宅街に身を隠そうとする。

 

大学A「隊長!奴ら及び腰ですよ!」

愛里寿「そのようだな。だが建物の影に潜んでいる可能性も捨てきれん。不用意な追撃は避けろ、外側から仕留められる奴だけ仕留めていけ」

 

深追いして住宅地に入り込めば再び挟み撃ちにされる可能性を読んでいた愛里寿は、追撃のための進行は考えていなかった。

 

愛里寿(位置的にこの辺りにはみほさんはまだ戻って来ていない。だけど追撃を止めるために指示が飛んでいる可能性もある。私たちがすべきことは、背後からのプレッシャーをかけ続けること)

 

挟み撃ちを読んでいたダージリンの指示により、カチューシャが釣り野伏せにかかる前から移動をしていた愛里寿。

読みはバッチリはまり、待ち構えていた黒森峰隊の背後を突いた。

現在住宅地を中心に展開していた黒森峰&大洗連合は南北を抑えられ、逆に包囲されている状態にあるはずである。

 

愛里寿「東西の道路を注視しろ。離脱を阻止し、ここのエリアに封殺する」

大学B「了解!」

 

バァン!

 

様子を伺う黒森峰戦車を牽制し、包囲を崩さない愛里寿隊。

あとは体制を整えたダージリンの合図に合わせ北端から攻撃すれば、挟撃により相手は大きな被害を受けるはずである。

 

ザザッ・・・・

 

ほどなくして、無線に連絡が入る。

 

ペコ 『島田さん!今どこにいらっしゃいますか!』

 

出てみると、慌てた様子のオレンジペコからだった。

 

愛里寿「どこって・・・・住宅地の北端だけど。北側に相手が抜け出さないように、牽制しているところ」

 

そちらの立案だろう、と半ば呆れ混じりに答える愛里寿。

 

ペコ 『島田さん!すぐにそこから離脱してください!』

愛里寿「・・・・どういうこと?」

 

オレンジペコの慌てた様子に、現状が掴めない愛里寿。

 

ペコ 『あれから北進したのですが・・・・戦車がいないんです!』

愛里寿「いないって?南側の配置の数が少ないと言うこと?」

ペコ 『違います!全くいないんです!隠れているとか一切そう言う気配もなくて、南側に潜伏していると思っていた数の車両が一両もいないんです!』

愛里寿「・・・・!」

 

オレンジペコの言いたいことを理解した愛里寿の顔から血の気が引く。

即座に咽頭マイクに手を当てる。

 

愛里寿「総員、てった____」

 

ドガアン!

 

愛里寿が言い終わる前に、近くで構えていたパーシングから爆炎が上がる。

 

愛里寿「散開!」

 

即座に飛ばした指示により愛里寿隊の戦車がバラバラに動き出す。

が____

 

バァン!

シュポッ

ドォン!

シュポッ

 

不意をつかれたチャーフィー二両が白旗を上げる。

 

ギャギャギャギャギャギャ

 

砲撃の音を聞いて待っていたかのように、姿を隠していた住宅地側の戦車隊が再び現れ始める。

そして同時に愛里寿の背後____北端の更に北側からも、無数の黒森峰戦車隊が姿を表した。

後ろ目に姿を目視した愛里寿は、自分らが置かれた状況をはっきりと理解した。

 

愛里寿「裏の裏・・・・!」

 

挟撃のつもりで回り込んでいた愛里寿隊は、今や住宅地北端の部隊と、さらに外郭の部隊により挟撃され返されていた。

 

カチュ「あーもう!だらしないちびっ子ね!」

 

作戦の裏をかかれたことに気付いた南側の部隊が住宅地を北進する。

 

アッサ「島田さんとはいえいつまでも持ちません。急ぎましょう」

カチュ「言われなくっても分かってるわよ!クラーラ、先行!ノンナとニーナは真後ろで左右を警戒しなさい!」

ノンナ「はい」

ニーナ「承知すましたー!」

カチュ「それにしてもミホーシャったら生意気ね!こんな姑息な手を使ってくるだなんて!」

ペコ 「姑息・・・・と言えるかどうかは賛同しかねますが、西住さんらしからぬ立案ではあると思います」

アッサ「そうね。これまでの西住さんは、どんな不利にあろうと独創性にあふれた多々の作戦で戦い抜いて来たお方。こうも兵法書に載っているような作戦をとるのは、言ってしまえばらしくない(・・・・・)

ペコ 「それはやはり、記憶が黒森峰のものにすり替わってしまっているからでしょうか」

アッサ「もちろんそれもあるでしょうけど、この場合・・・・」

ダー 「『西住流の体現者』」

 

ダージリンがポツリともらす。

 

ダー 「今のみほさんは黒森峰生という枠をも越え、西住流の者として私たちの前に立っているわ。彼女の一挙一動が西住流そのもの。そこにオリジナリティや不完全は要素は取り合えられない」

アッサ「一才の無駄を取り払えば、必要なものしか残らないとは言いますが・・・・あれではあまりにも」

ダー 「『面白み』に欠けるわね」

 

バァン!

 

場所は戻り挟撃を受け続けている愛里寿。

隊は全滅には至っていないがかなりのダメージを受けている。

何両かはうまく突破し住宅街に潜り込むが・・・・

 

ニュッ

 

待ってましたとばかりに建物の影からエレファントが砲を構える。

 

大学B「しまっ____」

 

ドォン!

シュポッ

 

またあるパーシングは強引に囲いを突破しようと北側外郭の部隊に仕掛けに行き____

 

バァン!バァン!ドォン!

シュポッ

 

数の差による集中砲撃で蜂の巣にされた。

 

愛里寿(行くも地獄下がるも地獄、ましてはこの場に留まるなどもってのほか)

 

持ち前のセンスと練度、そして繰り返し行われる信地旋回により、愛里寿のセンチュリオンはその場に足止めを食らっていても健在のままだった。

 

バァン!

 

一方的にやられるものかと旋回しながら鋭い砲撃を放つセンチュリオン。

だが相手は建物をうまく盾にして砲弾を凌ぎ、未だ一両も仕留められていない。

 

ドォン!

シュポッ

 

愛里寿の傍にいた最後のチャーフィーも白旗を上げ、ついに愛里寿は完全に孤立してしまっていた。

 

愛里寿「・・・・!」

 

戦慄走る愛里寿。

周囲を窺うと、圧倒的に有利と見た黒森峰戦車隊が次々と姿を表し、じわじわとセンチュリオンを取り囲み始める。

その状況を見た愛里寿は、心の中に諦めが浮かび始める。

 

愛里寿(ここまで、なの・・・・?まだ全然チームに貢献できていないのに、こんな所で脱落してしまうの・・・・?イカ娘と一緒に、絶対にみほさんを取り返すって約束したのに・・・・)

 

と、愛里寿の脳裏にみほの顔が浮かんだ。

大洗の制服を着て、どんな状況にも屈せず前を見続けたみほの顔。

 

愛里寿(みほさん・・・・。そうだ、まだ終わってなんかいない!)

 

瞬間、奮い立った愛里寿は指示を飛ばす。

 

ヴィィィィィン!

 

突如雄叫びを上げ、センチュリオンは全速力で駆け出した。

目指す先は南、住宅街エリア。

 

黒森A「住宅地に逃げ込むつもりだぞ、逃がすな!」

 

ドドドドオン!

 

即座に反応した隊員の合図により一斉砲撃がセンチュリオンに襲いかかる。

途端に上がる着弾による砲煙。

 

黒森A「やったか!?」

 

直後、

 

ヴィィィィィン!

 

煙をかき分けるかのようにその中から飛び出すセンチュリオン。

更に勢いを増したまま南へ、住宅地北側部隊に突貫していく。

 

黒森B「に、逃すな!」

 

ここは通すまいと固まる三両。

 

愛里寿「どけっ!!」

 

ガッシィィィン!

 

愛里寿は避けることも威嚇することもなく、そのままの速度でパンターGたちに衝突した。

突破しようとするセンチュリオン、させまいと粘るパンターたち。

互いに譲らず、両車の間に火花が上がる。

 

愛里寿「こんな所で・・・・」

 

グィィィィイイン!

 

センチュリオンの回転数が更に上がる。

 

愛里寿「こんな所でいなくなる訳にはいかないんだから!」

 

ギュオオオオオオン!

バギィンッ!

 

黒森B「きゃあっ!?」

 

限界までアクセルをふかしたセンチュリオンは、ついにブロックした三両をパワーで強引に弾き飛ばし、住宅街への侵入を果たす。

 

黒森B「と、突破された!中央通りを真っ直ぐ南下中!エレファント隊、食い止めろ!」

 

弾き飛ばされた戦車の車長が無線を飛ばし、住宅街で待ち受けていたエレファントたちが動き始める。

建物の裏に潜み、愛里寿のセンチュリオンが目の前を横切るのを待つ。

そして、真っ直ぐ走ってきたセンチュリオンが目前に迫り____

 

ギュルンッ!

 

直前、まるで待ち伏せていたのが分かっていたかのように速度を落とさず車体が回転____愛里寿お得意の、超信地旋回がエレファント隊の目の前を通り過ぎる。

その高度な動きに一瞬戸惑ったエレファント隊は、照準を定めあぐね始める。

 

バァン!

シュポッ

 

そんなことはお構いなしと一撃放ち、沈黙させたセンチュリオンは再び真っ直ぐ体制を整え直し続けて南に邁進し始める。

 

愛里寿「!」

 

と、今度は目の前の交差点周辺にⅥ号ら戦車隊が立ち塞がる。

 

黒森C「本体に合流させるな!孤立しているうちに仕留めるんだ!」

 

一斉に砲口がセンチュリオンに定まる。

 

愛里寿「!」

 

ドドドオン!

 

一斉射撃が放たれる直前、愛里寿は左折し路地に入る。

 

黒森D「逃した!」

黒森C「落ち着け!地図を確認しろ!出口を抑え、数で封殺するぞ!ここで島田流を仕留めれば、勝利はより確実になる!」

 

互いに連絡を密にし、住宅密集地に身を隠した愛里寿を探し始める黒森峰隊。

愛里寿は通りがかりのガレージにセンチュリオンを隠し、捜索をやり過ごすことにした。

ガレージの暗闇で息を殺す愛里寿。

ふと、そんな闇の中である思い出が蘇る。

 

 

~~少し前、由比ヶ浜の夏にて~~

 

 

沢藤駅前で行われていたボコイベントに出向いていた愛里寿たちは、はしゃぎ過ぎたせいで時間いっぱいまで会場にいてしまった。

そのせいで帰りが遅れ、気がついた時には日が沈んでしまっている。

 

愛里寿『はっ、はっ、はっ・・・・』

 

少しでも早く帰ろうと小走りになる愛里寿。

 

みほ 『はぁ、はぁ、あ、愛里寿ちゃん、ま、まって・・・・!』

 

後ろから追いかけるように走っていたみほが立ち止まり、膝に手を置きはぁはぁ言っている。

 

愛里寿『あっ・・・・こめんねみほさん、急ぎすぎた』

みほ 『ううん、ついていけない私がいけないから・・・・。でもごめんね、ちょっとだけ休ませて・・・・』

 

息を整えようとするが、みほの息切れはなかなか治らない。

ふと愛里寿は今ある場所を見渡す。

周囲は既に暗くなっており、街灯の明かりが無ければ真っ暗闇であろう裏路地に二人は入り込んでいた。

自分のいる場所の現状に気づき、不安に駆られる愛里寿。

と____

 

ジ、ジジ・・・・

 

突如、愛里寿たちの真上に位置する街灯が点滅し始めたかと思うと

 

バチッ

 

寿命が来たのか、街灯は消えてしまった。

街灯ごとの設置間隔が広くなっているため、愛里寿のいる場所は真っ暗闇と化した。

 

みほ 『えっ、うそ・・・・!?』

 

突然暗闇に放り込まれ困惑する。

冷静に考えれば落ち着いて次の街灯に向かえばいいのだが、突如自分の周囲一帯が闇となった状況に固まってしまう。

一旦立ち止まってしまうと次の一歩がなかなか踏み出せず、同時に何も見えない闇からは恐ろしい想像ばかりが湧き出て来て、二人は持っていた袋を抱きしめて涙目になっていた。

すると、

 

ポゥ・・・・

 

遠くにぼんやりと明かりがついているのに気がついた。

 

みほ 『えっ、何?どうしてあそこだけ光ってるの・・・・?』

 

その光はゆっくりと二人へ近づいてくる。

 

愛里寿『こ、こっちに来る・・・・!』

二人 『きゃーーーっ!』

 

闇に覆われ恐怖していた愛里寿たちだが、正体不明の光の接近にも恐怖を感じていた。

もはやどうしたらいいかもわからず、二人はお互いの手を握りしめしゃがみ込んで目を瞑る。

____どれくらいじっとしていたのか、愛里寿の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

???『誰かと思ったら愛里寿と西住さんじゃなイカ』

愛里寿『え?』

 

顔を見上げると、そこには・・・・全身が光っているイカ娘が立っていた。

予想しなかった光景にぽかんとする愛里寿。

 

イカ娘『こんな所で何してるのでゲソ』

愛里寿『えっと・・・・、学園艦に帰ろうとしてたんだけど、街灯が消えちゃって、それで真っ暗になっちゃって・・・・』

 

愛里寿は真上の街頭を指さす。

 

イカ娘『あー、ここの街灯、通るたびにチカチカしてて消えそうだったのでゲソよね。だから消えてても大丈夫なように光って通り抜けてたのでゲソ。これなら真っ暗じゃなくなるからあまり怖くなくなるでゲソ?』

みほ 『確かにそうだけど、光れるのはイカ娘ちゃんだけだと思うよ?』

イカ娘『まあ、でももう光る必要はないかもでゲソね』

 

そう言いながらイカ娘は手を差し出す。

 

イカ娘『二人が一緒なら全然怖くないでゲソ。一緒に帰らなイカ?』

愛里寿『・・・・うん!』

 

笑顔になった愛里寿とみほはイカ娘の手を取る。

今まであった恐怖感が途端に無くなったのは、イカ娘の明かりのせいだけではないと愛里寿は思った。

こうして、三人は手を繋いで安心して帰路についたのだった。

 

 

~~回想終了~~

 

 

愛里寿(諦める訳にはいかない。イカ娘が戻るまで、たとえ戻って来なくても、私がみんなの望んだ結果を掴み取るんだ)

 

決意を新たに固め、ガレージに耳を当て外の様子を伺う。

愛里寿を探す黒森峰の戦車の音が聞こえている。

と____

 

ギャギャギャギャギャ・・・・

 

戦車の駆動音がガレージに近づいてきた。

静かにセンチュリオンに乗り直す愛里寿。

いつ見つかっても戦闘に移れるよう、臨戦態勢で身構える。

どんどん近づいてくる戦車の音。

そして、ついにあと数メートルで愛里寿のガレージの前に来るところまで近づく。

ハンドサインを用意し、攻撃に転じようとする。

 

キッ

スタッ

トコトコトコ

 

と、ガレージ直前に迫ったところで戦車が止まり、誰かが降りる音、そして歩いてこちらに知一宇来る音がした。

 

愛里寿「・・・・!」

 

思わぬ展開に息を殺す愛里寿。

冷汗が流れ、心臓の音が外に漏れるのではというほど早打つ。

 

ガシャン

 

外にいる人物がガレージに触れ、僅かに揺れる。

なおもじっとしていると____

 

???「愛里寿?」

愛里寿「!?」

 

愛里寿を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。

 

しばらく後。

 

黒森B「くっ、一体誰なんだ!?」

 

同じく住宅街ではⅢ号戦車J型に乗った隊員が周囲を強く警戒していた。

周囲には二両の仲間の車両が白旗を上げている。

住宅街に逃げ込んだ愛里寿の追撃のため追いかけた彼女らだったが、気が付けばこの惨状、四両で追いかけ今は自分一両のみとなっていた。

 

黒森B(さっきからどこかで戦闘音はしてた。でも姿が見えず、確認しに行ったとき既に撃破されていた。それが連続して起きるなんて・・・・)

 

姿が見えない襲撃者に戦慄を覚えたが、それより彼女が気にしていることがあった。

 

 

~~回想~~

 

 

三両目の味方がやられる直前の無線。

 

黒森E『気をつけろ!やたらとこの辺りの地理に詳しい相手がいる!青いロープだ!そいつは何だかわからんが青いロープみたいのを車体に括りつけている!見かけたら注意し____』

 

ブツッ

 

 

~~回想終了~~

 

 

黒森B(青いロープを付けた戦車・・・・?訳が分からない。とにかく、これ以上やられたら隊長たちに見せる顔がない!そいつだけは私が何としても・・・・)

 

周囲を警戒しながら住宅地を進むⅢ号。

待ち伏せ、奇襲、背後からの強襲などあらゆる可能性を想定し歩みを進める。

すると____

 

???『ィェ・・・・ッフー・・・・』

 

誰かの声が聞こえてきた。

 

黒森B「・・・・?誰だ?誰かいるのか?」

 

声の主を確認しようと声のする方へ向かう。

すると・・・・

 

黒森B「・・・・何だこりゃ」

人形A『イヤッフー!』

 

ある程度の広さの十字路。

その北側に、クラークに似せた人形が置かれていた。

その人形がクラークの声とセリフを発し続けている。

 

人形A『オーイエ!MIT!ヒャッホー!』

黒森B「何だこの人形・・・・」

 

何でこんな所に人形があるのかとか、何で人形が喋ってるのかとかいろいろツッコミ所は多かったが・・・・

 

人形A『HAHAHA!エイリアンハズカーム!』

黒森B(イラッ)

 

何よりその人形を見ていると、何だかムカッ腹が経ってきた。

 

ギギギ・・・・

 

吹き飛ばしてやろうと7.92mm機関砲を向けるⅢ号。

狙いを定め、発射しようとすると・・・・

 

???『イェアー!』

???『グッドラーック!』

黒森B「!?」

 

今度は二方向から同時に声がする。

慌てて見渡すと、今度は十字路の東側と西側にハリスとマーティンの人形が置いてあった。

それもそれぞれ喋りまくる。

 

黒森B「な、なんだこれは!?さっきまでこんなの無かったぞ!?」

 

言いようのない恐怖に襲われ、慌てて周囲を見渡す。

もはや彼女の心の中に人形に対するイラだちなどは吹き飛んでしまっている。

 

黒森B(落ち着け・・・・、きっとこれは罠だ!この悪趣味な人形で撹乱し、心乱したところを突くつもりだ!作戦を見破るんだ!私ならできる!)

 

咄嗟に落ち着きを取り戻した彼女は、落ち着いて周囲を見渡す。

 

黒森B(これをここに置いたってことは、私がここを通ることを分かっている。ならば、待ち伏せの可能性が高い!)

 

相手の作戦だと考えると、平静さが帰ってくる。

 

黒森B(きっとみんなはこの作戦にやられたんだ。これに気を取られている所を突いて攻撃する。なら、どこから仕掛けてくる?)

 

十字路に位置する場合、仕掛けてくるポイントは東西南北四つある。

仕掛けてくる場所を見破らない限り、攻撃に反応できない可能性が高い。

 

黒森B(人形は北・西・東に位置している。私は南から来た。ならば南の可能性は低い、残るは三か所)

 

最初に見つけたクラーク人形を見る。

 

黒森B(最初に見かけたのはこいつ、なら車両は北を向いている可能性が高いと考えるだろう。北から仕掛けてくる可能性は低い。ならば、残りの二つはどうだ?)

 

ハリスとマーティンの人形見る。

見た目以外に違いは感じない。

が・・・・

 

人形C『オーイエ!オーイエー!』

黒森B「何かムカつく!」

 

個人的な琴線に触れるのか、マーティン人形に特に敵意を向ける。

 

ギャリギャリギャリ

 

旋回し、マーティン人形に狙いをつける。

 

黒森B「・・・・とまあ、経験の浅い子ならこんなふうに考えるでしょうけどね」

 

キュラキュラキュラ・・・・

 

ほんの僅か、南側から聞こえてきたキャタピラの音を彼女は聞き逃さなかった。

 

ギャギャギャギャギャ!

 

突如急旋回し、南側____人形のない道に砲口を向ける。

 

黒森B「人形に注意をひかせ、唯一無関係と思せた背後からの奇襲!これくらい読めないで戦車道なんてやってられるもんですか!」

 

意気揚々と裏をかいたつもりで姿を現しているであろう相手に狙いを定めた・・・・はずだった。

が、そこには誰も姿を見せず・・・代わりに、今度は北側にキャタピラの音が響き渡る。

 

黒森B「!?バカなっ____」

 

ドガアン!

シュポッ

 

Ⅲ号は背後に痛烈な砲撃を受け、白旗を上げた。

咄嗟に振り向いた彼女が最後に見たのは、一両の戦車と青く長い何かを纏った少女の姿だった。

 

ダー 「いい傾向にありますわ」

カチュ「ダージリン?」

 

裏の裏を掛かれた愛里寿の救援に向かっている中央隊の進行中、ダージリンが呟く。

 

アッサ「報告によれば、住宅街へと逃れた島田さんの追手四両は全て沈黙。現在彼女はこちらに合流すべく南下中とのこと」

カチュ「えっ、四両もやっつけたの!?くうーっ、あのおチビを助けて恩売ってやろうと思ったのに!」

ダー 「・・・・」

カチュ「どうしたのよ?」

ダー 「いえ。ですが油断は禁物ですわ。未だ周囲にはお相手の戦車が多数。ましてやみほさんの戦車もまだ位置が特定できておりません」

カチュ「ふん、ミホーシャのことだからさっさとエリアから離脱してるわよ。フラッグ車なんだしここに留まる判断なんて下すわけがないわ」

ダー 「・・・・いつものみほさんなら、そうですわね」

カチュ「どういうことよ」

ダー 「『西住流に逃げるという道はない』・・・・。今のみほさんはどんな判断を下すのかしら」

カチュ「まさか・・・・」

 

ドオン!

 

直後砲撃音が響き、一同の顔つきが変わる。

釣り野伏せを決めたのち姿を消していたみほは、撤退するようなことはしなかった。

隊員たちからの報告を常にまとめ、状況と流れを読み続け、常に部隊の中心で指示を出し続けていた。

そして住宅街へ退避した愛里寿の追撃に失敗した報告を受けたみほは・・・・

 

みほ 「島田愛里寿が本体と合流する前に可能な限り削ります。皆さん、合わせてください!」

 

みほは即座に部隊を二つに分け、ダージリンらのいる中央本体を狙い撃ちし始めた。

 

カチュ「クラーラ!右舷の様子はどう!?」

 

みほによる挟撃に対応した中央隊は、素早く隊を二分しそれぞれに対処し始めていた。

右舷側を守るのはプラウダ勢。

クラーラのT-34/76を筆頭に立ち塞がり、黒森峰戦車団の接近を許さない立ち回りを見せる。

 

クラ <砲撃で側面からにじり寄っています。隙を見せればわき腹を大きくえぐられることでしょう>

カチュ「日本語で話しなさい!」

ノンナ『右舷から戦車隊が迫ってきてます。油断できない状況です』

カチュ「そう、警戒を続けなさい!絶対に付け込まれちゃダメよ!」

 

かたや、左舷グロリアーナ。

 

ダー 「右舷はカチューシャたちが押し留めてくれているわ。そちらの具合はいかがかしら?」

ニル 『はい、もちろん良好です!』

ルク 『奴らこちらの猛反撃に手も足も出ないと言った感じですよ!』

 

適度な頻度の威嚇射撃で相手に接近を許さないプラウダに対し、グロリアーナは整然と整列した状態から砲撃を放ち続け、左舷から迫ろうとする黒森峰の部隊をいなし続けている。

これで好転するとは思っていないダージリンは、次の一手を虎視眈々と狙い続けている。

しかし、事態は急変する。

 

みほ 「今です、両舷展開!」

 

ガガガガガ・・・・

 

突如、プラウダ側に重厚な音が響き渡り始める。

地面が揺れ、空気が震える。

真正面から、悠然と巨大な鉄の塊が姿を表した。

 

クラ <この重圧・・・・まさか!>

ノンナ<下がりなさい、クラーラ!>

 

トガァァァァアアン!

シュポッ×2

 

大爆発が起こったかと思うと、プラウダ小隊の戦車二両が吹き飛び白旗を上げる。

カチュ『今の音は何!?ノンナ!』

ノンナ「くっ・・・・」

 

撃破はされずとも、受けた衝撃の強さに返事を返さないノンナ。

体勢を立て直せていないIS-2に鉄の塊が迫る。

 

クラ <ノンナ様!お下がりください!>

 

バァン!

 

クラーラが援護砲撃を浴びせるが、分厚い装甲にはびくともしない。

 

ニーナ『カチューシャ隊長ー!』

 

慌てた口調でニーナが報告する。

 

ニーナ『マウスです!マウスが目の前に来ちょりますー!』

カチュ「何ですって!?」

 

ガガガガガ

 

一切の速度を下げることなくプラウダ小隊に迫るマウス。

何両ものT-34/76が砲撃を浴びせようとも、どこ吹く風と意にも介さない。

 

ドゴオン!

シュポッ

 

マウスの一撃ごとに確実に削られていくプラウダ戦車。

流石に不利なのが目に見えるのか、じりじりと後退し始める。

 

ニーナ『隊長ー!このままじゃ全滅ですぅ!』

アリー『撤退さしてくだしゃー!』

カチュ「おんのれー!よくもこのカチューシャの同志たちに手を出してくれたわね!黒森峰キラーと名高いプラウダ戦車隊を舐めるんじゃないわ____」

 

カチューシャがいい終わる寸前。

 

ドゴオオオオオン!

 

背後、グロリアーナ側からも全く同じ規模の爆発音が響き渡った。

後ろを振り向いたカチューシャの顔がひきつる。

 

カチュ「ま、まさか!?」

ニル 『マ、マウスです!マウスがこちらにも現れましたー!』

カチュ「ウソでしょ!?」

 

両側から二両のマウスが進行、プラウダとグロリアーナは最重量戦車に挟み撃ちにされた。

 

ダー 「あらあら、予想外ですわね」

カチュ「言ってる場合じゃなでしょ!?マウス二両とか聞いてないわよ!」

ダー 「あら、黒森峰キラーの名が泣きますわよ?」

カチュ「揚げ足とるんじゃないわよ!」

 

だがいつまでもお茶らけている場合ではないこともダージリンは承知している。

 

ギャリッ

 

ダージリンは車両を西に、マウスと戦いを続けている仲間たちの方へと向き直す。

それを見たカチューシャもそれ以上はダージリンに食い下がることもなく、東に向く。

 

カチュ「こうなったら結果で黙らせてやるわ。見てなさい!」

ダー 「先にやられてしまわないよう、気を付けますわ」

 

お互い背中合わせになり、各チームを率いてマウス攻略に向かう。

 

カチュ「ノンナ!状況を報告しなさい!」

 

カチューシャが駆けつけた時、現場はマウスの砲撃により凄惨たるありさまだった。

しかし最初の二両以降被撃破数が増えていなかったのはノンナの手腕によるものである。

 

ノンナ「現状、マウスは遠方にてにらみを利かせています。それが幸いしてか、遮蔽物を利用することで被害は抑えられています」

カチュ「よくやったわノンナ!それにしても・・・・」

 

双眼鏡を覗き、離れた位置にそびえ立つマウスを見る。

 

カチュ「確かに言う通り、ちょっと離れてるわね?黒森峰のマウス運用法って言えば、押しつぶす勢いで迫るローラー作戦が基本だったはずだけど」

ノンナ「今回の作戦指揮はみほさんですから、今だ意図は読めませんね」

カチュ「まったく、ミホーシャのくせに回りくどい手を使うわね。それにしても・・・・」

 

ドゴオオン!

 

マウスの中距離砲撃により定期的に火柱が上がる。

 

カチュ「うざったいわね、あのマウス!」

 

危険範囲外からとはいえ、定期的に飛んでくるマウスの砲撃は穏やかなものではない。

マウスからすればただ突っ立って撃ってるだけで相手に多大なプレッシャーをかけ続けられるのである。

 

カチュ「何あの戦い方!まるで上から見下ろしてるような・・・・気に食わないわ!」

 

ヴィイイイイン!

 

突如カチューシャが前に出始める。

 

ノンナ「カチューシャ、何を!?」

カチュ「知れたこと!あのマウスを高みから引きずり落としてやるのよ!どっちみちこのまま睨み合ってもジリ貧よ、だったらこっちから仕掛けてダージリンより早く仕留めてやるんだから!」

ニーナ「あわわ!まままま待ってくだしゃー!」

 

カチューシャが前に出たことにより慌てて一緒に前に出るプラウダ戦車。

カチューシャを順次追いかけはじめ、隊が一列に伸び始める。

 

カチュ「爆風で一網打尽にされないように距離を取って!ツンドラオオカミのごとく四方から噛みついて仕留めるのよ!」

プラ 「ダー!」

 

勇猛(?)に突っ込んでいくプラウダ隊を後ろ目に見送るダージリン。

 

アッサ「あちらは仕掛けに行ったようですね」

ペコ 「ですがこちらも合わせる必要はありませんね」

ダー 「ええ。私たちには私たちの戦い方があるわ」

 

プラウダの戦略とは相反するように堅実に進むグロリアーナ小隊。

マウスに狙われないように身を隠しつつ、取り巻きの戦車たちを確実に潰していく。

それによりマウスの防御は薄れ、じわじわとラインを上げていくグロリアーナ。

ふと、今の状況を客観的に考えるオレンジペコ。

地図を取り出し、現在の配置を書き記す。

 

ペコ 「いけません、ダージリン様」

ダー 「どうしたのかしら?」

ペコ 「それぞれの隊がマウスに引っ張られ、東西に大きく伸びてしまっています」

 

オレンジペコの言う通り、マウスに追いすがるプラウダと迫りよるグロリアーナ。

お互いがそれぞれのマウスに引き寄せられ、上空から見ると真っぐな横一列になってしまっている。

 

ペコ 「私たちのいるこの位置、もし相手が一帯の戦力を結集し北側から横撃をかけてきたら大打撃です」

アッサ「なるほど、両端に位置するマウスはそのため。隊を東西に伸ばし、その中心から叩く作戦ね。では速やかに隊へ連絡を。再集結し体勢を立て直しませんと」

ダー 「その必要はないわ」

 

ダージリンののんびりとして静止に呆気にとられる二人。

 

ペコ 「・・・・なぜですか?」

ダー 「その作戦が既に頓挫していたら(・・・・・・・・・・・・・・)警戒する必要はないでしょう?」

アッサ「え」

 

ギャイン!

ガッシィン!

 

ふと、どこかから戦車の激しくぶつかり合う音が響き始めた。

その音は段々と近づいてくる。

そして、その音が最大限大きくなったと思うった矢先____

 

バガアアアアアン!

 

北側の住宅を突き抜けてⅣ号とセンチュリオン、そして・・・・

 

イカ娘「ゲッソーーーー!」

 

五式が目の前へと躍り出てきた。




いよいよ最終章3話が上映開始となりました。
聞いた話ではオープニングも次回から変わるようで、どう変わっていくのか楽しみですね。

ですが今の環境下・・・・・観に行くにもはばかれる。
厄介な状況になってしまったものです。
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