自身の提携港に戻ったミスリル。あれから結構時間が経つが、完全に立ち直るのはまだまだ先だった。
「……」
埠頭に座り、うずくまるミスリル。
そこへ近付く一つの影。
「あのっ!貴女はミスリル級魔導戦艦の『ミスリル』さんで宜しいですか?」
「…?」
声を掛けられたミスリルが顔を上げ、横を見る。其処には薄い緑色の髪をポニーテールにした少女が立っていた。
「…誰?」
「あっ!申し遅れました!私(わたくし)は本日就役しました、ミスリル級魔導戦艦の4番艦『ロト』と申します!よろしくお願いします!」
初々しい様子で元気な挨拶をする最新鋭魔導戦艦『ロト』。彼女の正体を知ったミスリルは目を見開く。
「えっ?という事は…貴女は私の…」
「はいっ!貴女の妹です!ミスリル姉さん!」
ロトはミスリルに満面の笑みで答える。
「…そっか。新しい妹が建造されてるって話を聞いたけど…貴女の事だったんだね」
ミスリルは自身がいつの間にか笑みを浮かべている事に気付く。
「私、就役後は第1魔導艦隊に配属される事になったんです。暫く其処で過ごしたら、今度はあの第零式魔導艦隊に転属してより練度を上げる事になっています!」
「…!」
第零式魔導艦隊。その単語を聞いたミスリルは、沈んでいった2人の妹を思い出し、目に涙を浮かべて再びうずくまる。
「み、ミスリル姉さん…?」
心配そうに話し掛けるロト。
「エクス…カリバー…」
「……」
絞り出すような声で妹たちの名前を言うミスリル。これを聞いたロトは彼女を後ろから抱きしめる。
「…私にはエクス姉さんやカリバー姉さんの代わりは出来ません。…でも」
ミスリルが顔を上げる。ロトは彼女の正面に移動し、彼女の目から流れ出る涙を手で拭き取る。
「ロト…?」
「…こうしてミスリル姉さんから涙を取り除く事が出来ます」
そう言って優しい笑顔を向けるロト。折角拭いて貰ったにもかかわらず、ミスリルはさらに大量の涙を流す。
しばらくロトの顔にうずくまって涙を流す事数分。ロトは再度彼女から涙を取り除く。
「ミスリル姉…」
「えっ?」
「”ミスリル姉”って呼んで」
一瞬ポカンとしていたロトだったが、すぐに笑みを浮かべて姉の頼みを聞き入れる。
「…ミスリル姉」
一瞬ロトの姿がエクスやカリバーと重なる。ミスリルは一瞬だけ固まっていたが、ロトと同様に笑顔を浮かべて口を開いた。
「ありがと。改めて宜しくね、ロト」
「はいっ!宜しくお願いします、ミスリル姉!」
ロトの元気な声が港に響き渡る。
そんな妹たちの様子を、ゴールドやフリルラたちゴールド級姉妹は、遠くから温かく見守るのだった。
To be continued...