天狗の幻想入り   作:ジャジャジャジャーン

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人里から突如姿を消した生徒を探しに主人公、藤村大樹は人里の外へ出る。
捜索中、彼は『紅魔館』なる怪しい建物に着いた。


第10話 吸血鬼(R)

 

「お待たせしました。大樹さん。案内の者を連れてきました。」

 

美鈴さんが館に入ってしばらくした後、本当にメイドを連れてきた。

 

「はじめまして。藤村大樹さん。私はここ『紅魔館』でメイド長を務める十六夜咲夜と申します。」

 

ほ、本物のメイドだ……。銀髪の、凛々しい顔立ちの少女だ。服もメイドらしい感じだ。

 

「はじめまして。咲夜さんですか。よろしくお願いします。」

 

「それじゃあ私はこれで。あの子を人里に連れていきます。」

 

美鈴が指さす方向には、皆が探していた子が。全身が震えていて、その場で座っていた。

 

「……。」プルプル

 

「美鈴さん。生徒をよろしくお願いします。ちゃんと美鈴さんに付いて行くんだよ。人里の皆も心配してるから。」

 

恐らく、人里の外で妖怪に出くわし、相当怖い思いをしていたのだろう。その子供の頭を撫で、落ち着かせようとした。

 

「…はい。」コクッ

 

少しは震えが止まったかな。

 

「任せて下さい。」エッヘン

 

美鈴さんが何故か得意気にする。咲夜さんは顔色変えず『宜しくね。』と伝えた。

 

「用事は終わったかしら。早速、案内するわ。」

 

「ああ。」

 

咲夜さんの案内の元、遂に紅魔館に入っていく。

 

 

 

~紅魔館の中へ~

 

「……。」スタスタ

 

「……。」スタスタ

 

紅魔館に入って暫く、先ほどから似たような景色を眺めて、ただひたすら廊下を歩いていた。外見から見た大きさならば、1つの廊下がこんなに長くなるとは思えないが……。

2人は黙々と歩いており、俺はこの沈黙に耐えかねた。

 

「……。あの。咲夜さん。質問を伺ってもいいですか?」

 

「どうしたの急に。何か問題でも?」

 

まるでホテルの従業員の模範的な受け答えだ。

 

「そもそも何故俺みたいな奴がこんな立派な館に呼ばれているのか気になったんです。」

 

「私にも詳しい理由は分からないわ。ただお嬢様が貴方に興味を持った。それだけよ。」

 

お嬢様? どうやら、ここ紅魔館の主人は女性らしい。

 

「興味を持っただけで、ですか。……咲夜さん達は俺の名前を知っていたのは? 」

 

美鈴さんには聞けなかったことだ。人里から出ていないのに、何故遠く離れた場所にある彼女達が、俺の名前を知っているのか。

 

「それは私が調べさせて貰ったわ。人里で聞いたわよ。」

 

「人里へ来たことがあるのですか?」

 

「ええ。二日前ね。その時同行したお嬢様が貴方の事を後に紅魔館へ招待しなさいと仰ったので。」

 

「……。一応聞きますけど、俺と何処かで会ったことありましたっけ?」

 

「すれ違ってすらいないわ。貴方が子供達に何か教えている所を少し覗かせてもらっただけよ。」

 

ああ、寺子屋で授業していた時か。それなら、俺が気づかなかったのはわかる。人里の人達もフレンドリーだから、咲夜さんについつい俺の名前を教えたのか。

 

「という事は……。お嬢様の目的は俺をこの館に雇うとかですかね? 」

 

「そんな事は無いわよ。ここでは私と美鈴以外にも妖精が働いているのよ。」

 

えっ、妖精なんているのか!?

 

「妖精? もしかしてさっき歩いてちらほらいたあの小さいメイドさんの事ですか?」

 

「ええ。妖精メイドって呼んでいるわ。」

 

俺と咲夜さんが廊下を歩いている時にしばしば見受けられる、窓ガラスを拭いたり、本を忙しそうに運んだりしているメイドの格好をした小人…あれが妖精か。

身長が足りないので高い位置にある窓ガラスは拭けないと思ったが。羽で浮いているので結構便利そうだ。俺も飛べたらなあ……。

 

「それじゃあますます俺を招待した理由がわかりませんよ。」

 

「お嬢様曰く、『あの人間は人間じゃないわ。半分妖怪ね。しかもあいつが言っていた外の世界の人間っぽいわね。面白そうだわ。』と。」

 

何故バレたのか。そういえば、霊夢も紫さんが俺の正体を言っても予想通りとか何とか言ってたのか。

俺ってそんなに普通の人とは違うのか?

 

「そのお嬢様が言う『あいつ』って……。」

 

「口止めされているので。……すみません。」

 

きっと紫さんかなあ。

 

「大丈夫よ。きっと貴方と喋りたいだけだと思うわ。お嬢様も今は暇なのよ。」

 

大樹「今は?」

 

妙に曖昧な言い方で、少しひっかかる。

 

「さてさて。それではお嬢様の部屋に着きました。私が注意するのも何ですけど。……過去にお嬢様は興味を持った人間を何回か館に誘った事があるの。」

 

歩いていた足を止め、咲夜さんはとある扉の前に立つ。どうやらここが主人の部屋らしい。

 

「そうなんですか。」

 

気になる話を出してきた咲夜さんに、俺は応答する。

 

「ええ。誘われた皆死にましたが。」

 

……。えっ。

 

「!! どういう事ですか?」

 

俺は思わず声を荒げる。

 

「お嬢様に無礼な事をしたのよ。貴方なら大丈夫だとは思うけど……。」

 

「わ、分かりました。何に注意したらいいか分かりませんがとりあえず気をつけますね。」

 

いきなり命の危険に直面し、俺はとりわけ緊張してきた。自分でも何を言っているか分からない。

 

咲夜「分かってないじゃない。」クスッ

 

咲夜さんが初めて笑った。真顔よりは幾分可愛い。

……そんな事より、今は心を落ち着かせるんだ。

とりあえず深呼吸。

 

吸って~吐いて~。

 

 

 

「よし。落ち着いた。」

 

「それじゃあドアを開けるわね。」

 

扉が開かれると、そこには洋式の部屋が広がっていた。全体的に赤いイメージ。そこにある複数人がけの丸いテーブルには、誰か1人が座っていた。

 

「思ったより遅かったじゃないか。藤村大樹君。」

 

声からすると、かなり幼いのか? 座っている姿からしてもかなりの低身長……。それでも、この奇妙な紅魔館の主。きっと恐ろしい妖怪に違いない。

 

「はぁ。申し訳ないです。」

 

「そうかしこまらなくても。少しからかっただけよ。」

 

何か、あのお嬢様の雰囲気は独特だ。

そう考えている内に、お嬢様は話を続ける。

 

「改めまして。はじめまして。私はレミリア・スカーレット。ここ『紅魔館』の主であり吸血鬼よ。」

 

吸血鬼。この幻想郷で存在するのは聞いてはいた。

……まさかこんなに速く会うことになるとは。

 




ここまでお読みくださってありがとうございます。
次回は大樹とレミリアが喋ります。

更新不定期です。
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