名前:谷村 徹(たにむら とおる)
性別:男
年齢:27
誕生日:2月10日
CV(イメージ):成宮寛貴
国籍:日本
身分:霧山城市警察署アンノウン対応課所属刑事
趣味:ギャンブル(あくまでゲームでやるだけで、本番をやる気はない)、昼寝、紙飛行機づくり
家族構成:両親と兄2人、弟1人(両親は健在で、2人の兄は市議、国税専門官、弟も公務員志望)
公務員になった理由:家族がそんなだから
性格:自由奔放、遊び好き。ただし、やるときはやる(あくまで本人談)
将来のキャリアプラン:ノープラン
「へぇー、ふぅーん、ってことはつまり、あの吸血鬼になっちゃった人を助けたときから、君がこの街でヒーローとして活動してたってことか?」
「ヒーロー…って、柄じゃないです。でも、信じるんですか?こんな話…」
取調室の中で、徹から事情徴収された誠はステージ2の話を信じてくれる菊岡以外の大人に驚いていた。
初対面の彼は重苦しいアーマーを着用していて、手錠はかけられなかったものの、このまま直葉と一緒に霧山城警察署まで連れていかれることになってしまった。
なお、取り調べを受けることになっているのは誠1人だけで、直葉は別室で待機している。
「まったく、この街はいつからこんなわけのわからんオカルト話が現実になったんだぁ?」
一緒に事情聴取する菅原はファイルを広げ、生まれ育った町の異変に舌打ちする。
ファイルの中にはステージ2になった人物の顔写真と名前が書かれている。
なお、それ以外の個人情報については一応伏せている。
また、もう1つのファイルには誠の経歴などが書かれた書類が挟まれている。
「結城誠、霧山城高校2年生で17…家族は姉1人で両親は数年前に交通事故で死亡…。まぁ、親御さんが死んだこと以外はごく普通だが、こいつは…」
菅原が気になったのは今年の4月で、病院に搬送されたときのことだ。
その時、病院では1度彼の死亡診断書を作成していたが、担当の医師が後退した1時間後に処分されている。
医者が患者が死んだと誤認し、1時間後に別の医者に変わって気付くなんてことは普通あり得ない話だ。
なお、この情報はアンノウン対応課にだけ回された情報で、他の警官たちは知らない。
「なぁ、まさかとは思うが…ゾンビ、なんてことはねえだろうな?」
ステージ2が引き起こす事件で、常識ではありえないことが起こっているため、まさかと思った菅原が確かめるように尋ねる。
同年代の息子が最近始めた、ウイルスによってゾンビと化した人々と戦うゲームの存在を知っていることからも、余計にそう思えて仕方がなかった。
「ゾンビじゃないですよ!ゾンビじゃ…ない、はず…」
最初は立ち上がり、声を上げて否定する誠だが、だんだんと勢いをなくしていき、再び座り込み、顔を下に向ける。
今の自分はシャドーと命を共有していて、仮にシャドーが体から離れてしまうと死んでしまう体だ。
それに、実際に死んでいるのは確かだ。
身体機能は生きているものと変わらないため、死体のまま蘇ったわけではないことから、ゾンビと定義づけるのは間違いかもしれない。
だが、自分の命で生きているわけではないことから、段々その自信を無くしてしまった。
「わ、悪い。まずいこと、だったよな…?許してくれ…」
「ったく、菅原さん。繊細な奴にひどいこと言わないで下さいよぉ」
「はぁ…まさか、お前に正論言われるなんてなぁ」
だったら、仕事場で残業とごまかしてゲームをするなと叱りたいところだが、今は守るべき市民である誠の前だ。
警察官の情けない姿を見せつけてしまうと、彼の将来に悪影響を与えかねない。
「んじゃあ、俺から…この、別の姿に変わるというのは、どういうことなんだ?あの嬢ちゃんよりも、お前の方が詳しいだろう?」
徹は懐から返信した誠の姿が写った写真を見せる。
それはちょうど、トビーを取り戻すために高速道路上でデュエルをしていたときの物だ。
一般車と何度かすれ違うことがあったため、もしかしたら撮影されているかもとは思っていたが、まさか警察にその写真が届くとは思わなかった。
「あぶねーことをするんだな。このステージ2ってのは」
「え…?ステージ2…?」
「お前らがそう呼んでるんだろう?」
右の口元を上へ上げながら、徹が問いかける。
その瞬間、誠は彼らがどうして事情徴収という形で自分をここまで連れてきたのかが分かった気がした。
彼らはステージ2、つまり精霊について何かを知っている。
そして、最初に徹が着ていたアーマーはおそらく、ステージ2に対抗するためのもの。
ただ、気になるのは彼らと菊岡の関係だ。
自分がステージ2について詳しく聞いているのは菊岡だ。
「あの、もしかして菊岡さんと何か関係が?」
「あの医者とか…?まぁ、外部からのオブザーバーってことでここと協力してくれることにはなっている。表向きは、俺の身体チェックってことでな」
「そうですか…なら…」
そうなると、これからは警察が大きなバックになってくれる。
不祥事のニュースが流れることはあるが、警察は大きな国家権力の1つだ。
それが後ろにつくだけで、ステージ2と戦う中ではかなり頼もしい。
だが、徹たちが求めるのはむしろその逆だ。
「そこで…だ。これからのステージ2は俺たちが対応する。お前らはこれ以上、このことにはかかわるな」
「え…?」
「お前ら、ステージ2とのデュエルが命がけだってことは分かってるだろ?そんな危険なデュエルをこれ以上、未成年のお前らにさせるわけにはいかない」
「それは…」
この戦いが危険なことなのは誠は重々承知していることだ。
これまでは自分だけしかステージ2から人を救うことができないため、自分が戦うしかなかった。
だが、彼らの口ぶりからは、もしかしたら彼らには自分と同じく、ステージ2から人を助ける術を持っている。
「お前、家族が姉さん1人だけなんだろ?そのたった1人の家族を悲しませるなよ」
明日奈のことを言われると、誠も閉口してしまう。
両親の葬儀をする際、明日奈はまだ高校生だったにもかかわらず、人前では涙を流さずにふるまっていたが、寝室で独りきりになっていたときに泣いているのを聞いてしまった。
きっと、誠が入院したと聞いた時は何か嫌な予感がし、もしかしたら誠まで死んでしまうのではないかと思ったかもしれない。
自分ももし、明日奈に何かがあったら、いてもたってもいられないだろう。
「まぁ…こんなところだな。さてっと…お前らは送ってやるよ」
もうすっかり真夜中で、よく事情を言うことなく出ていったしまったこともあり、明日奈は心配するかもしれない。
おそらく、徹達が明日奈と直葉の両親に話してくれるだろう。
だが、まさか戦うなと家族や直葉以外に言われるとは思わなかった。
(僕は…どうするべきなんだろう…?)
もう警察で対応できるのであれば、自分は戦う必要はない。
シャドーのことはあるが、このまま以前の暮らしに戻ることができるかもしれない。
戦いか平和かと言われたら、迷わず平和を選ぶのは普通だろう。
だが、どこかそれに納得がいかない自分が感じられ、迷いで顔を下に向けた。
「てめえ…本気でもう終わるつもりじゃねえだろうな?」
家に帰り、部屋のベッドで寝転がる誠にシャドーはいらだちを見せながら問いかける。
取り調べ中、菊岡のこともあり、可能な限り沈黙を保っていたが、誠が部屋で1人きりになったところでようやく我慢を解くことができた。
結局、明確な回答をすることはなかったが、それ故に余計シャドーをもやもやさせる。
(君は、今まで精霊に憑依されている人達を助けてきた…それは、自分しか憑依されている人達を助けることができないから、だからこそ、怖くても自分が何とかしないと、他の人達が傷ついてしまう…そう思って、ずっと戦ってきたんじゃないのか?)
(侑哉君はそういってたけど、僕以外にも憑依されている人を助けることができるなら…)
「終わりは許さねえぞ。俺は記憶を取り戻さなきゃならねえからな!」
「分かってるよ、それは…」
「それに、てめえの命は俺が保ってるんだ。それを忘れるな!」
それを言うなら、シャドーも誠から離れると死んでしまうため、どっちもどっちじゃないか。
そんなツッコミを入れるだけの余裕は今の誠にはなかった。
目を閉じかける誠だが、明日奈に風呂に入るように割れたことを思い出し、起き上がった誠はパジャマを手にして部屋を出ようとする。
「…!?あ、ああ…!!」
「来たぜ…ステージ2だ」
頭痛に苦しむ誠の脳裏に青をベースとしたサイバーチックな服装にバイザーと銀色のヘルメットをつけた小柄な人型機械が街中を逃げている姿だ。
その手にはなぜかスポーツバッグが握られている。
「もしかして…これは…!?」
もしかしたら、琴音がステージ2になってしまったのかもしれない。
行かないといけないという思いが強まるが、葬儀の時の明日奈の姿が頭に浮かび、その思いを鈍らせる。
(僕は…どうしたらいいんだ…?)
「ったく、ようやく上がれると思ったらさっそくかよ。残業代はちゃんとつくんすよねー!?」
トレーラーの中で、徹は揺れに耐えながら小沢の手を借りてP04DXを装着していく。
小沢の話によると、DXシステムの一部にデュエルで倒したステージ2から人間と精霊を分離させる機能もあるらしい。
ステージ2の逃走予測ポイントを元にトレーラーが走る中、徹は後ろの荷台にある警察用のバイクに乗る。
強化服を装着した警官用に設計されたもので、馬力も問題ない。
今走っているのは警察署西の霧山城通りで、そこから北へまっすぐ進んだ犬及川の近くの若草八幡宮近くが予測ポイントだ。
「谷村、そろそろ予測ポイントだ。ステージ2はそこへ向かっている」
「了解。P04DX、出ます!」
荷台の扉が開くと同時に、徹を乗せたバイクが飛び出していく。
そして、車体の後ろについているパトランプを光らせながら、若草八幡宮へ急いだ。
菅原の言う通り、その北にある細い道をステージ2がこちらへ向かって走ってきているが、徹の姿が見えた瞬間、足を止める。
「オラァ、警察だ。おとなしくしろ!」
徹は左腕の白と青をベースとしたデュエルディスクを展開し、それをステージ2に見せつける。
それを見たステージ2は左腕にデュエルディスクを出現させ、バイザー越しに徹をにらむ。
ここまでは訓練や防犯カメラで映っていた誠とステージ2のデュエルに基づいた情報通りだ。
「DXシステム、起動!」
起動と同時に、徹とステージ2の周囲を青いフィールドが包み込んでいく。
フィールドが展開していても、ステージ2はそれ以上にデュエル相手となる徹が重要だと思っているのか、特に気にかけていない。
「デュエル!」
徹
手札5
LP4000
ステージ2
手札5
LP4000
「あれ…?」
急に頭痛と浮かんでいた光景が煙のように消えてしまった誠はどういうことだと困惑するとともにその場に座り込む。
例の頭痛はステージ2の前に立つまでは多少なりとも頭痛が継続していた。
だが、今はそんなわずかな頭痛すら感じられない。
「一体…何が…?」
ステージ2が消えてしまったのか、それとも何か別の要因が発生したのか?
今の誠にはそれを突き止める術がなかった。
「俺のフィールドに《トーチトークン》2体を攻撃表示で特殊召喚し、《トーチ・ゴーレム》を相手フィールドに特殊召喚!」
トーチトークン×2 レベル1 攻撃0(1)(2)
トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000(4)
「現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!」
右手から2つの青い光の環が上空に向けて発射され、それらがぶつかり合うと同時にサーキットが形成される。
「アローヘッド確認。召喚条件はモンスター1体以上。俺は2体の《トーチトークン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2!《オルフェウス・ゴーレム》!」
右手に白い琴を手にし、左手でそれを奏でる細身で人型の石人形がフィールドに現れる。
オルフェウス・ゴーレム リンク2 攻撃1600(EX1)
「《オルフェウス・ゴーレム》の効果発動。このカードのリンク召喚に成功したとき、リンク素材としたモンスターの数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。そして、墓地へ送ったカード1枚につき、ターン終了時まで攻撃力が300アップする」
オルフェウス・ゴーレム リンク2 攻撃1600→2200
デッキから墓地へ送られたカード
・天穹のパラディオン
・パラレルポート・アーマー
「そして、こいつはリンクモンスターのリンク先となる俺のフィールドに特殊召喚できる。《星辰のパラディオン》を特殊召喚!」
ところどころに緑色の宝石が埋め込まれた黄金の鎧を纏う青いドラゴンが《オルフェウス・ゴーレム》の奏でる曲に導かれるように現れる。
星辰のパラディオン レベル4 攻撃600(1)
「このカードがリンクモンスターのリンク先に召喚・特殊召喚されたとき、墓地からパラディオンカード1枚を手札に戻す。俺は墓地から《天穹のパラディオン》を手札に戻す」
ネットゲームでは別のデッキを使っていたが、こうしたデュエルでは本気のデッキでデュエルをした方がいい。
このデッキはこの課に配属された際に提供されたカードをベースに構築したもので、パラディオンはDen Cityで発売されたばかりの物らしい。
ただ、もらったカードの中には見たことのないカードも入っていて、そんなカードをどうして持っているのかと疑問を感じてしまう。
だが、相手は常識の通じないステージ2である以上、そういうカードも使わないと勝ち目がない。
「もう1度現れろ!犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はリンクモンスターを含む効果モンスター2体。俺は《オルフェウス・ゴーレム》と《星辰のパラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、リンク2。《レグレクス・パラディオン》!」
2体のモンスターがサーキットに飛び込んでいき、その中から青白い鎧を纏い、鬣が炎になっている白いライオンが現れる。
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃1000(EX1)
オルフェウス・ゴーレム
リンク2 攻撃1600 リンク 光属性 岩石族
【リンクマーカー:左下/右下】
モンスター1体以上
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードのリンク召喚に成功したときに発動する。リンク素材となったモンスターの数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、このカードの攻撃力はターン終了時まで、その効果で墓地へ送られたカードの数×300アップする。
(2):このカードが相手によって破壊されたときに発動する。お互いにデッキからカードを1枚ドローする。
「《レグレクス・パラディオン》の攻撃力はリンク先のモンスターの元々の攻撃力分アップする。今、リンク先には相手フィールドに特殊召喚した《トーチ・ゴーレム》がいる。よって、攻撃力は3000アップだ!」
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃1000→4000(EX1)
「ただし、リンク先となったモンスターは《レグレクス・パラディオン》に力を与える都合上、攻撃できない」
《レグレクス・パラディオン》の咆哮と共に、《トーチ・ゴーレム》の体から青白い炎が発生し、その炎が《レグレクス・パラディオン》に吸収されていく。
力を吸収され続ける《トーチ・ゴーレム》は膝をつき、動きが取れなくなっていた。
「そして、《天穹のパラディオン》は《星辰のパラディオン》と同じ効果で特殊召喚できる」
黒いボロボロのマントと水色のラインがついた金色の鎧を装備した金髪の戦士が現れるが、彼もまた、《トーチ・ゴーレム》と同じように炎を発し、その力を《レグレクス・パラディオン》に吸収されていく。
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃4000→5600(EX1)
天穹のパラディオン レベル4 守備1000(2)
「《レグレクス・パラディオン》の効果発動。このカードのリンク先に効果モンスターが特殊召喚されたとき、デッキからパラディオン魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。俺はデッキから《クルセイド・パラディオン》を手札に加える。そして、カードを2枚伏せてターンエンド!」
徹
手札5→2(手札、または伏せカードのうち1枚《クルセイド・パラディオン》)
LP4000
場 レグレクス・パラディオン(リンク先:《天穹のパラディオン》《トーチ・ゴーレム》) リンク2 攻撃5600
天穹のパラディオン レベル4 攻撃1600(2)
伏せカード2(1)(4)
ステージ2
手札5
LP4000
場 トーチ・ゴーレム レベル8 攻撃3000(4)
パラディオンデッキのコンセプトはパラディオン下級モンスターをパラディオンリンクモンスターのリンク先に特殊召喚して攻撃力を爆発的に高め、さらに戦闘補助まで行うものだ。
実戦でそれを使うのは初めてで、惜しむらくは後攻スタートでなかったことだ。
もしかしたら、1ターンキルが状況次第でできたかもしれないのに。
だが、先攻後攻は勝手に決めることができない以上は仕方がない。
「私のターン…ドロー…」
ステージ2
手札5→6
「私は…手札から《TGカタパルト・ドラゴン》を召喚…」
TGカタパルト・ドラゴン レベル2 攻撃900(3)
「《カタパルト・ドラゴン》の効果…。1ターンに1度、手札からレベル3以下のTGを特殊召喚…。《TGサイバー・マジシャン》を特殊召喚…」
TGサイバー・マジシャン レベル1 攻撃0(チューナー)(1)
「現れるがいい…神へ導く未来回路。アローヘッド確認。召喚条件はTGチューナーを含む効果モンスター2体以上…。私は《トーチ・ゴーレム》、《サイバー・マジシャン》、《カタパルト・ドラゴン》をリンクマーカーにセット…。サーキットコンバイン。リンク召喚。リンク3、《TGトライデント・ランチャー》」
右手に青白い刀身のついた金の柄の槍を手にする白と金、青のトリコロールの機械戦士が現れる。
TGトライデント・ランチャー リンク3 攻撃2200(EX2)
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃5600→2600(EX1)
「《トライデント・ランチャー》の効果発動…このカードのリンク召喚に成功したとき…手札・デッキ・墓地からTGを1体ずつ、守備表示で特殊召喚できる。私は墓地から《サイバー・マジシャン》、手札から《ワーウルフ》、デッキから《ストライカー》を特殊召喚…」
《TGトライデント・ランチャー》が持っている槍を空に掲げると、上空に水色のゲートが出現し、その中から3体のTGが飛び出す。
TGストライカー レベル2 守備0(チューナー)(5)
TGサイバー・マジシャン レベル1 守備0(チューナー)(1)
TGワーウルフ レベル3 守備0(3)
「一気に3体もモンスターを特殊召喚だって!?それに…」
《TGトライデント・ランチャー》のリンク素材の指定にもあったように、特殊召喚されたモンスターの中にはチューナーが含まれている。
手に入れた情報の中にはシンクロ召喚に関するものもあり、その素材として必ずチューナーが存在する。
「《サイバー・マジシャン》の効果…。このカードをシンクロ素材とするとき、手札のTGモンスターをシンクロ素材にすることができる…。手札の《TGラッシュ・ライノ》にレベル1の《サイバー・マジシャン》をチューニング…。シンクロ召喚。《TGハイパー・ライブラリアン》」
TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃2400(2)
「レベル3の《ワーウルフ》にレベル2の《ストライカー》をチューニング…。シンクロ召喚。《TGスター・ガーディアン》」
背中にバイクの車輪を接続し、左手に緑色の光るビームサーベルを手にした、バイクの車体のような装甲の機械戦士が現れる。
TGスター・ガーディアン レベル5 守備2200(チューナー)(1)
「《ハイパー・ライブラリアン》の効果発動…。このカードが私のフィールドに存在し、シンクロモンスターがシンクロ召喚に成功するたびに、私はデッキからカードを1枚ドロー…。更に、《スター・ガーディアン》の効果発動…。このカードの特殊召喚に成功したとき、墓地のTGモンスター1体を手札に加える…。私は《TGワーウルフ》を手札に加える…」
「サルベージとドローで手札補充かよ…!?」
3体もエクストラデッキからモンスターを特殊召喚したにもかかわらず、まだ手札は5枚。
《トーチ・ゴーレム》をリンク素材につかったとはいえ、かなりの回り具合で、おまけにまだまだ展開していく余地が残っている。
「《スター・ガーディアン》の効果発動…。1ターンに1度、手札からTGモンスター1体を特殊召喚できる…。手札の《TGシンサベーサー》を特殊召喚…」
TGシンサベーサー レベル2 守備500(チューナー)(5)
「そして、レベル4以下のモンスターの特殊召喚に成功したとき…手札の《TGワーウルフ》は特殊召喚できる…」
TGワーウルフ レベル3 攻撃1200(3)
「レベル3の《ワーウルフ》にレベル2の《シンサベーサー》をチューニング…。シンクロ召喚。《TGパワー・グラディエーター》」
TGパワー・グラディエーター レベル5 攻撃2300(3)
「そして、《ハイパー・ライブラリアン》の効果発動…。デッキからカードを1枚ドロー…」
「やっぱり…1ターンに1度だけって制約はないみたいだな」
シンクロ召喚された3体のモンスターのうちの1体がチューナーだ。
シンクロチューナーなんてモンスターは聞いたことがないが、ここから更にシンクロ召喚されるかもしれないと考えるとブルッとしてしまう。
「手札から魔法カード《シンクロ・クリード》発動…。フィールドにシンクロモンスターが3体以上存在するとき…デッキからカードを2枚ドロー…」
これでまた、彼女の手札は5枚に戻った。
リンクマーカーの都合上、《レグレクス・パラディオン》の強化を考えなければ、あと1体はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できる。
「私は墓地の《シンサベーサー》の効果発動…。私のフィールドにTGシンクロモンスターが存在するとき、1度だけ手札・墓地から特殊召喚できる…」
TGシンサベーサー レベル2 守備500(チューナー)(5)
「またチューナーモンスターを!?」
「《シンサベーサー》の効果…。このカードが存在する限り、TGシンクロモンスターの攻撃力は1000アップ…」
TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃2400→3400(2)
TGパワー・グラディエーター レベル5 攻撃2300→3300(3)
「レベル5の《パワー・グラディエーター》にレベル5の《スター・ガーディアン》をチューニング。シンクロ召喚。《TGブレード・ガンナー》」
TGブレード・ガンナー レベル10 攻撃3300→4300(3)
「《ハイパー・ライブラリアン》の効果…デッキからカードを1枚ドロー…。バトル。《ブレード・ガンナー》で《天穹のパラディオン》を攻撃…」
「罠発動!《エクストラ・ミラージュ》!エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの攻撃宣言時、その攻撃を無効にして、デッキからカードを1枚ドローする!」
《TGブレード・ガンナー》が発射した弾丸が突然発生する濃霧の中で消滅する。
だが、まだ《TGパワー・グラディエーター》の攻撃が残っている。
「《ハイパー・ライブラリアン》で《天穹のパラディオン》を攻撃…」
「永続罠《クルセイド・パラディオン》を発動!俺のフィールドにパラディオンリンクモンスターが存在するとき、相手はリンクモンスターしか攻撃できない!」
《天穹のパラディオン》をかばうように《レグレクス・パラディオン》が《TGハイパー・ライブラリアン》の前に立ちはだかる。
そして、《クルセイド・パラディオン》が淡い光を放つ。
「そして、《クルセイド・パラディオン》の効果。パラディオン、または星遺物モンスター1体をリリースすることで、そのモンスターと元々の名前が異なるパラディオン、または星遺物モンスター1体をデッキ・墓地から特殊召喚できる。俺は《天穹のパラディオン》をリリースし、《魔境のパラディオン》を特殊召喚」
《天穹のパラディオン》が突然消滅し、入れ替わるように《クルセイド・パラディオン》の中から炎を宿した玉石が埋め込まれた杖を持つ、黒いローブの小人が飛び出す。
魔境のパラディオン レベル3 守備2000(2)
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃2600→1400(EX1)
「《レグレクス・パラディオン》の効果発動。デッキから《オーバード・パラディオン》を手札に加える。更に、特殊召喚した《魔境のパラディオン》の効果発動!こいつがリンクモンスターのリンク先に召喚・特殊召喚に成功したとき、俺のフィールドのパラディオンカード1枚と相手フィールドのカード1枚を破壊する。俺は《魔境のパラディオン》と《パワー・グラディエーター》を破壊!」
「無駄よ。《トライデント・ランチャー》のリンク先のTGシンクロモンスターを相手は効果対象にできない」
「くそ…!なら、《トライデント・ランチャー》を破壊だ!」
《TGトライデント・ランチャー》と《魔境のパラディオン》がそれぞれの得物で鍔迫り合い、爆発を起こすとともに消滅した。
そして、《TGハイパー・ライブラリアン》の本からの光線が《レグレクス・パラディオン》を両断する。
「くそ…!《魔境のパラディオン》がいなくなったから、《レグレクス・パラディオン》の攻撃力は1000に戻る…!」
攻撃の余波で大きく吹き飛ばされ、道路上であおむけに倒れる。
体はアーマーの防御力が高いおかげでそれほど痛みはない。
徹
LP4000→1600
「くそ…!ごっそりライフを持っていかれたぜ…」
《TGトライデント・ランチャー》を除去したおかげで、これ以上の攻撃はないが、それでもモンスターがいなくなり、ライフも1600まで減らされたのは痛い。
おまけに相手の手札は6枚で、この後何も起こらない方がおかしい。
「私は…カードを3枚伏せて、ターンエンド…」
徹
手札2→4(うち1枚《オーバード・パラディオン》)
LP1600
場 クルセイド・パラディオン(永続罠)(2)
ステージ2
手札6→3
LP4000
場 TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃3400(2)
TGブレード・ガンナー レベル10 攻撃4300(3)
TGシンサベーサー レベル2 守備500(チューナー)(5)
伏せカード3(2)(3)(4)
「くっそ…野郎ぉ!俺のターン、ドロー!」
徹
手札4→5
「俺は…手札から《神樹のパラディオン》を召喚!」
両肩を露出させ、横からは生足が見える露出度の高い青のローブを纏った緑色の髪の女性エルフが茨の装飾が刀身に施された青いレイピアに祈りを込めながら現れる。
神樹のパラディオン レベル3 攻撃800(チューナー)(3)
(チューナーモンスター…だが、シンクロモンスターなんてデッキには…)
支給されたカードの中にシンクロモンスターがないのに、チューナーが入っていても意味がない。
一応、他のパラディオンと同じく特殊召喚できるうえに効果もよいからデッキに入れているだけ。
「現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は《マギアス・パラディオン》以外のパラディオンモンスター1体。俺は《神樹のパラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚。現れろ、リンク1。《マギアス・パラディオン》!」
先ほど、《TGトライデント・ランチャー》と共に消滅したはずの《魔境のパラディオン》が杖を二刀流にし、おまけにローブを赤黒く、金色のラインのある豪華なものへと変化させて再びフィールドに現れる。
マギアス・パラディオン リンク1 攻撃100(EX1)
「そして、手札から速攻魔法《緊急テレポート》を発動。手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚できる。俺は《幽鬼うさぎ》を特殊召喚」
真っ白なツインテールで、黒い着物をつけた幼い少女が瞬間移動で徹のフィールドに現れる。
幽鬼うさぎ レベル3 攻撃0(チューナー)(2)
「そして、《マギアス・パラディオン》の効果発動。こいつのリンク先に効果モンスターが特殊召喚されたとき、デッキからパラディオンモンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《星辰のパラディオン》を手札に加える。そして、再び現れろ。犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はパラディオンを含む効果モンスター2体。俺は《マギアス・パラディオン》と《幽鬼うさぎ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2。《ヴェルスパーダ・パラディオン》!」
サーキットの中から《神樹のパラディオン》が現れ、その顔を仮面で隠す。
すると、背中に青い天使の翼が宿り、ローブの下に銀色の鎧が装着される。
ヴェルスパーダ・パラディオン リンク2 攻撃500(EX1)
「そして、《星辰のパラディオン》を手札から特殊召喚!」
星辰のパラディオン レベル4 守備2000(2)
ヴェルスパーダ・パラディオン リンク2 攻撃500→1100(EX1)
「《星辰のパラディオン》の効果発動。墓地から《天穹のパラディオン》を手札に戻す。そして、《ヴェルスパーダ・パラディオン》の効果。こいつのリンク先に効果モンスターが特殊召喚されたとき、こいつ以外の俺が相手のモンスター1体の位置を別のメインモンスターゾーンに移動させることができる。俺は《ブレード・ガンナー》の位置を移動させる!」
TGブレード・ガンナー レベル10 攻撃4300(2)→(4)
「もう1度現れろ!犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件はリンクモンスターを含む効果モンスター2体以上。俺は《星辰のパラディオン》と《ヴェルスパーダ・パラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚!力を束ね、敵を両断する黄金のケンタウロス!リンク3、《アークロード・パラディオン》!」
口上のとおり、黄金の鎧で全身を固めたケンタウロスが右手に剣を構えた状態で姿を現す。
これがパラディオンデッキのエースで、徹が疑問に思っているカードだ。
(サイバース族だと…?《シンサベーサー》といい、なんでサイバース族があるんだよ?)
サイバース族はプレイメーカーしか持っていないカードのはずで、誰がこのカードを作ったのか?
だが、今はそれよりも目の前のデュエルに勝つことだけを考える必要があった。
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000(EX1)
「《アークロード・パラディオン》もほかのパラディオンリンクモンスターと同様、リンク先のモンスターの元々の攻撃力を得る」
ちょうど、《ヴェルスパーダ・パラディオン》の効果で移動させられた《TGブレード・ガンナー》がリンク先に存在する。
《TGブレード・ガンナー》は青い炎を発するとともに力を奪われていく。
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000→5300(EX1)
「罠発動。《TG1-EM1》。相手フィールドのモンスター1体と私のフィールドのTGモンスター1体のコントロールを入れ替える」
エクストラモンスターゾーンのモンスターのコントロールが変化したとき、そのモンスターはメインモンスターゾーンへ移動する。
それを利用して《TGブレード・ガンナー》を解放しようとしているのだろう。
だが、徹の手札には《レグレクス・パラディオン》が託してくれたカードがある。
「俺は手札から速攻魔法《オーバード・パラディオン》を発動!このターン、俺のパラディオンモンスター1体は自身以外のカード効果を受けない!」
《TG1-EM1》から発射される光が《アークロード・パラディオン》に命中する前にかき消される。
これで、お互いのモンスターのコントロール交換は不可能となった。
「そして、《アークロード・パラディオン》のリンク先に《天穹のパラディオン》を特殊召喚!」
天穹のパラディオン レベル4 守備1000(1)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃5300→6900(EX1)
「更に、《クルセイド・パラディオン》の効果。《天穹のパラディオン》をリリースし、デッキから《星遺物-『星槍』》を特殊召喚!」
《天穹のパラディオン》が《クルセイド・パラディオン》の中へ消えていき、入れ替わるように紫色で、浅黒い刃のついている巨大な槍が現れ、徹のフィールドに突き刺さった。
星遺物-『星槍』 レベル8 攻撃3000(1)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃6900→8300(EX1)
2体の巨大モンスターの力を得て、一気に攻撃力が8000を超過する。
これなら、《TGシンサベーサー》でパワーアップしたTGシンクロモンスターも怖くない。
「バトル!《アークロード・パラディオン》で《ハイパー・ライブラリアン》を攻撃!アークロード・ブレイク!」
《アークロード・パラディオン》が剣を天にかざすと、刃に光が集まっていき、それが一本の巨大な光の刃へと変貌していく。
その刃で《TGハイパー・ライブラリアン》を両断しようとするが、急にその出力が低くなる。
「何!?」
「《ブレード・ガンナー》の効果…。1ターンに1度、墓地のTG1体を除外することで、このカードはゲームから除外できる…」
力を奪っていた《TGブレード・ガンナー》が上空に現れた次元のはざまに消滅する。
そして、力の弱まった刃が《TGハイパー・ライブラリアン》を両断した。
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃8300→5000(EX1)
ステージ2
LP4000→2300
墓地から除外されたカード
・TGパワー・グラディエーター
「更に私は罠カード《刹那の調律》を発動。戦闘で破壊された私のシンクロモンスターと手札のチューナーモンスターを素材にシンクロ召喚をする…。レベル5の《ハイパー・ライブラリアン》に手札の《TGジェット・ファルコン》をチューニング…。シンクロ召喚。《スクラップ・ドラゴン》」
スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800(4)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃5000→7800(EX1)
「ちっ…そんなやり方でシンクロ召喚…!?」
「《ジェット・ファルコン》の効果発動…。このカードがシンクロ素材として墓地へ送られたとき、相手に500ダメージを与える…」
徹
LP1600→1100
「だが、ここで俺は《『星槍』》の効果を発動!エクストラデッキからモンスターが特殊召喚されたとき、お互いのフィールドに《星遺物トークン》1体を特殊召喚する!」
キューブ状の黒水晶が2つ、お互いのフィールドに転がる。
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
「このタイミングで、私は罠カード《TGX3-DX2》を発動。墓地のTG3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドロー…」
墓地からデッキに戻ったカード
・TGストライカー
・TGサイバー・マジシャン
・TGトライデント・ランチャー
徹
手札5→1
LP1100
場 アークロード・パラディオン(リンク先:《星遺物-『星槍』》《スクラップ・ドラゴン》《星遺物トークン》) リンク3 攻撃7800(EX1)
星遺物-『星槍』 レベル8 攻撃3000(1)
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
クルセイド・パラディオン(永続罠)(2)
伏せカード1(3)
ステージ2
手札3→2→4
LP2300
場 スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800(2)
星遺物トークン レベル1 守備0(1)
TGシンサベーサー レベル2 守備500(チューナー)(5)
「私のターン…ドロー…」
ステージ2
手札4→5
「スタンバイフェイズ時、除外された《ブレード・ガンナー》はフィールドに戻る…」
TGブレード・ガンナー レベル10 攻撃3300(3)
「そして、《スクラップ・ドラゴン》の効果発動…。1ターンに1度、お互いのフィールドのカードを1枚ずつ破壊する。私は《アークロード・パラディオン》と《シンサベーサー》を破壊する…」
「そうはさせるか!俺は《アークロード・パラディオン》の効果発動!リンク先のパラディオン、または星遺物1体をリリースすることで、ターン終了時まで相手フィールドのカード1枚の効果を無効にする!」
《星遺物トークン》が光の環となって、《スクラップ・ドラゴン》を拘束する。
破壊効果を発動できなくなり、《アークロード・パラディオン》に身動きを封じられた《スクラップ・ドラゴン》はもはやただのオブジェとなっていた。
「もう1度現れて。神へ導く未来回路。アローヘッド確認。召喚条件はTGチューナーを含む効果モンスター2体以上。私は《ブレード・ガンナー》、《スクラップ・ドラゴン》、《シンサベーサー》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れて、リンク3。《TGトライデント・ランチャー》」
「さっきのカードでデッキに戻したカードをまた…!」
ここからどのような展開が始まるのか、既に1度味わっている徹には分かっていた。
TGトライデント・ランチャー リンク3 攻撃2200(EX2)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃7800→5000(EX1)
「その瞬間、《『星槍』》の効果発動!もう1度、《星遺物トークン》を互いのフィールドに1体ずつ特殊召喚!」
徹
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
ステージ2
星遺物トークン レベル1 守備0(2)
「《トライデント・ランチャー》の効果発動…。墓地から《スター・ガーディアン》、デッキから《ラッシュ・ライノ》、手札から《タンク・ラーヴァ》を特殊召喚」
《TGスター・ガーディアン》と《TGラッシュ・ライノ》と共に、水色の装甲の芋虫型の機械が《TGトライデント・ランチャー》が上空に生み出したゲートから飛び出す。
TGスター・ガーディアン レベル5 守備2200(チューナー)(4)
TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1800(5)
TGタンク・ラーヴァ レベル1 守備0(チューナー)(3)
「《スター・ガーディアン》の効果。墓地から《サイバー・マジシャン》を手札に加える…。レベル4の《ラッシュ・ライノ》にレベル1の《タンク・ラーヴァ》をチューニング。シンクロ召喚。《TGパワー・グラディエーター》」
TGパワー・グラディエーター レベル5 攻撃2300(3)
「そして、《スター・ガーディアン》の効果で、手札から《サイバー・マジシャン》を特殊召喚」
TGサイバー・マジシャン レベル1 攻撃0(チューナー)(5)
「レベル1の《星遺物トークン》にレベル1の《サイバー・マジシャン》をチューニング…。シンクロ召喚。《TGレシプロ・ドラゴン・フライ》」
TGレシプロ・ドラゴン・フライ レベル2 攻撃300(2)
「レベル5の《パワー・グラディエーター》、レベル2の《レシプロ・ドラゴン・フライ》に…レベル5の《スター・ガーディアン》をチューニング…」
「3体のシンクロモンスターでシンクロ召喚だぁ?シンクロ召喚はそんなこともできるのかよ!?」
「これが…人間が手を出してはならない禁忌の力…。一度世界を滅ぼした力、シンクロ召喚…」
「はぁ?」
世界を滅ぼしたなどと意味の分からないことを漏らす彼女に困惑する中、《TGスター・ガーディアン》が生み出した5つのチューニングリングの中に2体のシンクロモンスターが飛び込んでいく。
「これは、危うき力を得ようとする人間を裁く槍。人間よ、定められた枠組みの中で安息を得るがいい。シンクロ召喚。《TGハルバード・キャノン》」
TGハルバード・キャノン レベル12 攻撃4000(2)
「攻撃力4000のシンクロモンスターだと…!?」
だが、まだ徹の《アークロード・パラディオン》の攻撃力が5000で上回っている。
どのような効果を持っているかは知らないうえ、まだこちらには伏せカードもある。
だが、まだステージ2は通常召喚を行っていないうえに手札も4枚ある。
「私は手札から《TGスクリュー・サーペント》を召喚」
背中に2つのスクリューを取り付けた青い蛇が現れる。
TGスクリュー・サーペント レベル4 攻撃1300(チューナー)(3)
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、墓地からレベル4以下のTG1体を特殊召喚できる。私は《TGタンク・ラーヴァ》を特殊召喚」
TGタンク・ラーヴァ レベル1 守備0(5)
「レベル1の《タンク・ラーヴァ》にレベル4の《スクリュー・サーペント》をチューニング。シンクロ召喚。《TGワンダー・マジシャン》」
TGワンダー・マジシャン レベル5 攻撃1900(チューナー)(3)
「《タンク・ラーヴァ》の効果。このカードをTGシンクロモンスターのシンクロ素材として墓地へ送ったとき、《TGトークン》1体を攻撃表示で特殊召喚できる」
青いドットでできた小人がステージ2のフィールドに出現する。
TGトークン レベル1 攻撃0(1)
「更に、《ワンダー・マジシャン》の効果発動。このカードのシンクロ召喚に成功したとき、フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊する。私は《クルセイド・パラディオン》を破壊」
《クルセイド・パラディオン》が砕け散り、徹はパラディオンモンスター、そして星遺物モンスターを交換することが難しくなった。
「そして、手札から永続魔法《TGX300》を発動。私のフィールドのモンスターの攻撃力はTGの数×300アップする」
TGトライデント・ランチャー リンク3 攻撃2200→3400(EX2)
TGトークン レベル1 攻撃0→1200(1)
TGハルバード・キャノン レベル12 攻撃4000→5200(2)
TGワンダー・マジシャン レベル5 攻撃1900→3100(3)
「くっ…!」
攻撃力が《アークロード・パラディオン》を上回ってしまった。
(谷村君!このまま4体の一斉攻撃が通ったら、ライフが0になるわ!!)
「ああ、分かってますよ!!」
小沢の通信に徹は大声で叫ぶ。
このデュエルで感じた、これまでとは違う緊張感、ピリピリと伝わるプレッシャー。
そして、何よりも伝わる殺気や痛み。
これがステージ2とのデュエル。
「バトル。《ハルバード・キャノン》で《アークロード・パラディオン》を攻撃」
《TGハルバード・キャノン》がハルバードの穂先を《アークロード・パラディオン》に向ける。
穂先が展開し、その中に隠された砲身が露出すると、そこから弾丸が発射される。
「く…!罠発動!《戦線復帰》!俺の墓地からモンスターを守備表示で…」
「手札から速攻魔法《罠解体》。相手が発動した通常罠カードの発動を無効にする。そして、そのカードを装備カード扱いとして私のモンスター1体に装備する」
《戦線復帰》のカードがステージ2のフィールドに移動し、そこから発せられる青い光が《TGハルバード・キャノン》に伝染する。
罠解体(デモリッション・トラップ)(漫画オリカ)
速攻魔法カード
(1):相手が通常罠カードを発動したときに発動できる。その発動を無効にする。その後、この効果で無効にしたそのカードを装備カードとして自分フィールド上のモンスター1体に装備する。
「これで終わり…」
「まだだ!俺は墓地から罠カード《エクストラ・ミラージュ》を発動!相手がエクストラデッキから特殊召喚したモンスターの攻撃宣言時、このカードを墓地から除外することで、このターン、相手がエクストラデッキから特殊召喚したモンスターの数だけ相手モンスターの攻撃を無効にする!お前がこのターンにエクストラデッキから特殊召喚したモンスターの数は5体!よって、5回の攻撃を無効にする!」
これで、このターン、すべてのモンスターの攻撃を防ぐことができる。
発射された弾丸は2体のモンスターのはざまに出現した霧に飲み込まれ、消滅した。
「私は…レベル1の《TGトークン》にレベル5の《ワンダー・マジシャン》をチューニング。シンクロ召喚。《メタファイズ・ホルス・ドラゴン》」
これまでシンクロ召喚してきたモンスターとは違う、ドラゴン族でTGですらないシンクロモンスターが現れる。
《ホルスの黒炎竜》を模した、銀色の姿のドラゴンだ。
メタファイズ・ホルス・ドラゴン レベル6 攻撃2300→2900(1)
TGハルバード・キャノン レベル12 攻撃5200→4600(2)
TGトライデント・ランチャー リンク3 攻撃3400→2800(EX2)
「《メタファイズ・ホルス・ドラゴン》の効果。このカードがチューナー以外のモンスターで、効果モンスターをシンクロ素材としてシンクロ召喚に成功したとき、このカード以外のフィールドのカード1枚の効果を無効にする。《アークロード・パラディオン》の効果を無効にする…」
《メタファイズ・ホルス・ドラゴン》が咆哮するとともに発生する波紋が《アークロード・パラディオン》を襲う。
剣を手放した《アークロード・パラディオン》は膝をついてしまう。
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃5000→2000(EX1)
「手札から永続魔法《シンクロ・ブロック》を発動。このカードが存在する限り、相手は私のフィールドの最も攻撃力の高いシンクロモンスター以外を攻撃できない。私はこれで、ターンエンド」
徹
手札1
LP1100
場 アークロード・パラディオン(リンク先:《星遺物-『星槍』》《星遺物トークン》) リンク3 攻撃2000(EX1)
星遺物-『星槍』 レベル8 攻撃3000(1)
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
ステージ2
手札5→1
LP2300
場 TGトライデント・ランチャー リンク3 攻撃2800(EX2)
TGハルバード・キャノン(《戦線復帰》装備) レベル12 攻撃4600(2)
メタファイズ・ホルス・ドラゴン レベル6 攻撃2900(1)
戦線復帰(通常罠)(2)
TGX300(永続魔法)(3)
シンクロ・ブロック(永続魔法)(4)
シンクロ・ブロック
永続魔法カード
(1):このカードが存在する限り、相手は自分フィールドの最も攻撃力の高いSモンスター以外を攻撃対象とすることができない。
(2):自分フィールドにSモンスターが存在しない場合、このカードは破壊される。
切り札である《アークロード・パラディオン》がバニラと化し、もはや攻撃力アップは期待できない。
《TGハルバード・キャノン》を破壊するにも、《TGトライデント・ランチャー》のせいで効果の対象にできない。
「くそ…このままじゃあ、まずいぜ…」
手札に残った1枚では、3体のモンスターを倒すことも、ステージ2のライフを0にすることもできない。
そもそも、今の徹のデッキの中には攻撃力4600の《TGハルバード・キャノン》を超える攻撃力を持つモンスターはいない。
圧倒的に不利な状況だが、誠に戦いから身を引かせた以上、自分がどうにかするしかない。
「だが、ガキにこんなことさせるよりはマシ…だな!俺のターン、ドロー!」
徹
手札1→2
(お困りのようですね)
「ん…?小沢さん、じゃねえな。誰だ!?」
急に若い男性の声が響き、その声は少なくともアンノウン対応課のメンバーの中にはいない。
誰かハッカーがP04DXにハッキングをかけて通信しているのかと思った。
「小沢さん、こいつハッキングされてねーか!?」
「こちらからはその反応はないわ。でも…」
(ご心配なく。私はハッキングされていません。私はDXシステムです。私があなたをサポートします)
「そんなのって…」
最近の強化服やデュエルディスクにはAIが搭載されるようになったものの、P04DXにはそれを搭載した覚えがない。
このAIの発言が正しければ、DXシステムの中にそのAIが搭載されているということになる。
「ああ、わけわからねーが、お前に何ができるんだよ?」
(あいさつ代わりに、こちらを)
エクストラデッキデータがモニターに表示され、その中に新しいカードが1枚追加される。
銀色の瞳をし、青いラインが刻まれ、胸部に天秤が描かれた黒いアーマーが装着されたドラゴンのカードだ。
そのカードは当然、これまで徹が見たことのないものだ。
(カードを自分で作ったのかよ…?)
(では、参ります。刑事殿。私のターン)
「俺のターンだ!」
まるでAIが自分でデュエルをしようとしていたため、はっきりとそれを否定しながらドローしたばかりのカードを見る。
「俺は手札から《百獣のパラディオン》を《アークロード・パラディオン》のリンク先に特殊召喚」
百獣のパラディオン レベル3 攻撃1200(1)
「《ハルバード・キャノン》の効果。1ターンに1度、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を無効にし、破壊する」
《TGハルバード・キャノン》の胸部から発射されたオレンジ色のビームで撃ち抜かれた《百獣のパラディオン》が消滅する。
「く…!俺は手札から魔法カード《マーカーズ・チャージ》を発動!エクストラモンスターゾーンのリンクモンスター2体のリンクマーカーの数が同じの場合、デッキからカードを2枚ドローし、ドローしたカードを公開する!」
ドローしたカード
・天穹のパラディオン
・リ・リンク
「俺は《天穹のパラディオン》を特殊召喚!」
天穹のパラディオン レベル4 攻撃1600(1)
「現れろ!犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は効果モンスター2体。俺は《天穹のパラディオン》と《星遺物-『星槍』》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚。現れろ、リンク2。《セイレーン・ゴーレム》」
下半身が鳥の体となっていて、上半身を貝殻と海藻でできたビキニアーマーになっている金髪の美女の石人形が現れる。
セイレーン・ゴーレム リンク2 攻撃1500(1)
「《セイレーン・ゴーレム》の効果。このカードとこのカードのリンク先に存在するモンスターの攻撃力は500アップする」
セイレーン・ゴーレム リンク2 攻撃1500→2000(1)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000→2500(2)
「現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は攻撃力2000以上のリンクモンスター2体以上。俺は《セイレーン・ゴーレム》と《アークロード・パラディオン》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」
(真実を見極め、罪と罰を図る瞳。リンク4、《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》)
「お前、勝手にしゃべるな!」
自分にとっては初めてのリンク4以上のモンスターのリンク召喚で、少しはカッコよく決めたかったのにこのAIに台無しにされてしまった。
このカードを作ってくれたことには感謝するが、帰ったら小沢に取り外してほしいとさえ思ってしまう。
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン リンク4 攻撃3000(EX1)
「《ジャッジアイズ》の効果!このカードのリンク先に存在するモンスター1体をリリースすることで、手札・墓地からパラディオンモンスター1体を特殊召喚できる。俺は《星遺物トークン》をリリースし、墓地から《アークロード・パラディオン》を特殊召喚!」
《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》が咆哮するとともに、《アークロード・パラディオン》が《メタファイズ・ホルス・ドラゴン》の力から脱した状態で姿を現す。
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000(2)
「《ジャッジアイズ》の攻撃力は相互リンク状態の俺のリンクモンスターの元々攻撃力分アップし、そのモンスターの効果を受けない」
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン リンク4 攻撃3000→5000(EX1)
「更に、1000ライフを支払い、手札から装備魔法《リ・リンク》を発動!墓地から《セイレーン・ゴーレム》を特殊召喚!」
セイレーン・ゴーレム リンク2 攻撃1500→2000(3)
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン リンク4 攻撃5000→6500
徹
LP1100→100
「バトル!《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》で《TGハルバード・キャノン》を攻撃!審判のカオス・ストリーム!」
《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》の天秤が光り、口から灰色のブレスが《TGハルバード・キャノン》に向けて発射される。
灰色のブレスを受けたそのモンスターは爆発し、爆風がステージ2を襲う。
ステージ2
LP2300→400
(そして、墓地の罠カード《パラレルポート・アーマー》の効果発動。このカードと墓地のリンクモンスター2体を除外することで、私のフィールドのリンクモンスター1体はこのターン、2階の攻撃が可能となります)
「だから、お前が言うんじゃねえって!」
《パラレルポート・アーマー》と共に除外された《オルフェウス・ゴーレム》と《マギアス・パラディオン》が《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》に力を与える。
この攻撃が通れば、徹の勝利となる。
「いけ、《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》で…!?」
攻撃宣言しようとした徹だが、急に周囲を包んでいたバリアが消えてしまう。
「何!?これは…」
(警告。もう1体のステージ2がこちらへ接近しています)
「何!?」
(上です)
危機感のない無機質な声に不快感を抱き包む、上を見ると、両腕が翼になっている、《ハーピィ・レディ》のようなステージ2がこちらへ飛んできて、羽根を発射してくる。
見た目は普通の羽根にしか見えないものの、やはり精霊の力を宿しているのか、装甲に突き刺さる。
「くそ、野郎!!」
幸い装甲にとどまり、自身へのダメージがないことから、すぐに羽根を抜き、拳銃を手にする。
だが、再び発射された羽根が銃口に入り、銃は使い物にならなくなってしまう。
そして、《ハーピィ・レディ》のステージ2は徹が戦っていたステージ2を両足でつかんで再び飛んでいってしまった。
「待ちやがれ!あと一歩で勝てたところを…!!」
もう少しであのステージ2を倒し、助けることができたのに、その少しを許さなかったその化け物に徹はいらだちをあらわにする。
(落ち着いてください、刑事殿。まずは小沢研究員と連絡し、反応を追いかけましょう)
「さすがAI。いらだつくらい冷静だな…。小沢さん!別のステージ2が奴を逃がしました!!」
「新しいステージ2…これは??」
徹の連絡を受けた小沢だが、実はトレーラーからはステージ2の反応はバリアが消えるまで1つしかつかむことができていなかった。
そして、《ハーピィ・レディ》のステージ2の反応が現れたのはバリアが消される直前だ。
「(相手はステルス能力みたいなものを持っているというの…?)反応は拾ったわ!まずは此方へ戻ってきて!」
「くそ…了解!」
助けられなかったことの歯がゆさを飲み込みながら、小沢の命令に応じた徹はバイクに飛び乗ってトレーラーへ戻っていく。
2体目のステージ2、そして突然起動したP04DXのAI。
生まれた2つの疑問を考える時間は今の徹にはなかった。
セイレーン・ゴーレム
リンク2 攻撃1500 リンク 水属性 岩石族
【リンクマーカー:右上/左】
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードとこのカードのリンク先に存在するモンスターの攻撃力は500アップする。
(2):このカードのリンク先にモンスターが存在しない場合、自分の墓地に存在するリンク2以下の「パラディオン」リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターをリンク先以外のメインモンスターゾーンに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、ターン終了時に除外される。この効果を発動したターン、自分は「パラディオン」以外のモンスターを召喚・特殊召喚できない。
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン
リンク4 攻撃3000 リンク 光属性 ドラゴン族
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
攻撃力2000以上のリンクモンスター2体以上
このカード名のカードはフィールドに1枚しか存在できない。
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの攻撃力はこのカードと相互リンク状態のリンクモンスターの元々の攻撃力分アップし、そのモンスターの効果を受けない。
(2):このカードのリンク先に存在するモンスターは攻撃できない。
(3):自分フィールドのリンク先に存在するモンスター1体をリリースして発動できる。手札・墓地から「パラディオン」モンスター1体を特殊召喚する。