遊戯王VRAINS 幽霊に導かれし少年   作:ナタタク

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第21話 菊岡の正体

「ふううう…反応、どうなってます?」

トレーラーへ戻り、ヘルメットを取り外した徹はほかの研究員から受け取ったドリンクを口に含みつつ、小沢に声をかける。

彼女が見ているモニターには2つのアイコンが北へまっすぐ進んでいた。

トレーラーも今は追跡するために北上しているが、相手は空を飛んでいるため、仮に車の入れない地帯に入られたら追跡が難しくなる。

「くそ!?俺がとり逃しちまったばかりに…」

徹の脳裏に浮かんだのは誠と直葉だ。

自分がしっかりやらなければ、再びあの2人をステージ2との戦いに巻き込むことになってしまう。

今度こそ見つけたら、確実にあの2人を確保しなければと心に誓う。

「仕方ないわ。でも、あなた自身は問題なさそうね。怪我も大したことないし、デュエル中の周囲への被害を最小限に抑えることができている。P04DXは実際のステージ2との戦いで有用だわ」

(肯定。それは私というAIあってのものです)

「何…?」

P04DXに搭載されていたはずのAIの声がなぜか自分のデュエルディスクから聞こえてくる。

ここに戻ってきて、強化服の電源を切るまで変なボタンやコマンドを入力した覚えはない。

「お前、なんで俺のデュエルディスクに入ってる!?」

(私はP04DXについては知っていますが、共に戦う刑事殿という装着者のことを知るにはその方が有効だと判断したためです)

「AIが勝手に移動する…?ありえないわ…」

「マジでわけのわからんAIだな。科学の進化はすげえな」

のんきに感心する菅原だが、小沢はこのブラックボックスに何か恐ろしいものを感じられた。

AIが自らの判断でほかの端末に移動するのはありえない話だ。

おまけに人間との会話が成立している。

デュエルディスクや現在のあらゆる機関で使われているAIでもそこまでの性能に達していない。

「ああー、小沢さんどうします?こいつ、戻しましょうか?」

「自分でそれができてしまう以上、どうにもならないわ。だったら、あなたのデュエルディスクでおとなしくしてもらうしかないわ」

「はぁ!?まさか…こいつと四六時中一緒に…?」

(これから、よろしくお願いします。刑事殿。目覚ましから仕事のお手伝いまで、お任せください)

「いらねーよ…はぁ、デュエルディスク、預けていいっすか?」

「いつステージ2と遭遇するか分からないわ。いざというときのために、今後はデュエルディスクをそばに置いて生活してもらうわ。アンノウン対応課として、ね」

これは明らかにいいわけだ。

まさかとは思うが、この不可解なAIと自分の交流を見て、データを集めようと考えているのではないか。

そんなことを勘繰ってしまう。

(でも…彼のデュエルディスクに入っているなら、もしかしたらDXシステムについて、詳しく調べることができるかもしれないわ)

このAIはDXシステムの中から出てきた。

解析できなかったDXシステムがこのAIが出たことで、何か影響を受けるかもしれない。

そして、おそらくシステムの中にあった別の何かとAIには関係がある。

「まぁ、調べるのはあとね。追跡を続けるから、つかの間の休息をそのAIと一緒に過ごして」

(了解。では、刑事殿。私としりとりを…)

「うるせえ、黙ってろ…それから、しりとりなんてする年じゃねーぞ」

霧山城市に左遷され、ステージ2などという人間の範疇を越えた化け物を相手にしなければならなくなったうえに、今度はわけのわからないAIが自分のデュエルディスクに入り込んだ。

(一体俺、これからどうなっちまうんだ…?)

 

「…そうか。やっぱり、電話に出ないんだ」

翌朝、制服に着替えたばかりの誠は携帯で直葉と話していた。

昨日の頭痛とステージ2のことがあり、まさかと思い、直葉に連絡を頼んだが、思った通りで彼女は電話に出なかった。

また、直葉には誠のように頭痛が起こることはない様だった。

「うん。念のため、琴音が泊まってるところに電話してみたけど、帰ってきてないって…」

「居場所が分からない以上、どうしようもないよ。放課後、一度病院へ行ってみよう。あの谷村さんのことを含めて、菊岡さんにいろいろ聞きたいことがあるから…」

「そうだね。じゃあ、後でね!」

切れた電話を上着ポケットに入れた誠はフゥとため息をつき、椅子に座って天井を見る。

当たってほしくない予想が当たってしまった。

「さっさとあの女を見つけ次第、倒しに行くぞ。分かってるよな?昨日みてーなのはなしだぞ」

「それは…」

「誠君!早く降りて来てー!ご飯で来てるわよー!」

「う、うん!今行くよ!」

今日、明日奈は講義の都合で早く家を出なければならないことを思い出した誠はカバンを手にして、急いで部屋を出て、下へ降りて行った。

 

「谷村徹にアンノウン対応課…ああ、確かに私はそこのオブザーバーをやっているよ」

夕方の病院で、誠と直葉にアンノウン対応課について質問された菊岡は言わなかったっけ?と言わんばかりのとぼけた様子で答え、自分が飲むコーヒーを淹れる。

「そんな…どうして話してくれなかったんですか!?警察にも協力しているなんて!」

「そりゃあ、聞かれなかったし、時が来たら話せばいいかって思っただけさ。まぁ、もう会っちゃったとはねえ。ただ、うーん、戦いにかかわるなというのは予想外だったなぁ」

「…はい」

「その様子だと…迷っているみたいだね」

コーヒーを飲む菊岡には誠の悩みがすぐにわかった。

まだ17歳の子供で、気の弱い彼は迷いなく戦い続けることの方が異常だ。

闘う中で迷いが生じ、悩む方が正常で人間らしい。

そして、気弱な彼でも誰かのために奮い立つことができる。

コーヒーを飲み終えた菊岡は立ち上がり、扉の方へ歩いていく。

「どこへ…?」

「ついてくるんだ。君に見せなきゃいけないものがある」

「は、はい!」

立ち上がった誠は追いかけるように菊岡と一緒に部屋を出る。

だが、直葉は座ったままで、追いかけていく誠を見るだけだった。

「ねえ、直葉ちゃん。ついていかなくて大丈夫なの?」

「うん…。でも、なんだろう。なんで菊岡さんってあたしたちに全部話してくれないんだろうって思って…」

誠がステージ3になってしばらくたつが、菊岡のことはまだ何も知らないままだ。

なぜステージ2などの精霊に憑依された人間について知っているのか、どうして医者としてここにいるのか。

そして昨日、警察組織とつながりがあるのはなぜかという疑問まで生まれてしまった。

そんな自分のことをほとんど話さない彼のことを疑わずにはいられない。

アカネはまだこちらの世界にやってきて日が浅く、菊岡とは少し顔を合わせただけで、彼の人となりや日頃の言動をほとんど知らない。

そのため、あまり疑問を抱かずに話を聞くことができたが、直葉がそのような嘘をつく少女ではないことは分かり切っていることだ。

(あれ…?そういえば、あの人…ほかの人と何か違う気が…)

 

「本来、ここは普通の人が入ってはいけない場所だけど、今回は特別だ」

カードキーを差し込んだ菊岡が扉を開けると、そこは複数のモニターが置かれた部屋だった。

「もしかして、ここは…」

「監視カメラの映像をここで見ることができる。君に見せたいのはここの3012号室の患者だ。直接会わせるわけにはいかないからね」

映像に映っているのはベッドで点滴を受けながら昏々と眠っている男性で、その男性を女性と2人の子供が見ている。

「あの人…どこかで…」

「ああ、君が最初に戦ったステージ2に血を吸われた警察官だ。吸血された人の何人かは今も昏睡状態で、生きてはいるがまだ入院している」

「そんな…心配はいらないって…!」

「死者はいない、というだけだ。それに、私も手をこまねいているわけではない。治療法を探しているさ」

沈黙した誠はその映像を見る。

画質が荒いものの、子供が今も眠り続ける父親に手を握り、泣いているように見えた。

「ステージ2が存在する限り、同じように泣く人が増え続ける。彼らと戦い、ステージ2にされた人を救える手段は多い方がいい。それとも、君はこの状況に目をつぶるのかい?せっかく、その悲しみを減らすことができるかもしれない手段があるというのに…」

(あの野郎…)

まるで誠を戦いへ誘導しようとする菊岡の言動にシャドーも違和感を抱く。

とても誠のことを考えた発言とは思えない。

誠を無理やり戦わせようと考えはしていたシャドーだが、そんな悪辣な言い方はできない。

そして、どうしてかわからないが、こうした言動の男は信頼できない気がした。

「少し、私のことを話そう。私は精霊…今まで君があって来た精霊たちよりもはるかに上位の存在によって呪いをかけられた…。シャドーが見えるのも、ステージ2の存在が分かるのもそのためだ」

「呪い…」

菊岡は常にかけていた眼鏡をはずす。

おまけにカラーコンタクトをつけていたようで、それも外して裸眼を誠に見せた。

「これは…!」

その両目には蛇を模した痕が赤く刻まれていた。

(んだよ…あの痕…いや、こいつは…)

なぜかその痕に既視感を感じたシャドーだが、頭の中に霧がかかっているような感じがして、その正体を思い出せない。

「君は平行世界、パラレルワールドという言葉を知っているね?」

「ええ…。世界は一つじゃなくて、いろんな世界が同時に存在しているって…。でも、それは…」

ただのSF設定ではないか、と言いたくなったが、精霊と精霊世界の存在を知った誠はそうとも言い切れなくなっていた。

精霊世界が存在している以上、平行世界は存在する。

そして、おそらくは同じ人間が住んでいる平行世界も。

「私は別世界からこの世界へ来たんだ。この呪いのせいで…何もかもを奪われてね…」

「何もかも…」

「そうだ。仲間も故郷も、すべてを奪われた…。菊岡誠二郎の名前はもうすでにこの世にいない人間の戸籍を背のりしただけ。幸い、医者としての技量があったおかげで、今は病院の先生として生きることができている。自分を証明できるものが何一つない…。それが今の私だ」

「…」

寂しげに笑う菊岡に誠は何も言うことができなかった。

自分を知っているものも、自分が知っているものもいない世界に身一つで放り出される辛さは筆舌に尽くしがたいものがある。

だが、菊岡は同情を求めていない。

求めているのは、このような悲しみを増やさないことだ。

「神代凛子も同じだ。彼女の場合、その存在によって兄を奪われた。そして…呪いをかけられてこの世界に飛ばされた。私と彼女は…いわば、同じ運命をたどった同志と言える」

おそらく、その名前も背のりしたものだろう。

ただの医者と助手という以上の関係をその2人は持っている。

その目的はおそらく、復讐だろう。

「すまない、誠君。君とシャドーは彼らにとってもイレギュラーなステージ3だ。命を完全に共有している君たちはおそらく、彼らが想定している以上の力を生み出すことができる。だから、君を彼らと対抗するための駒にしようと思った」

「駒…?」

「ざけんじゃねえよ…誰がてめえの駒になるものかよ!俺の生き方は俺が決める!誰の指図も受けねえ!」

「誰の指図も受けない…か…」

シャドーの言葉に何か考えさせるものがあったのか、菊岡は眼鏡の位置を直し、少し視線を逸らす。

だが、すぐに元の調子に戻り、話を進める。

「だが、君は偶然そうなっただけで、自分が決めてやったわけではない。それに、君はまだ17歳の少年だ。そんな君を巻き込んではならなかった…」

「菊岡さん…僕は…!?」

急に例の頭痛が起こり、同時に霧山城市北部、千代町の大通りで横転し、炎上するバスと昨晩の頭痛の時に見えたステージ2の姿が浮かんだ。

警察のトレーラーが近づいていて、それを見たステージ2はそのトレーラーを踏み台代わりにして飛び越え、再び南下を開始した。

「もう、これっきりにしよう。君はもう、戦う必要は…」

「…戦います」

「え…?」

「戦います!僕が戦うことで、少しでも犠牲になる人が減るなら!!」

闘う恐怖はステージ2とのデュエルの中で常に感じている。

だが、その恐怖をほかの人に味合わせたくない。

誠は部屋を飛び出し、そのまま出口へ向かって走っていく。

部屋を出て、誠の後姿を菊岡はじっと見つめていた。

(結城誠…やはり彼は飛び込んでいくんだな。精霊との戦いの中へ…。それは犠牲になる人を減らすためだけなのか?それとも…桐ケ谷直葉の兄への…君の兄となるはずだった彼への負い目のためか…?)

 

「くそが…!ついに大事故を起こしやがって!!」

トレーラーに乗っている小沢達に負傷者のことを任せ、バイクに乗った谷村がステージ2を追跡する。

あのバスには隣の市へ遠征に向かう陸上部の高校生たちが乗っていた。

どういう手段を取ったのかはわからないが、バスは横転・炎上して多くの生徒が重軽傷を負う羽目になった。

更に、そのステージ2は積まれていた陸上部の荷物を体の中に吸収していた。

「不可解ですね。まるで、目的が人の命を奪うのではなく、彼らの荷物にあるように思えます」

「何のためだ…?訳が分からねえ…」

「肯定。同じ盗みであれば、財布などの貴重品を奪ったほうが有効です。それに、体に取り込んだというのも…」

「もういい、黙れ!ええっと…AI!」

「私はAIですが、私固有の名前ではありません。もっとマシな名前をお願いします」

「はぁ…?じゃあ…じゃあ、デルタ。デルタだ!!それでいいだろ!?」

追跡し、ステージ2の動きを追いかけている今の谷村には名前を考えている余裕はない。

とっさに頭に浮かんだDXシステムのDを取り、あとは適当に取り繕って仮の名前を叫ぶ。

「デルタ…ですか?ギリシャ文字の4番目、なるほど。強化服がP04DXですからね。ですが、中々チープですね」

「チープだと!?てめえ…」

「まぁ、かまいません。これからの私の名前はデルタです」

「ああ、気に入ってくれてうれしいよ!!」

ステージ2が近くを走行していたバイクの運転手を蹴り飛ばし、そのバイクを奪ってさらにスピードを上げる。

「警告。後方からもう1体のステージ2が接近中」

「何!?」

もしかして、と思った谷村はバイクのモニターに後方の光景の映像を映し出す。

そこにはあの《ハーピィ・レディ》のステージ2の姿があり、谷村に向けて羽根を発射してきた。

嫌な予感がした谷村は車体を横へ動かして羽根を避ける。

羽根はアスファルトに突き刺さり、そこを中心に大きなひびが入った。

もし人間に当たったら、深々と内臓まで羽根が達していたかもしれず、恐ろしさでぞっとする。

「くそ!!あの鳥人間をどうにかしねえと!!」

「前方から接近してくるステージ2…?いえ、ステージ3が1人」

「何!?」

大通り上空を飛んでいる車輪付きサーフボードと、その上に乗っている誠の姿を見た谷村は驚きの余り、目を丸くする。

その間にも、谷村をもう1度攻撃しようと《ハーピィ・レディ》のステージ2が羽根を発射しようとしていた。

「させない!!」

誠はサーフボードに乗ったままステージ2に体当たりする。

正面から体当たりされた《ハーピィ・レディ》のステージ2は大きく突き飛ばされるが、空中で姿勢を整える。

「結城!?お前、何しに来た!?」

「決まっているでしょう!?戦うためです!」

「何!?俺が言ったことを忘れたのか!?」

「忘れてませんよ!僕は…死ぬつもりなんてありません!!」

体当たりされた《ハーピィ・レディ》のステージ2は既に誠に狙いを定めており、左腕にデュエルディスクを出現させている。

誠もそれにこたえるようにデュエルディスクを展開させた。

そして、一瞬デッキが光った感じがした。

(僕のデッキの中に変化が起こった…。きっと、それは…)

「刑事殿。彼がもう1体のステージ2の相手になるようです。ここは、彼に任せて、あなたは追跡に専念するのがよろしいかと」

「ああ…分かったよ!もう、止められねえんだろ…?」

彼に任せていかなければならない後ろめたさを覚えた谷村だが、目の前のステージ2に集中し、アクセルを上げる。

誠は谷村が直進した交差点を左折し、誠に怒りを覚えたステージ2は追いかけるように同じ方向へ曲がった。

「よし…僕のところに来てる…!」

「腹くくったんなら、ヘマして負けるんじゃねえぞ」

「うん…!」

デュエルディスクがスピードデュエルモードに切り替わり、自動的にドローされた4枚のカードを手に取る。

「スピードデュエル!!」

 

ステージ2

手札4

LP4000

 

手札4

LP4000

 

「私の先攻…手札から永続魔法《ヒステリック・サイン》を発動。その効果処理として、デッキから《万華鏡-華麗なる分身-》を手札に加える。そして、手札から《ハーピィ・チャネラー》を召喚」

 

ハーピィ・チャネラー レベル4 攻撃1400(1)

 

「やっぱり、ハーピィデッキ…」

あらゆる手段で《ハーピィ・レディ》を展開し、同時に魔法・罠カードを除去していくデッキだ。

問題は相手はシンクロ召喚などの召喚法を持っている可能性があるということだ。

大量展開できるということはそれらを行う機会に多く恵まれるということにもなる。

「そして、手札から魔法カード《万華鏡-華麗なる分身-》を発動。フィールドに《ハーピィ・レディ》が存在することにより、デッキから《ハーピィ・レディ三姉妹》を特殊召喚」

 

ハーピィ・レディ三姉妹 レベル6 攻撃1950(2)

 

「そして、私のフィールドにレベル5以上のハーピィモンスターが存在するとき、《ハーピィ・オラクル》は手札から特殊召喚できる」

真っ黒な翼と水色のポニーテールが特徴的な、少し大人びた表情をしている《ハーピィ・レディ》の少女が現れ、両手で持っている水色の水晶玉を見つめる。

 

ハーピィ・オラクル レベル4 攻撃1300(3)

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターン終了時、墓地から《ハーピィ・レディ三姉妹》がテキストに記された魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。現れろ、神へ導く未来回路。アローヘッド確認。召喚条件は風属性モンスター2体。《ハーピィ・チャネラー》と《ハーピィ・レディ三姉妹》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れろ、《ハーピィ・コンダクター》」

真っ白な翼と薄紫の髪をした《ハーピィ・レディ》が高笑いをしながら現れる。

 

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900(EX1)

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド。同時に、《ハーピィ・オラクル》の効果で、墓地から《万華鏡-華麗なる分身》を手札に加える」

 

ステージ2

手札4→1(《万華鏡-華麗なる分身》)

LP4000

場 ハーピィ・オラクル レベル4 攻撃1300(3)

  ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900(EX1)

  ヒステリック・サイン(永続魔法)(1)

  伏せカード1(2)

 

手札4

LP4000

場 なし

 

「僕のターン、ドロー!」

 

手札4→5

 

「自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、《C.C.インディア》は手札から特殊召喚できる!」

 

C.C.インディア レベル5 攻撃2000(2)

 

「そして、手札から装備魔法《ブレイク・ドロー》を《インディア》に装備。このカードは発動後3回目の僕のエンドフェイズ時に破壊されるけど、装備モンスターが相手モンスターを破壊し墓地へ送ったとき、デッキからカードを1枚ドローできる。そして、カードを1枚伏せて、モンスターを裏守備表示で召喚。バトル。《インディア》で《ハーピィ・コンダクター》を攻撃」

《C.C.インディア》の杖が淡く光りはじめ、その杖で《ハーピィ・コンダクター》を殴る。

しかし、攻撃を受けたはずの《ハーピィ・コンダクター》は無傷で、フィールドに存在していたはずの《ヒステリック・サイン》が消滅する。

「《ハーピィ・コンダクター》の効果…。ハーピィモンスターが戦闘・効果で破壊されるとき、代わりに私の魔法・罠カード1枚を破壊する。破壊した《ヒステリック・サイン》の効果。手札・フィールドのこのカードが破壊されたターン終了時、デッキから同名カードが1枚までで、ハーピィカードを3枚手札に加える」

「《ハーピィ・コンダクター》にそんな効果が…」

《ブレイク・ドロー》の効果は不発に終わり、しかも相手に手札を3枚も増やすチャンスを献上することになってしまった。

「僕はこれで、ターンエンド!」

「《ヒステリック・サイン》の効果発動。デッキから《ハーピィ・チャネラー》、《ハーピィ・レディ1》、《ハーピィの狩場》を手札に加える」

 

ステージ2

手札1→4(《万華鏡-華麗なる分身》《ハーピィ・チャネラー》、《ハーピィ・レディ1》、《ハーピィの狩場》)

LP4000

場 ハーピィ・オラクル レベル4 攻撃1300(3)

  ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900(EX1)

  伏せカード1(2)

 

手札5→1

LP4000

場 C.C.インディア(《ブレイク・ドロー》装備) レベル5 攻撃2000(2)

  裏守備モンスター(3)

  伏せカード1(1)

  ブレイク・ドロー(装備魔法)(2)

 

「私のターン…」

 

ステージ2

手札4→5

 

「フィールド魔法《ハーピィの狩場》を発動…」

発動と同時に、通りには木々が生え始め、そこかしこに《ハーピィ・レディ》達の巣ができた。

「フィールドの鳥獣族モンスターの攻撃力・守備力が200アップする」

 

ハーピィ・オラクル レベル4 攻撃1300→1500(3)

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900→2100(EX1)

 

「そして、手札から《ハーピィ・チャネラー》を召喚」

 

ハーピィ・チャネラー レベル4 攻撃1400→1600(2)

 

「《ハーピィの狩場》の効果発動。《ハーピィ・レディ》または《ハーピィ・レディ三姉妹》の召喚・特殊召喚に成功するたびに、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。あなたの伏せカードを破壊」

巣の中に隠れていた《ハーピィ・レディ》達が羽根を発射する。

羽根を受けた伏せカードは穴だらけになって消滅する。

だが、その中から影が飛び出してきて、その姿が《C.C.アウストラリウス》へと変化する。

「君が今破壊した伏せカードは《やぶ蛇》。セットされているこのカードが相手の効果によってフィールドから離れて墓地へ送られたとき、もしくは除外されたとき、デッキ・エクストラデッキからモンスター1体を特殊召喚できる。その効果で、《C.C.アウストラリウス》を特殊召喚したんだ」

最近カードショップへ行った時に面白そうだと思って購入し、さっそくデッキに入れただけだが、魔法・罠カードを除去することの多いハーピィデッキ相手にピタリとはまった。

 

C.C.アウストラリウス リンク4 攻撃2800(EX2)

 

《ハーピィの狩場》の破壊効果は強制的で、場合によっては自分の魔法・罠カード、もしくは《ハーピィの狩場》そのものを破壊しなければならなくなることもある。

「《ハーピィ・チャネラー》の効果。手札のハーピィカード1枚を墓地へ捨てることで、デッキから《チャネラー》以外のハーピィモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。《ハーピィズペット竜》を特殊召喚」

 

ハーピィズペット竜 レベル7 守備2500→3400(1)

 

「そして、私はレベル4の《ハーピィ・チャネラー》と《ハーピィ・オラクル》でオーバーレイ」

「オーバーレイ…ということは、エクシーズ召喚を!?」

侑哉が見せた《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を思い出す。

上空にオーバーレイネットワークが生まれ、その中に2体の《ハーピィ・レディ》が飛び込んでいく。

「エクシーズ召喚。《ハーピィ・マジシャン・ガール》」

 

ハーピィ・マジシャン・ガール ランク4 攻撃1500→1700(2)

ハーピィズペット竜 レベル7 守備3400→3100(1)

 

「《ハーピィの狩場》の効果発動。《ブレイク・ドロー》を破壊」

「ちぃ、何もドローできずかよ!!」

《ブレイク・ドロー》が羽根の弾丸で使い物にならなくなり、舌打ちするシャドーはエクシーズ召喚されたばかりの《ハーピジズペット竜》を見る。

「攻撃力は大したことはないけど…」

だが、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のように、オーバーレイユニットを使うことで強力な効果を発動してくる可能性がある。

そうでなければ、貴重なリンクマーカーを使ってメインモンスタゾーンにそのモンスターを召喚するはずがない。

「《ハーピィ・マジシャン・ガール》もフィールド・墓地に存在する限り、カード名を《ハーピィ・レディ》として扱う。そして、手札から魔法カード《万華鏡-華麗なる分身-》を発動。デッキから《ハーピィ・レディ三姉妹》を特殊召喚」

 

ハーピィ・レディ三姉妹 レベル6 攻撃1950→2150(3)

ハーピィズペット竜 レベル7 守備3100→3400(1)

 

「そして、《ハーピィの狩場》の効果発動。その効果で、《ハーピィの狩場》を破壊する」

路上に生えていたはずの木々と巣が最初から存在しなかったかのように消滅する。

そして、《ハーピィ・レディ》達の能力値が元に戻った。

 

ハーピィ・レディ三姉妹 レベル6 攻撃2150→1950(3)

ハーピィ・マジシャン・ガール ランク4 攻撃1700→1500(2)

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃2100→1900(EX1)

 

「《ハーピィ・マジシャン・ガール》の効果。1ターンに1度、オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、私のフィールドのハーピィ・レディ1体をリリースし、その攻撃力を得る」

オーバーレイユニット2つが《ハーピィ・レディ三姉妹》共々消滅し、《ハーピィ・マジシャン・ガール》に宿る魔力が高まる。

 

ハーピィ・マジシャン・ガール ランク4 攻撃1500→3450(2)

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・ハーピィ・チャネラー

・ハーピィ・オラクル

 

「攻撃力3450…《アウストラリウス》を上回った!」

「バトル。《ハーピィ・マジシャン・ガール》で《C.C.アウストラリウス》を攻撃」

電線の上に乗った《ハーピィ・マジシャン・ガール》は杖から風の球体を《C.C.アウストラリウス》に向けて発射する。

風を正面から受けた《C.C.アウストラリウス》は消滅し、衝撃波が誠を襲う。

「く…」

 

LP4000→3350

 

「けど…《アウストラリウス》の効果。このカードが特殊召喚されたモンスターとの戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、デッキからカードを1枚ドローする」

「《ハーピィ・コンダクター》で裏守備モンスターを攻撃」

誠のモンスターを全滅させようと、《ハーピィ・コンダクター》が羽根を裏守備モンスターに向けて発射する。

しかし、正体を見せた《C.C.ケフェウス》は両手から発する電気で羽根をすべて受け止めた。

 

C.C.ケフェウス レベル4 守備1800(3)

 

「《ケフェウス》のリバース効果。相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力・守備力を0にする。更にこのカードは特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない!」

羽根を止めた電気を放電させ、それを受けた《ハーピィ・マジシャン・ガール》が黒焦げになり、その回復のために魔力を消費した。

 

ハーピィ・マジシャン・ガール ランク4 攻撃3450→0(2)

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド…」

 

ステージ2

手札5→1(《ハーピィ・レディ1》)

LP4000

場 ハーピィズペット竜 レベル7 守備3400(1)

  ハーピィ・マジシャン・ガール ランク4 攻撃0(2)

  ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900(EX1)

  伏せカード2(1)(2)

 

手札1→2

LP3350

場 C.C.ケフェウス レベル4 守備1800(3)

  

 

「《ハーピィ・マジシャン・ガール》はどうにかなったが、まだ奴にはあのドラゴンがいるぜ…」

「《ハーピィズペット竜》の効果は知ってる。あのモンスターは…」

《ハーピィ・チャネラー》の効果で容易に特殊召喚できるうえに、《ハーピィ・レディ》がフィールドに増えれば増えるほど強くなる。

スピードデュエルのため、モンスターゾーンは少ないが、攻撃表示になり、攻撃してくる前に仕留めなければ無駄な損害が出る。

「僕のターン、ドロー!」

 

手札2→3

 

「僕は手札から速攻魔法《星の瞬き》を発動。僕のフィールドのC.C.1体をリリースし、デッキからC.C.1体を手札に加える。僕は《ケフェウス》をリリースし、デッキから《C.C.バルゴラ》を手札に加える。更に、手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動。自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドローできる。そして、《星の瞬き》は僕のフィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドにエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが2体以上存在するとき、墓地から除外することで、更にデッキからカードを1枚ドローできる」

壁となりえる《C.C.ケフェウス》を墓地へ送ってまで補充する4枚のカード。

突破口になるなら、安いものだ。

「僕は手札から《C.C.バルゴラ》を召喚!」

 

C.C.バルゴラ レベル3 攻撃1200(1)

 

「このカードの召喚に成功したとき、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、僕のフィールドにこのカード以外のモンスターが存在しない場合、手札・デッキ・墓地から《C.C.バルゴラ》を2体まで特殊召喚できる!」

 

C.C.バルゴラ×2 レベル3 攻撃1200(2)(3)

 

「現れろ、星を繋ぐサーキット!アローヘッド確認。召喚条件は《バルゴラ》を含むC.C.3体。僕は3体の《バルゴラ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク3!《C.C.バルゴラ・グローリー》!」

 

C.C.バルゴラ・グローリー リンク3 攻撃1900(EX2)

 

「《バルゴラ・グローリー》の効果!このカードの特殊召喚に成功したとき、このカードのリンク先のモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備する。この効果はこのカードがエクストラモンスターゾーンに存在する場合、もう片方のエクストラモンスターゾーンに存在するモンスターも対象にすることができる!カーバー・ドレイン!」

《C.C.バルゴラ・グローリー》の武装ユニットから発射される光の糸が《ハーピィ・コンダクター》をからめとっていく。

「《バルゴラ・グローリー》はこの効果で装備したカードの元々の攻撃力の半分を得ることができ…」

「罠発動。《ハーピィの羽根吹雪》。私のフィールドに鳥獣族・風属性モンスターが存在するとき、ターン終了時まで、相手が発動したモンスター効果を無効にする」

「ちっ、そんなカードまであるのかよ!?

ステージ2のフィールドにいる《ハーピィ・レディ》達が風を起こし、《C.C.バルゴラ・グローリー》の光の糸を消滅させる。

装備カードを得られなかった《C.C.バルゴラ・グローリー》はその力の大半を発揮することができなくなる。

「けど、まだ攻撃できる!カードを1枚伏せて、《バルゴラ・グローリー》で《ハーピィ・マジシャン・ガール》を攻撃!カーバー・シュート!」

武装ユニットから発射されるミサイルが無防備になっている《ハーピィ・マジシャン・ガール》に牙をむく。

「私はスキル、華麗なる舞を発動。自分フィールドの《ハーピィ・レディ》1体の攻撃力をターン終了時までフィールド上のモンスター1体と同じにする」

「な…!?」

《ハーピィ・マジシャン・ガール》が舞を見せると、発射されたミサイルの軌道がずれ、近くの建物に命中する。

「しまった!!」

デュエルのダメージが実体化している状況では、自分のモンスターの攻撃も影響を及ぼしてしまう。

ミサイルが爆発し、ガラガラと建物が崩れる。

その間にも、《C.C.バルゴラ・グローリー》が近接戦闘に持ち込むため、武装ユニットから剣を出して突撃するも、《ハーピィ・マジシャン・ガール》の杖とぶつかり合うと同時に2体は爆風に包まれ、消滅した。

「僕はこれで…ターンエンド…」

 

ステージ2

手札1(《ハーピィ・レディ1》)

LP4000

場 ハーピィズペット竜 レベル7 守備3400→3100(1)

  ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900(EX1)

  伏せカード1(2)

 

手札3→2

LP3350

場 伏せカード2(1)(2)

 

「私のターン…ドロー…」

 

ステージ2

手札1→2

 

「私は《ハーピィ・レディ1》を召喚」

 

ハーピィ・レディ1 レベル4 攻撃1300(2)

ハーピィズペット竜 レベル7 守備3100→3400(1)

 

「《ハーピィ・レディ1》が存在する限り、私のフィールドの風属性モンスターの攻撃力は300アップ」

 

ハーピィ・レディ1 レベル4 攻撃1300→1600(2)

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900→2200(EX2)

 

「更に手札から永続魔法《魅惑の合わせ鏡》を発動。私のフィールドの《ハーピィ・レディ》か《ハーピィ・レディ三姉妹》が戦闘で破壊されたとき、デッキから元々の名前の異なるハーピィモンスター1体を特殊召喚できる。そして、《ハーピィズペット竜》を攻撃表示に変更」

 

ハーピィズペット竜 レベル7 守備3400→攻撃2900(1)

 

「バトル。《ハーピィズペット竜》でダイレクトアタック。セイント・ファイアー・ギガ」

《ハーピィズペット竜》の口から発射される炎が前を飛ぶ誠に迫る。

「うわああああ!!」

「ぐう…滅茶苦茶熱い…!」

火炎放射をまともに受けてしまった誠はボードから投げ出されてしまう。

スピードデュエルではボードから地面に転落する、もしくは一定時間停止してしまうと強制的に敗北となる。

それ以前に、大きな火傷を負った上に時速60キロ以上のスピードで飛んでいる途中に落ちてしまうと、良くても複数骨折だ。

「誠ーー!!」

「僕は…まだ!!」

誠がいなくなったボードが勝手に動きはじめ、落ちていく誠のコースを予測して先回りする。

ボードから落ちて、ボードの上に倒れるというおかしな形になったものの、地面に転落せずに済んだ。

「はあ、はあ…」

一瞬死ぬかと思った誠は極限の緊張感から解放され、大きく呼吸しつつ、うつ伏せに倒れた状態から立て直していく。

 

LP3350→450

 

「《ハーピィ・コンダクター》でダイレクトアタック」

「僕は罠カード《スター・フォルト》と《ショック・ドロー》を発動!まずは《ショック・ドロー》の効果。このターン、僕が受けたダメージの合計1000につき1枚、デッキからカードをドローする!そして、《スター・フォルト》は特殊召喚された相手モンスターの直接攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力が僕のライフを上回っていた場合、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!そして、墓地のC.C.1体を特殊召喚する!」

破壊されたはずの《C.C.バルゴラ》がフィールドに舞い戻り、《ハーピィ・コンダクター》の羽根から誠を守る。

そして、誠は2枚のカードをドローした。

《スター・フォルト》の効果は特殊召喚されたモンスターのみにしか適用されないため、仮に2回目の攻撃が《ハーピィ・レディ1》で行われていた場合、おそらく誠は敗北していたかもしれない。

「私はこれで…ターンエンド」

 

ステージ2

手札1(《ハーピィ・レディ1》)

LP4000

場 ハーピィズペット竜 レベル7 攻撃2900(1)

  ハーピィ・レディ1 レベル4 攻撃1600(2)

  ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃2200(EX1)

  伏せカード1(2)

 

手札2→4

LP450

場 C.C.バルゴラ・グローリー リンク3 攻撃1900(1)

 

首の皮一枚繋がったが、もはや誠のライフは残り450。

フィールドに残っているのは装備カードのない《C.C.バルゴラ・グローリー》1体。

おそらく、これが誠にとってのラストターンになる。

「準備はできた…。あとはあのカードが来るだけ」

誠はデッキトップに指をかける。

この状況を覆すことのできる方程式はあと1枚で完成する。

「僕のターン、ドロー!」

 

手札4→5

 

「僕は…スケール1の《C.C.ピクシス》とスケール8の《C.C.コンパス》でペンデュラムスケールをセッティング!」

「ペンデュラムスケール…?」

発動された2枚のカードを見たステージ2は動揺を見せる。

ペンデュラム召喚もまた、封印されていたはずの召喚法だ。

だが、直葉が融合召喚を見せたように、ペンデュラム召喚もまた人の手に戻ってしまった。

おそらく、その原因は《マックス・テレポーター》のステージ2を倒した侑哉の存在が大きいだろう。

誠の左右に羅針盤を胴体に取り付けたブリキの人型機械と複数の色とりどりのコンパスで組み立てられた人型機械が青い光の柱を生み出しながら上空を浮かび始める。

その光景を見たステージ2は危険を感じ取った。

「罠発動。《ゴッドバードアタック》。私のフィールドの鳥獣族モンスター1体をリリースし、フィールド上のカード2枚を破壊する」

《ハーピィ・レディ1》が炎に包まれ、青い光の柱に向けて突撃しようとするが、《C.C.ピクシス》の羅針盤が回転するとともに発生した波紋が炎と《ハーピィ・レディ1》を消滅させる。

「何!?」

「《C.C.ピクシス》のペンデュラム効果。僕のフィールドにC.C.リンクモンスターが存在するとき、ペンデュラムゾーンに存在するC.C.はカード効果では破壊されない!星をつなげ、ペンデュラム!空に神話と伝説を刻め!ペンデュラム召喚!現れろ!!」

誠の頭上に天の川が出現し、その中から純白の体で、背中から光でできた翼を生やしている黒い瞳のドラゴンが姿を現す。

「幾多の星々の繋がりを調和する番人!《C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン》!」

 

C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン レベル7 攻撃2500(2)

 

「《ハーピィ・レディ1》がいなくなったことで、君の2体のモンスターの攻撃力はダウン!」

 

ハーピィズペット竜 レベル7 攻撃2900→2300(1)

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃2200→1900(EX1)

 

「そして、《ミルキーウェイ・ドラゴン》の効果発動!このカードのペンデュラム召喚に成功したとき、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの数だけ、デッキの上からカードを墓地へ送る。そして、墓地へ送ったカードの数だけ、このカードの上にスターカウンターを乗せる。スターライト・チャージ!」

《C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン》の咆哮と共に2つの白い光が彼の周囲を旋回し、上空の星々が光り始める。

 

デッキから墓地へ送られたカード

・C.C.ハウンドドッグ

・聖なるバリア-ミラーフォース

 

C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン レベル7 スターカウンター0→2

 

「バトル!《ミルキーウェイ・ドラゴン》で《ハーピィ・コンダクター》を攻撃!このカードが相手の特殊召喚されたモンスターを攻撃するとき、そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にし、攻撃力を半分する!スターライト・メガフレア!」

《C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン》の口から発射される光の奔流が《ハーピィ・コンダクター》を押し流し、消滅させる。

「そして、《ミルキーウェイ・ドラゴン》の効果。1ターンに1度、このカードがC.C.リンクモンスターのリンク先に存在する状態で相手モンスターを戦闘で破壊したとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

ハーピィ・コンダクター リンク2 攻撃1900→950(EX1)

 

ステージ2

LP4000→2450→550

 

「そして、《ミルキーウェイ・ドラゴン》の効果。このカードが特殊召喚されたモンスターを戦闘で破壊したとき、スターカウンターを1つ取り除くことで、そのモンスターよりも元々の攻撃力が低いモンスター1体を相手の墓地から攻撃表示で特殊召喚できる。僕は《ハーピィ・チャネラー》を君の墓地から特殊召喚!」

白い光の1つがステージ2のデュエルディスクの中へ消えていく。

そして、その中から《ハーピィ・チャネラー》がフィールドに出現する。

 

ハーピィ・チャネラー レベル4 攻撃1400(3)

 

「そして、《ミルキーウェイ・ドラゴン》は特殊召喚された相手モンスターに対して、続けて攻撃することができる。その効果を使用したターン、このカード以外の僕のモンスターは攻撃できない!」

「…!!」

「《ミルキーウェイ・ドラゴン》で《ハーピィ・チャネラー》を攻撃!スターライト・メガフレア・セカンド!」

《C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン》が再び光の奔流を発射し、それを受けた《ハーピィ・チャネラー》がが消滅する。

そして、光の奔流はステージ2を飲み込んでいった。

 

ステージ2

LP550→0

 

C.C.ミルキーウェイ・ドラゴン

レベル7 攻撃2500 守備2100 闇属性 機械族

【Pスケール:青4/赤4】

このカード名の(1)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在する場合、Pゾーンに存在するこのカードを破壊することで発動できる。デッキからレベル4以下の「C.C.」モンスター1体を手札に加える。この効果を発動したターン、自分は「C.C.」以外のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

【モンスター効果】

このカードは自分Pゾーンに「C.C.」カードが存在する場合にのみP召喚できる。

このカード名の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードのP召喚に成功したときに発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、墓地へ送ったカードの数だけこのカードの上にスターカウンターを乗せる。

(2):このカードが特殊召喚されたモンスターを攻撃するときに発動する。攻撃対象となったモンスターの効果はターン終了時まで無効化され、攻撃力が半分となる。

(3):このカードが特殊召喚されたモンスターを戦闘で破壊したとき、このカードの上に乗っているスターカウンターを1つ取り除くことで発動できる。相手の墓地からそのモンスターよりも元々の攻撃力が低いモンスター1体を相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚する。その後、このカードは特殊召喚された相手モンスターに続けて攻撃することができる。この効果は自分フィールドのほかのモンスターが攻撃したターン、発動できない。また、この効果を発動したターン、このカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。

(4):1ターンに1度、「C.C.」リンクモンスターのリンク先に存在するこのカードが相手モンスターを戦闘で破壊したときに発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

C.C.ピクシス

レベル5 攻撃1600 守備2000 光属性 機械族

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分フィールドに「C.C.」リンクモンスターが存在する場合、自分Pゾーンに存在する「C.C.」カードは相手の効果によって破壊されない。

(2):もう片方の自分Pゾーンに存在するカードが「C.C.」以外のカードの場合、自分はP召喚を行えない。この効果は無効化されない。

【モンスター効果】

(1):相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):通常召喚されたこのカードが「C.C.」リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送られたときに発動する。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

C.C.コンパス

レベル4 攻撃1800 守備500 闇属性 機械族

【Pスケール:青8/赤8】

(1):自分フィールドの「C.C.」Pモンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊されたときに発動できる。Pゾーンに存在するこのカードを自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

【モンスター効果】

このカード名の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分がこのカードを素材として「C.C.」リンクモンスターのリンク召喚に成功したとき、自分メインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。EXデッキに表側表示で存在するこのカードを自分Pゾーンに置く。その後、相手フィールドに「C.C.コンパストークン」1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。

 

C.C.コンパストークン

レベル4 攻撃1800 守備1800 闇属性 機械族

「C.C.コンパス」の効果で特殊召喚される。

このカードはリンク召喚のための素材にすることができず、アドバンス召喚のためにリリースすることはできない。


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