「はあ、はあ、はあ…」
サーフボードから降り、息を整えながら誠は路上に落ちたステージ2に近づいていく。
デュエルと落下によるダメージのせいか、ボロボロで動く様子もない。
誠の手には白いカードが出現していて、そのカードの中に憑依していた精霊、《ハーピィ・レディ1》が吸収されていく。
倒れているのは同じ市内の高校の制服を着ている女子高生だった。
「よし…脈も呼吸もある。大丈夫だ…」
変身を解除した誠は急いでスマホで菊岡に連絡を始める。
(あとは…あの警官がもう1体を止められるか、だな…)
「よーし、もう逃がさねえぞ!この野郎!!」
わずかに店舗と家屋があるだけで、それ以外は田畑ばかりが広がる一本道を走る徹は声を荒らげ、にらむようにステージ2を見る。
仲間の気配が消え、彼女が敗れたのだと感じたステージ2はもはやこのまま逃げるのは不可能だと考えたのか、左腕にデュエルディスクを生み出す。
「バイクに乗ったままデュエルをしようってのか!?」
「刑事殿。この状態では、スピードデュエルになると思われます。スピードデュエルの経験はお持ちでしょうか?」
「はぁ!?なんでそうなるんだよ!?」
「既にモードが選択されています」
その言葉が本当か、半信半疑になった徹はなぜか展開し始めた左腕のデュエルディスクを見る。
スピードデュエルモードとなっており、展開されるフィールドもそれに合わせたものになっている。
「刑事殿、このバイクにはデュエルディスクを取り付けることが可能です。これで、私が代わりに操縦することが可能です」
「そうか…なら、仕方ねえな…」
正直に言うと、AIだけに操縦を任せるというのには不安がある。
数年前に発生したAIのみで操縦するタクシーが起こした衝突事故が記憶に新しく、母親が脊椎損傷で意識不明となり、息子が左腕を失う重症を負ったという。
そして、その息子が原因で今自分はここに飛ばされている。
デルタがそのAIではないというのは分かっているが、少し割り切れないところがある。
しかし、今は彼を信用するしかないと思い、デュエルディスクをバイクに取り付ける。
自動的にデッキホルダーだけが外れて左腕に残り、左腕に手札用のカードホルダーが展開される。
「支給されたカードが実物、デュエルディスクがそれ対応な理由、やっとわかったぜ…いいか?事故るなよ!?」
「善処します。では、刑事殿。存分にお願いいたします」
「ああ…当然だ!」
徹
手札4
LP4000
ステージ2
手札4
LP4000
「先攻は俺がもらうぜ。俺は《神樹のパラディオン》を召喚!」
神樹のパラディオン レベル3 攻撃800(チューナー)(1)
「現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は《マギアス・パラディオン》以外のパラディオン1体。俺は《神樹のパラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク1!《マギアス・パラディオン》!」
マギアス・パラディオン リンク1 攻撃100(EX1)
「そして、このカードはリンクモンスターのリンク先になるように手札から特殊召喚できる。《星辰のパラディオン》を特殊召喚!」
星辰のパラディオン レベル4 守備2000(1)
「《星辰のパラディオン》の効果!このカードがリンクモンスターのリンク先に召喚・特殊召喚に成功したとき、墓地から《星辰のパラディオン》以外のパラディオン1枚を手札に戻すことができる。俺は《神樹のパラディオン》を手札に戻す。そして、《マギアス・パラディオン》の効果。こいつのリンク先に効果モンスターが特殊召喚されたとき、デッキからパラディオンモンスター1体を手札に加えることができる。俺は《天穹のパラディオン》を手札に加える。再び現れろ!犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はパラディオンを含む効果モンスター2体。俺は《マギアス・パラディオン》と《星辰のパラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2!《レグレクス・パラディオン》!」
レグレクス・パラディオン リンク2 攻撃1000(EX1)
「そして、《レグレクス・パラディオン》のリンク先に《天穹のパラディオン》を特殊召喚!こいつも《星辰のパラディオン》と同じ方法で特殊召喚できる!」
天穹のパラディオン レベル4 守備1000(1)
「そして、《レグレクス・パラディオン》の効果。このカードのリンク先に効果モンスターが特殊召喚されたとき、デッキからパラディオン魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。俺はデッキから《クルセイド・パラディオン》を手札に加える。現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスターを含む効果モンスター2体以上!俺は《レグレクス・パラディオン》と《天穹のパラディオン》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク3!《アークロード・パラディオン》!」
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000(EX1)
「そして、《アークロード・パラディオン》のリンク先に《神樹のパラディオン》を特殊召喚!」
神樹のパラディオン レベル3 守備1800(チューナー)(2)
「《アークロード・パラディオン》の攻撃力はこのカードのリンク先のモンスターの元々の攻撃力分アップする」
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000→2800(EX1)
「そして、カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」
徹
手札4→1
LP4000
場 アークロード・パラディオン(リンク先:《神樹のパラディオン》) リンク3 攻撃2800(EX1)
神樹のパラディオン(《アークロード・パラディオン》の影響下) レベル3 守備1800(チューナー)(2)
伏せカード2(2)(3)
(伏せカード、または手札のいずれか1枚《クルセイド・パラディオン》)
ステージ2
手札4
LP4000
場 なし
「私のターン…ドロー…」
ステージ2はハンドルを手放し、両足だけで体を支えながらカードを手に取り、ドローする。
ステージ2
手札4→5
「相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、《TGストライカー》は手札から特殊召喚できる」
TGストライカー レベル2 攻撃800(チューナー)(1)
「そして、レベル4以下のモンスターが特殊召喚されたことで、手札から《TGワーウルフ》を特殊召喚」
TGワーウルフ レベル3 攻撃1200(2)
「更に、手札から《TGラッシュ・ライノ》を召喚」
TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1600(3)
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2800→4400(EX1)
《アークロード・パラディオン》のリンク先にモンスターが召喚されたことで、《アークロード・パラディオン》の攻撃力がアップする。
しかし、ステージ2のフィールドにはチューナーを含む3体のモンスターが並び、リンク召喚もシンクロ召喚もできる状態だ。
脳裏に浮かぶのは彼女が唯一リンク召喚したモンスター、《TGトライデント・ランチャー》だ。
しかし、スピードデュエルの都合上、《TGトライデント・ランチャー》のリンク先は実質2つまでしかない。
(《TGトライデント・ランチャー》はリンク召喚に成功したとき、手札・デッキ・墓地からTGを1体ずつ特殊召喚できる効果がある。だが、それはこいつのリンク先でなければならない。リンク先が2つしか得られないスピードデュエルでそんな芸当はできないはずだがな…)
「現れろ、神へ導く未来回路。アローヘッド確認。召喚条件は…」
「別のリンクモンスターを召喚するつもりか…?だが、どんな…」
「召喚条件はチューナー1体以上を含むモンスター2体。私は《ストライカー》と《ワーウルフ》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚。現れて、リンク2、《水晶機巧-ハリファイバー》」
青白い装甲で関節部や背中から複数の水晶を生やしている人型機械がサーキットの中から飛び出す。
両足に水晶でできたローラーシューズが展開され、それでステージ2の追走する。
水晶機巧-ハリファイバー リンク2 攻撃1500(EX2)
「新しいリンクモンスター…やっぱり、リンクモンスターは1つだけじゃなかったか!」
「《ハリファイバー》の効果、このカードのリンク召喚に成功したとき、手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を特殊召喚できる。私はデッキから《TGタンク・ラーヴァ》を特殊召喚する」
TGタンク・ラーヴァ レベル1 攻撃0(チューナー)(1)
(このままいけば、ここから召喚してくるのは《ハイパー・ライブラリアン》か《パワー・グラディエーター》…」
どちらも攻撃力は今の《アークロード・パラディオン》には及ばない。
しかし、まだ彼女の手札は1枚残っており、それを使って攻撃力を上げてくる可能性がある。
(だが、こいつがフィールドにあることは分かっているだろう…)
伏せカードの1枚は《クルセイド・パラディオン》、前回のデュエルでも使っているカードだ。
その効果を使って、フィールドの《神樹のパラディオン》を《星遺物-『星槍』》に入れ替えることで、《アークロード・パラディオン》の攻撃力を5000まで上げることができる。
そして、攻撃対象はそのパワーアップした《アークロード・パラディオン》に限定される。
「一度戦ったとはいえ、それでも彼女のデッキのすべてを知ったということにはなりません。まだ我々の知らない力を隠し持っていると考えられます」
「かもな…」
「レベル4の《ラッシュ・ライノ》にレベル1の《タンク・ラーヴァ》をチューニング。シンクロ召喚。現れろ、《TGワンダー・マジシャン》」
TGワンダー・マジシャン レベル5 攻撃1800(チューナー)(2)
「《ワンダー・マジシャン》の効果。このカードのシンクロ召喚に成功したとき、フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊できる。私は伏せカードを破壊」
《TGワンダー・マジシャン》が手から放つ緑色の光の弾丸が徹の2番目の伏せカードに着弾し、爆発とともに消滅させる。
破壊された伏せカード
・次元幽閉
破壊された伏せカードを墓地へ送り、徹はほっと一息つく。
危うく《クルセイド・パラディオン》を破壊されかけた。
しかし、シンクロチューナーである《TGワンダー・マジシャン》を召喚してきたことは気になった。
「《ハリファイバー》には相手ターンのメインフェイズ時、またはバトルフェイズ時に自らを除外することで、エクストラデッキからシンクロ・チューナー1体をシンクロ召喚扱いで特殊召喚できる効果があります。そして、基本的にシンクロチューナーは相手ターンに…」
「分かっている!前のデュエルで見た…」
《TGワンダー・マジシャン》は相手ターンのメインフェイズ時にシンクロ召喚を行う効果を持っている。
その効果を考えると、《水晶機巧-ハリファイバー》の効果で特殊召喚したうえで、シンクロ召喚を行う方が普通だ。
だが、その効果を使わずに召喚したということは、何か別の思惑があると考えた方がいいだろう。
「《タンク・ラーヴァ》の効果。このカードがTGシンクロモンスターのシンクロ素材として墓地へ送られたとき、自分フィールドに《TGトークン》1体を攻撃表示で特殊召喚できる」
TGトークン レベル1 攻撃0(1)
「現れて、神へ導く未来回路」
「ここからまたリンク召喚か…!?」
「リンク召喚!?シンクロ召喚じゃないってのか??」
上空に再び現れたサーキットを見て、徹は息をのむ。
もうすでに、前回のデュエルとは全く違う展開になっていく。
「アローヘッド確認。召喚条件はシンクロチューナーを含むモンスター2体以上。私は《ワンダー・マジシャン》、《ハリファイバー》、《TGトークン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン」
スピードデュエルでは難易度の高いリンク4以上のリンク召喚。
何が召喚されるのか、今の徹には想像もつかない。
「リンク召喚。風を切り裂き、スピードを制する王、リンク4、《TGフォーミュラー・ドラゴン》」
赤をベースとしたフォーミュラカーがサーキットから出現する。
そして、変形してV字型バックパック、3本指のマニピュレーター2本を左右につけた機械のドラゴンとなる。
TGフォーミュラー・ドラゴン リンク4 攻撃2800(EX2)
「見たことのないリンクモンスターだな…」
「警戒してください。攻撃力だけを見ると、今の《アークロード・パラディオン》と互角です」
「《フォーミュラー・ドラゴン》の効果。このカードのリンク召喚に成功したとき、墓地からシンクロモンスターを含むTGを2体まで守備表示で特殊召喚できる。《ワンダー・マジシャン》、《ワーウルフ》を特殊召喚」
《TGフォーミュラ・ドラゴン》が上空に向けて咆哮し、2つのチューニングリングが出現する。
そして、その中から《TGワンダー・マジシャン》と《TGワーウルフ》が飛び出してくる。
TGワンダー・マジシャン レベル5 攻撃1800(チューナー)(1)
TGワーウルフ レベル3 攻撃1200(2)
「レベル3の《ワーウルフ》とレベル5の《ワンダー・マジシャン》をチューニング。シンクロ召喚。現れろ、レベル8。《スクラップ・ドラゴン》」
スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800(2)
「そして、《フォーミュラー・ドラゴン》の効果。このカードのリンク先にモンスターがシンクロ召喚されたとき、このカードの上にフォーミュラーカウンターを1つ乗せる」
TGフォーミュラー・ドラゴン リンク4 フォーミュラーカウンター0→1(EX2)
「《スクラップ・ドラゴン》の効果。1ターンに1度、お互いのフィールドのカードを1枚ずつ破壊できる。私は《フォーミュラー・ドラゴン》と《アークロード・パラディオン》を破壊」
「何!?」
《スクラップ・ドラゴン》の口から放たれる竜巻が2体のリンクモンスターを襲う。
「仕方ねえか…俺は罠カード《クルセイド・パラディオン》を発動!1ターンに1度、フィールドのパラディオン、または星遺物モンスター1体をリリースし、デッキ・墓地から別のパラディオンまたは星遺物モンスター1体を特殊召喚する。俺は《アークロード・パラディオン》をリリースし、《星遺物-『星槍』》を特殊召喚!」
竜巻に巻き込まれそうになった《アークロード・パラディオン》が《クルセイド・パラディオン》が生み出す紫色の渦の中に消えていき、交代で《星遺物-『星槍』》が出現する。
星遺物-『星槍』 レベル8 攻撃3000(1)
「これで、《スクラップ・ドラゴン》の効果で破壊されるのは《フォーミュラー・ドラゴン》だけだ!」
「フォーミュラーカウンターが1つ以上乗っている《フォーミュラー・ドラゴン》はカード効果では破壊されない」
「何!?」
竜巻に飲まれたはずの《TGフォーミュラー・ドラゴン》が無傷な姿を徹に見せつける。
「そして、スキル発動。プレイバック・シンクロ。私のフィールドのシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻し、墓地からチューナーを含むモンスターを2体以上、合計がそのモンスターのレベルと同じになるように特殊召喚する。ただし、この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターン、攻撃できない。私は《スクラップ・ドラゴン》をエクストラデッキに戻し、《TGタンク・ラーヴァ》、《TGワーウルフ》、《TGラッシュ・ライノ》を墓地から特殊召喚」
TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1800(1)
TGタンク・ラーヴァ レベル1 攻撃0(チューナー)(2)
TGワーウルフ レベル3 攻撃1200(3)
「くそ…《スクラップ・ドラゴン》の効果は1ターンに1度だが、1度フィールドに戻ってまた出たとなったら…」
「それだけではありません。再びシンクロ召喚を行うことで、フォーミュラーカウンターが1つ追加されます。カウンターが増えれば増えるほど、あのモンスターの効果が追加される可能性が大です」
《アークロード・パラディオン》を退場させられただけでなく、まだまだ展開しようとする彼女に徹は舌打ちする。
TGが次々とシンクロ召喚できるデッキであり、それを妨害できるカードが今の徹にはない以上、ここからの動きを指をくわえてみているしかない。
「レベル4の《ラッシュ・ライノ》にレベル1の《タンク・ラーヴァ》をチューニング。シンクロ召喚。レベル5、《TGスター・ガーディアン》」
TGスター・ガーディアン レベル5 守備2200(チューナー)(2)
TGフォーミュラー・ドラゴン リンク4 フォーミュラーカウンター1→2(EX2)
「《スター・ガーディアン》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功したとき、墓地のTG1体を手札に加える。私は《タンク・ラーヴァ》を手札に戻す」
「待て、ここで俺は《星遺物-『星槍』》の効果発動!エクストラデッキからモンスターが特殊召喚されたとき、お互いのフィールドに星遺物トークン1体を特殊召喚する」
星遺物トークン×2 レベル1 守備0 徹(3) ステージ2(1)
《星遺物トークン》が召喚されたことでフィールドが埋まり、ステージ2は《TGスター・ガーディアン》の効果で《TGタンク・ラーヴァ》を特殊召喚することができなくなった。
だが、これはあくまで気休めでしかない。
「レベル3の《ワーウルフ》にレベル5の《スター・ガーディアン》をチューニング。シンクロ召喚。レベル8。《スクラップ・ドラゴン》」
スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800(2)
TGフォーミュラー・ドラゴン リンク4 フォーミュラーカウンター2→3(EX2)
「《スクラップ・ドラゴン》の効果発動。《フォーミュラー・ドラゴン》と《星遺物-『星槍』》を破壊。《フォーミュラー・ドラゴン》はフォーミュラーカウンターが1つ以上乗っているため、カード効果では破壊されない」
再び現れた《スクラップ・ドラゴン》が放つ竜巻だが、それを受けてもなお《TGフォーミュラー・ドラゴン》は無傷だった。
逆に《星遺物-『星槍』》は竜巻によってばらばらに吹き飛ばされていく。
「ぐうう…」
「《フォーミュラー・ドラゴン》にフォーミュラーカウンターが3つ以上存在するとき、自分フィールドのシンクロモンスターの攻撃力はフォーミュラーカウンター1つにつき、500アップする」
スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800→4300(2)
「そして、フォーミュラーカウンターが2つ以上存在するとき、このカードとこのカードのリンク先のシンクロモンスターは戦闘では破壊されない」
「ぐう…!」
1ターン目からここまで動かれるのを許した上に、攻撃力4300のモンスターの召喚まで許してしまった己のうかつさを呪う。
それも、スキルを使ったとはいえ実質手札消費2枚で行っている。
もし、フィールドに《星遺物トークン》がいなかったら、このまま攻撃力2800の《TGフォーミュラー・ドラゴン》で《神樹のパラディオン》を戦闘破壊され、攻撃力4300の《スクラップ・ドラゴン》でダイレクトアタックされて、徹のライフは尽きていた。
「カードを2枚伏せ、バトル…《フォーミュラー・ドラゴン》で《神樹のパラディオン》を攻撃…」
《TGフォーミュラー・ドラゴン》の口から鎌鼬が発射され、それで切り裂かれた《神樹のパラディオン》が消滅する。
「そして、《スクラップ・ドラゴン》で《星遺物トークン》を攻撃。」
更に追撃の竜巻が《星遺物トークン》を薙ぎ払い、徹のフィールドを丸裸にする。
「私はこれで、ターンエンド…」
徹
手札1
LP4000
場 クルセイド・パラディオン(永続罠)(2)
ステージ2
手札4→0
LP4000
場 スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃4300(2)
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
TGフォーミュラー・ドラゴン(リンク先:《スクラップ・ドラゴン》) リンク4 攻撃2800
伏せカード2
「くそ…ライフが削られるのはどうにかなったが、攻撃力4300と2800だって…?ふざけるのも大概にしてくれよ!」
手札はたった1枚で、フィールドに残っているのは《クルセイド・パラディオン》1枚のみ。
《スクラップ・ドラゴン》が存在する限り、ステージ2は実質1ターンに1度、ノーリスクで徹のフィールドのカードを破壊できるということになる。
「刑事殿、冷静に、です。冷静さが大切です」
「黙ってろ!俺のターン、ドロー!」
徹
手札1→2
「このカードは…リンクモンスターのリンク先となる俺のフィールド上に守備表示で特殊召喚できる。《星遺物-『星冠』》を特殊召喚」
紫色の水晶でできた冠が徹のフィールドに現れる。
星遺物-『星冠』 レベル6 守備2000(3)
「こいつは、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが効果を発動したとき、自身をリリースすることでその発動を無効にし、破壊できる」
《スクラップ・ドラゴン》の破壊効果をこれで牽制できるものの、守備力2000では簡単に戦闘破壊されてしまう。
おまけに、攻撃力4300となった《スクラップ・ドラゴン》を止めることができず、徹の負けが決まってしまう。
「そして、俺は手札から魔法カード《光の護封剣》を発動」
発動と同時に、光の剣が徹の背後から次々と出現し、剣先はすべてステージ2とステージ2のモンスターたちに向けられる。
「これで…お前は3ターンの間攻撃できない。ターンエンド」
徹
手札2→0
LP4000
場 星遺物-『星冠』 レベル6 守備2000(3)
光の護封剣(通常魔法カード 残り3ターン)(1)
クルセイド・パラディオン(永続罠)(2)
ステージ2
手札0
LP4000
場 スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃4300(2)
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
TGフォーミュラー・ドラゴン(リンク先:《スクラップ・ドラゴン》、《星遺物-『星冠』》) リンク4 攻撃2800
伏せカード2(1)(2)
「おい…デルタ。俺のスキルっていうのは、この…オルフェンズ・パラディオンでいいんだよな?」
「はい。効果のご説明を…」
「いい。分かってる。その返事だけで十分だ」
手札がない徹のフィールドに残る2枚のカード。
これらが今の彼の生命線。
勝敗を分ける分岐点となる。
「私のターン、ドロー」
ステージ2
手札0→1
「罠発動。《TGX3-DX2》。墓地のTG3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする」
ステージ2
手札1→3
墓地からデッキに戻ったカード
・TGワンダー・マジシャン
・TGスター・ガーディアン
・TGストライカー
「そして、手札から《TGラッシュ・ライノ》を召喚」
TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1600(1)
「更に手札から速攻魔法《TGX1-HL》を発動。私のフィールドのTG1体の攻撃力・守備力を半分にし、フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊する。《光の護封剣》を破壊」
発動したばかりの《光の護封剣》が消滅し、動けなくなっていたはずの2体のモンスターが再び攻撃可能となる。
《TGラッシュ・ライノ》の能力値が半分になったおかげで、《TGフォーミュラー・ドラゴン》の能力値には何も影響がない。
TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1600→800(1)
「バトル。《フォーミュラー・ドラゴン》で《『星冠』》を攻撃」
《TGフォーミュラー・ドラゴン》のブレスが鎌鼬となって、《星遺物-『星冠』》を襲う。
「俺は《クルセイド・パラディオン》の効果発動!《『星冠』》をリリースし、《『星槍』》を特殊召喚!」
《クルセイド・パラディオン》が生み出す渦が再び《星遺物-『星槍』》が現れ、徹の盾となる。
自分よりも高い攻撃力を持つモンスターが現れたことで、《TGフォーミュラー・ドラゴン》は攻撃を中断する。
星遺物-『星槍』 レベル8 攻撃3000(1)
「《スクラップ・ドラゴン》で《『星槍』》を攻撃…」
しかし、より攻撃力の高い《スクラップ・ドラゴン》のブレスが《星遺物-『星槍』》を再びスクラップに変えていく。
そして、攻撃の余波が徹を襲い、大きくバランスを崩す。
「うわああああ!!」
「刑事殿、耐えてください。ただいま、体勢を立て直します」
徹
LP4000→2700
「私はこれで、ターンエンド」
徹
手札0
LP2700
場 クルセイド・パラディオン(永続罠)(2)
ステージ2
手札3→1
LP4000
場 TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃900(1)
スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃4300(2)
星遺物トークン レベル1 守備0(3)
TGフォーミュラー・ドラゴン(リンク先:《スクラップ・ドラゴン》、《星遺物-『星冠』》) リンク4 攻撃2800
伏せカード1(1)
「はあ、はあ…」
《光の護封剣》も《星遺物-『星槍』》も失い、またフィールドは《クルセイド・パラディオン》1枚だけになった。
手札も0で、このままでは敗北なのは誰が見ても明らかだ。
次にドローするカード、そして残された自分のスキルが勝敗を分けるだろう。
「俺のターン、ドロー!!」
徹
手札0→1
「よし…!俺は手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動!俺のフィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする!そして、俺はスキル、オルフェンズ・パラディオンを発動!」
「オルフェンズ・パラディオンは自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドにエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが存在するときに発動できるスキルです。リンクモンスターを含む墓地のモンスター2体以上をデッキに戻し、エクストラデッキからパラディオンリンクモンスター1体をリンク召喚します」
「お前が言うんじゃねえよ!現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はパラディオンを含む効果モンスター2体。俺は《天穹のパラディオン》と《レグレクス・パラディオン》をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、リンク2!《ヴェルスパーダ・パラディオン》!」
ヴェルスパーダ・パラディオン リンク2 攻撃500(EX1)
「更に、《クルセイド・パラディオン》の効果!《ヴェルスパーダ・パラディオン》をリリースし、墓地から《アークロード・パラディオン》を特殊召喚!」
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000(3)
「《アークロード・パラディオン》はリンク先のモンスターの元々の攻撃力分アップする。リンク先に存在するのは《フォーミュラー・ドラゴン》。よって、攻撃力は2800アップだ!」
アークロード・パラディオン リンク3 攻撃2000→4800(3)
「罠発動。《リンク・トリガー》。フィールド上の相互リンク状態のリンクモンスターの数だけ、フィールドのカードを破壊する」
ステージ2のフィールドに2発の弾丸が入ったリボルバーが出現し、徹のフィールドに向けて2発の銃弾が発射される。
「俺は墓地の《神樹のパラディオン》の効果を発動!こいつを除外することで、俺のフィールドのパラディオンを破壊から守る!」
《神樹のパラディオン》の幻影が銃弾を1発受け止めて消滅する。
しかし、もう1発の弾丸は《TGラッシュ・ライノ》を貫き、消滅させる。
「俺は《審判のパラディオン》を召喚…」
額に天秤が描かれた宝石を埋め込まれている、銀色の鱗をした四本脚のドラゴンが現れる。
審判のパラディオン レベル4 攻撃2000(2)
「通常召喚に成功した《審判のパラディオン》の効果。こいつをリリースすることで、墓地からパラディオンリンクモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚できる。その効果で特殊召喚されたモンスターの元々の攻撃力は2000になる!」
《審判のパラディオン》の宝石が光り、その光の中から《マギアス・パラディオン》が飛び出す。
マギアス・パラディオン リンク1 攻撃100→2000(2)
「バトルだ!《アークロード・パラディオン》で《フォーミュラー・ドラゴン》を攻撃!アークロード・ブレイク!」
《アークロード・パラディオン》が手にしている剣を天に掲げた後で下半身の馬を走らせる。
そして、《TGフォーミュラー・ドラゴン》に切りかかるが、その刃はドラゴンの体を切り裂くことができず、逆に剣が折れてしまう。
ステージ2
LP4000→2000
「何!?」
「フォーミュラーカウンターが2つ以上乗っている《フォーミュラー・ドラゴン》、そしてそのモンスターのリンク先のシンクロモンスターは戦闘では破壊されない…」
強化するだけでなく、戦闘破壊から守る能力まで持つ《TGフォーミュラー・ドラゴン》。
フォーミュラーカウンターを2つ以上乗せたことで、戦闘でも効果でも破壊されないモンスターへと変貌した。
だが、それは落とし穴にもなりえる。
「刑事殿、今です!」
「俺は墓地の《審判のパラディオン》の効果発動!俺のターンのバトルフェイズ中、俺のフィールドに存在するモンスターがパラディオンリンクモンスターだけの時、このカードを墓地から除外することで、俺のフィールドのリンクモンスターを素材にリンク召喚を行うことができる!現れろ、犯罪者を捕らえるサーキット!」
上空にサーキットが出現し、その中に《審判のパラディオン》の幻影が飛び込んでいく。
「アローヘッド確認!召喚条件は攻撃力2000以上のリンクモンスター2体以上!俺は《アークロード・パラディオン》と《マギアス・パラディオン》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!!真実を見極め、罪と罰を図る瞳。リンク4、《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》!!」
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン リンク4 攻撃3000(EX1)
「《ジャッジアイズ》…」
ステージ2の目の前に再び現れる、デルタが生み出したと思われる奇妙なドラゴン。
それが彼女に引導を渡す。
「《審判のパラディオン》の効果発動!こいつの効果でリンク召喚されたモンスターがジャッジアイズの場合、ターン終了時まで攻撃力をリンク素材としたモンスターのリンクマーカーの数×500アップさせる!素材となったモンスターのリンクマーカーの合計は4!」
ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン リンク4 攻撃3000→5000(EX1)
「攻撃力…5000…」
「《ジャッジアイズ》で《フォーミュラー・ドラゴン》を攻撃!もう邪魔は入らないな!!覚悟しろ!!審判のリブラ・ストリーム!!」
《ジャッジアイズ・パラディオン・ドラゴン》に刻まれている天秤が光り、口から白と黒がらせん状に混ざり合ったブレスが発射される。
ブレスを受けた《TGフォーミュラー・ドラゴン》は消滅しないものの、余波は容赦なくステージ2を襲った。
「ああああああ!!」
ステージ2
LP2000→0
TGフォーミュラー・ドラゴン
リンク4 攻撃2800 リンク 地属性 ドラゴン族
【リンクマーカー:上/左/右下/左下】
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードのリンク召喚に成功したとき、自分の墓地に存在するSモンスターを含む「TG」モンスター2体を対象に発動する。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
(2):このカードのリンク先にSモンスターがS召喚されたとき、このカードの上にフォーミュラーカウンターを1つ乗せる。
(3):このカードは乗っているフォーミュラーカウンターの数によって、以下の効果を得る。
●1つ以上:このカードは効果では破壊されない。
●2つ以上:このカードとこのカードのリンク先に存在するSモンスターは戦闘では破壊されない。
●3つ以上:自分フィールドのSモンスターの攻撃力はこのカードの上に乗っているフォーミュラーカウンターの数×500アップする。
リンク・トリガー
通常罠カード
このカード名のカードの効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):フィールド上にリンクモンスターがリンク召喚されたときに発動できる。相互リンク状態のリンクモンスターの数だけフィールド上のカードを破壊する。
審判のパラディオン
レベル4 攻撃2000 守備0 効果 光属性 ドラゴン族
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
(1):通常召喚されたこのカードをリリースし、自分の墓地に存在する「パラディオン」リンクモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、元々の攻撃力は2000となる。
(2):バトルフェイズ中、自分フィールドに存在するモンスターが「パラディオン」リンクモンスターのみの場合、自分の墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。自分フィールドのリンクモンスターを素材に「パラディオン」リンクモンスターのリンク召喚を行う。この効果でリンク召喚されたモンスターが「ジャッジアイズ」リンクモンスターの場合、そのモンスターの攻撃力はターン終了時までリンク素材としたモンスターのリンクマーカーの数×500アップする。
攻撃を受けたステージ2はバイクから放り出され、路上で転がる。
バイクを止めた徹はデュエルディスクを左腕に装着し、彼女の元へ走る。
「はあ、はあ…てこずらせがって…」
「ステージ2の無力化、確認。これより、憑依している精霊を回収します」
「回収って…どうやって!?」
デュエルディスクのモニター部分が勝手に光りはじめ、その光がステージ2を包んでいく。
ステージ2の姿はやがて人間に戻り、光が消えると、モニターには《TGワンダー・マジシャン》が表示される。
「こいつが…あの子に憑依していたのか?」
「肯定です。これで、彼女は精霊から解放されることになります」
「よく、分からないな…」
徹は倒れている少女の脈と呼吸を確かめる。
意識は失っているものの、外傷もないうえに命に別状はなさそうだ。
100キロ以上スピードが出ているバイクから投げ出されたのに無傷というのは皮肉にも、精霊に憑依されたおかげかもしれない。
「谷村さん!!」
デュエルボードに乗った誠が谷村に声をかけ、路上へ飛び降りる。
「お前…無事でよかったぜ」
誠の姿を見た徹は安心したのか、口元を緩ませる。
「ったく、情けないな…民間人で、しかも子供に大人で警察官の俺が助けられ…」
「竹宮さん!!」
「おい、無視するな…って、何だ?その竹宮って女の子…」
変身を解除し、琴音に駆け寄る誠に徹は目を丸くする。
それを肯定するかのように、徹に顔を向けた誠は首を縦に振る。
「まさか、身近な人間がステージ2になるなんてな…」
「誰でもステージ2になる可能性があります。それより、刑事殿。まずは病院に連絡を入れる必要があると考えられます」
「そ、そうだな!」
徹は急いで小沢と病院に連絡する。
指示は救急車と小沢達のいるトレーラーが到着するまで待機ということになった。
「竹宮さん…本当にステージ2になっていたなんて…」
「もうこいつからは精霊の気配は感じられない。ちっ…横取りされた気分だぜ」
結局、《ハーピィ・レディ1》のステージ2からは自分の記憶の手掛かりを得られなかったシャドーは不満げだった。
「人の手で作られた精霊…というべきか」
上空から誠達を仮面の男が見ている。
彼の手には《TGワンダー・マジシャン》と《ハーピィ・レディ1》を含めた十数枚のモンスターカードが握られ、唯一露出している口元が緩む。
「まだだ…結城誠。貴様が目覚めない限り、私は使命を果たすことができないのだから…」