再開朝鮮戦争 日本の受難   作:ヤマト2015

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お久しぶりです。
夏の繁忙期やらぎっくり腰やらで遅くなりました。
それではどうぞ。


第2話

10月25日

 

朝鮮半島東側沖 日本第一艦隊旗艦 大和艦橋

 

見張り員「補給艦間宮および伊良湖視認!艦隊右側1時の方向に接近!」

 

杉田「減速第1戦速、針路維持‼」

 

航海員「第1戦速に減速、針路そのまま!」

 

秋山「舞鶴からの補給艦が到着しましたね。」

 

東郷「補給隊も各艦隊に引っ張りだこ状態で大忙しだろうな。」

 

 

北朝鮮が韓国へ侵攻してから8日、北朝鮮は韓国の領土の1/3を手中にするところまで迫っていた。

韓国側は初期に総司令部のある首都ソウルを攻撃されたことにより組織的な防衛が出来ず各地で敗走していた。

在韓米軍も指揮機能こそ喪失しなかったものの、完全な奇襲に加え、圧倒的な物量に押され撤退を余儀なくされていた。

韓国が海軍の拡張を始めたころに在韓米軍は規模を縮小しており、それが裏目に出てしまっていた。

北朝鮮はかつて3日でソウルを火の海にすることができると豪語していたがそれが正に現実のものとなったのである。

一方、この事態を受けてアメリカ政府は北朝鮮を非難、武力行使も辞さないと声明を発表した。日本もこれに追従するかたちで北朝鮮を非難した。

これに対し北朝鮮はそれぞれを「豚のように太った醜い国」、「金儲けしか能がないゴミ」と口撃、非難の応酬がつづいていた。

この間、国防海軍各艦隊は交代で補給を行い、万全の態勢を整えようとしていた。

 

 

見張り員「駆逐艦雪風、補給位置に入ります‼」

 

補給は最初に小型艦から行い、大型艦が最後に行うことになっている。

補給艦2隻態勢とはいえ夜を徹しての作業となる。

 

秋山「こういうときは燃料要らずの原子力艦が羨ましく思ってしまいますね…」

 

東郷「俺達には過ぎたる力さ、それにこっちの方が艦が生きてる感じがして良い。」

 

オペレーター「ですが司令官、今の我々は格好の的です。」

 

東郷と秋山の会話にオペレーターがそう懸念を口にするが艦長の杉田がそれを一喝する。

 

杉田「対空、対潜警戒を厳にだ‼僚艦の動きにも注意しろ!片時も目を離すな!」

 

オペレーター「了解!」

 

杉田「確かにおまえの言う不安も分かる。だが、その不安を容易に口にすると艦全体にそれが一気に広がる。そして最後には本来の力を出せずに敗れる原因となるのだ。気を付けるように。」

 

オペレーター「はっ!申し訳ありません。以後気を付けます‼」

 

杉田の注意にオペレーターが謝罪した。

軍艦という巨大な乗り物は一人が口にした僅かな不安も一気に広がってしまうのだ。

 

そんなやりとりが有る間も補給作業は進む。

燃料が補給されているのと並行してヘリを使って食料、弾薬の補給が行われ手空きの乗組員も補給作業を手伝っていく。

補給開始から数時間がたち。

その間に東郷達はCICへ移動し現状の確認と整理を行っていた。

 

秋山「現在、対馬北沖にて補給の完了した第三艦隊が警戒を継続中で現在まで異常はありません。また、メンテナンス中だった第四艦隊の一部艦艇が予定を繰り上げてドックから出てきており、編成が完了次第、本艦隊と合流する予定です。」

 

東郷「在日米軍の方はどうなっている?」

 

秋山「現在空母ジョージワシントンを旗艦とする第70任務部隊が佐世保沖経由で対馬沖へと航行中です。また、佐世保の第76任務部隊(揚陸艦部隊)が那覇の海兵隊を空路にて収用中で、収用完了次第、駆逐艦と合流し出航する予定です。それと、パールハーバーから空母ニミッツとカールビンソンがすでに任務部隊を率いて出港したとのことです。」

 

空母ジョージワシントンは一時、原子炉交換のため空母ロナルドレーガンと交代していたが原子炉交換が完了した後、再び横須賀に配備されていた。

 

東郷「統幕(統合幕僚監部)はなんて言って来てる?」

 

秋山「まだ何も…『引き続き警戒せよ』としか…」

 

東郷「官邸のほうもどうすれば良いか判断に迷ってるってところか…」

 

秋山「仕方ありません。韓国との紛争のさいの対応について野党と与党の一部からも批判を食らってしまいましたし、国民の中でも意見が割れていますが否定的な意見が若干大きいですから。これ以上の強行策は政権へのダメージが大きすぎるのでしょう。」

 

先の韓国との紛争(互いに宣戦布告していないため戦争とはなってない)にて日本政府は議会の報告、承認を後回しにし、国防軍による反撃を指示した。

法律上はやむを得ないときは議会の承認を得なくとも国防軍は動かすことが出来るのだが、やはりそれを良しとしない野党から政府に対して抗議と不信任決議案が提出される等、混乱が広がっていた。

その為、政府は軍へ積極的な指示を出すことが出来ず。対応が後手に回り気味であった。

 

東郷「韓国とのときは正当防衛として多少の無理はできたが、今回は他国同士の戦争だからな…手を出したくないのが本音だろうな。」

 

秋山「ですが、朝鮮半島の有事は我が国は無関係とは言えません。両国の難民がこぞって我が国へ逃げるでしょうし、その中に工作員が紛れ込んでいればどうなるかは目に見えています。」

 

東郷「こればかりは俺達にはどうしようもないさ。俺達は軍の現場の人間、政治への関与は選挙の投票意外禁じられているからな…。」

 

民主主義国家ならば現場の軍人が政治への関与はしてはならぬのが基本。許されるのは統合幕僚長ほか一握りの者のみだ。それを踏み外せばまさに今戦争を起こした国と同じになってしまう。

そういうふうなことを考えていた時。オペレーターから報告が飛び込んできた。

 

オペレーター「哨戒中の『伊勢』3号ヘリより報告!艦隊10時の方向、距離30キロ!水深200メートルに潜水艦 1!識別信号反応無し、現在音紋を解析中です!」

 

東郷「全艦、対潜戦闘用意‼」

 

間髪入れずに東郷が戦闘配置を命じた。

 

東郷「補給艦は護衛の艦と共に退避させろ!潜水艦の解析は完了したか?」

 

オペレーター「は、それが…北朝鮮の保有する潜水艦いずれのものとも合致しません。」

 

東郷「なに?間違いないのか?」

 

オペレーターから報告に再度問いただすが返ってきた返事は変わらなかった。

 

東郷「新型艦か…?秋山、どう思う?」

 

秋山「その可能性もありえますが…今の北朝鮮に新型艦を建造する余力があるとは思えません。中国の制裁強化の後も新型ミサイルの開発に当てていたほどですから…。」

 

東郷の問いに秋山は疑問の声をあげる。

 

東郷「だが、現実にこの未知の潜水艦は存在する…仮称としてこの艦をX-01とするが…秋山、この潜水艦に最も近い艦はどれだ?」

 

秋山「は、第一戦隊の駆逐艦『雪風』になります。」

 

東郷「雪風にX-1の追跡を命じる。奴がどういった反応をするかを見極める。ただし、こちらから先に攻撃はするな。」

 

秋山「了解しました。旗艦大和より雪風へ-」

 

旗艦大和からの指令を受けた駆逐艦『雪風』は取舵を切り艦隊から離れて行く。

この時、この潜水艦に散々振り回されることになるとは東郷達は思っても見なかったことだろう。

なにしろこれから接触する艦は冷戦期の遺物と言えるものだったのだから…




次話では雪風クルーの視点が中心となる予定です。
誰が艦長かはお楽しみに。
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