サザエ=サン   作:サンシタ

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◆◆◆更新な◆◆◆

◆NINJA SLAYER◆◆With◆◆サザエさん◆

◆ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション◆


#10 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション

「ドーモ、初めましてニンジャスレイヤーです」突如現れた赤黒のニンジャ、月明かりが「忍」「殺」のメンポを照らし、先程迄の喧騒は消え失せ静寂がその場を支配する、全身から(ただ)ならぬ殺意を漲らせジゴクめいた声が響く。

 

 

ヴェータラ、ピックポケット、両者共にそのニンジャの存在は知っていた、それはここ最近ネオサイタマの裏社会で囁かれるようになったアーバン・レジェンドめいた存在。

 

 

曰く、ソウカイシンジケートにたった一人で無謀な戦いを挑む狂人。

 

曰く、ニンジャを拷問し惨たらしく殺す異常者。

 

曰く、神出鬼没の死神。

 

曰く、凄まじいワザマエを持つカラテモンスター。

 

 

ニンジャスレイヤーが発するただならぬ殺気を浴びながらヴェータラとピックポケットはニンジャスレイヤーにアイサツを返す。

 

 

『…ドーモ、ニンジャ…スレイヤー……=サン、ヴェー…タラです』苦し気にアイサツを返すヴェータラ、左前足は不自然な角度に曲がり口元は血で汚れている((オムラの刺客の次はネオサイタマの死神のご登場か…まったく何て夜だ……))「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、ピックポケットです」((ニンジャスレイヤーだって?!聞いてないぞ!冗談じゃ無い!))両者それぞれの思惑を胸に三者が対峙する、奇妙な静寂、事態はトライアングル・トモエめいた膠着状態に入る。

 

 

ニンジャスレイヤーはアイサツを返した二忍を見据え、ヴェータラと名乗ったネコのニンジャに視線をやる、((ネコの……ニンジャ!))((センセイからニンジャアニマルの存在を聞いた事はあるが本当に会話が出来るとは……))ヴェータラと名乗ったニンジャは鋭い眼差しでニンジャスレイヤーを見つめている、満身創痍だが戦意は衰えてはいない、どうやらコチラを警戒しているようだ。

 

 

そしてニンジャスレイヤーはもう一人のニンジャ、ピックポケットの様子を窺う、コチラも満身創痍、全身がキャベツの千切りめいて切り刻まれ、流血により元のニンジャ装束がどのような色かさえ判別できない、右の眼球は抉り取られ虚ろな眼窩(がんか)から血が流れ続けている、残された左目は恐怖の為か視線が定まっていない、そして…そして、その左手は幼子の首根っこを乱暴に掴んで離さない、子供の年齢は3~4歳ぐらいか。

 

 

((トチノキ……))ニンジャスレイヤーは死んでしまった我が子を思い起こす、((守れなかった……身代わりになる事さえ出来なかった!))ニンジャスレイヤーの胸中に後悔、無念、悲嘆、絶望、あらゆる負の感情が巻き起こる。

 

 

そして視線の先、ピックポケットが居座るお茶の間は、失神したイソノ家の人々がマグロめいて倒れ夕食の最中だったのだろう、食器や鍋、チャブ・テーブルは倒れ家具類も破壊されている、笑顔が絶えなかったであろう一家団欒(だんらん)のひとときはニンジャによって無残に蹂躙(じゅうりん)されたのだ!

 

 

この光景はニンジャの暴威にモータルが蹂躙されるネオサイタマの縮図と言っても良いだろう、((フユコ…トチノキ……))ニンジャスレイヤーの脳裏に浮かぶものは平凡な、そして温かく幸せなフジキド家の食卓であった、たしかにカチグミの食卓のように贅沢な食事ではない、しかし誰よりも幸福であると胸を張って言える穏やかな時間、だがそれは永遠に(うしな)われた、奪われたのだ!ニンジャによって!

 

 

誰が知るだろうか、ネオサイタマの裏社会で死神の異名で恐れられている男が一年前迄は只のサラリマンであった事を、自らの全てを投げ捨て強大なソウカイシンジケート相手に過酷な戦いを続けている事を!

 

 

((ニンジャ…!ニンジャがフユコとトチノキを!))ニンジャスレイヤーのニューロンをドス黒い憎悪と殺意が満たす。

 

 

((そうだ、ニンジャがオヌシの妻子を奪ったのだ、ニンジャ殺すべし))そしてニンジャスレイヤーのニューロンに(ささや)きかける邪悪な存在あり、ナラク・ニンジャだ、古事記にも記されず、フジキドの師であるドラゴン・ゲンドーソーもその正体を掴めなかった謎のニンジャソウルである。

 

 

復讐を手伝うと(うそぶ)きニンジャとしてのチカラを与えた存在ではあるが、実際のところ彼をジョルリ人形めいて好き勝手に操り使い潰そうとする油断ならぬ相手である。

 

 

そしてニンジャを殺す為には一般市民を巻き込む事を(いと)わない、自分の目的の為なら他者を踏みにじり平然としている、ある意味典型的なニンジャと言っても過言では無いだろう。

 

 

故にニンジャスレイヤーは、フジキド・ケンジはナラクに決して心を許さない、((ググググ……両者既に死に体とは……手間が省けたものよ、まさにアブハチトラズと言うもの))((フジキドよ、先ずはそこのネコ・ニンジャから殺すのだ、彼奴(きゃつ)の動きは実際機敏、体力を回復すれば少々てこずろうぞ))((ピックポケットなるサンシタはとるに足らぬゲニンのソウルよ、ヴェータラとやらを殺した後、好きに料理するが良い……グググ…愉快、愉快))ナラク・ニンジャは愉しげに(わら)う。

 

 

((黙れ!ナラク!))ニンジャスレイヤーはナラクからの呼び掛けを拒絶する、((誰を殺すか、誰から殺すかは私が決める、オヌシの指図は受けん!))

 

 

ニンジャスレイヤーからの拒絶にナラクは((なんたる慢心!なんたる増上慢(ぞうじょうまん)!……まあ良い、サンシタ二匹に遅れをとるオヌシではあるまい、好きにせよ))そう言い捨てナラクは沈黙する。

 

 

ニンジャスレイヤーは殺意と憎悪に満ちた眼差しでピックポケットを睨み付ける、「まっ…待ってくれ!ニンジャスレイヤー=サン、 俺はアンタとやり合うつもりは無い!」慌てた様子でニンジャスレイヤーに語りかけるピックポケット。

 

 

「待てとは一体何を待つのだ?オヌシの下劣な品性で詠み上げるハイクでも待てと言うのか、生憎だがオヌシの都合に付き合う筋合いは私には無い」ニンジャスレイヤーは無慈悲にいい放つ、「アイエエエ……」ピックポケットは一歩後ずさる。

 

 

「それに私と戦う気は無いと言ったな、ならば速やかにセプクせよ、カイシャクはしてやる」赤黒の死神は間合いをつめる。

 

 

「ナンデ?!俺が一体何をした!何で俺を殺そうとする!」悲痛な叫びに「知れた事を 、オヌシがニンジャだからだ、ニンジャ殺すべし慈悲はない」ジゴクめいた声で無情に告げられる言葉に「アイエエエ…」ピックポケットは一歩後ずさる。

 

 

「そ……そうだ、ニンジャスレイヤー=サン、俺は今とあるメガコーポから仕事の依頼を受けてここにいる、結構な成功報酬だ、もし見逃してくれるのなら報酬の半分…い、いや!全額渡そう!」ピックポケットはニンジャスレイヤーの籠絡を試みる。

 

 

ニンジャスレイヤーはその申し入れを一笑に付し、「そのメガコーポとやらはオムラ・インダストリの子会社オムラ・ホームテックか、そこが販売したポンコツ機械の回収と購入者の抹殺が任務だったな、だが回収で無く破壊では思うような報酬は得られまい」赤黒の死神は間合いをつめる。

 

 

「何よりその任務とやらも失敗に終わる、私がオヌシを殺すからだ」「アイエエエ…」ピックポケットは一歩後ずさる。

 

 

…………

 

 

その様子をヴェータラは息を潜め窺う、ニンジャスレイヤーとピックポケットが対峙するこの状況は天の助けと言っても良い、ヴェータラは体力を回復しカラテを練る貴重な時間を得たのだ、((待ってろボウズ、今助けてやるからな!))ピックポケットに捕らえられたタラオを見つめ、その時を待つ。

 

 

ニンジャスレイヤーとピックポケットのやり取りは続く、「落ち着いてくれニンジャスレイヤー=サン、確かに報酬は減ったがそれでも結構な大金だ、これだけ有ればしばらく上等なサケやオイランが楽しめるぞ!そうだ、そこのオンナも連れて行くと良い、好きなだけ(もてあそ)んだら非合法オイラン・ホテルにでも売り飛ばせばいい!」サザエを指差し叫ぶ、ピックポケットは必死である、彼は怖れたのだ!ニンジャスレイヤーの殺気を!狂気を!憎悪を!

 

 

彼の頭からはこの場を逃げ去るという選択肢は既に無くなっていた、任務への責任感では無い、報酬への未練でもない、彼のニンジャ第六感は逃げても無駄だと無情にも告げていた、只それだけである、まさに「敵前のスモトリ、ドヒョウ・リングを踏まず」とでも言うべき状況だ。

 

 

「落ち着けだと?私は十分落ち着いているが?オヌシをどの様に痛め付け、殺すか思案しているのだ、耳障りな命乞いはやめろ、気が散るのでな」赤黒の死神は間合いをつめる。

 

 

「ニ…ニンジャスレイヤー=サン、アンタ程のカラテが有ればカネもオンナも思いのままだ!ダイミョみたいな生活ができるぞ!」ピックポケットは一歩後ずさりながら叫ぶ。

 

 

「ソウカイヤと揉めているんだろ!もしネオサイタマに居づらかったらキョート・リパブリックかオキナワにでも行くといい……そうだ、俺がアンタのマネジメントをしよう!俺にはコネクションがあるんだ!」ピックポケットは一歩後ずさりながら叫ぶ。

 

 

「私の心配をしてくれるとはずいぶんと余裕だな、だがその前に自分の心配をするが良い、これからオヌシが行く先はジゴクだ、聞くところによるとジゴクにも色々あるらしい……ハリ・ジゴク、ブラッド・プール・ジゴク、アビ・インフェルノ・ジゴク……好きなジゴクに落ちるが良い、私にはコネクションがあるからな」赤黒の死神は間合いをつめる。

 

 

「……な……なぁ、ニンジャスレイヤー=サン、何を必死になっているんだよ…コイツらは只のサラリマンの一家だろ、助けたところでカネにはならない、そうだろ?所詮(しょせん)カネもチカラも無いモータルだ、俺たちの……アイエッ!」ピックポケットは最後まで言葉を発する事はできなかった、ニンジャスレイヤーの殺気が一段と高まったのを感じ取った為である。

 

 

「チカラの無いモータルが何だと……」ニンジャスレイヤーがジゴクめいた声を発する、否、ジゴクめいた声だがその温度はブリザードめいた冷たさだ。

 

 

「無力なモータルを踏みにじりライオン気取りか、笑わせるな、オヌシはライオンに非ず(あら)モータルの生き血をすするしか能の無い薄汚い寄生虫よ」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツの構えをとりピックポケットに告げる、「これ以上オヌシの下らぬ戯れ言に付き合うつもりは無し」その眼光が鋭さを増しピックポケットを睨み付ける、「ハイクを読め、そして死ね」

 

 

「アイエエエッ!」ピックポケットは一歩後ずさる……事はできなかった、いつの間にか壁を背にしていたのである、「アイエッ!」驚愕し、動きが止まるピックポケット、そしてこの瞬間を待っていたニンジャがいた!ヴェータラだ!

 

 

『イヤーッ!』ヴェータラは体内に巡らせたカラテ念動力を解き放つ!次の瞬間、壁を崩し何者かが姿を現す、それは……ナムアミダブツ!先日殺害されたオムラのヤクザ・サラリマンではないか!

 

 

「アバー」白目を剥き、引き裂かれた喉からゴボゴボとバイオ血液が吹き上げピックポケットに掴みかかる、コワイ!

 

 

読者の皆さんは何故オムラのヤクザ・サラリマンがピックポケットに掴みかかるのか、あからさまに死体である存在が何故動くのか疑問をお持ちの方も多いと思われる、先ずはその疑問を解消したい。

 

 

読者の皆さんの中にニンジャ記憶力をお持ちの方がいればオムラ・ホームテックが送り出した顧客対応班10名が全滅した事は覚えておいでだろう。

 

 

そして賢明なる読者の皆さんは顧客対応班が全滅した現場を調べていた男がフジキド・ケンジ、すなわちニンジャスレイヤーである事をお気づきだろう、彼が目撃したヤクザ・サラリマンの死体は9体、では残りの1体は?

 

 

その謎を明かすにはヴェータラのニンジャソウル由来のユニーク・ジツ「クグツ・ジツ」の説明をしなければならない。

 

 

クグツ・ジツとは己のカラテ粒子をカラテ念動力に変換、対象者をジョルリ人形めいたクグツとする恐るべきジツである。

 

 

クグツとなった者は痛みも疲労も感じる事無く術者の意のままに動くズンビーめいた存在となってしまう、そして肉体の限界をこえた恐るべき怪力と俊敏さ、耐久力を発揮するのだ。

 

 

ヴェータラはヤクザ・サラリマン達を殺害した後、このジツを使い有事に備え1体だけイソノ家に持ち帰り床下に待機させていたのだ。

 

 

しかし、このクグツ・ジツは実際使い勝手が良いとは言えない、発動には幾つかの条件があり、隙が大きく術者のカラテ粒子を十分高めなければならない、又、対象者は生命活動を停止しているか意識を失った状態である事、頭部が破壊されていない事などがある。

 

 

対象者がニンジャである場合、死体であっても操る事はできず、そして何よりの難点は一度に操る事が出来るのは1体だけだということである。

 

 

(ちなみにヴェータラのニンジャソウルのオリジンは一度に数十体の死体をあやつり敵対ニンジャクランの拠点の前で踊らせ、相手を恐怖させた伝説があるが今回のエピソードには余り関係が無い為割愛させて頂く)

 

 

この様なジツの為、ヴェータラは只ひたすらカラテを高め、相手が隙を見せるのを待ち続けていたのである、そしてその忍耐は報われた。

 

 

壁を破壊してのアンブッシュにピックポケットは全く対応出来ない!そしてピックポケットの左腕をヤクザ・サラリマンが掴み……「グワーッ!」肉体の限界を超えた怪力で握り潰す!お茶の間にはヤクザ・サラリマンの指とピックポケットの腕が折れる音が同時に響く!

 

 

そして……おお、見よ!ピックポケットがタラオを取り落とすではないか!そして白色の閃光がタラオの図上を掠め天井を直角に曲がり床に着地!ヴェータラだ!口元にはタラオを咥えている、ゴウランガ!だが……。

 

 

だがその代償は大きかった、左前脚が折れた不自然体勢での跳躍、咥えたタラオの重み、そして不自然な体勢での着地、ヴェータラの右前脚が悲鳴を上げ、屈した、『グワーッ!』その場に崩れ落ちるヴェータラ、そしてヴェータラに迫る死の手、「イヤーッ!」ピックポケットはスリケンを投てき!鮮血が(ほとばし)る!

 

 

ナムアミダブツ!ヴェータラは、タラオは無残に殺害されたのだろうか?

 

 

ピックポケットは呆然と目の前の光景を見ていた、ヴェータラでは無い、タラオでも無い、スリケンを握り鮮血を撒き散らしながら宙を舞う己の右腕である。

 

 

((クタバレ!クソネ……?…腕が…宙を……誰の?…死んで無い……俺の……腕が…ナンデ?))

引き延ばされた主観的時間の中ピックポケットは呆然と目の前の光景を見ていた、己の腕が突然切り飛ばされる事態に理解が追いつかないのだ。

 

 

だがその主観的時間は客観的には僅か0.1秒、ニンジャスレイヤーは決断的なチョップを降り下ろした後、勢いそのままにピックポケットの顔面を握り、締め付ける。

 

 

ガコッ!ガッ!メキメキ……!骨が砕ける音、金属製のメンポが歪む音が響く、メンポに出来た隙間からはゴボゴボと血の泡が吹き上がる、そしてニンジャスレイヤーの右手はもがき苦しむピックポケットの左胸に無慈悲に突き立てられた。

 

 

「ハイクを読め、ピックポケット=サン」ニンジャスレイヤーの言葉が理解出来るのか出来ないのかピックポケットは酸欠状態のキンギョの様に口を動かすが、かすれ気味の呼吸音がこぼれるだけである、ニンジャスレイヤーは腕を引き抜くとピックポケットの体は操る者の無いジョルリ人形の様にむなしくその場に崩れ落ちる。

 

 

ニンジャスレイヤーは鮮血にまみれたピックポケットの心臓を無感動に一瞥(いちべつ)すると決断的に握り潰す、そして「サヨナラ!」ピックポケットは爆発四散した。

 

 

先程までの喧騒が嘘のように静まり返る、イクサは終わったのか?しかしニンジャスレイヤー、ヴェータラ共にカラテ警戒を解いてはいない!両者にとってはイクサはまだ終わってはいないのだ!

 

 

((なんてワザマエだ……))ヴェータラはニンジャスレイヤーのカラテに圧倒された、ピックポケットは一瞬で殺された、確かにピックポケットは深手を負ってはいたが仮に無傷の状態でも結果は変わらないだろう、せいぜい殺される迄の時間が0.1~0.2秒伸びる程度だ。

 

 

((俺なら……))ヴェータラはニンジャスレイヤーとの戦闘をイメージするが、((ダメだ、勝てる状況が思い浮かばない……))((カラテの力量差は圧倒的、カラテ粒子は底を尽き、おまけに両前脚は折れているときた、もう笑うしかないな))ヴェータラは覚悟を決めた、自らの死の覚悟を。

 

 

((奴の狙いはニンジャだ、俺が無闇に抵抗する方が(かえ)って皆を巻き込む事になるだろう))ヴェータラは己のニューロン内で『家族』に別れを告げる。

 

 

ニンジャスレイヤーのニューロンに邪悪な哄笑(こうしょう)が響く、((ググ…グググ……サンシタにふさわしい無様な死に様よ!愉快!実に愉快!最近オヌシらしからぬ振るまいが目立ってきたので懸念(けねん)しておったが……安堵したぞ))ナラク・ニンジャがささやく。

 

 

((グググ…次の獲物はネコ・ニンジャぞ……殺せ…殺すのだ……))ナラクに促されるかの様にニンジャスレイヤーはヴェータラに歩み寄る。

 

 

『早く来いよ、俺は気が短いんだ…気が変わっちまうだろうが……』ヴェータラのやけくそ気味の声、((さあ…フジキドよ……殺せ…ニンジャを殺せ……))ニンジャスレイヤーのニューロンに響くナラクの声。

 

 

「オヌシは……」ニンジャスレイヤーはヴェータラに問いかける、「オヌシは何故ピックポケット=サンと戦ったのだ?」ニンジャとは本来利己的な存在である、自らの欲望を優先し他者の犠牲を省みず恥じない忌むべき存在、今までに出会ったほぼ全て……自らの師であるドラゴン・ゲンドーソーやソウカイヤに追われる少女ニンジャといった極一部の例外を除き全てと言っても良いほどである。

 

 

そんな存在が両腕を折るほどの深手を負いサラリマン一家を守った?報酬も無しに?もしやサラリマン一家を隠れ蓑に良からぬ策謀を練っているのでは……ニンジャスレイヤーが抱いた懸念はそこである。

 

 

『はぁ?』ニンジャスレイヤーの指摘にヴェータラは心底呆れたかの様な調子で返す、『あのな、ニンジャスレイヤー=サン、家族を守るのに報酬を求めるってどんな守銭奴だと思っているんだよ』憮然(ぶぜん)とするヴェータラ。

 

 

「家族……」ニンジャスレイヤーは呟く、『ああ、そうだよ、俺にとっちゃ何より大事な存在なんだよ』ヴェータラの返事にニンジャスレイヤーは無言できびすを返す、『俺を殺さないのかニンジャスレイヤー=サン』「オヌシがチカラに溺れ人びとに害を及ぼすようになれば殺す、それだけは心せよ、ヴェータラ=サン」

 

 

((待て!フジキド!奴を殺せ!殺すのだ!……おのれ腑抜けおって……))ナラクの声を無視し、ニンジャスレイヤーはピックポケットの生首を掴むと「Wasshoi!」大跳躍しネオサイタマの闇に消えた。

 

 

((ニンジャスレイヤー=サン、礼を言いそびれたな……))家族全員無事な事に安堵するヴェータラ、全身に疲労と倦怠感が一挙にのし掛かって来るのを感じた、((もう寝よう……今日は正直疲れた……))ヴェータラは眠りに落ちた。

 

 

ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション 完




◆感◆ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション完結です読んでくださった皆さんに感謝!
ありがとうございました、次回エピソードもよろしくお願いします!◆謝◆

◆次回予告◆
「さーて次回のサザエ=サンは?」
「イササカです、最近イルカチャンという電子ドラッグにはまってます、二匹のイルカチャンが私を慰めてくれるんです、アーイイ……」
「次回はアビス・フィッシュ・カオスです、見てくださいねー、ウンガッグッグ」
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