サザエ=サン   作:サンシタ

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◆サザエさん◆






#4 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンション

PM22:00

アルベルト会長、モーティマー社長との面談に向かう車中、スティーブンスは部下達の不甲斐ない有様に嘆息していた、彼は不採算部門だった家電部門を立て直した自身の手腕に強い自信を持っていたがその裏返しで部下の能力に常々疑問を持っていた。

 

 

((もう一度社内を引き締めねば…))流れる車窓に目をやりながら社内の粛清を決意する、上空には武装マグロツェッペリンが漂いその巨体を威圧的に誇示し、視線を地上に戻せば無数の対空兵器が空を睨む、その脇をマグロめいた目をした労働者達が無心に作業に取り組み歯車めいて働く、様々な機械の駆動音が心地良い。

 

 

スティーブンスを乗せた家紋リムジンは更にオムラ本社内を進む、自治体その物が要塞化されたオムラ本社は実際に広大でありホームテック本社が存在する区画とインダストリ本社の区画とはかなり距離がある。

 

 

彼の思考はいつしかオムラ・インダストリ本社とアルベルト、モーティマー親子に移っていた、スティーブンスは彼ら親子の……正確には現社長、モーティマーの会社の運営方針に強い不満を抱いていた。

 

 

((あのイディオットめ…何がモーター理論だ!))心の中で罵倒する、((質量と火力の追及?ニンジャとロボットの融合?それを中心にした兵器形態?研究開発の予算はどうするのだ!そんな寝言は政府から予算を引っ張って来てから言え!))苛立たしげに頭を掻きむしる。

 

 

だが彼の不満はもっともな話だった、実際モーティマー・オムラの社長就任以来株価は伸び悩んでおり優秀な社員の退職やセプクが目立つようになってきた。

 

 

((……やはり私が…私がオムラを立て直さなければ!))頭を掻きむしる手が止まる、((モーティマーの方針に不満を抱いている者は多い…彼らを糾合しモーティマーを引き()り降ろす))スティーブンスのニューロンに危険な野心が疼く!

 

 

((不満を持つ重役らは既にネマワシ済み、オハギやオイランを宛がってある、ラオモト=サンにも大トロ粉末やコーベインを贈っている、妨害は無い筈、後は決起のタイミングだ))

 

 

車は走り続ける。

 

 

…………

 

 

本社に到着したスティーブンスはボディチェックを受け会長室に案内された、奥ゆかしくドアをノック、「失礼します、スティーブンスです」「ハイリ、ナサイ」インターフォンから苦し気なサイバネ音声が返る。

 

 

ドアを開けると三人の男達がいた。

 

 

部屋の奥、巨大な介護用ソファーに座り、巨大な戦略チャブに向かう着物姿のミイラめいた老人、この人物こそ巨大闇黒メガコーポ、オムラ・インダストリ会長アルベルト・オムラその人である、「ヨク、来テ、クレタ、カハーッ」苦し気に息継ぎをしながらもハッキリとした口調でスティーブンスに語りかける、その眼光は鋭く年齢を感じさせない。

 

 

そんなアルベルトに傍らの多彩めいたニンジャ装束の男が呼吸器を差し出す、彼の名はオメガ、数多くいるオムラの企業ニンジャの中でも別格の存在であり、その戦闘力は全身の90%以上をサイバネ化したネブカドネザルをも凌ぐと言われている。

 

 

そして、そんな二人を忌々しげに睨みつけるパワードスーツに身を包んだ中年男こそ現社長、モーティマー・オムラでありこの三人の男こそオムラ・インダストリの首脳である。

 

 

((会長も老いたな、健康状態も悪化したか、だが第一線から退いてからの方が神経を使うとはどういう事だ?……だがあの眼光、気力は萎えてはいない様だ、サスガと言うべきか))

そして視線をモーティマーに移す。

 

 

((相変わらずマヌケ面をさらしているな、愚鈍も此処までくると毎日が楽しいだろう))ニューロンに浮かんだスゴイ・シツレイな感想を一切感じさせない、にこやかな表情でスティーブンスは丁寧にアイサツする。

 

 

「……良く来たな、と言いたいが一体何の話だ、パパに言われて此処にいるけどボクはネブカドネザルの新装備のテストをしなきゃいけないんだ」口を尖らせ不満を表すモーティマー。

 

 

「カハーッ、ワシガ呼ンダ、ノダ、バカメ」アルベルトがモーティマーを叱責する、「キサマノ、オモチャナド、ドウデモ良イ、カハー」辛そうにサイバネ声帯を震わせ言葉を吐き出す。

 

 

「キサマハ、オムラノ、総帥トシテ、自覚ヲ、モテ、カハーッ」モーティマーを睨みつけ糾弾を続ける、「モーターツヨシ、ダカ、タダシイ、ダカ、知ラ「パパは黙っててよ、此処はボクの会社だ!社長はボクだ!」アルベルトの言葉を遮りモーティマーが怒鳴る。

 

 

「カハーッ!スティーブンスヲ、呼バネバナラヌ、事案ガ起キタノダ!」ディストーション怒声を張り上げモーティマーを怒鳴るアルベルト、怒鳴ったのが良くなかったのか再び発作が起きた様だ、オメガが再び呼吸器を差し出す。

 

 

「コフッ、コフッ、ヒューッ……アー遥カニイイ」発作が治まったアルベルトは「ソノ案件ハ、本社トモ無関係ニアラズ、オマエモ、オオオイニ関係スル、カハーッ」傍らに立つオメガに目配せすると、彼は一台の機械を取り出し戦略チャブの上に置いた、それは………

 

 

それはハンドボールめいた球体に二本のマニュピレーターと受皿……全自動タマゴ割り機ではないか!

 

 

「何ヤラ、面白ソウナ、事ヲヤッテイルナ」スティーブンスに語りかける、その視線は冷ややかだ。

 

 

((何故にアレが此処に?))全自動タマゴ割り機を見たスティーブンスは軽く動揺した、((何故、会長がタマゴ割り機の存在を知っている))タマゴ割り機の開発は極秘裏に行われ、ホームテックでも開発と販売に関わった社員しか知らない事案、プレスリリースも行っていない……そこまで意識が行った所で((奴か))アルベルト会長直属の凄腕ニンジャに思い至る、オメガが情報を盗み出したのだ。

 

 

「なんだコレ?」モーティマーが怪訝そうに首を傾げる、「コノ機械ノ売上ヤ、カハーッ販売、戦略ニドウコウ、言ウツモリハ、無イ、カハーッ」「ムシロ、プレスリリースヲ避ケ、カハーッ、クチコミ重点、メディア報道ニ、後追イサセル…悪クナイ、ダガ」口調は穏やか…否、機械めいて冷徹と言うべきか。

 

 

「カハーッ問題ハ、カハーッ其処デハナイ……オマエハ、本社ノ……特許ヲ…カハーッ出シテハイナイ最新技術ヲ…無許可デ使ッタナ?」

 

 

ナムサン!アルベルトの無慈悲な指摘!だがこの指摘は実際事実である、見るも無惨な売上だった全自動タマゴ割り機だがその開発には合法、非合法問わない手段で入手した最新技術が惜し気も無く投入されているのだ、その最たる例がオムラ本社から不正な手段で入手した最新型シリンダーである。

 

 

此れはモーティマーが開発を進めている、ロボニンジャの駆動系に使用される予定である、アルベルトにとっては不快な事だが技術の流出はそれ以上に不快な出来事である。

 

 

「なっ何だってー!それは本当か!一体どういうつもりだ!」モーティマーが顔を真っ赤にして怒声を上げる。

 

 

二人から糾弾され真っ青な表情のスティーブンス、この様子は先程彼に責められた営業チームリーダーを思わせる、正にインガオホー!

 

 

((何とかこの場をやり過ごさねば…))落ち着きを取り戻したスティーブンスは自身の立ち位置、今後の全自動シリーズへの影響、モーティマー引き摺り下ろし計画への影響を如何に抑えるか、明晰な頭脳で打開策を練る。

 

 

「申し訳ございません!」スティーブンスはその場に(うずくま)りドゲザ!ドゲザをした!この行為は全面的に相手に非を認め慈悲を請う行動である、ケジメと違い肉体的に傷つかないものの、精神的な傷はそれ以上であり、例えるなら母親とのファックを強いられ記憶素子に保存されるのと同程度の、凄まじい屈辱である。

 

 

「今回の件は、部下の監督が行き届かなかった私の責任であります!」頭を床に擦りつける、「本部に戻り次第担当者は適切な処置を行ない再発防止に勤めます!又、流出した一台につきましても可及的速やかに回収し技術流出を防ぎます!」再び頭を擦りつける(その頭髪は自然である)。

 

 

欺瞞!非合法な情報収拾はスティーブンスの命令である、なんたる鉄面皮か!

 

 

「カハーッ手柄ヲ、焦ッタ部下ノ、カハーッ暴走カ……分ッタ、オマエヲ信ジヨウ…」アルベルトの言葉に「ちょっと待ってよ!こいつの言ってる事信じるの?口からの出任せじゃないの?」とモーティマー。

 

 

「カハーッ、スティーブンスノ、此レマデノ、実績、考慮シ、今回ハ、カハーッ、信ジヨウ、速ヤカニ、機体ノ回収ト担当者ノ処罰ヲスル様にカハーッ」「ヨロコンデー!」アルベルトの言葉に胸を撫で下ろすスティーブンス、立ち上がり会長室を部屋を退出しようとするスティーブンスの背中に「カハーッ、ソウイエバ、最近、オマエノ部下タチガ、カハーッ本社ノ役員や、ラオモト=サンニヤタラト接待、シテイルヨウダガ、カハーッ、マダ、他ニ面白ロソウナ事ヲ考エテハ、イナイダロウナ」

 

 

((駄目だ!アルベルト会長はオバケだ!))この様子だとホームテックの未公開情報や自分の個人情報は全て筒抜けだろう、アルベルト・オムラの恐ろしさをニューロンに刻み込まれスティーブンスは慌ただしく部屋を退出するのだった。

 

 

#5 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンションに続く




◆感◆
閲覧ありがとうございます、本作は公開自己前後といって差し支えない出来ですが、感想が付くと実際嬉しい、読むとニューロンに多幸感をもたらすなんかが滲み出てくるので実際読むオハギな◆謝◆
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