◆NINJA SLAYER◆◆with◆◆サザエさん◆
◆重大なお知らせ◆
今回のエピソードで暴力的表現、残酷な描写があります、小学生や幼稚園児の方は保護者の監督の元、閲覧をお願いします、原作のニンジャスレイヤー及びサザエさんはハートフルな作品であり小さな子供達もあんしんです、私、サンシタ・ヘッズは青少年の健全な育成に配慮しています◆忍倫◆
イソノ家
家族全員が揃った食卓、チャブ・テーブルにはスキヤキが並び、温かな一家団欒《だんらん》のひととき、しかし食卓はつい先程迄の談笑は消え失せ、オツヤ・リチュアルめいた沈黙が支配していた、咀嚼音、食器の音がのみがお茶の間に響く。
怒りが未だ収まらぬナミヘイ、顔を見合わせるフネとサザエ、マスオは奥ゆかしく何も語らない、子供達は俯《うつむ》いている。
「テ……テレビでもつけようかしら?」サザエがテレビをつけた、しかし番組はどの局も報道番組だけだった。
ピッ!((本日、12時25分頃、湾岸工業地帯で爆発があり、警察はイッキ・ウチコワシとの関連を……))
ピッ!((マーダー・タケノコ・ヤクザクランとヘル・キノコ・ヤクザクランの抗争は激しさを増し、近隣の住民は不安を訴え……))ピッ!((キョートパブリックのガイオン中央拘置所に拘置中のゴトー・ボリス容疑者に対しNSTVは独占取材を……))サザエは無言でテレビを消した、ろくなニュースが無い、少なくともお茶の間が明るくなるニュースでは無いだろう、「……今日はサブチャンは遅いねぇ?」フネが呟く、「そう言えば…」いつもなら注文を入れたら4~5分くらいで商品が届くのに今日はどうしたのだろう?サザエはいぶかしんだ。
一方その頃
オムラ・ホームテック本社
同、極秘作戦発令室
オムラ・ホームテック地下17階にそれは有った、秘密めいた出入口には重厚な防爆トビラ、網膜、指紋による認証システム、「安全は保証できない」「外して保持」「無警告射撃」等……威圧的な警告メッセージが表示されている。
内部には宇宙めいた暗闇が広がり、中央に巨大な戦略コタツ、周囲を取り囲む様に最新型のUNIXが並び、LAN直結したオペレータが無言で各々の作業に取り組む、そして厳しい視線で戦略コタツに据え付けられた巨大モニターを見つめるのはスティーブンス・オムラ、オムラ・ホームテックの若きCEOである。
モニターには幾つものウィンドウが表示され、イソノ家に関するあらゆる情報が表示されている、スティーブンスは既に購入者、イソノ・ナミヘイが只のサラリマンだとは微塵も思っては居ない、ハッカーを使って入手した情報は恐るべきモノだった。
なるほど、イソノ・ナミヘイは只のサラリマンだ、メガコーポのカチグミ社員では無い、婿のフグタ・マスオもだ。
しかし、イソノ・ナミヘイの勤務するヤマカワ・ショージはオムラ・ホームテックのライバル企業、トウチバと取引があるのだ!
そして驚くべき事にフグタ・マスオの勤務するシー・アンド・マウンテン・コーポレーションもトウチバと取引があるのだ!これは只の偶然だろうか!
スティーブンスの明晰な頭脳はついに答えを出した、今迄の想定がそもそもの間違いだったと。
つまり同業のメガコーポでは無く、メガコーポと取引がある中堅コーポによる妨害、ヤマカワ・ショージ又はシー・アンド・マウンテン・コーポレーションによるものだと。
そしてその作戦の尖兵がイソノ家だ、イソノ家の誰かがニンジャに違いない、スティーブンスのメガネが光る!
そしてこの作戦が成功したあかつきには、オムラの技術を入手したトウチバが株価をV字回復させ、なんだかんだでヤマカワ・ショージやシー・アンド・マウンテン・コーポレーションも大きく業績を伸ばす事だろう、技術流出を軽視した自分のなんとウカツな事か!
だが……だが挽回のチャンスは残っている、タマゴ割り機の奪還、又は破壊する今回の作戦に
あたってフリーランスのニンジャと契約する事に成功したのだ。
オムラ本社やソウカイヤに対する不信感から独自にニンジャとの接触を試みたスティーブンス、だがその結果は思わしいものではなかった。
一流と呼ばれるニンジャは既に別件の契約が入っているか、そもそも交渉ルートを持っていない為、交渉自体出来なかった。
笑い爺なるサイバーツジギリの斡旋者とも連絡を取ったが、コチラはシルバーカラスとか言うニンジャが所属ニンジャを数名殺害してしまい、当分仕事は受けられないと不機嫌そうに語っていた。
そんな中、一人のニンジャと契約を結ぶ事に成功した、ピックポケットと言う常人の三倍の脚力を誇る驚異的なニンジャだ、彼ならば今回のミッションを成功させるだろう。
オペレータが告げる、「社長、ピックポケット=サンが間もなく目的地に到着、目標と交戦します」無言でうなずくスティーブンス。
((頼んだぞ、ピックポケット=サン)) スティーブンスは作戦の成功を祈る。
再びイソノ家
食事を終えてサザエとフネが食器の片付けを始めようとした時、それは現れた、その男は物音も立てずイソノ家の人々の前に立つ。
灰色のニンジャ装束に同色の塗装が施された金属製メンポ(訳注・面頬)で口もとを覆う、その男は両手を合わせオジギをする。
「ドーモ、イソノ家の皆さん、初めましてピックポケットです」頭をあげたピックポケットの眼光には冷たく鋭い殺気が宿る。
「アイエエエッ!ニンジャナンデ?!」「コワイ!」「コワイデスー!」突然のニンジャの出現に子供達がNRS(ニンジャリアリティショック)を起こし失神する、そしてピックポケットの視線を真っ正面から受けたナミヘイ、フネ、マスオもNRSを起こし次々と失禁そして失神する。
「ドウシヨ!ドウシヨ!…ケイサツ!そうだ警察を呼ばないと!」混乱し部屋をグルグルと回り続けるサザエ、そんなサザエを余所に一匹のシロネコが部屋の隅から歩み出た、イソノ家の飼いネコ、タマである、そしてピックポケットの前で二足直立すると両前足を合わせオジギをした『ドーモ、初めましてピックポケット=サン、ヴェータラです」タマのヒゲや口もとの体毛が硬化し、金属めいた光沢を発するメンポとなった。
読者の皆さんの中にはネコのニンジャの存在をいぶかしむ方もいるだろう、だがネコ・ニンジャの存在は古くから世界各地の神話や民話、伝承で確認されている。
古代エジプト・ニンジャ文明においてはネコの頭を持つ女神バステトは強大なカラテを誇るメスのネコ・ニンジャだと言う説が有力であり、ネコが神聖視されていたと言う事実がそれを裏打ちしている。
日本においてはエド時代に日本の辺境地帯、サガ・プリファクチャーを支配したダイミョ、ナベスマ氏を苦しめたバケネコ・ニンジャなど古くからネコ・ニンジャは人類の歴史の影で暗躍してきたのである、しかし、この恐るべきニンジャ真実を知る者は少ない。
「アイエエエ……タマッ!タマタマ…タマがニンジャ……ウーン」サザエも失神、そして失禁!
ヴェータラがピックポケットに語りかける、「一体何の様だ、アンタもどこぞのハイエナのごとくスキヤキでも食らいにきたか、だが残念だったな、肉はもう無いぞ」皮肉な笑みを浮かべ、ピックポケットを嘲笑する。
「……ターゲットが自分から名乗り出てくれて助かるぜ、まぁこの家の連中は全員殺すがな」ピックポケットはアイクチ・ダガーを構える。
ヴェータラの顔から皮肉めいた笑みが消える、『イヤーッ!』「イヤーッ!」平和な食卓はサツバツとしたニンジャのイクサの舞台と化す、両者同時に突進、ピックポケットは鋭いナイフ突きを繰り出す、ヴェータラは右ステップ回避!「イヤーッ!」ピックポケットは鋭いナイフ突きを繰り出す、ヴェータラは左ステップ回避!
ピックポケットの眼前にヴェータラが迫る、だがそれもピックポケットには想定通り、アイクチ・ダガーによる刺突はフェイク、本命は正面へのケリ・キック、常人の三倍の脚力から繰り出される恐るべき一撃がヴェータラに迫る!
だが…だが、おお、ヴェータラの姿が消えた!何処に……天井だ!涼しげな鈴の音を残し跳躍、空中で体勢を180°入れ替える、天井を蹴りあげ、ピックポケットに突進!
『イヤーッ!』「グワーッ!」ピックポケットの右肩から鮮血が迸る!ヴェータラは空中3回転、体勢を180°入れ替える、壁を蹴りあげ、ピックポケットに突進!
『イヤーッ!』「グワーッ!」ピックポケットの左脇腹から鮮血が迸る!ヴェータラは空中3回転、体勢を180°入れ替える、柱を蹴りあげ、ピックポケットに突進!
ヴェータラの動きが壁を、天井を、柱を蹴りあげる度、乗算的に速くなる、最早、並みのニンジャ動体視力ではその動きを捉える事は困難だ!ピックポケットのニューロンにジリー・プアー(訳注・徐々に不利)の言葉が浮かぶ。
状況を打開すべく、ピックポケットも反撃を試みる、「イヤーッ!」アイクチ・ダガーを左上から右下へ袈裟がけに振るう、ヴェータラは空中3回転、攻撃を回避!アイクチは空しく虚空を切り裂く。
「イヤーッ!」今度は左下から右上へ逆袈裟に振るう、ヴェータラは空中3回転、攻撃を回避!アイクチは空しく虚空を切り裂く。
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ピックポケットは立て続けにアイクチ・ダガーを振るうが、ヴェータラは悉く回避!その口元には皮肉めいた笑みが浮かぶ。
『やれやれ、世の中には珍妙なカラテがあるものだ』「イヤーッ!」『ここまで攻撃を外すというのも逆に感心するな』「イヤーッ!」『おっと、怒ったか?怒ったのか?』
ピックポケットが攻撃を外す度にヴェータラがそのワザマエを嘲笑する、そして見よ!ピックポケットの攻撃が目に見えて単調になっているではないか 、彼はヴェータラの挑発的発言に冷静さを失ってしまったのだ。
ニンジャのカラテは拳を、蹴りを、武器をぶつけ合うだけでは無い、言葉をぶつけ相手の精神を揺さぶる事もカラテなのだ
!
『やれやれ、今度はオレが手本を見せてやる、イヤーッ!』ヴェータラはピックポケットめがけ跳躍!鋭い斬撃を立て続けに繰り出す。
『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』
「グワーッ!」一瞬の内にピックポケットの全身が切り刻まれ、灰色だった彼のニンジャ装束は真っ赤に染め上げられた。
ヴェータラは何処に?……彼の姿が見えない、彼の姿は……おお、見よ!ヴェータラの姿はピックポケットの頭上にあった、直立仁王立ちでピックポケットの頭上だ!おお、ゴウランガ!
そしてヴェータラは手元で何かを弄んでいた、それは……ナムアミダブツ!抉り取られたピックポケットの眼球ではないか!ヴェータラは一頻《ひとしき》り弄ぶと無造作に投げ捨てた。
室内には静寂が広がり、何処かで運転するバイクのエンジン音だけが響く。
#9 ダディ・イズ・マム・バイ・インベンションに続く
◆感謝◆閲覧ありがとうございます、いつの間にかUAが3000を越え、お気に入り登録が60を越えていた……本当にありがとうございます。
今回のエピソードは次回で最終回になると思います、次回エピで重点して貰いたいキャラがいれば感想欄にコメント頂ければ参考になります