パッションリップが可愛かったので   作:マスターBT

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パッションリップに迷わず聖杯を打ち込みちゅう。
現在90レベ。100までいったら後日談を書くよ。


カルデアから一気に電子の海

唐突で、悪いが自己紹介をさせてもらいたい。

俺の名前は、『焔火 白夜(ほむらび びゃくや)』だ。

一応、魔術師の家系に生まれた一般人だ。

え、魔術師で普通だって?うん。うちの家系は根源とか興味なくて自分の趣味として続いているだけだ。

そんな、他の魔術師から見たら殺されそうな、一族だったのだがあの『カルデア』から招待が来た。

だるくて行きたくなかったのだが、ふわふわした男と気の強そうな女性、ついでに黒服のガチムチに拉致された。

そして、気が付いたら電子の海を漂っていた。

 

「ああ。無駄に冷静に、誰に向けたかわからない自己紹介をしたけど、落ち着かないな」

 

上を見上げて青い空を見る。

なんで、こうなった?

 

「マ、マスター?なに、独り言言ってるんですか?

私と話したいなら、付き合いますよ」

 

俺のすぐ横を歩く、胸が滅茶苦茶大きいサーヴァントが答える。

 

「いや、前もそういって、時間を無駄にした気がするんだが。

それと恥ずかしいなら、無理にマスターと呼ばなくても」

 

パッションリップ。

俺がこの電子の海で出会ったサーヴァントだ。

クラスはアルターエゴとか言うのらしい。ぶっちゃけると聖杯戦争にそこまで詳しくないので全く分からない。

 

「い、いえ、私は嬉しいんです!私のマ、マスターがいる事に…

だから、恥ずかしいけどそう呼びたいんです!」

 

ぐいっと勢いよく近づいてくるパッションリップ。

近い近い!お前が近づくとその大きな胸が思いっきり当たるんだぞ!?

うぐぐ、柔らかい…

 

「……はっ!欲望に負けるな俺!」

 

湧き上がる欲望を自分の顔面を勢いよく殴る事で止める。

 

「はわわ!?鼻血が出てますよ〜!?」

 

おっと勢い良く殴り過ぎたようだ。

まぁ、でもこれで落ち着けーーフニュン。

フニュン?何か柔らかいものが顔に当たっているような……

 

「は、恥ずかしいけどスキルをオフにすれば…うー」

 

パッションリップの恥ずかしそうな声が聞こえる。

声の位置、そしていつ迄も包まれていたくなるこの柔らかい物は……

 

「圧迫止血法って言うですよね?私が押し付けられるのって、ここだけですから」

 

……………今の言葉で確信した。

この柔らかいのパッションリップの胸だ。

 

「ゴフッ」

 

「あわわっ!?マスター!目を開けて下さい!」

 

上がってきた血は鼻を通り過ぎ、頭に回り俺は気絶した。

取り敢えず、物凄く柔らかかったです。

 

 

 

 

 

 

 

何か硬いものが、優しく頭を撫でる感覚で目がさめる。

俺、何で気絶してたんだっけ?うーん、思い出せんな。

 

「マスター!目を覚ましたか?何処か変な所はないですか」

 

「あ、ああ。大丈夫だ。パッションリップ」

 

そう答えた時に頭にピリッとした感覚が走る。

敵か。しかし、この感覚は人間?

 

「……パッションリップ」

 

「敵ですね。怖いですけど、頑張ります」

 

パッションリップが敵が来るであろう方向。

そちらに向き、俺の前に立つ。

そして、瞬間通路の奥からサーヴァント三騎、人間一人が歩いて来る。

 

「メルトリリス!?」

 

「カルデアの制服!?」

 

俺とパッションリップは互いに見覚えのある事に驚いた。

メルトリリスというのも気になるが、そこは一旦置いておく。

 

「まさか、リップと一緒に行動している人間がいるなんて」

 

メルトリリスと言われた方は既に構えを解いている。

他の二騎のサーヴァントは俺、いや剣を持ってる方はパッションリップの胸に意識が割かれてる。

弓の方は、人間と俺の格好が同じ事に驚いているようだ。

 

「その制服から見るにカルデアの人間か?」

 

「そ、そうだけど…貴方は?」

 

「カルデアに集められた魔術師だ。

コフィンに入った事は覚えてるんだが、その先が思い出せない」

 

俺がそう言ったら、剣のサーヴァントは固まり、人間は口を大きく開ける。

俺は横にいるパッションリップと顔を合わせて同時に首を傾げる。

 

「……こっちの状況の説明をするよ。落ち着いて聞いて」

 

カルデアから来たと言う人間から説明を受けた。

人類史は燃え尽き、カルデアしか残らなかった事。

特異点から聖杯を回収し、ラスボスを倒した事。

そして、コフィンにいた人間は全て冷凍保存され無事生還している事。

 

「俺が此処にいるのは可笑しいという事か」

 

自分でも恐ろしいほど、冷静な声が出たと思う。

此処が電子の世界なのは、パッションリップから聞いていた。

別に魔術も普通に使えるし、多少腹は減るが何処からかパッションリップが食べ物を持って来たから問題なかった。

死んでようが、死んでなかろうが俺にとってはどうでも良い。

ただ、一つだけ確認しておきたい事がある。

 

「藤丸。俺はこのまま、パッションリップのマスターを続けられるのか?」

 

右手に浮かんでる令呪を見せて聞く。

此処にいる間、パッションリップと過ごして彼女がマスターと云う存在に強い想いがある事を知った。

そして、自惚れでなければ俺と過ごしているパッションリップは楽しそうだった。

俺が消えたとして、また彼女の表情が曇るのを想像すると無性に悲しくなる。

だから、これは聞いておきたい。

 

「貴方は、自分の存在よりリップを優先させるの?」

 

「ああ。契約したサーヴァントを大切に想わないマスターがいる訳ないだろう?」

 

俺の返答に僅かに呆れた表情を見せた後、どこか嬉しそうに笑うメルトリリス。

あ、分かった。こいつ素直じゃない奴だわ。

 

「オレには判断がつかないけど、白夜の話が本当なら少なくとも此処が存在する限り、マスターを続けられると思う」

 

「それが聞ければ十分。お前らはこの特異点を突破するんだろう?俺らも手伝うぞ」

 

「は、はい。怖いけどマスターが一緒なら頑張りますよ」

 

少し、泣きそうな顔でパッションリップが言う。

そうか。俺の為に泣いてくれるのか。

でもな、パッションリップ。俺はお前が笑ってるところを見たいんだよ。

 

「ありがとな。パッションリップ」

 

そう言って彼女の頭を撫でる。

気持ち良さそうに目を細めるパッションリップ。

猫みたいだなぁ。可愛い。

 

「ゴホンッ!仲が良いのは分かりました。

しかし、ミスター?この特異点を解決するという事は貴方自身が自分を殺す行為に等しいのですよ」

 

「俺は死ぬ時まで、パッションリップのマスターをやれれば満足だ。

それに多分騎士だろあんた?なら、言いたい事は分かるよな?」

 

まぁ、王や国の為なんて清廉な騎士様とは違って、一人の女性に笑っていて貰いたいだけだが。

今まで何の目的も無く、流されて生きてきた俺にとっては良い目標だ。

 

「…そうですか。余計な心配でしたね。

貴公は既に覚悟を決めているようだ」

 

「んな、大層な呼び方すんなよ」

 

「なら、よろしく頼むよ白夜」

 

藤丸が手を差し出してくる。

多分握手だろう。こいつ、コミュニケーション能力高すぎだろ。

 

「ああ。よろしく藤丸」

 

藤丸と握手をする。

何処と無く、場の空気が和んだ気がした。

 

「貴女が幸せの様で良かったわ」

 

「うん。マスターが一緒なら幸せ」

 

「……良いの?彼、死ぬわよ?」

 

「…まだ、よく分からないけど死んでも変わらない想いがあると思うんです。

私のこの想いはマスターが死んでも変わらないと想うから」

 

向こうは向こうでシリアスな話してるな。

そんな時に何だかお気楽な音楽が流れてくる。

藤丸達は、何処か疲れた様な顔をして、メルトリリスはパッションリップをかばう様に立つ。

 

『BBチャンネル〜!』

 

お気楽な声が響き、パッションリップに似た女性が映る。

ふむ。胸は小さいな。

 

『そこの人!初対面なのになんて感想を持つんですか!

私は小さくありません。リップが可笑しいだけです』

 

なにやら怒られたぞ?

凄いなあいつ。口に出してないのに考えてる事を読み取るなんて。

 

『この人、凄い調子狂います。

コホンッ、センパイ驚きましたかぁ?カルデア出身者がいる事に』

 

「驚いたよ。オレを除いて全員帰ってるはずなのにいるんだから」

 

『そうですかそうですか!

その人はセンパイが人理の為にって働いてる時に、コフィンの誤作動か知りませんけど電脳世界に来て、挙句このSE.RA.PHにまで来た存在です。そうそう、かなりパッションリップともいちゃいちゃしてましたよ?』

 

人のプライバシーをズケズケと言ってくれる。

パッションリップが顔真っ赤じゃないか。可愛いからもっとやれBBとやら。

 

「それを言われてオレはどうリアクションを取れば良いんだ?」

 

『センパイはお人好しさんでしたか。

それでは本題を。そこの方は、ほぼ電脳体になってます。無事なのは魂だけですね。

SE.RA.PHをクリアすれば、彼は消えます。SE.RA.PHをクリアしなければ、センパイがペシャンコです。

どちらを選んでも死人は出ます。お好きな方を選んでくださいね〜』

 

プツンとチャンネルが消える。

態々、分かりきった事を言いに来たのかBBとやらは。

ただ、気になるのは藤丸が妙に辛そうな顔をしている事。

ふむ。恐らく俺が助かるかもしれないという僅かな可能性に賭けていたのか。

それが消えたから悩んでいると。馬鹿かこいつは。

 

「おい、藤丸」

 

「な、なに白夜?」

 

「俺が助からねぇから悩んでるとか言わねぇよな?

俺はさっきも言ったが、死ぬ時までパッションリップのマスターをやれれば十分だ。

お前はお前の目的を果たせ」

 

我ながら生に執着していないと思う。

今までの人生、これと言ってやりたい事があった訳じゃない。

だからこそ、初めて理由をくれたパッションリップには報いてやりたいと思う。

 

「…わかったよ。でも、オレは最後まで諦めないからな」

 

「言ったろ。お前はお前の目的を果たせと。俺に関する事が含まれるなら勝手にしろ」

 

たくっ、本当にお人好しだなこいつ。

それから俺たちは協力してSE.RA.PH攻略を続けた。

パッションリップも怖がりながらも、戦闘をしてくれた。

俺に出来ることは魔術による支援と、戦闘指示、帰って来たパッションリップの頭を撫でてやること。

そんなこんなでラスボスを倒し、SE.RA.PHの崩壊と藤丸達の帰還が始まった。

 

「くそ…見つけられなかった。白夜を救う方法が…」

 

「気にすんな。俺はもう満足してる」

 

既に俺の身体は崩れ始めている。

足先など消滅して、理屈不明で俺が立っている状態だ。

 

「マスター…」

 

同じく消え始めているパッションリップが俺に近づいてくる。

薄くなりつつある右手で頭を撫でる。

でも、今度は嬉しそうに目を細めてくれない。目に溜まっている涙は消えてくれない。

さて、どうしたものか。俺はもう耳が聞こえない。

少しずつだが、確実に五感が失われていく。

 

「パッションリップ。俺はもう耳が聞こえない。

だから、一方的に言うぞ。ありがとう。俺に存在する理由をくれて。

そして我儘で申し訳ないが、好きだパッションリップ」

 

薄くなった身体でパッションリップを抱きしめる。

ああ。消えるのは分かってた。だから、言えなかったけど死の際に立つと覚悟なんて揺らぐもんだな。

もっとパッションリップを抱きしめたい。

もっとパッションリップの頭を撫でていたい。

もっとパッションリップと笑っていたい。

そして何より、マスターに憧れていた彼女を失望させたくない。

彼女が満足するまでーー。

 

「パッションリップのマスターでありたい…」

 

遂に口に出てしまった。

僅かに残った触覚からパッションリップが震えている事と、泣いている事がわかる。

ああ、泣かないでくれ。笑っているところを見せてくれ。

そう言おうと思って口を動かしたら声が出ない。

身体の殆どに感覚が無い。

ああーー、最後の最後でパッションリップを悲しませてしまったか。

そう思った直後に俺は眩いばかりの黄金に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海を漂う様な感覚。

可笑しい。俺は消滅したはずだ。

そうは思っても、不思議な感覚は消えない。そして、誰かに手を引かれて俺は光に向かっていった。

 

「……此処は?」

 

真っ白な空間。

いや、薬品やベットはある。言うなれば、病室と言うのだろう。

 

「目を覚ましましたか。マスターを呼んできますのでお待ちを」

 

目が怖い軍服を着ている女性に言われて頷く。

そのまま部屋から出ていって、数分後慌ただしく誰かが入ってくる。

 

「良かった!目を覚ましたんだね」

 

「藤丸?ということは俺は生きているのか?」

 

それは可笑しい。

俺は電脳体に変換されていた筈。間違っても現実世界に来ることはない。

 

「あの時に、ギルガメッシュに頼んだんだ。

何でも良いから、人型の器を頂戴って。そうしたら、その身体。限りなく本人に近づけたホムンクルスを作成する宝具だとかで作って貰ったんだ」

 

「ふむ。要するに身体が無いから器を作ったって事か」

 

しかし、身体が違くても俺が生きているか。

ああ、パッションリップに会いたいなぁ。

 

「動ける?それなら、行こう!」

 

「お、おお」

 

パッションリップの事を考えているうちに先に進んでいた様だ。

身体は何の違和感もなく動いた。

藤丸に着いて行くと、魔法陣が存在している部屋に通された。

そして、藤丸から金平糖の様な石を三つ渡される。

 

「これでサーヴァントの召喚が出来る。

白夜がやれば、彼女が応えてくれるかもしれないよ」

 

藤丸に言われるがまま、石をセットする。

すると、金色に光り中心に見慣れた形が出来る。そしてーー

 

「マスター!」

 

「むぐっ!?」

 

一番聞きたかった声と共に、俺は彼女に抱きしめられた。

ゴツイ腕で大切に。呼吸できない事を彼方にやればいつ迄も味わっていたい感覚だ。

 

「マスター……マスター!あんな事言って消えるなんてずるいです。

私だって、好きなのに。貴方ともっとお話をしていたいのに。

勝手に消えるなんてずるいですよぉ…」

 

今度は聞こえるし、しっかりとパッションリップが泣いてる事がわかる。

ゆっくりと手を伸ばし後ろから頭を撫でる。

 

「ごめんな。あの時はああいう事しか出来なかったんだ」

 

「良いです。こうしてまた、会えたんですから」

 

俺の顔を見て、笑った彼女の顔は今まで見た何よりも綺麗だった。

 

 




ふー、パッションリップ可愛い。
ただ、これが言いたい。
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