パッションリップが可愛かったので   作:マスターBT

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どうも、イベント復刻を記念して、番外編です。
カルデアでどんな生活をしてるか書いてみました。


とある日のカルデアでの彼ら

「はい、じゃあこれを立香君に持って行ってくれる?」

 

「分かりました。ダヴィンチさん」

 

セラフから帰還して、英雄王が用意したという肉体にも慣れた俺を待っていたのは、雑務だった。

色々な職員の手伝いをしたり、書類仕事をしたり、藤丸と一緒にサーヴァント同士のちょっとしたいざこざに首を突っ込んだり。

あと、幼いサーヴァント達の遊び相手もした。

 

「にしても、サーヴァント達が多いなぁ。全部、藤丸と契約したんだろ、化け物かあいつは」

 

カルデアで仕事をする内に、リップ以外のサーヴァントと話をする事は当然あるのだが、まぁ全員個性が強い。

人理に名を残すぐらいだから当たり前なのかもしれないが、常識を投げ捨ててるのもいれば、分かった上で無視してるやつ。

相性が悪い組み合わせが鉢合わせれば、諌めるのも大変だ。

総じて、我が強い。

 

「あ、マスター」

 

ガチャンガチャンと金属音を鳴らしながら、耳に心地よい可愛らしい声でマスターと呼ぶ声。

間違えるはずもないリップだ。

 

「よぉ、リップ。どうした?」

 

「これ、見てください!キャットに教わって作ってみたんです」

 

大きな手で大切に運ばれてきた小皿の上には、キューブになったゼリーかな。そんなのが乗っている。

なんだか不思議なものに見えるなこれ。

 

「私、こんな腕だからちゃんとした料理は作れなかったんですけど、ギューッとするのは得意分野だから、それを活かして作ってみたんです。その……マスター…食べてくれると嬉しい…です」

 

リップが恥ずかしさから顔を赤くし言う。

全く、気持ちは既に繋がっているというのになれない奴だな。

 

「あ、あぁ。貰おうか」

 

前言撤回。俺もなれてない。

いやいや、考えてみろって。俺に生きる意味をくれた子が、自分の得意分野を活かして作ってくれたんだぜ?

そんなの嬉しすぎるに決まってるだろう。顔も真っ赤で、吃っても仕方ない。うん、仕方ないんだ。

自分に言い訳をしてるとリップが段々と不思議そうな顔になる。

食べないとな。手を伸ばして、キューブを口に放り込む。少し硬めだが、噛むごとに風味と甘みが溢れ出す。

 

「……いや、これ美味いわ」

 

「ほ、本当ですかぁ!?良かったぁ…キャットは太鼓判を押してくれたけど、マスターの口に合うか凄く不安だったんです」

 

良かったぁとゆるゆるの笑顔を浮かべるリップ。

 

「……はぁー、俺のサーヴァント、超可愛い」

 

「何か言いました?マスター」

 

「い、いや何も言ってないぞ。それより、俺はこのまま藤丸のとこに行くが、リップも来るか?」

 

「マスターがご迷惑でなければ、是非!」

 

「じゃ行こう」

 

リップと共に歩き出す。

未だ、アルターエゴという特殊なクラスに怯えている職員もいるが、それでもリップは上手くやれているようだ。

最近、被虐体質のスキルが強化されてちょくちょく緑のアーチャーとかに虐められてるような気もするが、リップが俺に直接言ってこないという事はまぁ、どことなく納得はしてるのだろう。

 

「でね、ロビンさんってば酷いんですよ。私はこんな腕だから、『姿も気配を隠せる宝具って凄いですね。でも、やる事は凄く地味です』って言ってあげたら、『嫌味か?嫌味なんだな!?』って急に怒り出したんですよ?私は褒めただけなのに」

 

ぷくっと頬を膨らませるリップはリスのようで可愛い。

って、そうじゃない。可愛いけど、ここはリップに一言言っておかないと。

 

「リップ、後半は言う必要なかったと思うぞ?」

 

「え?だって、ロビンさんあんなに便利な宝具なのに、毒を使ったり罠を作ることばっかりなんですよ。

それって凄く地味じゃないですか」

 

あぁ…これが被虐体質か。

俺には別に苛立つような言葉を使ってはこないけど、リップは一言多い。

 

「そうだな…でもな、リップ。地味でもそういう役割は必要なんだ。

ま、リップはそういうのをゆっくり知れば良いさ。俺が側で教えてやる」

 

書類を持ってない方の手で、優しくリップの頭を撫でる。

相変わらず、頭を撫でられるのが好きなようで猫のように目を細め、俺の手に頭を擦り付けてくる。

 

「えへへ…マスター、ずぅっっと、教えてくださいね?」

 

「あぁ。いいぞ」

 

リップの言葉に即座に返事を返す。

俺はリップのマスターであり続けるつもりだし、別に否定する理由もないだろう。

 

「「「(今、さらっとプロポーズして、了承された!?)」」」

 

ん?なんか周りの目が妙に生暖かい気がするけど、気のせいか?

なんて考えていると、藤丸の部屋に到着する。

 

「藤丸、いるか?」

 

部屋をノックして、外から声をかける。

 

「いるよー」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「あれ?今の声、メルト?」

 

聞こえてきた藤丸以外の声に首を傾げつつも、部屋の主が許可したから良いだろうと判断し、部屋に入る。

リップが突っかからない様に、扉が完全に開くまで待ち、扉を押さえながら入る。

 

「書類を届けに……」

 

「どうしたんですかマスター……ふふっ」

 

俺は固まり、リップは楽しげに笑う。

部屋に入って飛び込んできた光景は、全く想像していないものだった。

 

「な・ん・で、入れるのよ!!」

 

「え?だって、白夜だって暇じゃないだろうし」

 

藤丸の膝の上で、顔を真っ赤にしながら抗議してるメルトリリスと、そんな抗議どこへ吹く風といった顔の藤丸。

いや、藤丸よ。呑気なのは知ってたが、そこまでかおい。

 

「あ、白夜。書類は机の上に置いといてー」

 

「私を無視するなーー!」

 

ペシペシという効果音の緩い攻撃が、藤丸の顔を襲う。

が、まるで猫のパンチを受けてるかの様な感じで軽く受け流す藤丸。なんだ、俺は一体何を見せられている?

とりあえず、書類を机の上に置く。

 

「メルトも素直になれば良いのに」

 

「はぁ?何を言ってるか分からないわ。ほら、用が終わったのなら出て行きなさいよ」

 

揶揄う様なリップに藤丸の上に乗ったまま、しっししと手を振るメルトリリス。

 

「恥ずかしいなら離れ」

 

「その先を言ったら、溶かすわよ」

 

「ハイ。ヨシ、デヨウリップ」

 

向けられた殺気に思わず片言になりながら、部屋をリップと共に出る。

 

「いいなぁ…メルトが羨ましい」

 

部屋を出たリップがボソッと零し、自分の両手を見つめる。

羨ましい?あー、藤丸とゼロ距離でスキンシップを取れるのが羨ましかったのか。

流石に俺もリップを膝の上には乗せられん。

 

「リップ、この後何か用事はあるか?」

 

「え?ないですけど」

 

「なら、先に部屋に行っててくれ。俺はダヴィンチさんに仕事が終わったことを伝えてくる」

 

「わ、分かりました。じゃあ、先に行って待ってますね」

 

笑顔を浮かべて俺の部屋の方に歩いていくリップ。

それを見送って、ダヴィンチさんの部屋に走って向かう。カルデアは広いんだよなぁ。

 

「雑種」

 

「英雄王?」

 

走る俺を呼び止めたのは、俺の命の恩人とも呼べる英雄王、ギルガメッシュだった。

この人、怖いんだよなぁ…一度、顔を合わせたがこちらを見定めてるというかまぁ、独特の視線がどうにも苦手だ。

リップと出会って生きる意味を見つけ、目標が出来た俺だが、どうにもこの視線にはそれ以前の俺を見られてる気分になる。

 

「我の財を使っておいて、無様に生きるのは許さぬ」

 

「は、はぁ…」

 

えーと…用件はなんなのだろうか。

 

「一つ貴様に問うが、アレの精神性は化け物だ。

向き合ってはいる様だが、いずれ貴様を殺すかもしれぬ。それでもなお、側に居続けるつもりか?」

 

リップの事か。

夢で知った月の聖杯戦争、そしてそこでリップがやっていた行為。それらは確かに過ちであったかもしれない。

だが、今のリップはそれに向き合い、自分を変えようとしている。なら、俺はマスターとしてこの問いに対する答えなんて決まっている。

 

「もちろんだ。俺はリップのマスターだ。

それに、化け物とか関係ない。俺はあいつだから、側にいたいと思えたんだ。これは俺のエゴで、例え英雄王。

あんたが、ここで俺を殺そうとしてもその気持ちは変わらん」

 

それだけは譲れない。

俺はリップが自分から俺の元を離れると言わない限り、離れるつもりはない。

 

「…クッ、ハハハハハ!!我を雑に呼んだ不敬はその答えをもって許してやろう」

 

高笑いをしながら背を向け去る英雄王。

……結局、何がしたかったんだあの人。頭にハテナを浮かべながら、ダヴィンチさんの部屋に到着し、仕事の完了を告げる。

 

「あ、そうだ。はい、これあげる」

 

手渡されたのは、どことなくメカメカしいカードの様なもの。

なんだこれ?

 

「それには、パッションリップの霊基が登録されてる。もし、カルデアに何かあっても、電力さえあれば再び呼べる様にしておいたよ。

次の所長が来る前に、君とパッションリップが存在していたというデータは書き換えておくけど、何があるか分からない。

君なら、この意味が分かるはずだ」

 

「……そういう事ですか。分かりました」

 

やっぱり魔術世界はくそったれだ。

プライドばっかりデカイ連中が多くて、大方カルデアの功績と一般人である藤丸の戦果を認めたくないんだろ。

 

「じゃ、また頼むよ」

 

「はい。失礼します」

 

受け取ったカードを懐にしまい、自室へ向かう。

途中でロビンフットにリップの手綱を取れよみたいなことを言われた以外は、これといって何もなく自室に着く。

 

「ただいま。リップ」

 

「あ、お疲れ様です。マスター」

 

ベットに腰掛けぼーっとしてたリップ。

無言で近づいて、リップの横に座る。そのまま、身体を横に倒し、リップの膝の上に頭を乗せる。

 

「ひやっ」

 

おっと、リップは敏感だったな。

 

「悪い悪い。でも、俺がリップを膝の上に乗せるのは難しいからさ。これで満足してくれ」

 

言いながら、リップの顔を見ようとするがスッと横を向く。

いや、忘れてたというか近い。胸が。

 

「マスター……ふふっ、嬉しいです」

 

リップの嬉しそうな声に満足する。

良かった良かった。

 

「触れ合いたいときは遠慮なく言ってくれ。俺はいつでも受け入れる」

 

「〜〜〜っ!!もぅもぅ、ずるいですマスター」

 

「ハハッ、そりゃマスターだからな」

 

恥ずかしそうにでも、嬉しさが隠しきれてないリップの声。

その声がとても心地よく、俺はやっぱりリップが好きなんだなと自覚する。

 

「…マスター。顔真っ赤です」

 

「知ってる」

 

顔が熱いは自覚してる。

あーもう。なんで、藤丸はあんなに冷静でいられるんだよ。

 

幸せを噛み締めつつ、1日が終わる。

ずっとこんな生活が続くと思っていた。まさか、地球が白紙化されるとは微塵も思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

「はーい、ラスボス系後輩BBちゃんでーす。

皆さん、この先見れるとか期待しちゃいました?でも、ざんねーん。ちょっと、リソース不足でここまでです☆

でもでも、ご心配ならさらず。リップと白夜さんは、私の力で白紙化から逃がしました。

もぅっ、BBちゃんってば働き者〜。ま、所詮は追加分(EXTRA)です。では、私はこれで。こうみえて、忙しいので」

 




最後はどうにかBBを出したいなって事でああなりました。
基本的に、前話で彼らの物語は完結してます。
異聞帯とかは、この世界線には関係ありません。ですが、もし原作に沿っていたらって感じで今回書きました。
でも、異聞帯での彼らを書くのは少し難しいです連載を複数抱えてるのもあるんですが。また、気が向くか異聞帯でリップの活躍があればその時に書きたいと思ってます。

やっぱり、リップは可愛い(正義)

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