岸波白野の転生物語【Fate/編】   作:雷鳥

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と言うわけでついに決戦直前です。
うん。アーチャー陣営はカットする事にしました。ギルガメッシュについては決戦時に色々書くからいいやって事で(トッキーはもういいかなって)



【二人の白野】

 間桐桜にとってこの二日はとても幸せなものであった。

 かつては世界の全てに絶望し色褪せた世界で生きて行くのだと諦めていた。

 そんな彼女を救ったのは雁夜と白野だった。

 桜は最後に見た雁夜の姿になんとなくもう会えない様な予感を感じた。だからこそ、あのとき自らができる精一杯の感謝を述べた。

 そして桜は雁夜の言った通りの『優しい魔法使い』の下で日に日に自らの世界に色が、熱が戻って行くのを実感していた。

 

「ん?」

 

 夕食を食べ終えて眠っていた桜が目を覚ます。

 

「……お兄ちゃん? それにお姉ちゃん?」

 

「おろ? 起こしちゃったかな?」

 

「ごめんなさい。うるさかったですか?」

 

 詰襟の茶色の蘭服。左手腕には円形で独特な青紫と金を基調とした装飾の鏡がついた銀色の籠手。腰のベルトの右側には西洋の小剣と紅葉の形の扇。左側に東洋の剣。その上から白黒のリバーシブルの襟裾の長い外套を黒を外側に羽織ったキシナミ。

 

 その隣ではキシナミと同じ詰襟の茶色の蘭服。腰のベルトの右に筒状の機械と数本の短剣短刀。右手首には爪がついた紐状のブレスレット。キシナミと同じく白黒の外套を黒を上にして羽織り、襷掛けに納められた白と赤と金を基調とした独特の形状の大剣を背負うはくのん。

 

 そんな二人の白野が申し訳なさそうな顔をさせて桜を見詰める。

 

 元々岸波白野はムーンセルが並行世界の『俺』と『私』という二人の岸波白野の記憶と経験と能力を合わせて改めて創りだした存在である。その合わせられた精神情報を二つに分割して物質化しているのが現在の二人と言う訳だ。

 

 コードキャストの名は《EXcode:もう一人の自分(Bilocation)》。

 分かり易く言ってしまえば実体を持った分身の術の様なものである。

 もっとも分身の術と違うのはどちらもが本体であり魔力は現在の総量を互いに半分にした状態。更に受けたダメージは分裂している時にはお互いに干渉しないが、一人に戻った時に二人分のダメージが反映される。しかし手数は倍になるのでメリットも勿論大きい。

 

 元々白野はこのコードキャストでギルガメッシュの相手をするつもりだった。そのため双子館についてすぐに桜達にも説明した上で二人に分かれて準備をしていたという訳だ。

 

 そしてそんな二人の姿を見て、桜は唐突に雁夜の事を思い出し、気付けば二人の手を握っていた。

 

 困惑する二人。そんな二人を見上げながら、桜は一言訊ねた。

 

「……戻ってくる?」

 

「「………」」

 

 桜のその言葉に二人はしばらくお互いを見詰め、頷き合うとその場に屈んでキシナミは桜の頭を優しく撫で、はくのんは彼女の両手を優しく包み込んだ。

 

「大丈夫。必ず帰ってくるよ」

 

「……ランサーお姉ちゃんとアサシンお姉ちゃんも?」

 

「ええ、私達みんなで」

 

「ええその通りですよ桜」

 

 桜の言葉に霊体化を解いてランサーとアサシンが姿を現し頷いて答える。

 

「……約束」

 

「うん、約束だ」

 

 桜が小指を差し出し、そこに代表してキシナミが同じく小指を差し出し互いに指切りをする。

 

「そうですね。ではこれをあげましょう」

 

 はくのんが空間から自分達が着ている物と同じの白黒の外套を取り出してそれを桜に手渡す。

 

「じゃじゃーん伸縮自在で破れ難く汚れ難くそれでいて通気性保湿性抜群で熱にも寒さにも強いリバーシブル白黒外套です。まあ私達が着ている物と同じものです。物理、魔術に対しての防御力もそこそこありますよ」

 

 なんせこれ一着にかなりのコードキャストを付加させましたからね。と無い胸を張るはくのん。

 

「まあそこそこだから過信しないでね」

 

 はくのんに苦笑しながらキシナミがそう忠告する。

 はくのんはさっそくそれを桜に黒いのを下にして着るように促し、言われたとおりに桜がそれを纏う。

 

「さすがに子供にはミスマッチじゃないか?」

 

「大きくなったら似合いますよきっと。それに今回は護衛を残せませんからね。万が一の場合も考えておきませんと」

 

「それもそうか」

 

「あら、それってつまり私達の事を信用していないのかしら?」

 

 扉の方から聞こえた声に全員が振り返る。

 そこには車椅子に座ったケイネスと車椅子を押すソラウの姿があった。

 

「身体の方は大丈夫ですか?」

 

「ああ。君の魔術のお陰でね。上半身は動けるようになった。感謝するよ」

 

「気にしないでくれ。ライダーの頼みでもある」

 

「そうか……それと我が王の最後の雄姿を伝えてくれたランサーにも改めて感謝する」

 

「気にする必要はない」

 

 部屋に入りランサーと白野に礼を述べるケイネスにランサーとキシナミは短く答える。

 

 二人はライダー敗北を知った瞬間にしばらく涙を流して征服王の死を悼み、アジトを離れようと考えていたその時に、ライダーから予め彼等のアジトの場所を聞いていたランサーが現れ、ライダーの最後が伝えられ、ランサーの提案でケイネスの身体を治す為にこの双子館に招かれたという訳だ。

 

 もちろんランサーは白野の許可を得てから二人を招き決戦に差し障りがない範囲でケイネスを治療した。その際にソラウの魔力をかなり分けて貰った。

 結果として肉体はある程度回復したが、やはり破壊されつくした魔術回路を直す事はできなかった。

 

「それじゃあ桜ちゃん、一応これを渡しておくね」

 

 そう言ってキシナミは懐から一通の手紙を取り出して桜に渡す。

 

「昼の内に友人、エーデルフェルトに連絡しました。早ければ明日にはこちらに着くでしょう。私達が万が一戻らなかったらそれをエーデルフェルトに渡して下さい。それと私達が居ない間の警護、よろしくお願いしますねソラウさん」

 

「ええまかせて。貴族として受けた恩はきっちり返すわ」

 

 ソラウが力強く頷くのを見てはくのんも頷き、キシナミと二人で桜の頭を最後に一撫でしてから立ち上がる。

 

「「それじゃあ桜ちゃん、行ってきます」」

 

「……行ってらっしゃい」

 

 軽く手を振り部屋から出て行く二人を桜は同じく手を振りそして、扉が閉められる。

 

「……行くか」

 

「ええ、行きましょう」

 

 先程までの笑みを消し、その眼を鋭くさせた白野達が双子館の屋敷を出る。

 

「アサシン」

 

「はい」

 

 はくのんの呼びかけに答えたアサシンは瞬時にその場から姿を消す。

 次の瞬間傍の林で何かが倒れる音がし、続いて一人の女性、舞弥を脇に抱きかかえたアサシンが現れた。流石は筋力Bである成人女性の一人くらい片手でわけなく運んでいる。

 

「ちゃんと生きてるよね? 武器の類は?」

 

「もちろん気絶させただけです。護身用の銃火器、白兵武装以外は特に」

 

「そう。まあそれでも万が一があったら困りますから一緒に運びましょう。跳びますよ」

 

 白野二人が同時に転移と唱えて五人はその場から柳洞寺の階段の前に現れ、白野達は気絶した舞弥を傍の林の木に寄りかからせてから階段を上って行った。

 

 

 

 

 そんな白野達を境内では黄金の鎧を着たアーチャーが腕を組んで待っていた。

 その背後には寺の住職達を魅了の魔術で避難させ人払いの結界を張り終えたあと、言われるがままに従い控えている遠坂時臣の姿があった。

 

 もちろん彼もずっと動きながらこの状況の打破を考えていた。考え続けた。しかし結局何も浮かばなかった。それどころかあの後にアーチャー自身に――。

 

 『そもそも貴様が今生きて居られる事こそあの桜とかいう童女のお陰よ。アレが居らねば白野は貴様の命に頓着しなかっただろう。そうなると我が詰まらぬ。故に綺礼をマスターとしただろう。綺礼も貴様を殺す事を迷ってはいたが背中の一つでも押せば自分の目的の為に貴様を亡き者にしたであろうな』

 

 ――というダメ押しの言葉を突きつけられては最早この結末を見守る立場に甘んじるしかないと心が殆ど折れしまっていた。

 

 そんな二人の前に先に現れたのはセイバーと、彼女と手を握って現れたアイリスフィール、そして切嗣だった。

 

「来たかセイバー。なるほど、そいつが聖杯の器となる人形か」

 

 アーチャーの品定めをする目線に、ただでさえ精神的に敏感になっていたアイリスフィールは畏怖を感じで、身体を震わせる。

 

「不快な視線を向けるなアーチャー。切嗣」

 

「ああ……あの位置に陣取ろう」

 

 そんな彼女をセイバーが庇うように立ち、すぐに切嗣が境内でも林の中に身を隠せやすそうな位置へと二人を連れて移動する。

 

「ふ。この我に対してのその物言い、普段なら許さぬが今宵の我は機嫌が良い。特別に許そう」

 

 セイバーの言葉に気にした様子も無く鳥居門の先の階段を見詰めるアーチャー。

 

(舞弥との通信が途絶えた……奴の性格、目的を考えれば僕とアイリの関係者で最低限の武装をしただけの彼女を殺す事は無いだろう)

 

 切嗣は舞弥との通信が途切れた事で白野達が動いた事を悟る。

 

「来たか」

 

 そして切嗣が白野が動いた事に気付くとほぼ同時のタイミングでアーチャーが一言そう呟く。

 全員が鳥居門に注目する。

 しばらくして現れたのは全員が見慣れた男の岸波白野。

 

「え?」

 

 そしてそれに並ぶように『岸波白野と似た雰囲気』を纏った同じ外套を羽織った女性の存在に、数名が困惑の呟きを漏らす。しかもその手には令呪が三つしっかりと刻まれていた。

 

「あれは、誰だ、何故令呪を持っている? まさか新規のマスター!?」

 

 一番に驚きの声を上げたのは時臣であった。そんな時臣を無視してアーチャーが口を開く。

 

「遅かったな白野よ。なるほど二つに分かれることで手数を増やすか」

 

「ええ。貴方相手に出し惜しみなんてしませんよ英雄王ギルガメッシュ」

 

「ああ。全力で相手させて貰う」

 

 二人の白野が真剣な表情でアーチャーを見据え、アーチャーもまたその顔に笑みを浮かべて白野の鋭い視線を受け止める。

 

 アーチャーの言葉の意味が分からず困惑する時臣であったが、二人の間に流れる緊迫した空気にそれ以上口を挟む事が出来ずに出かけた言葉を飲み込む。

 

 そしてセイバーもまた己が戦うべき相手であるランサーから視線を逸らさず、ランサーもまたセイバーだけを見据えていた。

 

「……さて、戦う前に衛宮切嗣側に一つ提案がある」

 

 はくのんはそのままギルガメッシュを警戒し、キシナミが切嗣の方へと視線を向ける。

 

「なんだ……」

 

「聖剣の鞘を貸して欲しい」

 




二人の白野の戦闘衣装は服は表の方の月海原学園の男性物(校章とかが無い感じでより軍服に近い)
外套はBBが着ていた黒紫の外套の白黒リバーシバージョン。
キシナミの武装は水天日光が中央に嵌められたミラーシールドを装備。
はくのんの武装は原初の火の白色バージョンの黒い部分を紅くした大剣を装備。
てな感じです。あとは戦闘に役立つ礼装や武器がいくつかって感じですね。

まぁ装備見て分かるけどキシナミが『守』担当ではくのんが『攻』担当です(笑)
元々そう思っていたけどエクステラの好きなものの違いで完全にこの役割になりました(笑)

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