いや~やっぱり戦闘シーン書くのは大変ですね。
特に強い相手だと色々考えないといけないので(簡単に倒せちゃうとアレだしね)
「「《Code:
二人の身体と感覚が『肉体の現界を越えて強化される』。
駆ける度に繊維は切れ、切れた端から『強化された自然治癒力よって再生』されて行く。
ショートしそうな脳は熱された端から冷却されまた沸騰するを繰り返し意識が強制的に維持され続ける。
肉体の内から外から痛みが走り続ける。
(痛みは――)
(――意志で耐える!!)
しかし二人は初めから肉体の無事など考慮してはいない。
そもそもサーヴァントに人間が勝とうと思ったのなら、まず身体機能、特に速度に対応できなければ意味が無い。
身体能力の壁。それが第一の死線。
「『
アーチャーの言葉と供に彼の背後から無数の金剛杵が放たれる。
キシナミが前に出て扇、かつて天狗が使用したと言われる大風を生み出す『天狗扇』を大きく振るう。
扇から槍のような暴風の竜巻が放たれて迫る宝具を弾き飛ばす。
その間も二人の足は止まらない。
「ほう、では次だ。先程の風程度では防げぬぞ」
先程は前方だけだったゲートが全周囲に展開され、更に現れた武具は重厚な物ばかり。
アーチャーは口に笑みが浮かべながら手を軽く振るうと同時に全ての武器が発射される。
はくのんが前に出て、キシナミがはくのんの背中に自らの背中を向けてる形でバック走に移る。
「《
「咲け玉藻鎮石!」
キシナミが盾に魔力に加えて精神力を、前に出たはくのんは両手に握った剣に生命力を一緒に注ぎ込む。
鏡の八重桜が一層輝き、剣の刀身が更に白く燃え上がる。
「「おおおおおおお!!」」
はくのんが光の剣線を描きながら飛来する宝具を弾き飛ばしつつ前進し、その背後でキシナミが飛来する宝具を展開したシールドを維持して防ぎ耐える。
同一人物故に二人はお互いの姿を見ずとも同調して動く。はくのんが左に動けばキシナミも左にと、けっしてその動きは乱れない。
そしてついに宝具降り注ぐ鳥篭を、まずは身体のあちこちに切り傷を作ったはくのんが突破し、シールドは健在なれど疲弊したように汗を流すキシナミがその手に持った天狗扇を凪ぐことで自らの体を後方に押し出して囲いを突破し、はくのんとの距離を埋めて二人は再度横並びとなる。
「で、これはどう避ける?」
直後、二人がいる『領域の全て』にゲートが開く。
前方、周囲、ついに上下が加わった全域による掃射。『王の財宝』によるある意味で究極の形。これをどうにかしない限り、英雄王には届かない。
『王の財宝による全域の掃射』それが第二の死線。
しかしその死の包囲網に対して、白野は既に準備し、それが届く『距離』に到っている。
「《
「《
キシナミが地の鎖を作ると同時にはくのんが新たな魔術を発動する。
はくのんの魔術発動と同時に、あれだけ開いていた『王の財宝』のゲートが閉じる。
アーチャーがその目蓋を僅かに広げ、瞬時に『天の鎖の一本を装備品として』左手に装着しながらゲートを開くのを試みるが、やはり発動できない。
(自身を介して『装備品』として呼び出す事は出来ても、宝物から直接の発射が出来ぬか。すぐに使用しなかった事を考えると一定距離の空間干渉の遮断だな。だがそれは奴等も転移が出来ぬという事に他ならない)
だが、ともアーチャーは思う。
(白野が使っていたあの風の扇にこの能力……ククク随分と対策しているではないか。余程我と戦った場合の戦術、戦略を練っていたと見える)
アーチャーは楽しそうに口に笑みを浮かべる。
そして彼の考えは正しい。
白野は聖杯戦争に参加すると決まったその時から『自分が良く知るサーヴァント』との戦いも想定に入れていた。特にアーチャー、ギルガメッシュへの対策は入念に行っていた。
まず前提としてアーチャーを倒すためには彼に近付かなければならない。
『王の財宝』等と言う反則的な手数に対抗するには一人で攻防二つの役をこなすには白野は平凡過ぎた。彼には無銘のように投影品から『その担い手の技術も投影する』等という特異な能力は無いのだから。故に二人に分かれて戦う。
次に徹底しているのはコードキャストや物質化制御の正式名を呼ばないこと。もし魔術名を言ってしまえば、アーチャーはその名前だけでどんな魔術か予測しうる事を彼等は身を持って体験しているからだ。
そして白野達からすればまだ越えた死線は『二つだけ』なのだ。
まだ越えなければならない死線は在る。故に止まってはならない。足を止めればアーチャーの猛攻が開始されるのだから。
そして白野達は第三の死線『天の鎖』と第四の死線『黄金の鎧』に挑む。
アーチャーが好んで使用する二つの防具。
天の鎖は所有者の意志に反応して自動で動き、さらに神性の高い者には元々強い拘束能力を更に高める性質がある。
黄金の鎧もまた脅威である。対物理優れ生半可な武装では傷すら付けられず、対魔術にも優れ魔術ならAランク相当の物も弾き返せる。
それだけの防具に身を包んだアーチャーが、キシナミの持つ地の鎖を視認し、その表情が少しだけイラだった物に変わる。
「白野、その鎖の模倣は流石に許容できんぞ」
「それでもあんたのその鎖に対抗できるのは、これしかないんだよ!」
アーチャーの左手が振るわれ鎖が蛇のように動き迫る。それに対抗してキシナミも地の鎖を操作させる。
鎖同士がぶつかり火花が散る。先端の短剣が互いに牽制するようにぶつかり合い、鎖は互いに絡まりぶつかりを繰り返す。
その度にキシナミの地の鎖に皹が入る。当然だ。彼のはあくまで模倣であって宝具の域には達していない。強度差は歴然である。
だがそれを、キシナミは魔力を送ることで常に補強し続けて維持する。罅割れた端から鎖は元に戻りまたぶつかり、せめぎ合う。
そんな二頭の鉄の蛇の攻防の中を、防御に関してはキシナミに全てを任せたはくのんが、隙間を抜けてアーチャーに迫る。
(私はもうコードキャストを使えない。『空間遮断結界』を維持しなければたちまち『王の財宝』によって射殺されるから。あとはアーチャーがどんな武器を出すかですね。黄金の剣か斧か、それともランスがついたドリル砲か)
アーチャーがかつて好んで使っていた武器を想像しながらアーチャーを見詰めそして……その手に呼び出した武器を見て……二人は奥歯を噛み締める。
「ここで――」
「――それを抜きますか」
「『王の財宝』、そして『天の鎖』も一応無効化していると言っていい。くくく興が乗ったぞ。光栄に思えよ白野、この我自らの意志でコレを抜いてやったことにな!」
アーチャーの右手に現れたのは彼等が最も懸念していた最後の死線。
アーチャーが保有する唯一無二の彼だけの宝具。
黄金の穂先に赤い光を放つ文様の黒い三つの円柱、それらが互い違いに螺旋のように回転する剣というよりランスの形状に近い武器、その名は乖離剣エア。
「安心しろ。真名は開放せん。ただエアの魔力を開放するだけよ!」
アーチャーがエアを引いて構える。円柱が回転し魔力が込められていく。
((まずい!))
ただの魔力開放による一撃でもエアのそれは攻撃範囲にある全ての物を容易く細切れに切り刻むだろう。故に何とかしなくてはならない。
「はくのん、後は頼むぞ」
「ええ」
キシナミが盾を構え、はくのんが背後に回り剣を上段に構えていつでも振り下ろせるように構える。
「「
「行くぞ白野!」
アーチャーがエアを突き出し、そこから全てを引き割き、掻き毟る巨大な赤い螺旋の暴風が放たれる。その嵐を前に、先にキシナミが動く。
岸波白野の『暖かい物を守りたい』という他者を想う心象概念。
そして岸波白野を護りたいと願う『二人のサーヴァントの想念礼装』。
それらが合わさって造られた岸波白野が持つオリジナルの『概念武装』、その力の全てを解放するコードを発する。
「『
鏡の八重桜が消える変わりに白野達を光る巨大な八重桜の大樹が包み込み、エアの掻き毟りが大樹の幹と激突する。
「がっ――あああああああああ!!」
桜の花弁が凄まじい速さで散って行く。まるで咲き誇った矢先に台風に遭って一晩で散ってしまうかのように。
そしてその度に盾には皹が入り、岸波白野の『精神を砕いていく』。
アイギス・ブロッサム。
『全ての効果を無効化して防ぐ』という『無敵の盾』を顕現する。
通常時であれば魔力の消耗と精神疲労で済むがリミッターを解除した場合は精神力の全てを盾として顕現する。
故に、盾にダメージが通れば通るほど、精神の根幹にも影響が出る。
花弁が、幹が、枝が砕け散る度にキシナミの心は砕かれ記憶が磨耗されて行く。
喪失による恐怖がキシナミを襲う。
それでも……キシナミは術を解かない。
当然と言えば当然である。
この概念武装その物が、『自らより他者を優先する』という諦めの悪い岸波白野の象徴なのだから。
「―あ――ああ――ああ!」
もはや叫びすら上げられず、花は殆ど枯れて枝も折れ、仕舞いには大樹はその姿を消し、ついには皹が幾多にも入った盾の正面に展開する一輪の桜の花だけでエアの一撃を防ぐ。
そう、防いでいる。キシナミの両足は折れず、目の焦点は合っていないがその瞳の光はけっして消えず耐える。
その光景を目の当たりにしながら、はくのんも自身の出番は近いと、己が持つ『概念武装』の力を解き放つ。
原初の火の刀身が白から真紅に反転し、まるで命の炎その物のように艶やかな真紅の『光熱』が発する。
岸波白野の『死にたくない』という自身を想う心象概念。
そして岸波白野と供に在りたいと願う『二人のサーヴァントの想念礼装』から造られたアイギス・ブロッサムと同じ『概念武装』。
そしてはくのんの準備が終わると同時に、その時が訪れる。
「――!!」
キシナミが渾身の力で盾を振るう事でエアの衝撃を逸らす。
同時に、限界を迎えた玉藻鎮石が砕け散る。
役割は終えた。
そう言うかのようにキシナミがその場に崩れ落ちる。
それに合わせる様に、二人が動く。
ずっと力を溜めていたはくのんと再度エアを放とうとするギルガメッシュ。
そして先に振り下ろしたのは、すでに構えを終え、力も溜め終えていたはくのんだった。
「『
真紅の極光が振り下ろされ、ギルガメッシュに迫る。
と、同時に原初の火は砕け散り『全ての生命力』を注ぎ込んだはくのんの眼から生気が失われその場に倒れ伏す。
ローズレット・クラス・ソラス。
『全ての力を無効化して貫く』という『無双の矛』を顕現する。
通常時ならばアイギス同様に魔力と体力を失うだけで済む。
だが全力で振るう場合リミッターは解除され、使用者の生命エネルギーその物を吸い取って矛とする。
故に、一度全力で振るえば振るった者は生命の枯渇で瀕死となる。
(間に合わん)
ギルガメッシュは盾の展開は間に合わないと判断し、鎧に魔力を送って強度を上げつつ、攻撃がぶつかる瞬間に、エアの魔力開放をすることで威力の相殺を図る。
黄金の劇場に轟音と強烈か光が放たれ、全てを飲み込む。
……黄金劇場を振るわせた一撃、その光が晴れる。
影は三つ。
一つは命あれど意識を失って気絶する瀕死のキシナミ。
一つは意識あれど命を失って動けぬ瀕死のはくのん。
「……ここまでか」
そして唯一劇場に立つ影。
黄金の鎧が破壊され、エアを遠くに吹き飛ばされ、黄金の鎧を砕かれて上半身裸となった英雄王が、静かにそう呟き、倒れる二人を見詰めていた。
と言う訳で次回に続きます。
今回白野が使った武装や能力について↓
『天狗扇』
原作でも手に入る礼装。
風を起こす事が出来るだけ(それでも破格の能力)で本来の天狗が持つような風の操作や炎を出す、天候を操るといった事は出来ない。
『現界突破』
たぶん一番有名なのは界○拳。
あれと同じで肉体のリミッターを外した上で体機能を強化するもの。
使用後に筋肉疲労でぶっ倒れる上に肉体の寿命も減る。
『空間遮断結界』
一定空間内の別空間への干渉を遮断するもの。転移や異空間からの物の持ち出しや干渉が出来なくなる。
個人的にだが時空間魔術が使える奴はみんな使えてもおかしくないと思っている(自分も無力化しちゃうからやらないだけで普通に基礎だと思う)
『我、砕けてでも護る者なり』
『我、燃え尽きても刈る者なり』
白野の『矛盾した思想と生涯』という概念と彼の中にある形無きサーヴァント達の『想念礼装』が形となった心象概念の結晶。
言ってしまえばジャンヌのラ・ピュセルと同じである。
どちらも言ってしまえば『相手の攻撃・防御の効果を無効化し、純粋な威力・強度勝負に持ち込む』といったものである。
そのため威力が足りなければ矛は貫けず、強度が足りなければ盾は砕ける。
普段は原点となっている玉藻鎮石、原初の火と呼び、全力全開の時だけ真名を告げている。
ぶっちゃけ元々はサーヴァンになった時の白野の宝具候補だった武具である(笑)