意味深だけど実はタイトルが浮ばなかっただけです。まぁある意味次回からしばらく日常回はお休みになるから間違ってはいない筈!
部屋に戻ると、小雪達が自分が作った小さいぬいぐるみを色々取り出して物色していた。
とりあえず準に頼んで部屋の中央に折り畳み式の机を広げて貰い、その上に持って来たおやつを置いて人形を見詰めていた三人に声を掛けた。
「欲しいのがあるなら持って行っていいぞ」
「いいの!」
「ああ。まあ出来はそれ程良くないかも知れないが」
「……これで良くないとか言ったら裁縫の一般レベルが跳ね上がるだろって、ウマっ!」
準がツッコミつつクッキーを一つ口に放り込むと、ツッコミを途中で止めて反射的に言葉を放った。
「確かに普通に美味しいですね。お茶にも合います。茶葉も厳選しているので?」
「流石に茶葉の選別とかは分からないよ。大抵市販の紅茶、緑茶、烏龍茶、麦茶で、一番合いそうな物を選んでるだけ」
因みに今回は紅茶だ。
「料理も出来て裁縫も出来るとか、ユーキの家事スキルは高いなぁ」
何故か少し気落ちしている小雪を見て首を捻る。
「小雪の料理も美味しかったぞ。家事、というか料理と裁縫はお金をあまり使わないようにっていうのが最初の理由で、今は形として誰かに贈れる物を作るのが好きになったから続けているだけだよ」
元の世界では結局自分で何かを作って他人に贈った事が無い。そのへんの反動もあるのかもしれないな。
「なんというか、ユウ兄らしい理由だな」
弁慶の言葉に全員が頷く。何その一体感?
「ま、いいか。それよりまずはそれぞれ調べた内容を話し合おうか」
「あ~そう言えばそういう集まりだったな。お前の部屋のインパクトが強過ぎて素で忘れてたぜ」
準が頭を擦りながら座ると、他のみんなも机を囲うように座る。
みんなにお茶を振舞った後に、それじゃあ。と言って自分から話し始めた。
それからしばらくしてクッキーが無くなった頃に、全員の結論が出た。
「うん。やっぱり統合的に見て、あの偉人しかないと思う」
「だよな。でもなんで今迄気付かなかったんだ? 葉桜先輩なら気付いてもいい気がするんだが?」
「意図的、て程でもないか。清楚さん普通にその年代も勉強してるし」
「ああ。でもならなんで……隠したか」
正体の結論は出たが今度は何故それを隠したかで軽い議論が行われる。
「やっぱ強過ぎるから?」
「試しに腕相撲したら、私以外の全員が負けたしね」
小雪の問いに弁慶が答え、その言葉に自分を含めたクローン組みが苦笑いを浮かべる。
因みに与一は手を抜いてやったせいで手首を軽く捻挫した。
「でも基礎運動だけで他の特訓はしてないんだよね? それで大人になってから鍛えても、心構えの方で問題が出て来るんじゃないかな?」
小雪が当然の疑問を投げ掛ける。
確かに清楚姉さんは荒事を避けていたために、戦うどころか力を振るうための心構えすら出来ていない。それは九鬼にとっても遅れれば遅れるほど良くない事態になりかねないはずだ。
「力が強過ぎて封印せざるを得なかった。そして戦闘訓練をして封印が解けても困るからしなかった。というのが、一番有力か」
「でしょうね。それならある程度説明が付きます」
自分の仮説に冬馬が頷く。
「あれ? それじゃあ正体を伝えるのって、まずいんじゃないか?」
「でも、必ず突き止めると清楚さんと約束した」
与一が僅かに眉を顰めながら問うと、義経が力強い目でそう返した。
「義経の言うとおりだ。とりあえず伝えるだけ伝えよう。清楚姉さんがもし不安がって力を暴走させるようなら、みんなで支えてあげればいい」
「……そうだね」
「うん。義経もそう思う」
「まあ俺達にとっては姉みたいなものだしな」
義経達が力強く頷く。やっぱりみんな良い子だなぁ。なんか心が温かくなった。
「そういや葉桜先輩今日はどうしたんだ?」
「部屋で読書しているはずだ」
予定を聞いた時は部屋で読書していると言っていたから、ビルに残っている筈だ。
「どうする? 伝えに行くか?」
「いや、月曜日に学校で伝えた方が良い。ここだと耳の良い人が多いから邪魔が入る可能性がある」
「それもそうだね。学校ならヒュームも紋白や英雄がいるから、そっちを注視してるだろうし」
自分の言葉に弁慶が頷いて賛同してくれた。
「では私はもう一度資料を纏めておきましょう」
「人が少ない時間が良いなら昼の屋上がいいだろうな。弁当を持ってけばみんなで昼食しているように見えるんじゃないか?」
「じゃあ明日はお昼に屋上に集合だね!」
「分かった。清楚姉さんには自分が伝えておくよ」
みんなで頷き合い明日の予定を決める。しかし不安もある。もしも力が暴走したら。そんな風に不安に思っていると、箱の中の清楚姉さんの人形に目が留まる。
……そうだな。もしかしたらこういう日のために、自分はこれを作ったのかもしれないな。
「義経、弁慶、与一、明日はこれを一緒に学校に持って行ってくれ」
義経達に自分が作った手の平サイズの人形を手渡す。
「清楚姉さんの分は明日直接渡す。こういうのでも、精神的な支えになってくれるかもしれないからな」
「お揃いの人形ですか、確かに効果は高そうですね」
冬馬が感心したように頷く。
「じゃあ難しい話はこれで終わりだ。清楚姉さんを遊びに誘ってくるよ」
「あ! なら義経はみんなで遊ぶためにボードゲームを取って来る!」
「義経さんの部屋ですか興味ありますね。運ぶのを手伝いますよ」
「なら私はキッチンにお茶のお代わりでも拝借しに行ってくるか。与一も義経を手伝ってあげて」
「なんで俺って、分かったよ姉御! 分かったからアイアンクローの構えは止めてくれ!!」
渋った与一だったが、弁慶が手を広げて迫っただけで折れた。可哀想に。
「んじゃ、俺達は弁慶の手伝いに行くか小雪」
「うん!」
それぞれ役割分担を決めて全員で部屋を出る。
自分達武士道プランの子供達は部屋が隣接しているので、清楚姉さん部屋にはすぐに到着した。
「清楚姉さん、優季だけど今いいかな?」
声を掛けながらノックする。
ドア越しに清楚姉さんの声が聞こえて、しばらくしてドアが開けられた。
「どうしたのユウ君? 今日は友達と勉強会するんでしょ?」
「うん。それも終わったから、これからみんなで遊ぶつもり。良かったら清楚姉さんも一緒に遊ばない?」
「もちろんいいよ。ふふ、榊原さん達と遊ぶのは初めてだから楽しみだな」
「それじゃあ先に部屋で待っていようか」
「うん」
清楚姉さんを連れて部屋へと戻る。しばらくしてボードゲームを持った義経達が戻ってきて、弁慶達もお茶と茶菓子を持って戻って来た。
それから夕方までみんなで楽しく遊んだ。
傍で笑う清楚姉さんを見詰めながら、明日、どんな事が起きても全力で清楚姉さんを支えようと、強く心に誓った。
と言うわけで次回への繋ぎ回でした。
さて、次回以降からまた戦闘が入ります……頑張ろう。