ようやく原作の中心人物達と合流。
それにしても過去の時系列を纏めるのが大変です。
翌日。土手で直江の仲間らと合流した自分と百代は、彼らと一緒に六年生が来るのを待ていた。
本来は遊び場で襲撃するはずだったのに、百代が果たし状なんて物を作って直江経由で六年生グループに渡した結果、ここで戦うことになってしまった。
それにしても、直江の仲間は個性的なメンバーだな。
改めて背後にいる彼らに視線を向けて見渡す。
グループのリーダーで耳に穴を空けられたっていうのに、それを気にした様子の無い元気で破天荒な男の子、
グループの軍師を気取っているちょっと中二が入った直江大和。
グループで一番体格があって力が強そうな
グループの紅一点で小柄で可愛い女の子
グループで一番ひ弱そうな男の子の
「助けないからな」
横に居た百代が急にそんな事を言い出す。
そんな百代を見据えながら、溜息を吐いて肩を竦める。
「いつもどおりだろ。というか、複数人と喧嘩する時、毎回こっちの実力見たさに手加減してこっちに敵を寄越している時点で、百代もある意味敵だよね?」
「おいおい、折角お前にも見せ場をやっている優しい乙女に向かってなんてことを言うんだ」
「そうだな。ありがとう。嬉しくて泣けてくる」
などと軽口を言っていると、六年生らしき連中が自転車に乗ってやって来た。
なんか中には痛々しいカスタマイズをした自転車に乗ってる奴もいる。
数は11人か。百代の奴、多分半分は俺にまわすな。
それはそうとやっぱり喧嘩とはいえ、果し合いなわけだし、何かしら前口上でも述べるのかなぁ。
なんて考えていたら、六年生グループが思いっきり駆け出して来た。
「うわ、いきなりか」
「じゃ、頑張れよ」
「はいはい、頑張りましょう」
百代はさっさと駆け出してすでに一人倒してしまう。まさに秒殺。
そんな百代を見て唖然としてる奴の顎を殴り飛ばして脳震盪を起こして意識が朦朧としている間に、もう一撃入れて完全に気絶させる。
「う、うわああ!」
傍にいた別の男の子が慌てて俺に跳びかかるが、それを膝蹴りで顎を跳ね飛ばす。
流石になんの心得も無い奴に負けてるほど、自分も弱くは無い。
伊達に百代相手に組手をしていないっての!
「あ、あいつの方を全員でやっちまえ!!」
リーダーっぽい男の子が百代には適わないと悟ってこっちの方に来る。ま、当然だよね。
「うら!」
「っこの!」
捌き切れずに顔を殴られたが、痛みを無視して拳を相手の鼻下の人中目掛けて振り下ろす。
戦う術を学んでいる以上、急所を含め人体については色々と学んでいる。
戦いはブレインだよ兄さん。と、誰かが言っていたような気がする。
「あぐう!?」
「こいつ!」
痛みで蹲った相手に追撃を掛けようとしたら両手を掴まれたので、掴んでいる奴の一人に頭突きをかます。
「あぐ!」
怯んだところで思いっきり身体を振るって拘束を解き、蹲っている二人に蹴りを入れる。
これならまあ数回殴られる程度で済み……あれ?
気付けば既に周りにいた連中を全員倒していて、他の連中も百代に倒されていた。
うん。どうやら自分でも思っていた以上に、百代との組手で鍛えられていたらしい。
「人質取ってお前の耳に風穴開けたのはどいつだ?」
もう喧嘩は終了とばかりに、百代が拳を解いて風間に問いかけた。
「こいつだけど……」
「ひぃっ!」
風間が指差したのは先程からリーダーらしき振る舞いをしていた男の子だった。
「こいつにはさらなる痛みを植えつけて、二度と同じ事ができなくしてやる」
「や、やめろ!お、俺は釜中の三宅君の知り合いなんだぞ!」
「誰だそれ?」
「さあ?」
百代に尋ねたら興味なさ気に肩を竦めた。
男の子の顔が焦りだす。何者か知らないが、一部では三宅君は有名らしい。ご近所番長とかそういう類だろうか?
「お、俺は怒ると怖い本物のワルだぞ! こ、この前だって子猫を平気でイジメ殺してやったんだ! お、お前も殺すぞ!」
あ、こいつ終わった。
「そうかぁワルかぁ~カッコイイなあ先輩。ちょっとデートしてくれ」
「は?」
「あそこまで……付き合ってくれ」
物凄い良い笑顔で、百代は六年生の首根っこを掴んで引き摺って行った。
やれやれ、ついて行くしかないか。
溜息を吐きつつ百代の後について行くと、他のみんなもゾロゾロとついて来た。
百代が入って行ったのは、二階建ての廃屋だった。
ずんずん突き進み、ついには屋上に到着する。高さで言えばウチの小学校の三階くらいはありそうだ。
「こ、こんな所に来て、どうするつもりだよ?」
もはや六年生に最初の勢いは無く。これから何が起こるのか分からない恐怖に、全身を震わせていた。
「喜べ。これからお前は空を飛べるぞ。一瞬だけ」
「へ?」
意味が分からない。そんな呆気に取られた顔で呆けていた男の子を、百代は平然と屋上から落とした。
下の方で凄い音と共に悲鳴が上がる。
まあ足からちゃんと落としていたし、高さ的にも死にはしないだろう……骨折は免れないだろうが。
「な、何もそこまでしなくても」
まったくである。平然と屋上から人を落すとか、もはや鬼畜以外の何者でもないな。
みんなで確認しに行くと、男の子は痛い痛いと泣いていた。可哀想に。
「おいおい大丈夫か? こんな廃屋の屋上で遊ぶから、足を滑らせて落ちるんだぞ。私達が近くに居て良かったな。すぐに助けを呼んでやろう」
なんて言いながら、百代は良い笑顔で男の子に詰め寄る。
「ひいいいい!」
男の子はそれだけでビビって漏らしてしまった。まあ軽くマジギレしてるから確かに怖い。
自分でもチビるかもしれない。
「あと、猫イジメとかそんなふざけた話をまた聞いたら、今度はもっとキツイお仕置きをしてやる」
笑顔の後の真顔。そして素人目にも分かるほどの殺気と怒気を放ちながら、百代が最終警告を告げる。あれは間違いなくトラウマになる。
「は、はい! もうしません。僕は自分で足を滑らせたんです! ごめんなさいごめんなさい!」
なんというか、百代の将来が心配である。
「な、なあ鉄。流石にあそこまでする必要はないだろ。お前なら姉さんを止められたんじゃないか?」
直江が恐る恐る尋ねてきたので、笑顔で答えてやった。
「えっ。なんで?」
何故かみんな固まった。
「おい弟、そいつ軽くキレてるから気をつけろ。私が落さなかったらコイツもっと酷い事になってたと思うぞ。というか普段の温厚なそいつならこうなる前に止めてる」
「心外だな。ただどんなやり方でイジメたか問いただして同じ目に遭わせてやるだけだ」
弱い者イジメ、特にか弱く意思の疎通が取り難い動物や子供をイジメる奴は同じ目に遭うといい。つうか倍返しでもいいと思うんだ。
「普段温厚な奴ほど怖いって言うだろ」
百代の物言いに何故か全員納得したように頷いて答えた。とても心外である。
その後男の子は無事病院に搬送。自分達は偶々通りかかって、男の子を助けた扱いになった。
そんな災難な男の子を他所に、俺達は取り戻した遊び場で一緒になって遊んだ。
「中々居心地がいい連中だ。これからは私も一緒に遊んでやる!」
「モモ先輩なら大歓迎だぜ!」
といった感じでなし崩し的に百代は直江のグループ、風間ファミリーの仲間入りを果たした。
「おい。何自分は関係ありませんみたいな顔してんだ。お前も入るんだよ!」
「マジで? 自分だけ物理的にやけに場所が遠いんだけど。まあ楽しそうだからいいけどさ」
そして百代の勧めもあって、自分も仲間入りした。
それからは出来る限り川神に来て、みんなと遊ぶようになった。
次回ようやくもう一人のメインヒロインが登場します。
まあ原作やっている人ならもう想像できているでしょうが。