初めまして西園弖虎と申します。
fateのSSを書いたのは今回が初です!
前から書きたかったのですが、ネタがなくて迷っていました。
しかし、"昨日思わぬ物"と出会った事により今日は筆が乗りSSが書き上がりました。
全ての士郎×桜、大好きさん達に捧げる作品です。
毎日のセイバーとの朝稽古を終えて今はお昼の準備をする為に台所にいる。冷蔵庫を開けると……うん、今日は買い出しに行かないとな。
「どうしたんですか、先輩?」
「ああ、桜か。いや、冷蔵庫の中身が心許無くて。お昼を食べ終わってから食料品の買い出しに行かないとなって思ってさ」
「そうなんですか……あ、あの先輩」
「ん?どうした桜」
「私も食料品を一緒に買いに行ってもいいですか?」
少し遠慮がちに聞いてくる桜。昔と比べたらかなり自分を出せるようになって来ているが、まだまだ躊躇いがちだよな……俺相手に遠慮なんてしなくてもいいのに。
まあ、桜は心根が優しい子だからな。なら、俺がとるべき対応は――
「荷物も多そうだしな、俺一人じゃ……うん、悪いが桜、お願い出来るか?」
「はい!先輩!」
最近の桜は花が咲くように笑うようになった。
「じゃあ、お昼はナポリタンにするか」
*
「「「ご馳走さまでした」」」
「シロウ、今日の昼食は美味でした。またお願いします」
「お、セイバーはナポリタン気に入ったか」
「はい。ソーセージやベーコン等ピーマンが入っていて味わい深いものでした」
「先輩の作るナポリタンは昔から美味しいですよね♪」
「桜も気に入ってくれてるんだな、よかったよ」
「はい♪」
その後は使った食器やフライパン等を洗い、片付けてから出掛ける準備をする。昼食は簡単にものにしたから夕飯は凝ったものにしよう。
「セイバー、食料品を桜と一緒に買い出しに行ってくるから留守番を頼む」
「はい、わかりましたシロウ。気を付けて行ってきてくださいね」
「行ってきますね、セイバーさん」
「はい、桜も気を付けてくださいね」
セイバーに見送られて二人並んで歩く。
「今日もよく晴れてますね」
「そうだな、こう天気がいいと洗濯物がよく乾くから助かるよ」
「ふふっ♪」
桜とのんびり他愛ない事を話しながら歩きスーパーへ向かう。
「先輩、さっきチラシを見たら今日はブラックタイガーが安かったですよ」
「お、じゃあ海老フライもいいな」
すっかり所帯染みたやり取りをしてしるが、桜とは何時もこうなので気兼ねが無く自然体でいられる。
目的のスーパーに着き、カートにカゴを乗せて店内に入り先ずは青果コーナーを見る。入荷したばかりらしく、トマトやキャベツ等が瑞々しい。それをカゴに入れていく……いつの間にかウチは大所帯になったからなぁ。
少し前までは、俺と桜、それに藤ねえしかいなかった。買い物をしながら昔を思いつつ必要なものをカゴにどんどん入れていく。昔なら買いすぎだと思う量であり、こんな買い方をしていたらお金がいくらあっても足りないが……今は居候や、ウチに部屋を間借りしている人達が家賃や食費を入れてくれている。
お陰で食費に困ることはない。だからその分、此方も皆がウチで食べる食事には手を一切抜くつもりはない。持てる技術を全て出して作る。
今のところ、皆から不満の声は聞かない。
「あ」
そんな時に買い物を進めていた折りに桜が声を出した。何やら見ているのでそちらを見ると――――
――――デカい。
いやいやいや、何さこれ。
そこに鎮座しているモノ、それは……
「プッチン、プリン……だよな?」
「はい先輩、happyプッチンプリンです」
しかし、どう見ても……下手なコップより全然デカいんだが。手に取ってみる、……重っ! ラベルを見ると――380g!?!? コレ一つで、三個セット百円でたまに買うプッチンプリン一個の何倍の量なんだろう……。
「ん?……ああ、45Th……周年記念って書いてあるな。記念品か」
「見たいですね……」
桜をチラリと見る。ふむ、気になっているみたいだ。まあ、それも仕方がないことか。子供の頃は皆、プリンを一杯食べたい!って思うものな。桜には何時も助けられているし、ここは俺から動くべきだろう。
「そう言えばプッチンプリンを前に食べたのはかなり前だったな」
「はい、多分二ヶ月くらい前かと思います」
「そっか、そんな前だったか……よし、桜!」
「は、はい」
「たまの事だし、それに記念品だ。皆の分買っていくぞ」
俺がそう言うとわかりやすすぎるくらい顔を綻ばせる桜。どうやら俺のとった行動は正解だったらしい――。
*
買い物を終えて一路帰宅に向けて歩いている。買ったものは全てお手製の買い物袋に入れている、かなり丈夫に作ってある。そんな降りふと思い付き、桜と公園のベンチで少しだけ休んでいく事にした。え?買い物したものは大丈夫かって?大丈夫、スーパーでとあるモノをたくさん貰っているから(ドライアイスだよ)
「ふう、本当にいい天気だなー」
「そうですね、この後は夕飯は仕込みをして……。ふふっ、今日は藤村先生大喜びですね♪」
「ああ、藤ねえは海老フライ好きだからなあ。……はい、桜」
「え? happyプッチンプリン?」
「……一つ余分に買ったから。その、何時もありがとう桜」
「――――せんぱい――」
何時も助けてくれている桜に、ささやかな感謝の気持ちを伝える。一緒にいると、当たり前になりがちだけど……なあなあにしていいことじゃない。
感謝の気持ちを忘れてはいけない、人は伝えなければわからない、わかりあえない生き物なのだから。
「……桜?」
感謝の気持ちを言葉と行動で伝えた、そんな俺の手を桜は取り両手で包んできた。
「私こそ毎日ありがとうございます、せんぱい」
彼女の微笑む顔を見ると思う。やっぱり笑顔が似合う――――っと。
「桜、ぬるくなる前に」
「あ、はい先輩♪」
桜にhappyプッチンプリン45周年記念仕様を改めて渡してから、買い物袋から柄の長いプラスチックのスプーンを取りだし、持ち手側を破り先端を出して桜に差し出す。
「ありがとうございます、先輩♪」
スプーンを俺から受け取り綺麗な動作でプリンを掬い、一口。
「美味しいです先輩♪」
「量が多くてもしっかりとしているな」
「はい、固すぎるって言うことは無いです。表面が中心よりは若干固いくらいです」
「流石は食品メーカーだな。前に作った、どんぶりプリンは崩れちゃったしな」
「そうですね、でもセイバーさんが全部食べてましたね」
そうなのだ、元々はテレビを見ていた時に何やら企画でやっていたらしい。それをセイバーが見て俺に作れるか聞いてきたわけだ。で、俺がプリンの素で作ったわけだが……固さが足りなかった。お陰で、富士山プリン(藤ねえが命名した)はあっさりとその標高を下げて崩壊した。
「これを気に、本格的に甘味も覚えるべきかな……」
「それもいいかもしれませんね、先輩は和食は既に免許皆伝ですから♪」
「桜だってもうすぐだろ?」
ウチでは、和食は俺(桜が手伝ってくれる)洋食は桜(手伝いは俺がしている)そして中華は遠坂が担当している(手伝いは俺と桜が受け持つ)
各々が他を手伝いながら学んでいる。甘味だけは担当がいない、それぞれが作れる時に時偶作るだけだ。
「先輩、どうぞ♪」
桜の声で思考から戻され目の前を見ると――――スプーンが差し出されていた。
スプーンの上にはプッチンプリン。ああ――味見か、と。
――躊躇うこと無く口に含む。
「うん、美味い。やっぱり絶妙な固さだな……どうやるんだコレ」
「一口目は表面でした、二口目はその下です」
「――固さが違う。コレって一回で注いでいるわけじゃ無いのかもな……」
「そうですね……カラメルが一度目、二度目が八分目くらい。最後に固めを注ぐ……そんな感じでしょうか?」
「思わぬ物と出会ったものだな……こんな成功例を見せられたらやる気が出るな!」
「ふふっ♪先輩楽しそうですね♪」
「そりゃ、こんなものを見せ付けられたら努力のしがいがあるってものだろ?」
「そうですね……それじゃ、私が先輩の甘味作りのお手伝いしますね!」
「よろしく頼む、桜」
「はい♪任されました♪」
かなりの量があった筈だが、二人で感想を言ったり、これからについて喋りながら食べているとあっという間に空になった。
「うっし!先ずは夕飯作りからだな、洋食は桜の方が上だから手伝いながら勉強させてもらうよ」
「はい♪」
公園のベンチから立ち、買い物袋を右手で二つ持ちながら左手を桜に差し出す。左手を見て理解してくれた桜と手を繋ぎながら一路家へ帰るべく桜と並んで歩く。此れからも、まだまだ学ぶべき事は多いなと思いつつも…………
――――願わくば、此れからも笑顔の桜と共に歩んで行けますように。
fin
お読み頂きありがとうございました!
後書きなので、ネタバレです。
happyプッチンプリン45周年記念!!!
なんですか、アレは(笑)
一瞬目を疑いました(笑)
だって、あんなに大きいなんて冗談かと思ったんです。まあ、手に取った瞬間に「重いっ!」ってなったんですけれど(笑)
まだ、見られていない方や、食べていない方、是非是非!食べて見てくださいね!!
ステマではないのですが、グリコさん作ってくださり、ありがとうございました☆
ではでは〜♪
西園弖虎でした☆