真・閣下転生   作:echo21

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女神転生シリーズ。
転生者や憑依者はよくあることです。




閣下転生 #03 召喚回。

 あれから大混乱だった。美由希さんは青筋を立てて説教を始め──怒った顔もプリティだと褒めたら正座を強いられたしまった──主な内容は二人同時に告白したのが不誠実だと仰せです。フィアッセさんはなのはから質問攻めをくらい──幼女でも女だった──結婚について説明をしている。優は優で逃げ出そうとしたところを葛葉のオッサンに捕まっていた。他人事の顔をしていたスプーキーのオッサンが止めに入らなければ、そこかしこにいたオバ様達の目がさらに輝いていたに違いない。

 

「──だからもうっ。聞いてるの? いくら子供っていってもね、冗談でも良い悪いはあるんだからね」

 

「聞いてます、聞いてますって。……あ、いいところに来た。リスティさん。こっちこっち」

 

 俺が手招きすると、苦笑いのリスティさんが『うしろをみろ』といわんばかりに指を差している。振り返れば美由希さんが眼鏡を片手に眉間を揉んでいた。おお。眼鏡を外した姿も中々の美少女ですな。

 

“このナンパな性格は直らないのよねぇ。やたらと女悪魔に食いつくし、私も舐めるようにみられた覚えがあるなあ”

 

“ナンパではない。目の保養である”

 

「真くん!」

 

“本当にもう。……呼んでるわよ?”

 

“名前を覚えてもらえて嬉しいやら悲しいやら。ネミッサはどう思う?”

 

“死んでくれる?”

 

「あの顔は聞き流してる顔だよ。や。久し振りだね、美由希さん」

 

「久し振りです、リスティさん。……えっと、聞き流してる?」

 

「どれどれ。頭の中を覗いてみようか。きっと面白いことになっているからね」

 

“後悔をしても反省はしない。ネミッサの脅しには屈しないのだ。それがたとえ、呪殺魔法の最強候補だとしてもだ! 俺は退かぬ、媚びぬ、省みぬッ! そして、真の勇気とは打算なきものっ! 脅迫の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃないっ! 俺は愛でるぞッ! ネミッサァァァ”

 

“今死ね。やって、リスティ”

 

「なにやってんだか。起きな、真」

 

 ────バチリッ! 静電気が脳を走る痛みで転げ回る。ネミッサが申し訳ない程度のディアをかけてくれたが、その回復魔法じゃ追いつかないのだ。せめてディアラマでお願いしたい。

 

「えっと……。リスティさん?」

 

「ちょっとしたお仕置きだよ。これぐらいはいつものことだから心配いらないのさ」

 

 痛みが引くまで転がっていたら話が進んでいたようで、皆で翠屋まで移動することになっていた。なのははフィアッセさんと手を繋いで笑いあっているし、優は葛葉のオッサンに尻を蹴られている。こっそりスプーキーのオッサンに訊けば、優が転生者だと自白したらしい。憑依のスペシャリストの前では誤魔化せなかったのだろう。さすがはライドウであり、キョウジでもある男は格が違った。

 

 この世界は転生者や憑依者どころか、天使や悪魔に神様や魔王が歩き回っているのだ。その現実を知ったら優はどうなるのだろうか。俺は血反吐を吐いて学んだが、俺自身は特殊な例だから優は大丈夫だろう。たぶん。

 

“なあ、ネミッサ。なのはのマグネタイトの話はあったのか? 本題はそっちだろ?”

 

“軽くね、あったわ。詳細は家族を交えてするそうだから、それなりの秘密を話すんじゃないかしら”

 

“なるほど。了解”

 

 優から訊き出した情報はそれなりにあったようだが、特に目新しいものはないらしい。スプーキーのオッサンにあとで教えてもらう約束をしたので、ニヤニヤと笑うリスティさんに跳び蹴りをいれた。

 

「危ないじゃないか」

 

「避けるなよ。かなり痛かったから仕返しをしたいんだ。それにリスティさん。あんなことにHGSを使わないでくれない?」

 

 高機能性遺伝子障害病(通称、HGS)を発症しているリスティさんは、俺が知る限り最強の超能力者だ。攻撃に全フリしたといわんばかりの特化具合であり──特に電撃系が得意──物質転送や読心能力まであるのだ。その特異な能力を使いこなし、特例として刑事になった傍らで俺の修行に顔と手を出す女性でもある。

 

“いつもケンカしてるけど、飽きないの?”

 

「目覚めには最適だろ? 告白したそうじゃないか。嫁になってくださいって?」

 

「二人とも美少女だったからな。リスティさんとは違うから仕方ないね。電撃飛ばさないし」

 

“ネミッサともな”

 

“ジオダイン、いっとく?”

 

“断るッ!”

 

 リスティさんだけでなく、ネミッサの得意な魔法も電撃魔法である。同じ銀髪だし、すぐに電撃を飛ばしてくるから困る。髪の長さが違わなければ、もろにキャラ被りなのだ。

 

『リスティさんは髪と同じでキレ具合もショート。ネミッサはロングだけど忍耐力は短かった』

 

 あの時。ネミッサからジオダイン、リスティさんからはサンダーボルトを頂いた。全く嬉しくないところで似ている二人である。

 

「……ほう? それはなにかな。真は私に含むことでもあるのかな?」

 

 リスティさんが左手を顔の位置まであげて火花を散らすので、いつでも避けられるように構えをとった。睨みあう俺達を止めたのは美由希さんだ。リスティさんには大人気ないと、俺には反省しなさいという美由希さんに免じて止めておこう。

 

「次の修行でブッ飛ばす」

 

「返り討ちにしてあげる」

 

“ほんと、飽きないわねぇ”

 

 

   ◇

 

 

 あっという間に日も暮れて、高町家に集合している。今夜の話し合いは高町家が主役になるので母親の桃子さんを始め、長男の恭也さんと恋人の『月村忍』さん。それから長女の美由希さんだけでなく、末っ子のなのはも参加している。関係者としてはフィアッセさんと優の二人になり、少し事情が違うとはいえ、二人とも聞いたほうがいいと判断された。司会進行は安定のスプーキーのオッサンで、補足説明をするのは葛葉のオッサンと俺の父親である『間薙仁(まなぎじん)』だそうだ。リスティさんは恭也さんと忍さんの友人らしいので、高町家側に立ってもらっている。

 

「……なんでいるんだろう、俺」

 

 話し合いが始まるまでの経緯を説明しおえたところで浮かんだ疑問に首を傾げる。今のところ、俺は必要ないよね。どこの立ち位置?

 

「呆れた。発端は真だって話じゃないか。最後まで付き合うのが筋じゃないの?」

 

「働けよ、坊主。とりあえずネミッサを出してくれ。話が早く進むからな」

 

 なるほど。実行役としての同席か。リスティさんは無視するとして、葛葉のオッサンに頷いてから悪魔召喚プログラムを──悪魔召喚の儀式をデバイスでエミュレーションして自動化するプログラムを起動するため、眼鏡を左手で覆った。

 

「起きろ、相棒。音声入力『悪魔召喚プログラムを起動』する」

 

『OK BUDDY.SUMMON PROGRAM.START-UP』

 

 ────RESET

 ────SEI

 ────CLC

 ────XCE

 ────CLD

 

 ────X16

 ────M8

 

 ────LDX #1FFFH

 ────TXS

 ────STZ NMITIME

 ────LDA #BLANKING

 ────STA INIDSP

 

 EL ELOHIM ELOHO ELOHIM SEBAOTH

 ELION EIECH ADIER EIECH ADONAI

 JAH SADAI TETRAGRAMMATON SADAI

 AGIOS O THEOS ISCHIROS ATHANATON

 

 ────AGLA AMEN────

 

 

 ──AUTHENTICATE...

 ──SHIN.MANAGI.LINK...OK.

 ──SHIN.MANAGI.MAGNETITE...OK.

 ──真.間薙...MY BUDDY.OK.

 

 

 ────NOW LOADING────

 

 

 ──DIGITAL

 ──DEVIL

 ──SUMMON

 ──PROGRAM

 ──ACTIVATION

 

『HELLO BUDDY.WHATS UP?』

 

 伊達眼鏡だった待機状態から顔半分を覆う銀色のアイマスクへと変形しており──ヴェネチアンのコロンビナタイプ──額にある宝石のようなアビスブルーがチカチカと光っているだろう。この状態になると同時に装備されるバリアジャケットは、黒のライダースーツであり、両手に鈍い銀色のガントレットをつけ、両足には軍用のロングブーツという格好になる。ネミッサに似ているから少し恥ずかしいんだけどね。

 

「おはよう、相棒。元気だよ。ネミッサとピクシーを召喚してくれ。MAGとマッカは足りてるよな?」

 

『NO PROBLEM.DDS-SYSTEM.ACTION』

 

 ネミッサとは違う機械な女性の声に戸惑う周囲を無視して、五芒星の魔法陣を空中に展開する。魔法陣が回りながら発光し、美女と妖精が出現する状況に誰かが息を呑む音がした。銀髪の長髪をかきあげるネミッサが息を吐けば、子供の顔と同じぐらいのピクシーが羽ばたきながらクスクスと笑う。

 

「う~ん。気持ちいい」

 

 ネミッサが背伸びをすれば、ピクシーが真似るように動いて回転している。クルクルと回るピクシーを掴み、肩に乗せたネミッサは周囲を見渡して鼻で笑った。

 

「頼むわ、ネミッサ」

 

「クズノハの言葉は聞こえないわ」

 

「へんなカオー」

 

「ネミッサ?」

 

「はあい。シンがいうなら仕方ないわね。デバイスの中からみてたから皆の紹介はいらないわ。デバイスはシンの眼鏡ね。今はマスクだけど。……私がネミッサ。種族は電霊になるのかしら。この妖精はピクシー。私達はどちらも悪魔よ」

 

「悪魔……。危なくないのか?」

 

 質問はやはり恭也さんだった。律儀に挙手するところから性格がわかる。なのはとフィアッセさんはピクシーに釘付けだな。きっと、話を聞いてないね。

 

「ええ、そうよ。私達は悪魔だから危険ね。シンのような人間達を悪魔使い、デビルサマナーと呼ぶわ。私達のマスターはシンだから、基本的にはシン以外の話は聞かないと思いなさい。私は例外よ。レ、イ、ガ、イ」

 

「……わかった。ネミッサと呼んでも?」

 

「ええ。私は恭也って呼ぶわね? 私達、人ならざる者の総称が悪魔。神や魔王に天使に悪霊。ぜぇんぶ、ひっくるめて悪魔なの。だからね。デビルサマナーの中には神を従える者すらいるの。出逢ったら逃げなさい。神殺しの自信があれば挑んでもいいわよ? それより、ピクシーに喋らせたら進まないから私が説明してるんだけど」

 

 ネミッサが睨むとピクシーが飛び立った。

 

「ひどーい」

 

「おいで、ピクシー。チャクラドロップだよぅ」

 

「やったー」

 

「まあね。私は普段、デバイスに憑いてるから皆をみてたし、話を聞いてるの。ピクシーは魔界に住んでるから紹介するつもりだったんだけど。シン?」

 

 俺から受け取ったチャクラドロップを美味しそうに舐めるピクシーに向けてタメ息を吐くネミッサに手を振る。

 

「仕方ないだろ? ネミッサだけなら説明はできても怪しい。ピクシーなら認めるしかないだろ。外見的にさ。悪魔らしい悪魔は話し合いに向かないだろ?」

 

「それもそうね……。なのはちゃんも食いついてるみたいだし。ピクシーの選択肢は認めるわ。それでなんだったかしら? 悪魔の話?」

 

「本題はマグネタイトだろ? なのはのMPが悪魔の餌になりそうって話だ。……なあ、ネミッサ。どうせなら、なのはのお父さんの治療もやろうと思う。ネミッサの意見は?」

 

「なにをいっている?」

 

「いいわ。やりましょう。このまま代表して恭也が質問しなさい。シンの仲魔に治療に特化してる悪魔がいるから、明日にでも回復させればいいわ。アイツならすぐに起こせるでしょ」

 

「本当かッ」

 

「ええ。死んですぐなら甦生魔法で甦らせることもできるわ。シンなんて修行中に何十回も死んでるのよ? そろそろ三桁じゃない?」

 

「うるせぇ。最近は死んでないから大丈夫だ。マグネタイトの説明から始めやがれ」

 

 ──うん? 空気が死んだと思ったら大爆発した。皆さんの混乱が収まるまで、ピクシーと遊んでようかね。

 

「ほうら、魔石もあるぞぉ」

 

「まてまてー」

 

 




登場人物/作品。
ピクシー『真・女神転生Ⅲ』
葛葉キョウジ『デビルサマナーシリーズ』

登場魔法。
女神転生シリーズより。

回復魔法『ディア』
 相手か自分の怪我や体力を少量回復する。

回復魔法『ディアラマ』
 相手か自分の怪我や体力を中量回復する。

電撃魔法『ジオダイン』
 相手を大威力の電撃で感電させる。

とらハより。
HGS『サンダーボルト』

登場道具。
チャクラドロップ『女神転生シリーズ』
魔石『女神転生シリーズ』

補足説明。
MAG『女神転生シリーズ』
 マグネタイトの略称。
マッカ『女神転生シリーズ』
 魔界の金銭。

 悪魔召喚にはMAGとマッカを消費する。足りなければ召喚はできない。忘れなければ本編で触れる予定。

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