真・閣下転生   作:echo21

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7件の感想……ありがとう。

完全に説明回。
アナタのタイプはなに?
作者は『NEUTRAL-CHAOS』になります。




閣下転生 #05 説明回。

 士郎さんの治療のために訪れた病室は人気がない時間帯を狙ったかいもあり、何の問題もなく治療に取りかかり──キクリヒメが働きました──涙ながらに家族との会話をおえた士郎さんは、後遺症などがないのか検査をしているところだ。

 

“みんな嬉しそうだったわね”

 

“まあな。ほんとネミッサは家族愛とか仲魔愛に弱いよねぇ。声でわかるけど貰い泣きしてるよね?”

 

“してないっ! ……オヤスミッ”

 

 高町家から礼をいわれたあとの俺は、呼び出された公園に来ていた。ベンチにひとりで座る優に手をあげる。

 

「よう、優。待たせたな」

 

「いや、それほど待ってないよ。呼び出したのは僕だから気にしないでくれ。それより、昨日の続きを話したい」

 

「わかってる。安易な決断をしないのは評価するよ。亡くなられたご両親はミッドチルダの魔導師だったっけ? 今は関係者はいないのか?」

 

「そうだな、いないと思ってくれ。肉親は母方の祖母だけになるし、祖母は知識だけはあるが、関係者とまでは呼べないと思うんだ。ああ、父方の親戚はいないから。……母の故郷が海鳴だったらしいし、引き取ってくれて感謝しているよ。それなりに管理局の知人はいるが、あのまま管理局に保護されたらと思うとね。話がずれてるじゃないか。それよりもだ」

 

「はいはい。悪魔の話を詳しく、だったよな? なにから話そうか悩むな。まあ、属性からでいいか。悪魔の種族じゃなくて分類だと思ってくれ」

 

「属性、悪魔の分類か。……それは種族よりも重要なのか? 種族のほうが重要だと思っていたが、昨日の悪魔以外の話だとばかり」

 

「ああ。種族よりも重要だ。かなりな。少しわかりにくいから地面に描こうか。そこらへんに枝とかない? 指が汚れる」

 

 見当たらないんだよねぇ。

 

「洗えばいいだろうに。……もういい。探す時間が勿体ないから僕の鍵で描いてくれ」

 

 かなり大きなタメ息を吐いた優はポケットからストラップの付いた鍵を手渡してくれた。

 

「悪いね。母親が厳しくてさ。汚れにはうるさいんだよ。修業や実戦でさえ、汚れずに戦えとかいうんだ。すごいだろ?」

 

「どんな親だ? 無理強いだろ」

 

「う~ん。結婚前は橘家という財閥? みたいなとこらしい。家出して名前を変えて父親と結婚したパワフルなひとだよ。趣味は弱肉強食。『弱ければ死ね』ってのが口癖になるかな」

 

「わかった。間薙家については深く考えないことにした。今決めたぞ、僕は」

 

 なにやら決意をしている優を横目に地面に描くのは九マスの正方形になる。完成した図を眺める優は首を傾げていた。

 

「縦に並んでいるのが上から順に『LIGHT-NEUTRAL-DARK』になり、性格や行動を表す。横に並んでいるのが右から『LAW-NEUTRAL-CHAOS』だ。横軸は好みなどの思想を表している。それぞれを三つに分け、九つのタイプに分類した図形だ。まずは縦軸と横軸を軽く説明しよう」

 

 ──性格を象徴する縦軸(上から)

『LIGHT』

 建設的で前向きなライト。

『NEUTRAL』

 どちらにも属さないニュートラル。

『DARK』

 邪悪で破滅的なダーク。

 

 ──思想を象徴する横軸(右から)

『LAW』

 法と秩序を重んじるロウ。

『NEUTRAL』

 どちらにも属さないニュートラル。

『CHAOS』

 自由と混沌を重んじるカオス。

 

(ニュートラルはどちらも中心)

 

「ふうん。なるほどね。昨日の悪魔、幽鬼だとどうなるんだ?」

 

「基本的に九つの分類になるから、幽鬼のタイプは『DARK-CHAOS』になるな。左下だ。破壊や殺戮といった、極端な混沌的状況を好む邪悪な存在であり、破壊衝動や破滅への願望が強すぎる悪魔になる」

 

「なんとなくわかってきた。神様や天使なら、どうなる? 予想としては『LIGTH-LAW』なんだけどね。どちらも善行を好むだろ?」

 

「天使なら正解。神様だと幅広いぞ。邪神も神様だから『LAW』はないだろ? 破壊と混沌の『CHAOS』を好むはずさ」

 

「ああ。なるほど。人間の善行は神様の善行とは違うのか。……そうか。価値観が違うと昨日もいっていたなぁ」

 

「わかってきたな。なら次は九つの分類、タイプの説明に入ろう。右上からいくぞ」

 

 ──ライト悪魔。

『LIGTH-LAW』

 善行を旨とし、整然とした秩序を重んじる。その為に、それ以外を切り捨てることがある。

『LIGTH-NEUTRAL』

 善なる性格ではあるが、自分の世界以外には極力干渉しない。

『LIGTH-CHAOS』

 善行を旨とするが、秩序だった世界を嫌い、混沌的状況を好む。それゆえに自分や他人に厳しいといった特徴がある。

 

 ──ニュートラル悪魔。

『NEUTRAL-LAW』

 善悪にはこだわりを見せず、自分が思う正義の実現を目標に行動する。きわめて頑固な性格ともいう。

『NEUTRAL-NEUTRAL』

 固定的な主義主張を持たず、その場その場で右にも左にも行く。何かひとつの思想に縛られることがない自由な性格ではあるが、個性がないと言ってしまえばそれまでである。

『NEUTRAL-CHAOS』

 善悪といったものには興味がなく、自由気ままに、自分の快楽や興味だけを求めて生きていく。自分の行動を制限されるような秩序的な行いは激しく嫌う。

 

 ──ダーク悪魔。

『DARK-LAW』

 邪悪な意図のもとで世界を統制しようと企て、自らの意思にそむく者には徹底的な破壊と死の制裁を加えることが多い。

『DARK-NEUTRAL』

 自分の思想云々と言うよりは、単純に気が赴くままに破壊的行動を起こし、他者に支配されるのを極端に嫌う。自らを動かす理屈は欲望のみ。

『DARK-CHAOS』

 破壊や殺戮といった、極端な混沌的状況を好む邪悪な存在であり、破壊衝動や破滅への願望が強すぎる。

 

「悪魔は大別すると三種類になるのか」

 

「そういうこと。ちなみに人間にも九つのタイプは当てはまる。……我が間薙家で例えよう」

 

「ちょっと面白そうだな。心理テストみたいでさ」

 

「だろ? 間薙家はニュートラル一家だ。俺の父親は『NEUTRAL-NEUTRAL』で日和見主義かな。母親はいったな? もちろん『NEUTRAL-LAW』だ。殺伐の中にも正義や信念、愛情があるんだ。あれでな。俺がよくいわれるのは『NEUTRAL-CHAOS』になる。生まれながらのカオスだ、ダーク悪魔だろとかいわれるけど、ニュートラル悪魔なんだよ」

 

「僕は今、聞いたことを後悔しているよ」

 

「なんでだ?」

 

「真。君は今、ニュートラル悪魔だといったじゃないか?」

 

「ああ。それ。種族、人間も悪魔に入るんだよ。超人とか狂人も人間だろ? 中には魔人なんているしね。それらも悪魔としているのさ」

 

「マジか……。な、なあ。興味本意なんだが、僕はどこに入ると思う? 個人的には『NEUTRAL-LAW』に入りたい」

 

「いや、なんでだよ? まあ、そんなに親しくなってもいないし、無難にそれでいいけどさ。俺の印象だけでいうぞ?」

 

「お、おう。こい」

 

「優は『NEUTRAL-NEUTRAL』だな。昨日だってあれだろ? なのはが泣いてた。みつけた。声をかけた。慰めはしない。そんな感じ。俺の父親と変わらんがな。ライト悪魔なら慰めたり、なのはの両親を探したりしそうじゃない?」

 

「…………僕の良心は?」

 

「いや、あるからニュートラルだ。ダークじゃないしね。優はあれだ。俺の母親みたいな信念はないようにみえる。だからどっちもニュートラル」

 

「………………そうか。信念はないな」

 

「なぜ落ち込む? 信念なんかなくたって生きていけるだろ? ……さては優。童貞だな? 恋愛して彼女とヤりまくれよ。価値観が変わるぞ」

 

「うっ、うるさいよッ。真。まさか君は、前世でリ、リア……」

 

「前世は妻子に逃げられた」

 

「最低じゃないかッ! くそっ。一瞬尊敬しかけた自分が憎いっ。君は間違いなく『NEUTRAL-CHAOS』だよっ!」

 

「照れる」

 

「いちミリも褒めてないからなッ! ……もういい。話を戻そう。悪魔の説明を続けてくれ。あまりふざけないように頼む」

 

「はいはい。悪魔の説明に戻りますねぇ。大別した悪魔にも意味があるからさ。それを説明する」

 

 ──ライト悪魔。

 基本的に会話は通じるが交渉に応じてくれる悪魔は少ない。異界をさ迷うのも希であり、ライト悪魔をみかけること事態が珍しい。

 

 ──ニュートラル悪魔。

 基本的に会話が通じるうえに交渉に応じてくれる悪魔が多い。異界をさ迷い歩く悪魔も多く、交渉には対価を要求される。

 

 ──ダーク悪魔。

 基本的に会話が通じないので交渉に応じてくれるわけがない。異界をさ迷い歩く悪魔が多く、出会い頭の戦闘はよくある。

 

「ところで異界ってのは?」

 

「ゲーム的にいうならダンジョンだな。魔界と現実の世界が繋がる現象だ。大概は自然発生だが、大物の力ある悪魔が強引に起こすこともある。歪んだ空間があるから、気付くのは容易いだろう。それを鎮めるのもサマナーの仕事だな」

 

「なるほどね。その異界で交渉したり戦闘をするというわけか?」

 

「正解。交渉して仲間にして使役する場も異界になるな。悪魔の仲間は『仲魔』と呼ばれる。こう書けばわかるか?」

 

「ああ。わかる」

 

「その交渉がまた理不尽でな。『ちょっと死体になれよ』とか『オマエの命をクレ』なんてのもあるし、単純に金やらマグネタイトやらを寄越せとかもある。それをどうにかこうにか交渉して、仲魔にするわけだ。戦闘は仲魔と一緒に戦うから、強い悪魔を従えるのはサマナーの約束事だ」

 

「でもさ。大丈夫なのか? 昨日の悪魔だっていうことを聞きそうにないぞ?」

 

「それはサマナーの実力次第。なければ死体になるだけだよ。完全に実力主義だからね。弱いサマナーに悪魔は従わない。下剋上かな。仲魔にした悪魔に喰い殺されたサマナーなんて、ごろごろしているのさ。よく聞く話だよ」

 

「マジか……」

 

「現実だからね。悪魔もサマナーも生きてるから仕方ないのさ。価値観の違いを忘れてはいけない。種族の違いを忘れてしまえば、容易く悪魔の価値観に浸ることになるだろう。その猛毒に委ねてしまえば、欲望のままに動く人形になるのさ。そこに思考はない。本当に悪魔らしい悪魔になるだろうね」

 

「…………悪魔かぁ。うしっ、決めたぞ! 僕はデビルサマナーになる。幸いにも、両親の遺品にデバイスの『ピアス』がある。真。頼むっ。いろいろと教えてくれッ!」

 

「嫌」

 

 みるみるうちに顔が歪んでいくなあ。

 

「────お前なあ。僕がなあ。勇気をだなあ。出してだなあ。……頼んでるじゃないかっ! それを一言って。真さんよぅ。いいじゃないか?」

 

「嫌、です」

 

 すがりつくような手を払う。

 

「二言だからいいとか、通じたとかないよな? いわないよな? あのな真。君には人情がないのか? 僕は頭を下げるぞ。土下座すら覚悟している」

 

 いやさ。一度も頭を下げてないからね。両手を合わせて頼んだだけだからね。せめて対価を示そうよ。まあ、いいか。そろそろフィアッセさんにも聞こえる距離か? うしっ。ここはひとつ。

 

「ごめんなさい。男は趣味じゃないです。優くんとは普通のお友達でいたいの。ごめんね?」

 

「頭痛がしてきた……。女ならいいのか? 女ならいいっていうのか?」

 

「当然。美女や美少女なら大歓迎」

 

「……そんな話じゃないだろっ! 僕が頼んでるじゃないかっ! ──くそぅ。嫌がらせのネタだってわかってるのに悲しくなってきた。なあ、真。頼むよ。僕にもやらせてくれないか」

 

「ごめんなさい」

 

 だってさ。近寄ってくるフィアッセさんに変な勘違いをされるじゃないか。ちょっと面白そうだなんて思ってないよ? 集中していた優は気づいてないけどね。優は犠牲になったのだ、うん。優くん。うっしろ~。

 

「──にっ、新田くん? あ、あのね。わっ、私は応援できないからさっ。……考え直さない?」

 

「えっ。フィアッセさん?」

 

「どどっ。同性愛は大変だよっ?」

 

「はい?」

 

 ──やべ。どうしよう。面白くなってきた。どうしてくれようか、これ。そうだなあ。

 

「ちょっと優っ! 俺に酷いことするんでしょっ! エロ同人みたいにっ! エロ同人みたいにっ!」

 

「ちょまっ」

 

「えっ。と。新田くん? あのね。私とね。お話、しようか? うん。お話しようね。こっちに来てもらえる?」

 

“不憫だわぁ”

 

 




登場人物/作品。
キクリヒメ『真・女神転生Ⅲ』

補足説明。
 悪魔にある仲間意識や忠誠心はデビルサマナーシリーズを参考にしています。あと異界もね。

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