真・閣下転生   作:echo21

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17件の感想……ありがとです。

いろいろ悩んだんだ。
細かいツッコミは破綻するかも?




閣下転生 #09 装備回。

 やたらと時間がかかった新しい仲魔達との会話も無事に終了し、翠屋に呼び出されたフィアッセさんはなのはを連れて帰っていった。優と恭也さんは俺の出稼ぎ兼修業に興味をもち──優の使い魔同士だからだろう。リニスはハイピクシーと話し合い中──俺と一緒に地下の異界へ行きたいと説得されていた。確かに恭也さんのいう通りではある。先達の俺がいる状況で経験するのとしないのとでは、今後の対悪魔戦や交渉に難があるのは理解できる。それに、恭也さんの剣術指南において、俺の実力をみる意図もわかるのだ。

 

「なぜか、もやっとする」

 

“呆れた。自分にはなかった厚待遇だからでしょ? そのもやっとは”

 

“うおっ。起きてたのか、ネミッサ。……そうか。軽い嫉妬か。俺は習うより慣れろ。慣れるまでは死ね。だったからなあ”

 

 ──お母様。恨みます。

 

“ま。頑張りなさい。先達でしょ?”

 

「どうだ? なぜ、腑に落ちてないかはわからんが、悪い話ではないはずだ。なに、相互理解は戦闘を通せば容易い。それだけの話だろう? 幸いにも即死からの復活があるんだ。死ななければ安いさ」

 

「僕は嫌ですがね? 臨死体験は」

 

 愉快に笑う恭也さんにジト目を送る優の身体を小突いてやる。

 

「脳筋すぎませんかねぇ。とはいえ、主張は頷けますので承諾しましょう。……手始めに装備ですか。優は魔導師だからよしとして、恭也さんの武器は何になります? 自前があれば、それが悪魔に有効か確認したいのですが?」

 

「すまない。家に置いてきてある。できれば小太刀を二本ほしい。俺の流派は二刀流でな。頼めるか?」

 

「自前は冗談半分だったのですがね。……近いものはあったかと。用意しますので、少々お待ちを」

 

 

 ──間薙真の装備──

 右手『首狩りスプーン』

 左手『じゃあくバズーカ』

   『ドクロの弾丸』

 身体『バリアジャケット』

 

 ──高町恭也の装備──

 右手『小烏丸』

 左手『クトネシリカ』

 頭部『アナライズゴーグル』

 身体『一般服』

 

 ──新田優の装備──

 右手『アタックナイフ』

 左手『ベレッタ92F』

   『通常弾』

 身体『バリアジャケット』

 

 

 装備が揃ったので恭也さんに軽く説明し──アナライズゴーグルは視界の悪魔を分析して表示するだけの機能──使い方を教えた。優には魔力に耐性がある悪魔に対しての武器を手渡している。やはり優には不慣れなのだろう、拳銃をもつ手をしきりに気にしているようだ。

 

「……それにしても、僕の武器だけが頼りなくみえる、気がするんだが」

 

「マスター。大丈夫ですか?」

 

「それぐらいこなしなさいよ。アタシのサマナーでしょうに」

 

 優の隣に立つ猫耳の美女がリニスであり──リニスの変身に俺は驚いたが恭也さんは流した──リニスの頭の上で猫耳にもたれるハイピクシーがあくびをしていた。

 

「優の気のせいだ。それは伝統的な初期装備だから安心してくれ。大丈夫だ、問題はない」

 

「その言葉回しに不安しか感じないが?」

 

 優の視線から逃げれば、小太刀を鞘にしまう恭也さんが歩み寄ってきた。

 

「ふむ。いい刀だ。真くん。美由希にはみせないでくれるか? あれは刀剣マニアでな。羨ましがって手離さなくなる。……すまないが、携帯で写真を撮ってくれ。あとで自慢する」

 

「あくまでも貸しているだけなので。恭也さんも返してくださいよ?」

 

「わかっているさ。どちらか撮影を頼む」

 

「恭也さんって、意外と性格がイイですよね? まあ、面白そうなので僕が撮りますけど」

 

 いい笑顔の恭也さんを優が撮影する。地下にある空間はそれなりに広く──軽い模擬戦闘なら可能なほど──素振りと称した組手を行った恭也さんはポーズをとっている。恭也さんに付き合ってもらった鬼女、ヤクシニーは微笑んでいた。

 

「やはり、いいものだな。闘いは」

 

 豊満な胸とくびれた腰を備える肉感的な美女のヤクシニーは、赤髪で紫色の肌をした上半身に何も着ておらず──乳房は長い髪で隠れている──下半身のスカートが短すぎる悪魔だ。妖艶なヤクシニーに視線を送るのも仕方ないが、優のチラ見は気づかれているぞ。鬼子母神であるヤクシニーは、人間の子供を喰らう鬼でもあるのだ。

 

「そこまでにしとけ、優。ヤクシニーの姉御をみすぎたら喰われるぞ?」

 

「失礼なことをいうな。一部が欠損する程度よ。味見よ、味見。死にはしないわ」

 

「……物理的にかッ! 嫌だぞ!」

 

 双刀を握るヤクシニーから距離をとる優に恭也さんが前に出た。

 

「さすがに止めるが?」

 

「続きをやるかい? アタイは構わない。どうするんだい、シン? 喰ってもいいならやるけどね」

 

「ダメだ。姉御を喚んだのは出稼ぎだよ。今から異界に行く」

 

「なら仕方ないね。次回を待つさ」

 

 ヤクシニーが嘲笑う。やや緊迫した空気になるも、恭也さんの肩に飛び降りて震えるカハクに癒された。ううむ。姉御を止める幼女がいるな。

 

「相棒。悪魔召喚だ。ネミッサ。キクリヒメ。モーショボー。ナジャを」

 

『OK BUDDY.DDS-SYSTEM.ACTION』

 

 四つの魔法陣から仲魔達が出現する。物理攻撃特化のヤクシニー。電撃と回復魔法のネミッサ。回復魔法特化のキクリヒメ。補助魔法とリカームドラのモーショボー。耐性を固めた特殊魔法のナジャ。反射と万能魔法のピクシー。この六体の仲魔に移動魔法のピシャーチャをくわえた悪魔達が、俺が今、使役できる悪魔達になる。

 

「ヤクシニー? モーショボーとナジャよ。新しい仲魔だから食べないでね」

 

「……ネミッサ。新たな仲魔といったな? 可愛がるぞ? 可愛がるからな」

 

 ヤクシニーと肩を組むネミッサをはね除け、ヤクシニーはナジャ抱き上げている。俺の背中に飛び乗るのはモーショボーで、俺の頭上にいるピクシーが跳ねた。……あれ? キクリヒメはどこだ。

 

「ん~……。やっぱりいいねぇ。サマナーのおんぶっ」

 

「あり? あたしナジャ! えっと~。裸のお姉さんのお名前は?」

 

「アタシはヤクシニーよ。ホントに可愛いわぁ。ね、ナジャ? アタシの娘になりなさい」

 

「やっほー。ピクシーだよぅ。さっきぶりだねー。お? モーショボー? 聞いてんのかこらー」

 

「ん~……」

 

 モーショボーが顔を背中に押し付けてるけど、キクリヒメは?

 

「あ。シン? アイツならあそこよ。あの色ボケ、クサリヒメはあそこ」

 

 ネミッサにいわれてみれば、恭也さんを舐め回すようにみて笑うキクリヒメの姿があった。

 

「うふ。いい男。……ちょっとこちらでご主人と絡み合ってくれませんか? これでもわたくし、縁結びの神でして。頑張っちゃいますよ? ところで、その。兄ショタってどう思います? あ。そちらの子供でもわたくしは構いません。どうぞ、そちらで絡み合いをお願いします。じっくり拝見しますので」

 

「は、はあ。なんの話を?」

 

「嫌だわッ! おい、真っ!」

 

「またまたぁ。照れ屋さんですか? ちょっとだけでいいですよ? ちょっとだけでいいんです。あとはわたくしが頑張りますので」

 

「真っ! 頼むっ、真ッ!」

 

 優だけでなく、恭也さんもさすがに戸惑っている。キクリヒメだからなあ。ちょいちょいと手招きする。

 

「キクりん、キクりん。出稼ぎに行くからあとにしてくれ」

 

「ちょっとご主人? わたくしドキドキしています。どうすればいいのでしょう。絡み合うショタと兄……。ああっ。──ちょっとご主人。お花を摘みに行ってもよろしいですか?」

 

「おいこらバカやろー。キクりん? ダメに決まってるからな? 出稼ぎに行くからな?」

 

「わたくし、しょぼーんですね。わかりました。お仕事します」

 

 肩を落としたキクリヒメがとぼとぼと歩き、俺の背後に立ったので優と恭也さんに頷いてやるとタメ息を吐かれた。

 

「さてと。異界に行きましょうかねぇ。あの青い扉を抜ければ出入口があって、管理人もいるからさ」

 

「なあ、真。流してるところ悪いが。ちょっとこっちで、僕達と話し合わないか?」

 

 

   ◇

 

 

 地下の異界は変動する。今の異界は『軽子坂高校』というらしい。たまたま繋がった異界の魔神皇(まじんのう)ハザマを叩きのめした俺の両親が異界の管理をハザマに押し付け──ハザマの力で異界を変動や固定をさせている──半ば強制的に働かされているハザマは、俺達の実力ならこれぐらいがいいと嘲笑う。

 

「今の軽子坂はゾンビだらけだからね。初心者を連れていても、それなりの稼ぎにはなるだろうさ」

 

 無駄に豪華な椅子に座るハザマは、わかめのような黒髪に白い手袋、白い学ランを着た姿で俺達を鼻で笑った。

 

「おーおー。いっぱい来たね、ハザマ」

 

「変えようかな、バリアジャケット……」

 

「もう少しやる気出したら? ハザマは無駄に偉そうなのよね。お兄さんと子供達。わたしは内田たまき。パンツは、はかないっ!」

 

「パンツ? なぜにパンツ?」

 

「なあ、真。あれはパンツスーツだよな?」

 

「パンツは、はかないッ! どや?」

 

 紺碧のパンツスーツ姿の女性がライダーポーズをとる。額に手を当てたハザマがタメ息をついた。

 

「帰れよ、君は」

 

「えー。一緒にバカやろうよぅ。ハザマはレイコちゃんが転生して暇なんでしょー。次に会うのは何年後かわからないよ? そこの赤い髪の子。今着てるのはパンツスーツ。はかないのはパンティね、パンティ。わかりにくかったね。ごめんごめん。わたしはたまきでいいよん」

 

「なっ……」

 

「ボクはね。忙しいのさ」

 

 椅子に座るハザマの肩に手を乗せて払われる。それを三度繰り返したあと、たまきさんは両手を広げて首を振った。

 

「あ、そっか。ごめんごめん。転生者じゃなくて転生体だったね。能力は受け継がれても人格が違うから、もうレイコちゃんじゃないんだ。いやあ。失敗、失敗。ごめんちゃい」

 

「だから帰れよ」

 

「レイコちゃんが居ないからね。ぼっちハザマ、再びっ! いやあ。わたしも今、暇なんだよねー。勤めてた探偵事務所が潰れちゃってさぁ。ただしくんは薬局を海鳴に出すって張り切っててね? わたしの手があいてるわけよ。わかる?」

 

「知らん。帰れ」

 

「潰れる前に所長が。あ、そっか。元所長がいうわけよ。『次の葛葉を探せ』って。それで探したらハザマまでいるじゃないの。いやあ。懐かしいよね。あの頃はいっぱい死んだなぁ。いやあ。懐かしいわ」

 

「なんだ? 恨んでるのか?」

 

「まったく恨んでないけどね。もしかして気にしてたりするの? 過ぎた話だし、気にしなくていいわよぅ。あの青春があったからただしくんとも出会えたわけだしね。ハザマはぼっちっ! またもや、ぼっちだけどねっ!」

 

「うるさいよ。ほんとに帰れよ」

 

「そしたら所長が。あ、そっか。新しい所長がいうわけよ。『暇なら稼いでこい』ってね。それで来てみたらハザマがいて軽子坂に行けるって話じゃない。まあ、よく似た違う軽子坂高校っていっても? わたしの青春だからね。行けるなら行きたいし、デビルサマナーだから稼ぎもいるしさぁ。ちょっと混ざりたいわけよ。わかる、ハザマ?」

 

「話が長い……。もっと手短にしてくれ。要約するとだ。暇潰しにデビルサマナーとして稼ぎたい。合ってるか?」

 

「大正解。飴ちゃんいる? チャクラドロップだけどね」

 

「いらん」

 

「よーし。右から順に自己紹介しよっか。わたしの名は内田たまき! パンツは、はかないッ!」

 

 まあ、ハザマは見知っているけど、たまきさんは初対面だからな。パンツの件はしつこいが、悪いひとではなさそうだ。ハザマがあれだけの感情を表に出すのは珍しいからな。さて。俺からいきますかね──。

 

 




登場人物/作品。
ハザマ『真・女神転生if』
たまき『真・女神転生if』
レイコ『真・女神転生if』
ただし『女神異聞録ペルソナ』

登場魔法。
自爆魔法『リカームドラ』
 実行者の命と引き換えに味方の完全回復。

登場道具。
首狩りスプーン『真・女神転生Ⅳ』
じゃあくバズーカ『真・女神転生Ⅳ』
ドクロの弾丸『真・女神転生Ⅳ』
小烏丸『真・女神転生Ⅳ』
クトネシリカ『真・女神転生Ⅳ』
アタックナイフ『真・女神転生Ⅰ』
ベレッタ92F『真・女神転生Ⅰ』
通常弾『真・女神転生Ⅰ』
アナライズゴーグル『オリジナル』

補足説明?
 悪魔の性格はオリジナルです。何かに似ていてもオリジナルなのです。パクリはない。オマージュはあるかもしれない。それでよろしく。

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