・完全な蛇足話。
・完結した本編の余韻をぶち壊しにする恐れがある(重要)。
・完結した本編の余韻をぶち壊しにする恐れがある(重要)。
・完結した本編の余韻をぶち壊しにする恐れがある(重要)。
・こんな可能性がどこかに転がっていることを示唆しているだけで、それが実際になるわけではない(重要)。
・こんな可能性がどこかに転がっていることを示唆しているだけで、それが実際になるわけではない(重要)。
・Ifとしての前提:『Life Will Change』世界軸のジョーカー/有栖川黎が、スマブラに参戦したら(重要)
・Ifとしての前提:『Life Will Change』世界軸のジョーカー/有栖川黎が、スマブラに参戦したら(重要)
・Ifとしての前提:『Life Will Change』世界軸のジョーカー/有栖川黎が、スマブラに参戦したら(重要)
・「『Life Will Change』世界軸のジョーカー=スマブラに参戦したジョーカー」という扱い(重要)
・大乱闘スマッシュブラザーズSPの関連情報を見て、ふと唐突に「形にしよう」と考えたもの。
・P4主人公=出雲真実
・他版権および他動画ネタあり。ただし公式とは一切関係ない(重要)
・他版権および他動画ネタあり。ただし公式とは一切関係ない(重要)
・他版権および他動画ネタあり。ただし公式とは一切関係ない(重要)
・今後とも、この作品と作者をよろしくお願いします。
大乱闘/夢の祭典悲喜交々
「夢の中に現れたパレスを探索してみたら、空から招待状が降って来たんだ」
自分の名前が書かれていたから、そのまま拝借してきた――そう言って、黎は一枚の封筒を差し出した。
差出人の名前も無ければ装飾も無い。一見すれば、どこにでもあるような真っ白い横書き封筒だ。もしもこれがポストに入っていたら、不審物として処分してしまったり、置き忘れてしまってもおかしくなかった。
だが、裏面を確認し――封をしていたシールに目を奪われる。件の印を視界に入れただけで、吾郎はすべてに納得した。差出人の名前が無かった理由に合点がいった。
円形の右側に刻まれた十字のマークは、とあるゲーム会社が売り出した『数多のキャラクターが垣根を超えて参戦し、吹っ飛ばし合う格闘系対戦ゲーム』のロゴ。
多くのゲーマーは、これを見ただけですべてを理解する。溢れるのは悲喜交々。推しが参戦したことに喜ぶのか、ダークホースの参戦に驚愕するのか。
因みに、最初の『金銭絡み系の後続追加参戦キャラ』が発表された際には、大きな驚愕と納得、そうして「草生える」からの「花咲いた」に繋がった。閑話休題。
「朝起きたら真実さんから電話が来てね。『ありがとう! これでようやく休める……!』って感謝された」
「怪盗団に世代交代するまで、ずっとあの人が出ずっぱりで踏ん張ってたからなあ……」
昔のことを思い出しながら、吾郎は遠い目をした。真実は「長い間最年少世代として期待され、事態の収拾に走らなければならなかった」人物でもある。
特別捜査隊の出雲真実から怪盗団の有栖川黎に次世代のバトンが繋がれるまでの数年間、最年少世代として、異形や異界へ積極的に向き合わなければならなかった。
旧特別課外活動部の面々と真夜中の決闘場でドンパチする羽目になったり、真夜中の決闘場が
――後に、旧特別課外活動部の面々や怪盗団の面々も、真実同様
「招待状の中身は?」
「私用の
「はい、吾郎の分」――黎から差し出されたのは、アイボリー色の用紙に繊細な装飾が施された招待券だ。対して、黎/ジョーカーへの
「ラヴェンツァ、すっごく喜んでた。『私のマイトリックスターが、“夢の祭典”に参戦するなんて』って」
その物言いだと、他の姉らから不興を買いそうだ。特にマーガレットは――酔っぱらっていたときだが――「私の契約者から祭典の招待状を強奪した」とぼやいたらしいと聞いた。
危険度は(比較的)低いが、八十稲葉の土地神さまも「真実が出ると思ったのに」と不満そうだったという。尚、脅威度が低いと認識されたのは、顔をほんのり染めていたためらしい。
真実の関係者たちから聞いた悲喜交々を、吾郎が頭の中で思い描いたときだった。視界の端によぎった光景に、目が留まる。
仲間たち宛ての観戦券の中に、“特別招待券”という特殊な招待券が入っていた。……そこに書かれていた名前一覧に、明智吾郎の名前だけが無い。
「……ねえ、黎」
「何?」
「なんで俺には特別招待券ないの?」
明智吾郎には、『有栖川黎の相棒として一緒に駆け回って来た』という自負がある。何故吾郎ではダメなのか。
「『試合中にイチャつかれるのは困る』って言われた」
「右手の白手袋に『至極真っ当で妥当な苦言をありがとう』って伝えといて」
どんな経歴や関係性を結んだファイターでも、試合になればみんなライバルだ。中にはチーム戦というのもあるが、宿敵同士と手を取り合ったり、ヒーローヒロインが敵対することもある。黎だけが吾郎ときゃっきゃうふふしている図は、一部の面々にとって場外戦に該当するのかもしれない。
件の祭典は、場外戦――試合に関係ない場所で行われる駆け引き――を禁じている。駆け引き含んだ戦いは、あの戦場内で行うべきものだ。
戦いと交流についてのONOFF、および線引きがしっかりしているという点は、某普遍的無意識や悪神とえらい違いである。閑話休題。
吾郎が不満を隠さずに招待状を見つめていたことに気づいたのだろう。黎は苦笑した。
「特別招待券と言っても、アピールや総攻撃、メメントスでちょっと顔出す程度だよ? 戦いには一切影響しないから問題ない」
「それでも、何かしらで黎と関わりたかった」
「吾郎は私の人生の伴侶だ。……それじゃあ駄目?」
「いっぱい好き」
我ながら、掌を高速回転させているという自覚はある。しかし、魅力MAX魔性の女から「人生の伴侶」と言われて喜ばない奴はいるのか。いや、ない。有栖川黎がどれ程一途に吾郎を想ってくれていたのか――その重さや奇跡の価値をよく知っているからこそ、ついつい舞い上がってしまうのだ。
彼女を事実上『1人で“夢の祭典”へ送り出す』ことに不安が無いわけじゃない。周囲に草ではなく花を咲かせた大御所系新参者(肉食系植物)とか、何でも飲み込んでコピーしてしまうピンクの悪魔とか、各方面から送り出された代表者たちとか――懸念材料や強敵は幾らでも挙げられる。吾郎は何もできやしない。
選ばれたのは、吾郎/クロウではない。黎/ジョーカーなのだ。そうして黎/ジョーカーも、祭典へ赴くことを選んだ。
選ばれなかった人間に、何かを変える力は無い。許されるのは、選ばれた人間の背中を見送ってやることと、帰って来たときに迎え入れることだけだ。
理解はしている。……けれど、この苦々しい思いは、吾郎が死ぬまで慣れないのだろう。溢れる感情すべてを噛みしめながら、吾郎は苦笑した。
「ゲームの世界で行われる夢の祭典・大乱闘に、人形たちの戦いと銘打たれた世界だ。何が起きるか分からない」
「でも、負けるつもりはないよ。頑張って作ったアルセーヌもいるしね」
「合体事故やスキルカードやらをつぎ込んだ厳選個体だっけ」
黎が頷く。彼女の言葉に呼応するが如く、アルセーヌがゆらりと姿を現した。このペルソナの力が加わると、戦闘時の能力が上昇するらしい。
言外に「ちゃんと黎を守れよ」と訴えれば、アルセーヌは不敵に笑い返した。溢れんばかりの強者感に、吾郎はひとまず安堵の息を吐いた。
本当はサタナエルレベルのペルソナを持って行ってほしいのだが、大乱闘のルール監修者から『バランス壊れるからやめて』と言われてしまった。他にも、ペルソナの付け替えも禁止されたらしい。そのときの右手白手袋は、かなり憔悴していたようだ。
反逆の徒は、経歴上、神様と名のつく者に対してあまり好意的ではない。特に吾郎は、フィレモンやニャルラトホテプ、ニュクスやイザナミ、ヤルダバオトというやべえ神様からジェットストリームアタックじみた真似をされたことがある。
しかし、右手の白手袋はそれらとは全く違う存在であった。『数多のキャラクターが世界の垣根を超えて集い、切磋琢磨し合える世界っていいよね!』という動機で世界を作り上げた。彼の試みは多くの神々の心を動かし、自身の世界の代表者を送り出させている。
関係者たちの話を聞く限り、どの神々も「うちの子大好き」な親バカらしい。自分の世界の出身者が活躍する動画を見ては、常にニヤニヤしているという噂も聞いた。妙に人間臭い神々を、吾郎は気に入っている。
「俺は何もできないけど、必ず応援に行く」
「ありがとう。吾郎がいるなら、私は大丈夫だよ」
黎は柔らかに微笑んだ。心からそう思っていてくれるようだ。
――神様は、いつだって明智吾郎を選ばない。
だけれど、別にいいのだ。神様に選んでもらえなくとも、世界から不要だと言われても、明智吾郎を選んでくれる人がいる。少なくとも、有栖川黎を筆頭とした怪盗団の面々が、吾郎を望んでくれる。それがどれ程の救いになっているか、きっと誰も知らないのだろう。
今はまだ、吾郎はそれを伝える手段を有していない。伝えようと努力すればする程、黎から何十、何千倍にして救いを返されるのだ。吾郎はそれに溺れることに手一杯で、なかなか孵すまで辿り着けない。返せたとしても、与えられたものの何十、何千分の1にも満たない。
お粗末な掌から手渡す想いを、黎は躊躇うことなく受け止めてくれる。尊いものだと笑ってくれる。慈しんで、全力で応えようとしてくれる。――だから、吾郎はここまで生きてこれた。歩いて来ることができたのだ。
少しでも、黎の役に立てるなら――吾郎はそれだけでいい。
自分の中にいる誰かさんに視線を向ければ、
―― 俺がハブられる理由は分かってる。分かってるけど……! ――
(観戦枠からハブられてないだけマシだろ? ジョーカーの活躍が見れるだけヨシとしろよ)
―― ………… ――
なんやかんやと理由を付けられ、『ジョーカーのライバル』として引っ張り出されるあたり、本当の意味でのけ者扱いにされているわけでは無いのだろう。
「それじゃ、祭典では派手に暴れてくる。……私の活躍を、特等席で見守ってくれると嬉しいな」
「当然。――頑張れよ、ジョーカー」
吾郎と黎は顔を見合わせて微笑み合う。
吾郎は、件の祭典を楽しみにしていた。
ジョーカーの活躍を、本当に楽しみにしていたのだ。
「光の化身だ! 支配されろ!」
――ヤルダバオトの御親戚みたいなクソ神が、凄まじい光を撃ち放ってくるまでは。
◆◆
光は世界を焼き焦がし、魂を器を引きはがした。
観客席にいた吾郎たちも例外なく巻き込まれてしまう。
「ファイターたちは全滅した。私の支配を打倒できる者は、最早誰もいない」
「お前は私の人形として、これからも働いてもらおう」
魂だけで漂う羽目になった吾郎は、偽りの身体に封じ込まれた。身体の自由を奪われた反逆の徒は、キーラの尖兵として放たれる。
皮肉な定めだとキーラは嗤った。
事実だった。本当のことだった。だって吾郎は、神様に選ばれなかった存在だから。
……
無意味だと分かっていても、変えられないと知っていても、足掻かずにはいられなかったのだ。
*
「――吾郎、私の手を取って」
――足掻きは、確かに報われた。
差し伸べられた救いの手は、あの頃と何も変わらない。
今の吾郎には実体はないけれど、それでも、彼女の手を掴みたかった。
*
ジョーカー/有栖川黎の活躍を、特等席から見守りたい――それは、吾郎の希望である。
メメントスや総攻撃にも呼ばれずハブにされてしまったけれど、それだけは譲れなかった。
現在、吾郎の願いは――形はどうであれ――叶えられていた。
黎の一番近くで、彼女の戦いを見守ることができる。力を貸し、応援することだってできるのだ。
この事実でも小躍りしたくなるほど嬉しかったが、状況が状況なだけに、手放しで喜べるようなモノではない。
……そうして何より、決定的な不満点が1つ。
「今の僕って、『ジョーカーの装備品』でしかないだろう? サポートと言っても、散らばったアイテムを引き寄せるくらいだし……」
「吾郎が傍にいてくれることが、私にとって一番の支えだよ。――これからも、傍にいてくれる?」
「当たり前だろ。……あー、クソ。早く実体取り戻して抱きしめたい……ッ!」
こういうときに実体がないことが、不便で仕方がない。……多分、抱きしめたとしても、それで止まるとは思えないが。
黎も察しているのだろう。「触れるようになったら、埋め合わせしようか」とのんびり笑っていた。
「――彼がマスターハンドから苦言を呈された理由、分かった気がする……」
赤い帽子を被った配管工が、遠い目をしながら吾郎たちを見つめていたことなど気づきもせずに。
*
創造を体現する光の化身キーラは、光による支配を目論む。
破壊を体現する闇の化身ダーズは、闇による支配を目論む。
行き過ぎた光は命を飲み込み、行き過ぎた闇は命を蝕む。数多の命が辿る先は、どちらも一緒――終焉だ。禄でもない結末であることは、容易に想像がつく。
嘗て、ペルソナ使いたちは行き過ぎた神々と対峙してきた。だから余計に、ジョーカーたち怪盗団は「片方に肩入れすることはできない」と感じるのだ。
強大な支配者に対し、この世界で生きる命たちは反旗を翻した。自分たちの世界を取り戻すため、自由に生きる権利を取り戻すため、歴戦の勇者たちは再び集う。
「どちらの神も、俺たちからしてみれば『侵略者』でしかないんだよな」
「この世界の長はマスターハンドだからね」
「――成程。奴らからすれば、私たちは『反逆者』ってところか」
反逆ならば、怪盗団の十八番である。嘗てヤルダバオトという悪神を降し、奴が作り上げた牢獄から抜け出した張本人たちだ。
「こんなところまで来て、神様に反逆するとは思わなかった」
「さっさと事件を終わらせて、祭典を再開してもらわないとな!」
光と闇による最終決戦。双方を討つために立ち上がった歴戦の勇者たち。
世界をかけた三つ巴の戦いは、苛烈を極める。――果たして、その行く末は。
「「――さあ、ショウタイムだ!!」」
スマブラにジョーカーが配信された+明智がスピリットで登場した記念に書き上げたお話。SPではこんな形でキャッキャウフフできるってことかと思いを巡らせたらできました。
参戦した直後に『灯火の星』に巻き込まれたという設定。あと、先日見た『ポプテピピック TVスペシャル』の“中の人ネタ”や、それを下地にした小ネタ等が入ってます。
こちらも続く予定はありません。あくまでもオマケであり、本編の掘り下げ+ネタ補完系のお話です。
また何かあったら、こんな感じのSSをUPするかもしれません。
そのときはどうか、この作品と書き手をよろしくお願いします。