無法魔人たくま☆マギカ   作:三剣

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「な~ま~も~の~♪」
「本編の空気、ガン無視な呼び方だね」
「メタい!?」
「作中で、メタをネタにする君ほどじゃないよ」
「……やりにくいわ、こいつ……」
「で、前書きはこれで終わるのかい?」
「だから、メタいっての!!」
「それで、なにか用なのかい?」
「こいつ……。
 ま、いいや。
 聞いておきたい事があるんだけど」
「なんだい?」
「魔人は、オレ以外にいるか?」
「いないよ」


九十四章 相性は最悪

SIDE 群雲琢磨

 

「右腕かぁ……なんという戦闘能力ダウン」

 

 自分達を見失い、キョロキョロとしている魔女を遠目に確認し、オレは溜め息を一つ。

 痛覚は遮断しているから、後は<電気操作(Electrical Communication)>を応用して、無理やり止血っと。

 

「たく……ま……?」

 

 呆然と、右腕を失ったオレを見るゆま。

 

「理解したか?

 これが、オレ達の生きていく世界だ。

 こういった事が、平然と当然に起き得る世界だ」

 

 仕方がないと言えば、それまでではある。戦闘経験の浅すぎるゆまには、この光景はちょいと刺激的過ぎるかもしれない。

 だが、仕方がないから死ぬとか、笑えない事をする気もない。

 

「これが、オレで良かったな。

 お前だったら、頭からパックンチョだぞ」

 

 ゆまのSG(ソウルジェム)は“首の後ろ”にある。下手すりゃ噛み砕かれて、終焉だ。

 そう言う意味では、オレの右腕だった事は、決して不幸な事だとも言い切れない。

 

「さて、どうするか……」

 

 止血を終えたオレは、魔女へと視線を向ける。相変わらず、こちらの位置は把握出来てないらしい。

 

 あの魔女、かなり速い。最初から迎撃体勢ならともかく、それ以外の状態では、どうしても大振りになるゆまでは、相性が良いとは思えない。ゆま自身の経験不足も、それを加速させる。

 かといって、オレとの相性も良くはない。弾丸が弾かれた以上、これ以上の使用は無駄。かと言って下手に攻撃をしても、脱皮してしまう。

 そうなると、日本刀やナイフで切り裂くのが、有効そうでもあるが……右腕が無い以上、それを試すのも難しいし、通用しなければ喰われて終わり。

 

 あれ? 詰んでね?

 

「先輩達が気付いていないとも思えない。

 なら、到着まで時間を稼ぐのが得策か?」

 

 オレは見滝原の銃闘士(アルマ・フチーレ)の一員だ。独りで戦う訳ではない。

 なら、オレがすべき事は“後に繋げる事”だ。先ほどのゆまじゃないが、バトンを渡せればいい。

 

「ゆまはここで、先輩達を待ってろ」

 

 言いながら、オレは再び<操作収束(Electrical Overclocking)>を発動させる。

 

「ま、まって」

 

 ゆまの言葉に、オレは首を振る。

 

「いいか、ゆま。

 重要なのは魔女を倒す事以上に“オレ達が生き残る事”だ。

 先輩達は、間違いなくここに向かっているだろう。

 辿り着いた先輩達を、オレ達の死体が出迎えたんじゃ、意味が無い」

 

 なら、どうするか?

 簡単な事だ。どちらかが囮になって、時間を稼げばいい。

 では、どちらがなるか?

 答えは決まりきってる。

 

「そして、先輩達が来たとしても“勝てるとは限らない”のが、魔女との戦いだ。

 なら、先行しているオレ達に何が出来る?」

 

 判断を誤る。それは仕方がない事。すべての事象に、答えが用意されている訳じゃない。

 それを知るのは往々にして、終わってからの事。

 では、どう判断するか?

 

「少しでも、魔女の情報を得て、後に繋ぐ。

 なら、戦う者と観察する者に分かれるのが妥当」

 

 <操作収束(Electrical Overclocking)>による高速移動が可能なオレが前に出る。

 まあ、やってる事は巴先輩と二人だった時と、対して違いは無い。

 

「そして、ここが結界内である以上、先輩達がここに辿り着いた時。

 無傷である保証も無い。

 なら、魔女を相手取るべきは誰だ?

 先輩達を、迎えるべきは誰だ?」

 

 オレには、他人“だけ”を対象にした魔法は使えない。

 時間停止ですら“自分が動く”事を大前提としている。

 そう言う意味では、オレが最も“非協力的”だと言える。

 

 対して、ゆまの本質は違う。オレとは真逆だと言える。

 四肢切断を、一瞬で治すほどの強力な治療魔法。

 ハンマーと、そこから発生する衝撃波。

 

 ゆまの魔法特性は、おそらくは『守護』だ。

 強力な治癒能力と、襲い来る危険を遠ざける為の衝撃波。

 守る事に特化していると言っていい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 故に、オレとの相性は最悪だと言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分に特化したオレと、自分以外に特化したゆま。

 さて、先輩達が来るのなら、万全の状態で残るべきはどちらか?

 

「バトンを持ち、渡すのはゆまの役割。

 なら、バトンを取られないように立ち回るのが、オレの役割だ」

 

 だったら、オレの治療は後回しにするのが妥当だろう。

 オレを治療した結果、先輩達の治療が出来ないのでは意味が無い。

 

「魔女を観察して、それを伝えるのがゆまの役割。

 魔女と戦い、疲弊させるのがオレの役割だ」

 

 そしてオレは、口の端を持ち上げながら言った。

 

「大好きなキョーコの為に、大嫌いなたくまを利用してみせな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 呉キリカ

 

 一仕事終えた私は、遠くからそれを見ていた。

 緑の服を着た、白髪の少年。織莉子の言っていた殲滅屍(ウィキッドデリート)

 一緒にいるのは、緑を基本とした、猫を連想させる服装の魔法少女。

 

『絶対に逃げなさい』

 

 織莉子はそう言っていた。私が彼女の指示を守らない理由は無い。

 でも、魔女に右腕を食い千切られる程度の魔人に、なぜ織莉子はあそこまで警戒するのか?

 

「私の魔法なら、逃げるのは楽。

 織莉子の指示がある以上、戦わないのは、うん、当然のこと」

 

 見つかったら、厄介なことにもなる。私の存在から、織莉子まで辿り着かれるのだけは、絶対に避けないといけない。

 

「見つからない程度に、うん」

 

 私が魔女結界を去るのは、もう少し後になりそうだ。




次回予告

弱肉強食

この星のルール 生命のルール



食物連鎖

生命のルール 生命のレール












魔女と魔法少女























九十五章 天敵
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