無法魔人たくま☆マギカ   作:三剣

103 / 173
「群雲君の魔法講座第一回『炸裂電磁銃』パート1!
 ぱちぱちぱち~」
「……なんか始まったぞ、おい……」
「最初のゲスト(犠牲者)は、佐倉先輩です」
「……突っ込まないぞ」
「まあ、前書きで長々と引っ張っても無意味だし、サクッといきましょう」
「で、なにをするんだよ?」
「群雲版ティロ・フィナーレの説明会。
 いかにして、オレが、オレだけのティロ・フィナーレに至ったかを説明しようかと。
 まずは、オレの扱う電磁砲(Railgun)について」
「あたし、いるか?」
「聞き手は必要よ?
 まあ説明を開始しますが、オレの電磁砲(Railgun)は“魔力を纏わせた弾丸を投げる”のが最初だった」
「投げたのかよ」
「ピッチャーのように、振りかぶって投げてました。
 それでも、通常の射撃より速いあたり、魔法ってすごいよね。
 で、頑張った結果、魔力を纏わせる=準備(チャージ)した弾丸を指で弾く事で、同等の弾速になるまでになりました。
 ある意味、完成したと言えます」
「じゃあ、普通の拳銃いらないんじゃ?」
準備(チャージ)が必要だから、攻撃速度と言う点では、普通に銃を使った方が速かったりする。
 で、ある日、群雲君は考えました」
「なにを?」
「ショットガンで使う散弾を電磁砲(Railgun)で使えば、広範囲がカバー出来るのでは?」
「ふむ……」
「で、試しに準備(チャージ)した結果。
 手元で散弾が電磁化して破裂。
 オレが大惨事」
「……よく生きてたな、おい……」
「魔人だからね。
 流石に自分で自分を蜂の巣にするとは、夢ぐらいでしか考えてなかった」
「そりゃそう……いや、ちょっと待てお前」
「で、頑張って電磁砲(Railgun)のように、魔力を纏わせるのに最適な量を模索した結果」
「結果?」
「魔力を込める+何かしらの衝撃で、炸裂するようになった」
「……それって」
「うん、ぶっちゃけ手榴弾あたりを投げてた方がまし」
「だめじゃねぇかよ」
「で、次回に続きます」
「続けるのかよ、これ!?
 てか、充分なげぇよ!!」


九十七章 それ以外要らない

SIDE 巴マミ

 

 2人のティロ・フィナーレが、魔女を撃ち抜き。

 起きる爆発が、命中を証明し。

 私達の勝利を、確定させる。

 

「流石の威力ね、琢磨く」

 

 振り返った私の視界に。

 

 琢磨君はいなかった。

 ……?

 

 辺りを見回した私は。

 ケーキみたいな壁に、垂直に頭から刺さっている琢磨君を見つけた。

 ……なにしてるの?

 

 作戦が成功し、喜んでいるゆまちゃんと、仕方なく、でも嬉しそうに頭を撫でる佐倉さんを尻目に、私は琢磨君の元へ。

 

「む~! むむぅ~!!」

 

 じたばたともがいている琢磨君の足を掴んで、勢い良く引っ張り出す。

 

「ぶはぁ!!

 いや~、焦った!」

「なにしてるのよ?」

 

 呆れる私に、琢磨君は頬を掻きながら言った。

 

「反動、考えてなかった」

 

 ……ぇー。

 

 

 

 

 

SIDE 群雲琢磨

 

 いや~、びっくりした。引き金引いた瞬間、景色がすげぇ勢いで流れていったぜ。

 要改良だな、これは。

 

「魔女は?」

「倒したわ」

 

 オレの質問に、巴先輩が笑顔で答えてくれる。

 そいつは良かった。これで、まだ生きてますって言われたら、もう逃げるしか選択肢がなくなる。

 

「後は、GS(グリーフシード)を回収して、撤収かな」

「そうね。

 勝利の余韻に浸りたいけれど、結界が晴れたら、そうも言っていられないものね」

 

 巴先輩の手を借りて、立ち上がったオレは。

 

 “とんでもないものを見つけてしまった”

 

 勝利の余韻を吹き飛ばし、頭が強制的に冷やされる。

 

「……どうしたの?」

 

 突然、オレの雰囲気が変わった事に、巴先輩が訝しげに声をかけてくる。

 それに対して、オレは冷静に言葉を返す。

 

「刺激の強いモノがある」

 

 いや、でも、ありえるのか?

 そこにある。ありえないわけじゃない。

 

「!?」

 

 巴先輩も見つけたようだ。息を呑む音がする。

 

[佐倉先輩?]

[念話?

 どうしたんだよ?]

[訳は後で話す。

 ゆまをこちらに近づけるな]

 

 念話を送りながら、オレは“ソレ”に近付く。

 見る。電気信号を、脳が受け取る。それを完全に記憶する。

 

「どう?」

()()()()()な」

 

 オレの後ろで、同じモノを見ている巴先輩の言葉に、振り返る事無く答えながら、オレは“記録”を続ける。

 

 だが。

 

「!?」

 

 結界が晴れる。当然だ、魔女がいなくなれば、結界も無くなる。

 当然のように“ソレ”も、結界と共に消えていく。

 

 そして、オレ達は病院の駐輪場に戻ってきた。

 

「……巴先輩」

 

 オレは、変身を解除して。

 

「いってぇ~!!」

 

 右側からの激痛に蹲った。そうだ、右腕が無いんだった。

 慌てて<電気操作(Electrical Communication)>で痛覚を遮断。

 くそぅ、未変身状態じゃ、完全に消せないでやんの。

 

「だ、大丈夫!?」

 

 慌てる巴先輩と、近付いてくる残りの2人を視界に捕らえながら、オレはそれでも、口の端を持ち上げながら告げた。

 

「勝利の余韻に浸る前に、考えるべき事が出来たみたいだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 呉キリカ

 

 あ~、びっくりした。

 銃を撃った殲滅屍(ウィキッドデリート)が、こっちに飛んでくるとは思わなかった。

 見つかってはいない筈。うん、頭から壁に突っ込んだし。

 でも。

 

「見滝原の銃闘士(アルマ・フチーレ)か……。

 織莉子に言っておかないと」

 

 織莉子は、殲滅屍(ウィキッドデリート)を警戒してる。私に逃げろと言うほどに。

 でも、それほど危険な存在なのかな? 魔女に右腕を食い千切られちゃう様な子だよ?

 

「まずは、織莉子に会おう。

 うん、織莉子に会わなきゃ」

 

 織莉子が指示を出してくれれば良い。私はそれを、完璧に、忠実に。

 それでいい。それ以外要らない。

 私の世界に、私と織莉子以外は要らない。

 だから私は、無限に尽くす。美国織莉子に、無限に尽くす。

 それでいい。それ以外要らない。

 

「きっと、織莉子が待ってる。

 うん、会いに行かなきゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 美国織莉子

 

 私は、未来を観る。それが、私の得た力。

 私は、絶望の未来を知る。それが、私の得た力。

 なら、私はどうするの? それが、私の生きる意味。

 

「何度、観ても変わらないわね……」

 

 魔女は、魔法少女の成れの果て。

 ならば、見滝原から始まる滅亡。それを行う魔女が“魔女になる前に”殺す事が出来るなら。

 世界は、最悪を回避出来る。

 

 何度も観た、世界の終焉。始まるのは見滝原。

 そう。

 

 

 

 

 

 “始まるのは、見滝原”

 

 

 

 

 

 終焉を告げる、最悪の魔女。何故、見滝原から始まるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【見滝原で、生まれたから】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なら、私が行うべきは、なに?

 見滝原から、あの魔女が生まれた。あの魔女は、見滝原で生まれた。

 

 

 

 

 

 

 すなわち“見滝原の魔法少女が、あの魔女の原型”なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は未来を観る。それが、私の力。

 

 崩壊する見滝原。瓦礫の山。終末の風景。

 

 

 

 

 

 そこにいるのは、白い悪魔。魔法少女を産む元凶。

 

 そこにいるのは、黒髪の少女。膝を突いて俯く、魔法少女。

 

 そこにいるのは、白髪の少年。終焉で嗤う、独りの魔人。

 

「群雲琢磨……。

 それが、殲滅屍(ウィキッドデリート)の名前……!!」

 

 見滝原の魔法少女が“アレ”である可能性が高い。だから私は、キリカにお願いして“見滝原に存在する魔法少女を狙ってもらう”事にした。

 

 見滝原の魔法少女。

 

 その筆頭こそが、群雲琢磨の現在地。

 

 

 

 

 

 

 見滝原の銃闘士(アルマ・フチーレ)

 

 

 

 

 

 

 見滝原で活動する魔女狩りチーム。トップレベルの実力者。人々の為に魔女を狩る者と、共にあるのは現状唯一の魔人。

 

 群雲琢磨の存在だけなら、容易に掴む事が出来た。

 唯一存在する、少女じゃない契約者。

 有名になるように“先導していた”のだから、当然なのだけれど。

 

「自分が、少女(ほか)とは違う事を理解している。

 その上で、その事実を利用してみせる、(したた)かな少年」

 

 そして、私の観た未来。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界の終焉で嗤う、殲滅する屍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさに“魔法少女を削除する者(ウィキッドデリート)”ね」

 

 世界に終焉を告げるモノ。

 世界の終焉で嗤うモノ。

 

 どちらも認めない。両方を排除する!

 

 そして、私は力を使う。願いで得た能力で、未来を観る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の観た未来で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、殺人を成し遂げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

物語が動き出す 絶望に向けて

物語が動き出す 終焉に向けて

物語が動き出す 閉幕へ向かって




命の終わりが、始まりを告げる

必要なのは、情報の分析 事実の認識 異物の排斥

必要なのは――――――――――












九十八章 正座
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。