ぱちぱちぱち~」
「……」
「今回の
「……罰ゲーム?」
「良くご存知で」
「ぇー」
「まあ、さくさくいきましょう。
弾丸を使用した
“銃本体を
思い立ったの祝日! さっそく試してみよう!」
「ゆまでも、なにかがまちがってるってわかるよ」
「オレだからね。
で、試しました、最初はリボルバー」
「どうなったの?」
「
「おぉ~!」
「……
具体的には、
「おぉ~?」
「加えて、オレのリボルバーは、構造上弾込めに時間が掛かります。
詳しくは幕間を読め!」
「メタい……って言えばいいの?」
「それがゲストの役割です。
で、次に両腋にある
さて、ゆまちゃんや、オートマチック拳銃の簡単な構造は知ってる」
「知らないよ」
「チッ……詳しくは調べてもらうのが手っ取り早いけど。
簡単に言うなら、弾倉を装着して、遊底(スライド)を引いて最初の弾薬を薬室(チェンバー)に送り、引き金を引く。
反動で遊底が引かれて、空になった薬莢を排出。
元に戻る際に次の弾丸が弾倉から薬室へ。
以下、弾切れまで繰り返し」
「ふ~ん」
「で、充電した状態で弾倉を装着して、遊底を引いたら」
「引いたら」
「本来、空薬莢が出る所から、全弾
まさに、ポポポポ~ン」
「危なくないの?」
「危ないよ。
それ以上に、呆然としたけど。
なので、オートマじゃ使えないと判断。
さて、ここまで来て、群雲琢磨は仮定を仮定する」
「仮定しかしてない」
「水平二連式ショットガンを
多分、銃内部で散弾が
「あぶないよ、ぜったい!?」
「うん、挑戦する勇気は無い」
「……えっと……つまり?」
「銃本体を
計画は頓挫しました」
「たくま、ばかなの?」
「失敬な! 否定はしないけども!!」
「しないんだ……」
「次回に続く!」
「またっ!?」
SIDE 佐倉杏子
「腕が治ったよ! やったねゆまちゃん!!」
「うざい!」
「ぱわっ!!」
マミの住むマンションの一室。そんな言い方も成立しない。
あたしもゆまも琢磨も。ここで生活している。
でも、あたし達の家なんて言う気になれない。
「右腕が治って、良かったわね、琢磨君」
「そうだね!!
テンション上がったね!!!!
だから、このまま、ぱ~て~でもしませんか?」
「そこにぃ!!!
正座ぁぁぁぁ!!!!」
「hai!!!」
やばい、マミがガチでキレてる!?
「言いたい事は、色々あるのよ?
えぇ、数え切れないほど、あるのよ?
解ってるわよねぇ、たくまくぅ~ん?」
「ゆまとの仲の話ですか?」
「NoNoNo!」
「巴先輩に黙って、夜中に抜け出した事ですか?」
「NoNoNo!」
「も……もしかして……両方ですかぁ~!?」
「YesYesYes!]
ゴメン、ノリが解らない……。
「佐倉先輩が、ガチで引いている……!?
これって、かなりレアな状況じゃ」
「琢磨君はぁ!!
セイザァァァ!!」
「Yes,Ma'am!」
「いい気味」
「……ゆま……。
まあ、解らなくもないけど」
「味方がいない事実に、全オレが泣いた!
オレ、独りだけども!!」
「ゆまちゃんもぉ!!
正座あぁぁぁぁ!!」
「えええぇぇぇぇ!?」
「いや、日も落ちてる訳だし、少し落ち着けよ、マミ」
「貴方達の仲が険悪なのは知っているわ。
でも、私達は」
「既に、始まってる!?」
マミがここまで感情的になるのって、本気で珍しい。
あたしの中のマミは、強くて頼りになる、憧れの先輩。
あたしの家族の件で、喧嘩別れした後。代わりの相棒を見つけられてたらいいな。そんな風に考えていたけど。
その立場に、今、立っているのは一人の少年。自分の事しか考えない魔人。
がっかりした。それは素直な感想。安心した。それも素直な感想。
“こいつがマミと一緒にいていいなら、あたしも?”
もちろん、ゆまの事もある。どちらかと言えば、そちらの理由のほうが大きい。
でも、マミよりもあたしの考えに近い琢磨が、見滝原の
あたし以上に、自分の為に生きている琢磨が、マミの相棒である現実。
思ってしまったんだ。戻りたいと。
考えてしまったんだ。帰りたいと。
「そもそも、どうして琢磨君は自分の事しか考えないのっ?
君の魔法が、どれだけの人を救っているか。
君の魔法で、私がどれだけ助けられたか。
理解できない訳じゃないでしょっ!」
「それって、結果論じゃない?
オレ、自分の為以外に魔法を使った事ないよ?
自分以外を対象にした魔法って、オレは使えないし」
「口答えしないっ!!」
「理不尽だ!?」
思えば、あたしはいつだって自分の為だった。
家族が健在の時ですら。自分の都合でマミに押し掛けてた気がする。
マミと別れて、独りになって。自分の情けなさに閉口したものだ。
「ゆまちゃんも、どうして琢磨君と仲良く出来ないのっ?
私達は、皆で魔女を倒す。
その為に手を取り合っているんでしょ?」
「でも、たくまはゆまの事、役立たずって言った!」
「だからって、そのままで良い筈がないわ。
実際、琢磨君はゆまちゃんの事を考えに含めた上で、動いていた。
でなきゃ、一緒にパトロールをする事が、まずありえない事でしょう?」
「いや、オレ自身気にしてないし、今言う事でもない気が」
「口答えしないっ!!」
「またっ!?」
マミに対する負い目。ゆまに対する責任。
そんなあたしの心を、琢磨は平気でかき乱す。
本人に自覚は無いだろう。自分の為に生きる奴が、そこまで考える筈が無い。
それは、さっきのマミと琢磨の会話が証明してくれてる。
「大体、蒼色のラーメンって何なのよっ!?」
「もう、説教の方向がおかしいよね!?」
「蒼色のラーメン……? スープが蒼?」
「麺は水色だったな」
「貴方達はぁ!!
正座ぁぁぁ!!」
「「はぁい!」」
……シリアスなあたしに謝れよ、おまえら……。
「わけがわからないよ」
「普通にいるんじゃねぇよ、キュゥべえ」
「琢磨に呼ばれたから来たんだけど」
「……こんな状態でも、真面目に考えてるあたり、何者だよ、あいつ……」
「僕らにとっては、琢磨は“異物”だね」
……異物?
「どうして朝ごはんが紅いトーストなのよ!!」
「解ったら改善してるからっ!
新しい料理に挑戦する度に、色がおかしくなるオレの身にもなってっ!!」
「ゆまは、関係ない「せいざぁぁぁぁ!!」ふえぇぇぇッ!?」
収拾つかないが……はっきりさせるべき事がある。
「蒼色ラーメンの味は?」
「ビビンバの味がしました」
「……紅いトーストは?」
「カレーうどんの味でした」
「てめぇはもう、料理をするんじゃねぇぇぇぇ!!」
「ちなみに、青色麺は、し」
「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
SIDE キュゥべえ
魔法少女の遺体。魔女結界の中にあった、考えにくい物体。
琢磨からの念話で呼び出された僕が見たのは。
説教するマミと、正座する琢磨とゆま。少し離れて眉間をおさえる杏子。
うん、想定外だね。
「足が痺れているかと思った?
ざんねん! <
言いながら、電子タバコを片手にベランダに出た琢磨と、肩で息をする魔法少女達。
うん、わけがわからないよ。
「わざわざ僕を呼んでまで、何の話なんだい?」
もちろん、僕は琢磨に問いかける。マミ達は息を切らしているし、琢磨との会話が有意義なのは、これまでの実績から理解しているからね。
「魔法少女狩り。
便宜上、そう呼称するが。
お前が“知らない筈がない”んだよ」
なるほど。とうとう琢磨達も、その存在に気付いたんだね。
口から煙を吐き出す琢磨と、それを見つめる僕の視線が交錯する。
[余計な情報はいらない]
[魔法少女システムの事かい?]
[魔法少女が魔女になる。
この“最大の絶望情報”は、今、明かすべきではない。
切り札は、最も効果的な状況で切らないと、効果半減だぜ?]
[その情報を得た上で、今も生きている琢磨が言うなら、そうなんだろうね]
[それに、オレの見た“魔法少女の屍”は“気付いていない者”によるものだったぞ]
ヒトでありながら、システムを理解した上での対話。それが、どれほど貴重な事か、理解してるのかい?
「では、過程を仮定していこうか」
僕らにとって“異物”と呼ぶに相応しい少年は、そう言いながらも、口の端を持ち上げていた。
次回予告
本題 本質 本意
人であるが故に 人であるからこそ
考える 自身の知恵を持って 答えを探す
その知恵こそが、最初の罪と気付かずに――――――――――
九十九章 魔法少女は、魔法少女に