無法魔人たくま☆マギカ   作:三剣

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「一つ、疑問があるんだけどいいかい?」
「オレに答えられるかは、保障しないぞ?」
「かまわないよ。
 あまり期待はしてないからね」
「そうだよな。
 ナマモノはそういう奴だよ、知ってたよ」
「キミの魔法は“時間停止”“放電能力”“空間干渉”の三つだ」
「そうだな。
 願いを叶えた結果、得た魔法だな」
「僕等には、キミ達の願いも、それによる能力も、干渉する事は出来ない」
「らしいね。
 それで?」
「時間と空間。
 この二つは密接な関係にあるから、理解出来る。
 でも“放電能力”だけが明らかに異質だ」
「うん、聞かれても答えられねぇよ」
「魔法は願いにより左右される。
 しかし、放電能力だけは、願いとは別にあるとは思わないかい?」
「わけがわからないよ」
「僕の台詞だよね」
「言われてもなぁ……。
 ただオレは、使えるモノは徹底的に使い潰すだけだし」
「せーの」
「「わけがわからないよ」」


百十章 それでも望むのは

SIDE 群雲琢磨

 

「キョ~コ~!!」

「あぁ、とりあえず治療しような?」

 

 泣きながら、先輩達の元に駆けていくゆまを見ながら思う。

 

 ごめんなさい、正直いっぱいいっぱいでした。

 

 色々な武器を使って立ち回るオレにとって“武器使用不可”は、はっきり言って致命的。

 うまい具合に策がはまったから良かったが、正直他に浮かばなかったってのが大多数を占めていた。

 

 先日の魔女戦のようにゆまが回転して、衝撃波を出し続けてきたら、こうはいかなかっただろうねぇ。

 ……電子タバコ壊れたし。

 まあ、ストックはあるのだが。

 

 新しい電子タバコを<部位倉庫(Parts Pocket)>から取り出して、オレはそのまま口に咥える。うん、落ち着くわ~。

 

「何本持ってるのよ?」

「百から先は略」

「……取り上げるべきかしら?」

「貴重な修行道具なんで、勘弁して下さい」

「修行道具じゃなかったら、取り上げてるわよ」

「修行道具じゃなかったら、そもそも持ち歩かないよ」

 

 そんな雑談をしながら、ゆまと入れ替わる形でオレと対峙する巴先輩。

 

「ハンデはいる?」

「今回はいいわ。

 ゆまちゃんの手前、私がハンデ戦をしても、効果は薄そうだし」

 

 ふむ……。

 まあ、今回の模擬戦はゆまの経験値と“オレの退治方法”の二つがメインだろうしねぇ。

 負ける気? 無いよ?

 

「ゆまの治療完了を待って、開幕といこうか?」

「普段から、そうやって空気を読んでくれると嬉しいのだけど?」

「オレが空気を読めると本気で思ってるなら、まずはそげぶ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 佐倉杏子

 

「う~……」

 

 手の治療を終えたゆまが、唸りながらクッキーを食べている。

 

「落ち着いたか?」

 

 その頭を撫でながら、あたしも同じ様にクッキーを口に運ぶ。

 

「負けちゃった……」

「そうだな」

 

 ゆまの言葉に、あたしは相槌を打つ。ハンデ戦なのに敗北した。その事実はゆまには辛いかもしれない。

 

「ゆま、弱いね」

「いや、弱いわけじゃないよ」

 

 即座に返す。首を傾げるゆまの頭を撫で続けながら、あたしは言うべき言葉を捜す。

 マミさんなら。琢磨なら。どう言って、ゆまを励ますのだろう?

 

「でも、負けたよ?」

「負けたから弱いって訳じゃない。

 そんな事言ったら、あたしだって弱い事になる」

「キョーコは弱くないよ!」

 

 あたしの言葉に反応して、ゆまが大声を上げて立ち上がる。

 それに気付いたマミが、心配そうにこちらに視線を送る。琢磨? いつも通り。

 

「でも、負けたぞ」

「う……」

「負けたあたしを、ゆまは弱くないと言う。

 なら、負けたゆまは弱くないと、あたしが言う。

 間違ってるか?」

「うぅ……」

 

 返答できないゆまは、再び座る。

 マミはこちらを見たまま。どうやら会話が終わるまで、模擬戦を開始しないようだ。

 あたしは、再びクッキーを頬張る。

 

「あたしとゆまは負けた。

 それは弱いからじゃない。

 琢磨の作戦に、見事に嵌められたからだ」

「オレが悪者みたいだな。

 うん、知ってた」

「オマエは黙ってろ」

「理不尽だ!?」

 

 地団駄を踏む琢磨を見て、多少は溜飲が下がる。それを見たゆまも「いい気味」と呟いていた。

 

「逆に言えば、琢磨の作戦を破っちまえばいい。

 強いから勝った訳じゃない。

 弱いから負けた訳じゃない。

 琢磨が、ほんの少しだけ、あたし達より勝つ為の努力をした。

 それが結果さ」

 

 そして、それこそがマミの言った“琢磨の真骨頂”なんだろう。

 どんな状況においても。自分の為になる事は何かを、常に模索し続けている。

 もちろん、戦闘においては勝つ事こそが自分の為になる。

 常に、勝利への道筋を模索する。

 後は、それを実行できるだけの実力があるかどうか。

 

「例え弱くても、作戦次第で強い相手に勝つ事が出来る」

「それだと、オレが弱いみたいじゃん。

 否定はしないけど」

「……」

「せめて、黙ってろとか言って!?

 無視が一番辛いんだぞ!!」

 

 少しぐらい、意趣返ししてもいいよな?

 

「まあ、とにかく。

 ゆまが自分を弱いと思うなら、強くなればいい。

 弱いままでいいなら、そのままでいい。

 あたし達は、一緒に居る理由を、強弱で選んだ訳じゃないんだからな」

「! うん!」

 

 あたしの言葉を理解してくれたのか、ゆまは元気良く頷いた。

 それを見て、あたしも笑いながらゆまの頭を撫でる。

 マミも琢磨も、笑顔を見せていた。

 

「でもやっぱり、たくちゃんはゆまがたおす!」

 

 それでも望むのは、それなのか……。

 思わず苦笑した、あたしとマミ。

 

「最初にゆまと戦った時、衝撃波で倒れたけどなオレ」

「そーゆー意味じゃない!!」

「うわ、こいつメンドクセ」

「むぅ~!

 やっぱ、たくちゃんキライ!!」

 

 頬を膨らませて、そっぽを向くゆま。

 

 その時の、琢磨の眼差しは、とても優しく感じた。

 

『羨ましくて妬ましい』

 

 以前、琢磨はゆまの事をそう言った。

 ゆまの事が羨ましいと。ゆまの事が妬ましいと。

 

 まあ、あたしから見れば、今の二人は“喧嘩するほど仲が良い”状態のような気もするけどな。

 

「そろそろ、始めましょうか?」

 

 マミの言葉に、琢磨は真剣な表情に切り替わる。

 ゆまも、真剣な表情で二人を見る。

 

「3連戦最終章。

 華麗に勝利して、幕といこう」

「阻ませてもらうわよ。

 華麗に舞うのは、私の方なんだから」

 

 そして二人は、それぞれの言葉で開戦を宣言する。

 

「だって私、魔法少女ですもの!」

敗北を送ろうか(Rock You)




次回予告

巴マミVS群雲琢磨

互いに信を置き 互いに力を磨き

故に、互いの戦いを知る

どちらの方が強いか どちらの方が弱いか

勝敗を決めるのは、そこではない

どうやって、勝ちを手元に収めるか

ただ、その一点が、すべてを決める戦い




百十一章 付け焼刃
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