「なんだ、ナマモノ?」
「ここにハジヶえを呼べばいいんじゃないかな?」
「おい、やめろばか」
SIDE 群雲琢磨
帰ってきたオレ達は、三角のガラステーブルの前に座る。
一辺に巴先輩。一辺にオレ。もう一辺にいつも座っていた二人は、もう、いない。
「そうだわ。
紅茶、淹れましょうか」
若干震えた声で、巴先輩は立ち上がった。
それに続く形で、オレも立ち上がる。向かうのはベランダ。
“流れ”だけは、いつも通りなんだけど、な。
電子タバコを咥えて、いつものように深呼吸。でも、オレの視線の先。三角テーブルには、誰もいない。
二人は、もう、いないのだ。
しばらく後、いつもより時間が掛かったが、巴先輩が紅茶の準備を終える。
「あ……」
当然のように用意された“四人”分。
「太るよ?」
茶化すつもりで言った言葉も、巴先輩には届かなかったようだ。一層暗い表情で、
テーブルの前に戻り、オレ達はゆっくりと紅茶を口に運ぶ。
「いつもと同じ紅茶のはずなのに……。
あまり、美味しくないわね」
同感。だが、声に出すのは控えておく。オレにしてみれば、これからが大変だからな。
【では、闘劇をはじめよう】
SIDE out
「琢磨くんは知っていたのね。
魔法少女が、いずれ魔女に成る事を」
「【知っていた】【そして】【極力黙ってた】」
「何故?」
「【知ったとしても】【なにも変わらないから】【魔法少女が魔女に成る事】【それを】【覆せる訳ではないから】」
魔法少女システム。知っていても。知らなくても。
事実には、まったく影響しない。
故に、群雲は黙っていた。誰にも言うつもりはなかった。
その事実を知る事が“マイナス”にはなっても“プラス”になるとは、考え難かったからだ。
それを証明するかのように、魔法少女システムを知っていた杏子は、
「そう……私だけが“蚊帳の外”だったのね」
「それは違うんじゃないかな?」
自虐的なマミの言葉を、いつの間にか現れたキュゥべえが訂正を加える。
「マミもまた“魔法少女”だからね。
完全に無関係とは言えないよ」
無関係であるはずがない。マミもまた魔法少女であり。
魔女になる結末が、充分に在り得るのだから。
「【それはそれ】【これはこれ】【そんな風に割り切れるのは】【オレぐらいだろうね】」
それもまた、群雲琢磨の異常性。擦り切れた精神が現実を【軽い】ものに削ぎ落とす。
「……何が目的なの?」
ゆまの死。杏子の魔女化。もはやマミには“信じられるモノ”はない。
「宇宙の延命さ」
だから、キュゥべえの“目的”が、あまりにも“遠い”のだ。
「魔法少女が魔女になる。
その際に発生するエネルギーは、エントロピーを凌駕するんだ。
それを回収し、宇宙の延命にあてる。
それが“孵卵器”である、僕の役割さ」
だから、キュゥべえの“言葉”が、あまりにも“無為”なのだ。
「できるなら、ゆまも“魔女に成ってほしかった”のだけどね」
だから、キュゥべえの“存在”が、あまりにも“非情”なのだ。
「誤解をしないで欲しいのだけど」
だから、キュゥべえに銃を向けるのは、あまりにも“当然”だったのだ。
「僕は別に、君達を不幸にしようだなんて考えて、動いている訳ではないよ」
「その言葉を……信じられるわけないじゃない!!」
涙を流しながら、小型のマスケットを向けるマミと、決して変わる事のない孵卵器。
紅茶を飲みながら、魔人はその様子を見届ける。
「考えてもみてごらん?
僕は“希望”を。
君達の“願いを叶えた存在”だよ?
不幸にする為ならば、そんな事をする必要がないじゃないか」
人類と孵卵器。その決定的な違いは。
「もしも“契約”が不幸を産んだのなら。
それは僕ではなく、君達“魔法少女”の問題だ。
願いを叶えた後の事柄まで、僕のせいにしないでほしいな」
孵卵器。インキュベーターが“感情”を持ち得ない事。
そして。
「君達はいつもそうだ。
魔女……すなわち“魔法少女の犠牲”の上に成り立っている生を考えず、身近な存在の死に心を掻き乱す」
それ故に“心を痛める事”の重要性が理解出来ない事なのだ。
「マミは、生きたいと願った。
僕は、それを叶えた。
君の願いの上に積み上げられた“同胞”の犠牲を考えてみなよ。
それに比べれば“仲間”が二人、いなくなったぐらい、大した事じゃないだろう?」
ただでさえ。状況に置いていかれていたマミは。
その情報が、マミを追い詰めていく。
「…………………………そうね」
手にした銃を置き。マミは俯いて、呟く。
「ただ一人、生き残る事しか願えなかった私が、今更なにをって話よね」
「【クチ】【挿ませてもらうぜ】」
それまで黙っていた魔人の【闘劇】がはじまる。
敵は当然【
「【巴先輩が】【何も言えないのなら】【家族が死んでいる事を理解した上で】【自分の為にだけ願った】【オレの立つ瀬がないんだが】」
顔を上げたマミが見るのは、白い眼帯をした白髪の少年。
「【勘違いをしちゃいけない】【オレ達は願いを叶えた】【その先にある不幸を】【
「契約をした先の現実を受け入れないのかい?」
「【黙ってろよ】【下等生物】」
孵卵器をもってして。異物と称される存在。
未来予知をもってして。
「【大前提として】【なんで】【現実なんざ】【受け入れなきゃならんのさ】」
「宇宙の延命とか、知ったこっちゃないんだよ」
ただ、自らの為だけにしか生きられない上で。
「良い事がある。
悪い事がある。
そんな程度の“当たり前”なんざ、てめぇの契約が無くたって起こりえるんだよ!!」
それでも、愛し合う事が出来た少年の生き様。
「勘違いするな、下等生物!!
張り上げた声が、響き渡る。
その言葉に込められた“意味”を“理解”したキュゥべえは。
「わけがわからないよ」
いつものように、いつもの言葉を呟いた。
SIDE 巴マミ
群雲琢磨。私の知る少年は、私の考えている以上に、色々な事を考えていて。
群雲琢磨。私の知る少年は、私が思っている以上に、色々な事に思いを馳せて。
群雲琢磨。私の知る少年は、私が知っている以上に、色々な事を知っていた。
それでも、やっぱり。私の知る琢磨くんで。
この子もまた、私を“繋ぎ止めてくれてる”んだと。
今でも、そう思うの。
「僕としては、マミの」
「消えて」
だから、私は告げる。
「今は、あなたと話す事なんてない」
私の言葉の後、キュゥべえは何を言うでもなく、その姿を消した。
残されたのは、私と琢磨くんの二人だけ。
「【魔法少女が魔女に成る】【これは変えられない事実】」
冷めてしまった紅茶をそのままに、私は琢磨くんの声を聞く。
「【だが】【魔女に成らなければならない】【そんな決まりは無い】」
次回予告
はじめた闘劇が、いつ終わるのか
もはや、当人にもわからない
だから、魔人もまた、同じように言うのだ
わけがわからないよ
百四十五章 約束が違う
TIPS 有頂天孵卵器ハジヶえ★ウザス
え? カメラまわってる!?
やあ、みんな!! 今日もケーヤクしてコーカイしてる?
おでんのはんぺんみたいな味がするハジヶえだよ!!
今回の話は、たくマギ作者の独自解釈だよ!!
メタい? ボクにそれを言った所で、何の意味も無いのは知ってるだろう? ウフフ
インキュベーターのメインとするのは宇宙の延命!!
その為に必要なエネルギーの回収!!
そのエネルギーの元となるのが感情!!
さて、たくマギ作者はここで考えた
( ´へ`)<どうやって、このシステムを構築したんだろう?
このシステムを構築する上で、必ず必要となるもの!!
それは、ボクでもなければ、キュゥべえでもない!!
高度なテクノロジーでもなければ、崇高な理論でもない!!!!
そう!!!! 【感情】さ!!!!
宇宙延命の為のエネルギー!! それを得る為の“素材”!!
感情がなければ、そもそもそれを“変換”する事など不可能だ!!!!
たくマギ作者の考察にして、独自解釈にして!!
❤も★う★そ★う❤
インキュベーターは、元々“感情を保有していた”
感情をエネルギーに変換するテクノロジーを発明した際、インキュベーターが“自分達の感情を元にしないはずが無い”
結果“感情を吸い尽くした”
だから、宇宙延命の為に、他の知的生命体を求めて、地球に辿り着いた
有史以前から、人類と接触しているインキュベーターが感情を“理解出来ない”のは“自分達の感情を、宇宙延命の為に使い切ったから”
インキュベーターは、感情の発生した個体を“精神疾患”として処理をする
「無駄に潰されるのは、もったいないじゃないか」とか言っちゃうのがキュゥべえだよ? ボク? ハジヶえだよ!!
無駄にしない為の処理方法が“エネルギーを得る為に、感情を吸い尽くす”のであれば?
これが、たくマギ作者の考察さ!! 孵卵器えげつないね!!
褒めてくれてありがとぉ!!!!
もう、設定解説する際、ボクじゃなきゃ駄目なふいんき(ry)だよね!!
さあみんな!! ボクの活躍が見たいのならケーヤクしよう!!
今なら、ソウルジェムを合体ロボットにする機能もつけちゃうよ!!!!