無法魔人たくま☆マギカ   作:三剣

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「やあ!!
 みんな大好きハジヶえだよ!!!!」
「【カエレ】」
「どうせ、本編とは関係ないように見えて、微妙な伏線を仕込んでたりする前書きだからね!!
 ボクが登場する事によって、本編参入への足掛かりにしようと思うんだ!!」
「【カエレ】」
「ボクがここに登場すると言う事は、今回もTIPSが無いって事さ!!
 それだと、皆がかわいそうだから、こうやって登場した次第さ!!
 さあ、改めてボクとのケーヤクを考えてみないかい?
 今なら、キュゥべえとの区別なんて在り得ない、ハジヶえキーホルダーを付けちゃうよ!!」









ヽ(#・ω・)ノ┌┛)ω×)(\


百四十六章 取引内容

SIDE out

 

「くふふふふ」

 

 深夜。公園を一人で歩く。優木沙々はご機嫌だった。

 

 見滝原の縄張りを、自らのものとして動いていた彼女にとって“黒い魔法少女狩り”はいい隠れ蓑であったのだ。

 現縄張り所有者“見滝原の銃闘士(アルマ・フチーレ)”は有名だ。そのメンバー構成は容易に掴む事が出来る。

 リーダー“巴マミ”に近付きつつ“魔法少女狩り”と『潰し合わせる』事で、自身は安全でありながら、敵の戦力を削ぐ事が出来る。

 

 そう、優木沙々はご機嫌だった。

 だからこそ、気付かなかったのだ。

 

 【たった一手を手掛かりに】【自分まで辿り着く】【そんな】【異物が】【ある事に】

 

 公園の中、機嫌よく歩いていた沙々は、前方に見えた人影に足を止めた。

 緑色の軍服に、両手足を染める黒。総白髪に同色の眼帯。

 魔人が、真っ直ぐに自分を見つめている。微動だにせず。ただ、沙々を見ている。

 

(魔人……何故ここに?)

 

 沙々自身は魔人との面識、接触は無い。自分は“見滝原の銃闘士(アルマ・フチーレ)”の情報から、魔人について知っている。

 しかし、魔人には沙々の事を知る術は無い筈。マミですら“沙々が魔法少女である事”を知らないはずなのだから。

 そんな沙々の考えを否定するかのように。魔人は変身姿で沙々を見つめている。

 無表情で、その瞳に何の感情も見受けられず。

 

(妙ですねぇ)

 

 そんな不可思議な状況に、沙々は無意識に一歩下がった。

 

 

 

 次の瞬間、沙々の眼前に落ちてきた一筋の光。

 

 

 

 

 その光に、沙々は足元に落ちたモノに目を向ける。そこにあったのは一本のナイフ。

 

(!?!?!?)

 

 反射的に、沙々は後ろに飛び退いた。

 無意識に一歩下がっていなければ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「【う~ん】【惜しかった】」

 

 言いながら、魔人は沙々に向かって歩き出す。殺意も敵意も無く、ただ近付いてくる魔人を沙々は凝視した。

 

(何故!? わたしを攻撃した!? いや、それ以前に()()()()()()()()()!?)

 

 

 魔人を視認してから、沙々は一度も視線を外していない。ナイフを投げる動作をしていれば、確実に気付く筈だ。

 つまり魔人は“沙々が魔人に気付く前に攻撃を開始していた”事になる。

 

「【命中してくれていれば】【多少は楽になったのに】【まあ】【やる事に変わりはないけれど】」

 

 尚も、近づき続ける魔人に対し、沙々は変身する事で対応する。

 オレンジ色をベースとした、道化師のような姿。

 

「確かに命中していれば、わたしに勝てたかもしれませんねぇ」

 

 余裕を見せる沙々に、魔人がその足を止める。電子タバコを咥える魔人に、沙々は得意気に話し出す。

 

「知ってるんですよぉ?

 魔人ってのは、魔法少女よりも劣っているんでしょう?」

 

 その通りである。

 魔人、魔法少女を契約によって生み出す“孵卵器”がそう言うのだから、そこに間違いはない。

 だからこそ、沙々は魔人を後回しにしていた。

 

「【確かに】【魔法少女よりも劣る存在】【それを魔人と呼ぶね】」

 

 対し、魔人もその事実を肯定する。自らが劣る存在である事を、この魔人は充分に理解しているからだ。

 

「くふふふふ。

 最初でわたしを倒せなかったのは、残念でしたねぇ!!」

 

 手に持つ杖を振るい、沙々は“使い魔”を呼び出す。

 その“使い魔”の特性により、公園の一角だったその場所が“結界の中”へと変化する。

 

「知ってるんですよぉ!!

 貴方が劣っている事はね!!」

 

 歪んだ景色。ツギハギだらけの空間。本来なら“同時に存在する筈の無いモノ”が同居する故か。

 

「出ておいで。

 わたしのかわいい魔女さん達」

 

 沙々の後ろ。付き従うかのように姿を現す複数の魔女。従来ならば在り得ないその光景を前に、魔人は変わらない。

 

「【なんとも】【想像していなかった光景だね】」

 

 脅威の光景の前に、変わらない自然体。その異常に、沙々は気付く事無く、得意気に話し出す。

 

「くふふ、驚きましたぁ?

 わたしの魔法は“洗脳”なんですよぉ!!」

 

 戦う必要などなかった。争う必要などなかった。

 邪魔なモノを、自らの思うがままに“洗脳”すれば、沙々に出来ない事など無かった。

 

 【自分より優れているものを従わせたい】

 

 それが、沙々の願いであり、それが沙々の根源だった。

 

「【まいったねぇ】」

 

 だが、沙々は気付かない。ここに魔人がいる事実。それが導き出す【答え】を。

 

「【どうやら】【オレがここにいる】【その異常事態を】【把握してないらしい】」

 

 その言葉に、沙々の表情が変わる。まったく見えないのだ。目の前の魔人。その真意が。

 

「【ナマモノとの取引内容にて】【オレはここまで辿り着いた】」

 

 そう、これからはじまるのだ。魔人の闘劇。

 

 否【殲滅劇(アニエンタメント)】が。

 

「【教えてあげよう】【優木沙々】【オレがお前まで辿り着いた】【その切っ掛けを】」

 

 ゆっくりと右手の人差し指を、沙々の後ろに控える魔女へと向けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

パチンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 小気味良い音を鳴らす。次の瞬間、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【千歳ゆま】【彼女こそが】【唯一にして最大の悪手だ】」




次回予告

手繰り寄せ、辿り着いた一つの答え

独りになったからといって





繋がっていない訳ではないのだ










百四十七章 ゆまが、するはずがない

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