無法魔人たくま☆マギカ   作:三剣

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「わかったよ、キュゥべえ!!」
「もう、完全に前書きを掌握したね、ハジヶえ」
「聞いてよ!?」
「なんだい?」
「本編の空気をダ○ソンの如く吸引するボク!!
 このタイミングで生まれたボクが証明するのは!!」
「なんだい?」
「作者はシリアスに向いてない!!」
「あ、そこを否定するんだ」
「だから、ボクを主人公にするべきなんだよ!!」
「わけがわからないよ」















「あ、今回はTIPSは無いよ」
「なん……だと…………」


百五十二章 舞台掌握

SIDE out

 

 周りの使い魔を一掃し、暁美ほむらは手に持った銃に、弾を補充する。

 その傍らで、鹿目まどかは静かに佇んでいた。

 まるで、アクション映画……或いはホラー映画のワンシーンだ。

 そこに現実感を持たせるのは“観る”だけでは決して感じる事の出来ない“臭い”だった。

 決して見る事の出来ない、しかし確実に存在する“それ”が、まどかの心を“現実”に縛り付ける。

 対し、その“臭い”に慣れきってしまったほむらに、戸惑いはない。

 

 だからこそ、二人は同じ場所にいながらも、どこまでも()()のである。

 

「ほむらちゃん……」

 

 現実以外(空想物)でしか見た事のない代物(兵器)を平然と使いこなすほむらに、まどかは語りかける。

 

「なんで……?」

「怯える必要はないわ。

 あなたは私が護る」

「違うのっ!!」

 

 それでも、まどかがほむらに“語りかける事が出来る”のは、その本質的な“強さ”故だ。

 内気で、自分に自信を持てず。それでも“誰かを想える”その本質。

 

「ほむらちゃんは、すごい力を持ってる。

 勉強も、運動も出来るし、今だって冷静で……。

 でも、違うの!! そうじゃないのっ!!」

 

 そして、自分に自信を持てないから。自分に対する“比重”が軽いからこそ。

 

「なんで私なの? なんで私だけなの!?」

 

 まどかは自分だけの守護者(暁美ほむら)に語りかける。

 

「皆いたんだよ! さやかちゃんや仁美ちゃん、他にもいたんだよ!!」

 

 だからこそ、まどかは納得する事が出来ない。暁美ほむらが“自分だけを助ける”この現実に。

 

「落ち着いて、まどか」

 

 対し、暁美ほむらは“冷静でなければならない”立場にいる。

 その存在の全てがまどかの守護者(自分以外)であるが故に。

 

「私は、何でも出来るわけじゃないの」

 

 そして、今まで一度も“成し遂げられなかった”からこそ。

 暁美ほむらもまた、自分に自信を持てない。自分に対する“比重”が軽いのだ。

 

「全てを救うなんて出来ない。

 皆を助けるなんて出来ない。

 でも、それでも。

 私は、貴方を護りたかったの」

 

 友達として、接してきた。しかし、その本質は別にあった。

 

 鹿目まどかと暁美ほむら。どこまでも()()二人。

 

 まどかを守る為、ほむらは結界魔法を発動する。

 まどかを囲う様に発生した光の輪。かつての先輩(巴マミ)が得意としていた魔法を、自分なりに使えるようにした魔法。皆を殺そうとした先輩(巴マミ)の力を、退ける為に考えた魔法。

 

 巴マミ(尊敬する先輩)に対する、自分なりの答え。

 

「ほむらちゃ……痛っ!?」

 

 ほむらに伸ばした手は、結界魔法に阻まれる。弾かれた手を、それでも伸ばしながら。

 

「ほむらちゃん!!」

 

 背を向けて、奥へと進む暁美ほむらに投げかけた。

 

「一緒に帰ろ……」

 

 背に投げかけられた言葉を、暁美ほむらは受け取る。

 

「必ず帰るわ……」

 

 あぁ。二人はこんなにも()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 殲滅屍

 

「【さてさて】【オレは後どれだけの】【遺体を見ればいいんだろうな?】」

 

 決して走る事無く。宛てなんてあるわけも無く。

 自分に襲い掛かる使い魔だけを相手にしながら。マイペースに歩みを進める訳ですが。

 いい加減、見滝原中の制服を着た遺体は、見飽きてきた。

 仕方の無い事ではあるんだけどね。

 見滝原を縄張りとした魔法少女が、もう“活動してない”んだから。

 歩きながら、オレは思考を巡らせる。

 

 美国織莉子はやりすぎた。ナマモノにとって、都合の悪い存在となった。

 つまり“美国織莉子の情報を秘匿する必要はなくなった”と言う事。

 ナマモノが持つ美国織莉子の情報を全て、オレはしっかりと保有していた。

 

「【それを踏まえても】【真の目的がわからないあたり】【白い魔女が舞台掌握してるよねぇ】」

 

 しかしながら。情報で最弱を誤魔化す魔人には、考えないという選択肢は無い。

 

「【未来予知】【絶対的なアドバンテージ】【この展開はきっと】」

 

 未来を予知したからの動き【ではない】はずだ。詰める気なのは間違いないだろうけど、あまりにも“周りを巻き込みすぎ”なんだ。

 これまで“秘密裏”に動いていたにしては、暴挙とすら呼べる一手。

 

「【それはつまり】【そうしなければならない理由が】【白い魔女にあるって事だ】」

 

 その理由。過程からの仮定はすでに終わってる。この魔女結界がその仮定を後押ししている。

 

「【オレ自身の“目的”の為にも】【白い魔女はなんとかしなきゃいけないんだよねぇ】」

 

 相手は未来予知である。これほど厄介な相手はいない。

 時間停止を用いても“時間停止した結果”に対して、的確な対応を可能にする能力。

 

 戦略、戦術の“一つ上”から一手を打てる。結果に対して、より良い過程を選択出来る。

 相手にする、その時点で“後手”なのである。オレにとっては相性最悪。

 

 <オレだけの世界(Look at Me)>の先を“先に見る”事が出来る時点で<オレだけの世界(Look at Me)>は有効打にならない。

 <電気操作(Electrical Communication)>に連なる高速移動も“動いた先”を知られているのだから、対応は容易。

 <部位倉庫(Parts Pocket)>……戦闘技能じゃねぇよ、あれ。

 

「【チートすぎるだろ未来予知】【だからこそオレは一度】【殺されちゃった訳だが】」

 

 オレには予知なんて出来ない。出来るのは【予想】【想像】【妄想】に構築された【戯言】だ。

 だからこそ、オレはそれを“武器”とする。

 

「【存在なんて虚像と同じだ】【だってオレ達は魔法少女なんだから】」

 

 あ、オレは男なんで少女じゃないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE out

 

 見滝原中学。そこで展開した魔女結界。

 その最深部に辿り着いた魔法少女と、迎え撃つ魔法少女達。

 

「ようこそ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見滝原中学。そこで展開した魔女結界。

 

「【迷った挙句に】【校門前だと】」

 

 何故か、スタート地点に戻った、魔法少女以外(魔人)




次回予告

すでに整った舞台で

役割通りに演じる少女達は

はたして不幸か 幸福か




すでに整った舞台は

結局の所 誰も望んではいないのだから

幸なんて 存在しないのだ



百五十三章 昏い道

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