「いきなりメタいね」
「たくマギは“ルビ有必須”だよ!!」
「え? 今更?」
「タグに追加するべきかな?」
「むしろ最近は、ルビ表示を演出の一環としてフル活用してるからね」
「いや、それは最初からじゃないかな?」
「琢磨の魔法名が顕著だよね。
補足的意味を込めて、幕間での設定公開ではルビを使わずに表現しているようだけど」
「たくマギを観る時は、ルビ表示を有りにして、ボクとケーヤクしてから見てね❤」
SIDE out
見滝原中学。そこで展開した魔女結界は。そこに存在した命を、容易く、無慈悲に喰らっていった。
この結界が解けない限り、命は喰らわれ続けるだろう。
しかし、その結界を解く為に必要なのは。
結界の主を喰らう事なのだ。
それを、ウィキッドは熟知している。
『
炸裂したりしない。だから『
弾丸ではなく、銃本体に
しかし、本来六連射可能なところを、単発にする辺り、ウィキッドは凌がれる事を想定していた。
相手は、未来予知の美国織莉子である。不意打ちを“知られている可能性”は充分にあり。
それを、ウィキッドが想定していない筈もないのだ。そういう子なのだから。
「【さてさて】【】」
【戯言】で場を掻き乱し、それに乗じて場を支配する。しかし、ここは“魔女結界”の中。
速度低下したウィキッドに行動させる前に、速度低下していないキリカが鉤爪を振るいながら飛び掛った。
「【どれだけ遅くなろうとも】【どれだけ速くなろうとも】」
対するウィキッドは、そんな状況も想定済み。持っていたSAAを右腰にしまい、変わりに右手の平から大量のナイフを、扇状に手にする。
素早く、左手の人差し指をキリカに向けたウィキッドは、自らの魔法を発動させる。
自らの為に対し、一切の妥協を許さないこの異物は、たった一手でアラユルモノを凌駕する。
「【止めてしまえば】【同じ事】」
<
SIDE
「【オレの戯言に付き合わず】【問答無用で排除する】【その選択自体は正しい】」
時間の止まった世界。オレだけが動ける時間。誰も聞いていないだろう言葉を、それでもオレは紡ぐ。
「【だが】【それだけでは不十分だ】【
<
群雲琢磨の最初の魔法。自分以外の時を止める。どういう理屈が作用しているのかは、残念ながら不明。だが、それでいい。魔法とはそういうものだ。
問題なのは、その特性。オレが触れたものは、時間が動き出す。オレの触れたものは、オレだけの世界を享受する。
故に、時間停止中に直接攻撃する事は出来ない。
と、群雲琢磨は
最初が駄目だった。一番最初の使い方がまずかった。時間停止中に攻撃した結果、見事に轢き飛ばされた。この切っ掛けが最低だった。自らの魔法が、自らの為にならなかった最初の結果。
だから、群雲琢磨は思い込んでしまった。
時間停止中には 攻 撃 し て は な ら な い と。
それは間違いだ。群雲琢磨の間違いを、
時間が止まった世界。オレに飛び掛る黒い魔法少女。
手に持っていたナイフを無造作に離す。ナイフはそのまま、重力に従う事無く、空中で停止する。
オレは彼女の後ろに回り、襟を掴む。呉先輩の時間が動き出す。
「ぐえ」
「【おせぇよ】」
そのまま、全力で後ろに引き倒す。背中から地面に叩き付けられるように、呉先輩が倒れ込み、時間が再び止まる。
そう。相手の時間が動き出しても安全な攻撃を行えばいいのだ。
止まっているナイフを数本取り、オレは地面に仰向けに倒れる最中の呉先輩の上から、全力で投げ落とす。
両腕、両足を狙って、全力で投げられたナイフは、先輩を貫く前に停止する。
「【さてさて】【狙い通りにいけばいいが】」
仮に、狙い通りではなかったとしても、オレの【目的】に支障は無い。
時間停止前の状況に、自分を持っていく。ナイフが数本減っているけど、きっと誰も気付かない。だって今、世界はオレだけのモノ。
直後に指を鳴らせるように、
SIDE out
パチンッ
そんな、小気味良い音を、ウィキッドが左指で鳴らした瞬間、状況は一変する。
しかしその状況を、魔法少女達はまったく違う形で認識していた。
白い魔女、美国織莉子。
ウィキッドが指を鳴らした瞬間、飛び掛っていた筈のキリカが仰向けに倒れ、ナイフで地面に縫い付けられてしまった。
黒い魔法少女、呉キリカ。
速度低下の影響を受けている筈のウィキッドが、自分が認識出来ないほどの速度で後ろに回り、引き倒すと同時にナイフで貫かれた。
「【おせぇよ】」という言葉を、キリカは確かに自分の後ろから聞いていたのだ。
倒れたままの魔法少女、暁美ほむら。
時間を操作する彼女は、ウィキッドの時間停止を“正しく認識”していた。
(まさか……琢磨も時間を止められるだなんて……!?)
繰り返した、数多の時間。その中で、たった二回、出会った魔人。
しかし、初めてだったのだ。魔人がほむらの前で“時間停止を行った”のは。
群雲琢磨が、暁美ほむらの“時間停止”を認識出来るように。
暁美ほむらも、群雲琢磨の【時間停止】を認識出来るのだ。
そんな、魔法少女達の困惑なんて、知ったこっちゃ無いと、ウィキッドは戯言を開始する。
「【さてさて】【こうしてオレがここに来たのは】【当然のように】【自分の為な目的によるのだが】」
「おりこぉ!!」
しかし、ナイフで地面に固定され、動く事が出来ないキリカの声が、戯言を押し潰す。
「ウィキッドに構うな!! ウィキッドに付き合うな!!
そいつに良い様に動かれちゃだめだあぁぁぁぁ!!!!」
その言葉で、困惑状態だった織莉子が起動する。自らの周りに、大量の水晶球を生み出す。
それは先日、群雲琢磨を“殺した”魔法。
「何故、貴方が生きているっ!?」
「【知りたい?】【ねえ知りたい?】【教えてあげてもいいけど】【教えてもらう人の態度じゃないよね】【白い魔女】」
手にしたナイフを無造作に放り捨てるウィキッドに、水晶球が襲い掛かる。
未来予知による必中。速度低下による回避不能。ほむらを退けた戦術と戦略が、ウィキッドを襲う。
――――命中が絶対であるのなら。
それに対し、ウィキッドが取った行動。
――――――――回避が不可であるのなら。
それは、両手の拳による【攻撃】だった。
――――――――――――真ん前からブッ飛ばす!!!!
「【邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔】」
大量に襲い掛かる水晶球。その全てを両手の拳で迎え撃つ。
(【速く早くはやくハヤク】【もっと】【もっとだ】)
自らを“殺した”白い魔女の手段。それに対抗する為に。
速度低下。その影響下において、必要な事。
それが、ウィキッドの魔法を“一つ上”へと押し上げていた。
その理屈は、非常に単純なモノ。
【下げられる以上に、上げる】
その単純すぎる理屈が、自分の時間だけを加速させる『Lv3』へ昇華する。
<
片鱗はすでにあった。千歳ゆまとの模擬戦が、確かに琢磨の為となっていたのだ。
だがしかし、残念な事に。魔人は未だに気付いていない。
ただ、対抗しただけ。その結果の消化は、もう少し後の話。
魔人がこの魔法を<
大量の水晶球。その全てを凌ぎきった魔人。その衝撃で粉々になった両手の骨を【修理】しながら、それでも平然としている。
対し“まったく想定していない状況”に、織莉子は翻弄されている。
仰向けに倒れ、ナイフで固定されて動けない呉キリカ。
うつ伏せに倒れ、それでも顔を上げて状況を見る暁美ほむら。
予知出来なかった未来に、困惑する美国織莉子。
仕舞われた群雲琢磨と、そこに住み着いた殲滅屍。
ありとあらゆるものを喰らって、それでも世界は前に進み続ける。
「【では】【戯言を】【開始しよう】」
次回予告
さあ、全力で誤魔化せ
さあ、全開で誤魔化せ
さあ、全霊で誤魔化せ
魔人の戯言が、全てを最低に貶める
しかし、この魔人は誰にも止められないのだよ
何故ならば
百五十五章 屍は殺せない