オラリオでエミヤ(偽)が頑張る話   作:ジャガボーイ2017

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休みの影響でしょうか?
妄想が止まらず、我慢が出来なくなって投稿しました。


プロローグ

「ここは何処だ?」

 

頭上には白い雲と何処までも続く青い空。

寝転がった体を起こすと周りは森……というか、ジャングルのような光景が広がっていた。

 

おいおい、なんだこれは?

 

俺は東京に上京した田舎育ちの大学生だ。

ガキの頃から山に登り虫取りや探検などして走り回っていた。

故に山を歩く事は苦にならない。

 

そんな俺でもこの状況はヤバいと思う。

学生寮で使っていた自室から森に移動した事もかなりヤバい状況であるが、一番危険なのはこのジャングルだ。

 

このジャングルには人の手が加わった痕跡が一つもない。

 

整備された道も、看板も何もない。

 

なんだ、この状況は?

 

周りを探索しても何もなく、発見するのは動植物やキノコなどの植物のみ。

この状態になる前の記憶を掘り起こそうとしても何も思い出せない。

記憶が混乱しているのか?

 

自分の名前や年齢。

現在住んでいる学生寮の住所も覚えている。

何か刺激はないかとオタクの友人からアニメやゲーム三昧の毎日を過ごしていたはずだ…。

 

しかし、ジャングルにやって来た経緯を全く思い出せない。

誰かに連れてこられたか?

 

それとも悪質なドッキリか?

 

辺りをグルブルと歩き回って考えてみても何も思い出せない。

仕方がないので、俺は自分の身体検査をすることにした。

 

肉体に外傷はなく虫刺されもない。

来ているのは上下紺色のジャージでポケットにはポケットティッシュが一つ。

 

おいおい、こんな装備でジャングルにやって来たのかよ俺。

つーか東京にジャングルとかありえないだろ?

そもそもだ、ジャングルにハイキングするくらいなら涼しい部屋でゲームしてるっての!!

思わず自分に突っ込みを入れてしまう。

 

とりあえず移動をしよう。

森に遭難して大人しくした方がいいと言うイメージがあるが、実際は動いた方がいい。

実際に遭難してその場を動かない大人と動き回る子供の生存率を比べると子供の方が高いのだ。

アメリカか、イギリスだったかは覚えていないが、森で遭難した子供が歩き回る事で川を発見し、一週間ほど生き延びて救助されたと言う話がある。

 

動き回れば確かに危険はあるだろう。

しかし、動かなくてもクマや蛇などの危険生物はやって来る。

どっちも危険なら動いた方がいいだろう。

 

こうして俺は、人工物を求めてジャングルをさまよう事になった。

 

さまよいながらもジャングルを観察しているが、このジャングルはかなりおかしい。

何がおかしいかって?

それは虫や鳥だ。

俺の顔よりも大きな緑色の蜘蛛。

サイズはカラスと同等だが、翼が四つも生えているありえない鳥。

 

ふざけるな!!

 

あんな生物が地球上に居てたまるか!!

あれか?俺は死んだのか?ここは地獄の入り口ってか!?

それともオタクな友人が大好物な異世界ってか!?

 

友人が異世界に行くために、持っていたタブレットを破壊していた光景が思い出される。

何でも新アニメでタブレットを見ていた主人公がタブレットを媒体に二次元のヒロインの世界と行き来した挙句にヒロインを現実世界にお持ち帰りしたのを見て実行したらしい。

当然、友人は異世界にいく事も二次元のヒロインもお持ち帰りする事は出来なかった。

 

タブレット(一万五千円)がお亡くなりになっただけであった。

 

つまりあれだ、俺は異世界にやって来た?

そして、テンプレな俺ツエェエエが出来ると?

 

とある漫画の主人公は異世界と地球の重力の違いによってスーパーマンのように強くなった。

 

「せい!」

 

ワクワクした気持ちで近くの木を殴ったが、拳が痛かった。

なら、ここがゲームの世界でとある主人公のようにステータスを表示してスキルを……。

 

「ステータス!!ステータスオープン!!」

 

何も出なかった。

ジャングルに俺の声が響いただけだった。

 

おい、テンプレはどうした?

やり直しを要求する。

 

なんとも言えない気持ちになった俺は探索を再開した。

 

しばらく歩き続けると、空気を伝わって音が聞こえ始めた。

これは……。

音の正体に心当たりがあった俺は、音の発信源に向かって駆けだした。

 

「ハァ…ハァ……あったーーーーーー!!」

 

目的の物を見つけた俺は歓喜の声を上げる。

俺が見つけたのは……ドドドドという音を立てて流れ落ちる水。

そう…滝であった。

 

視界に移るのは家一軒ほどの高さのある立派な滝。

 

俺は一目散にの元に駆け寄り水を見る。

水も透き通っており魚が泳いでいるのも見える。

 

釣り竿やモリがないのが実に惜しい。

 

だが、今は取れない魚よりも目の前の水だ。

俺は滝壺に頭を突っ込み水をガブガブと飲む。

 

うめぇ!まるでお高い天然水のようだ!!

しかもひんやりしており、とても気持ちいい!!

 

そして飲めば飲むほど心地よくなってくるうまい水。

お腹がたぷんたぷんになるほど水を飲んだ俺は滝壺から顔を出す。

 

「かぁー!うまかったーー!!」

 

後は、川を下って民家を探すだけ……。

 

あれ?

 

立ち上がろうとするも、体に力が入らない。

 

それどころか、体の感覚までも無くなって……。

 

もしかして毒?

 

そう思ったら毒が全身に回ったのかだろうか?やべぇ…思考も鈍く……。

 

動けなくなった俺は地面に倒れる。

このままでは間違いなく死ぬ。

 

なんてこった………。

 

 

 

 

 

何もない闇。

 

そこは、俺以外何もない暗闇。

 

『未知なる危険を潜り抜け、ドライヤドの滝まで走破し、その水を飲んだ勇者よ。

古の神と精霊が残した秘術によって、汝に報酬を与える』

 

頭に響く威厳のある男の声。

報酬?

 

『然り、汝の願いを叶えよう。

さあ、願うがいい』

 

ああ、これが転生特典と言う奴かな?

それとも夢?

 

『さあ、願いを言え』

 

そうだな……物語に出てくる英雄になりたい。

悪い奴をやっつけて美女を救い、ハーレムを築く。

そういえば…子供のころ探検していたのも冒険家の主人公に憧れての行動だったかもしれない。

まあ、今のあこがれは冒険家の主人公ではなく、俺の考えた理想のエミヤだがな。

 

『いいだろう汝の願い…理想を叶えよう』

 

男の声は、それだけを言い残して消えてしまった。

 

 

 

熱い紅蓮の炎と空で回る巨大な歯車。

荒野に転がる沢山の屍とそれに墓標のように突き刺さる沢山の剣

それは、世界と契約した一人の青年の世界と人生。

 

しかし、その光景は新たな使い手の理想によって塗りつぶされる。

雲に遮られ先が見えない空と歯車は消え去り、どこまでも澄み切った青い空。

荒野と屍が消え、広がるのは草原と黄金に輝く剣と鞘を頂点とした伝説の武具達。

 

まさに青年が思い描いていた理想の英雄にも、こんな光景を作り出す未来があったらばと、妄想していた光景がそこに広がっていた。

 

……。

 

「眩しい……」

 

不意の眩しさに目を覚ますと、そこには見知らぬ天井。

ああ、俺はまだ生きているんだな……。

 

気づけば俺は石造りの豪華な部屋で寝かされていた。

ベットはキングサイズ。

しかもふかふかでとても心地よい。

体を起こすと被っていた布団が胸元から落ち、視線を下ろしてみると俺は裸だった。

慌てて布団を脱がしてみるとパンツはなく、ジョニーが姿を現す。

 

どうやら保護された俺は、汚れたジャージを脱がされてベットに寝かされたようだ。

 

石作りの部屋か……なんか映画のお城の中を思い出すな。

辺りをキョロキョロと視線をさまよわせていると姿見の鏡を発見して驚いた。

 

何故なら、鏡に映っているのは見慣れた日本人ではなかった。

そう、白い頭に褐色の肌を持つイケメンの青年だったのだ。

思わず顔をぺたぺた触ると、鏡に映った青年も同じ動作で顔を触る。

…異世界がついに本気を出したのか?

 

そんな事を考えているとドアからノックする音が聞こえた。

どうやら救助してくれた人がやって来たようだ。

しかし、混乱しているこの状態でなんていえばいいのか……。

救助された経験が全く無い為、どうやって答えたらいいのかを考えていると、一人の女性が入って来た。

 

「あら?目を覚ましたようですね。」

 

入って来たのは緑色の髪をした外人のメイドさん。

胸が豊かで中々の美人さんだ。

 

「1000年間謎に包まれた未知の森を走破して解放した偉業を称えて、主神様と国王様が会談をしたいとおっしゃっているのですが……大丈夫でしょうか?」

 

「あ、ああ、大丈夫だ。問題ない」

 

「そうですか。あなたの装備は汚れていたので新しい物をベットの横に置いておきました。

お着替えが済んだら私を呼んでください。」

 

 

英雄エミヤ様。

 

 

「は?」

 

 

 

 

眠っている間に偉業を成し遂げた英雄となった俺。

英雄と呼ばれて多額の報奨金を貰った事で、ついに異世界が本気を出したと思い調子に乗ったその日……。

 

国王と模擬戦をして見事に敗北。

 

当然である。

 

確かに俺はエミヤの戦闘経験が蓄積された肉体と力を得た。

しかし、平和な日本で育った為に戦うと言う行為に俺の心がついて行かない。

 

防御は問題ないのだが、攻撃にどうしても戸惑いが生まれて、その隙を突かれてボコボコにされてしまったのだ。

理想のエミヤをタコ殴りにするなんて奴は人間じゃない。

 

この世界の人間はみんな化け物か?

 

だが、神が降臨するこの世界においては常識の範囲らしい。

 

神々は娯楽を求めて地上に降臨し、人類である子供たちを使って日々の退屈を癒す。

 

その代り、神々は神の恩恵を与え、彼らに神へと至る道を指し示す。

 

モンスターを倒し、偉業を達成する事で魔法とスキル…神の奇跡を発現する。

 

はは…型月世界の魔術師が知ったら発狂するだろうな……。

 

まあ、軍神アレスの勧誘を料理で躱しながら一般常識と金について学んだ俺は……。

 

 

 

 

王国から逃亡しました。

 

 

 

 

 

脳筋の部下なんてお断りだ。

 

必要最低限の荷物とノリノリで紅い弓兵の装備をし、王国を抜け出した俺が向かう先は……。

 

冒険者が夢を求めて集う街。

 

迷宮都市オラリオ

 

…………。

……。

…。

 

 

地図を片手にやって来たオラリオは王国以上に賑わっていた。

あちらこちらから聞こえてくる怒号や笑い。

実に楽しそうだ。

 

俺は冒険者になる為に、自分に合ったファミリアを探す。

自分に合ったファミリアに入らないと傷つくのは自分だと、哀愁の漂うメイドさんから教わったありがたいお言葉だ。

 

道行く人に聞きながら噴水のあるメインストリートにたどり着くと、ファミリアに勧誘する神と自身の売り込みをする駆け出し冒険者たちが居た。

 

ある者は剣技を、ある者は作った料理や武具を……。

自分を勧誘するメリットを神々にアピールしている。

 

その光景は、大学の就職活動を彷彿とさせる。

誰も彼もが必死に神々の目に留まろうと真剣である。

 

俺も何か特技を見せるべきか?

 

広場の隅で紅い髪の女神の前で槍を振るっている少年のように技を見せるか?

 

ないな、さすがに彼のように沢山の人の目がある前で武器を振るう気にはなれない。

 

それとも、大きな胸の女神に野菜を見せている青年の様に料理を試食してもらうか?

 

食材はあるが調理する場所がない。

そもそも、俺は冒険者になりたいのであって料理人になるつもりはない。

 

そうなると……。

 

今、自分が出来る事…。

 

広場を巡回し、目に留まった女神と少女のやり取り。

褐色肌の黒い髪を持つ少女が、眼帯をした紅い髪の女神に剣を見せて己をアピールしている。

 

俺が周りの目を気にせず出来そうなのはあれしかなさそうだ。

 

俺はすぐさま広場を離れて人の少ない近くの路地に隠れる

これは一般常識を学ぶ上で初めに教えてもらった事だ。

 

神は面白そうな子供を見つけると玩具にする。

特に珍しい力や魔法を発現した子供の取り合いは地獄を見る。

故に、力のあるファミリアに所属するか、ファミリアが成長するまでは黙っていたほうがいいと……。

 

 

路地に隠れた俺はすぐさま投影を開始。

 

投影するのは無名の剣。

 

キャスター…魔女メディアを貫いた一振り。

 

宝具のランクは低いが、消費魔力は少なくてギルガメッシュごっこが出来る最高の一振りと言っても過言ではない。

次に俺は、大き目の布を投影して剣に巻き付ける。

そのまま持って歩いて誰かを傷つけてしまったら牢屋に直行だからな。

道を歩く子供や女性たちに気を配り、自分が目を付けた眼帯の女神へと歩いて行く。

 

「すまない。少し時間を貰っても構わないだろうか?」

 

「ええ、いいわよ。

もしかして貴方も作品を持ってきてくれたのかしら?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、ちょっと見せてもらうわね……」

 

 

眼帯の女神は刀身に巻かれた布を解き、無名の剣の刀身を見て大きく目を見開いて絶句した。

なんだ?駄目だったのだろうか?

やはり干将莫邪にしたほうがよかったのだろうか?

 

気が付けば近くに居た、黒髪の少女も女神同様に目を見開いて剣を観察している。

その姿は正直不安になる。

投影した自身が誇る一振りの名剣のつもりであったが、神秘があふれるこの世界では駄剣なのかもしれない。

 

「つまらない物を見せてすまなかった。

私は他のファミリアに申し込みを……」

 

「待ちなさい!」

 

剣を受け取ろうと手を伸ばすが女神の言葉で遮られる。

その表情は何かに打ちのめされながらも興奮している印象を受けた。

 

「条件を言いなさい」

 

「は?」

 

「だから……貴方がウチのファミリアに入る条件よ!!

他のファミリアには絶対に渡さないわ!!」

 

片目をギラつかせた女神に条件と聞いて理解は出来なかったが、どうやら面接には合格したらしい。

 

「なに!?金?女?言って見なさい!!今なら私と新人のこの子がセットよ!!」

 

なんだ、その幸せな抱き合わせ販売は?

是非お願いしますと言いたいが、初対面の少女と女神を抱く趣味はない。

俺が欲しいのは相思相愛のラブラブチュッチュな関係だ。

童貞の悲しい理想であるが、こればかりは譲れない。

だが、何か特権をくれるなら貰っておこう。

 

「じゃあ、私に自由に動ける権限をくれ」

 

「…具体的には?」

 

「好きな時に好きな事が出来る権限だ」

 

「……つまり、主神である私の命令に従わないって事?」

 

「いや、従うも従わないも私の自由にさせてもらいたい。」

 

俺の出した条件に、顎に手を当てて思考する女神。

すると……。

 

「いいわ。その条件を飲んで貴方をファミリアに歓迎する」

 

こうして俺は、神匠と謳われた鍛冶の女神ヘファイストスの眷属となった。

 





※連載を決意したら、兄貴と交互に投稿しようと考えております。
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