オラリオでエミヤ(偽)が頑張る話 作:ジャガボーイ2017
俺こと、エミヤはヘファイストス・ファミリアのメンバーとなったその日。
ヘファイストスが住んでいる屋敷で俺と黒髪の少女椿・コルブランドは神の恩恵を授かった。
「……なるほど。アンタは泉でこの魔法を求めたのね。」
「そうだ。」
椿を地下室から出して、ボカしながら俺の事と魔法についてヘファイストスに語ると、彼女は納得した。
「とりあえず、貴方の神秘に並ぶ魔法は神たちには秘密にしておきなさい。
そうでないと、私たちみたいな零細ファミリアは枯葉のように吹き飛ぶわ」
「了解した。神には気を付けるとしよう」
ヘファイストスに渡されたステイタスの写しを見る。
エミヤ シロウ
LV1
力I0
耐久I0
器用I0
俊敏I0
魔力I40
魔法
無限の剣製
・解析し、投影する
・心象風景の具現
・投影物は本物と同等
スキル
なし
まぁ、こんなもんだろうな。
「さて、私と椿はゴブニュ・ファミリアの工房で武具を作って来るけど、貴方はどうする?」
「そうだな……手持ちが心持たないので、とりあえず私はダンジョンにでも潜ろうと考えていたのだが……。
この部屋と上の教会を掃除させてもらおう」
「そう?じゃあ、お願いするわ」
そう言って、出ていくヘファイストスを見送った俺は、エミヤの家事スキルを発揮させた。
破損している壁を修復して強化。
箒などの掃除道具を投影し、蜘蛛の巣とホコリを駆逐。
木製のテーブルを投影した雑巾で磨き、ベットも綺麗にメイキング。
下着などの衣類は触れず、掃除を進めていく。
………。
掃除と残っていた食材で料理を完成させた頃。
二人は仲良くホームへと帰還した。
今日はホームの掃除で終わってしまったが、明日から迷宮からは迷宮で大冒険が俺を待ってるぜ!!
☆一週間後☆
ヘファイストス・ファミリアに入宗して一週間が過ぎた。
俺は当初の予定通り、迷宮に潜って大冒険を……。
「シロウ!お昼ご飯まだー?」
「手前も腹が減ったぞ」
繰り広げる事無く、ヘファイストスが販売している武器の売り上げで購入したと言う大きな屋敷にて主夫をしていた。
どうしてこうなった?
ステイタスを背中に刻んだ俺は、鍛冶は出来るが家事が全くできない主神がやらかした屋敷の掃除。
後日からは二人の健康を考えた栄養バランスのとれた食事を提供。
ファミリアに入宗する人達のPRとして見せる武器の制作。
そして、包丁やカッターナイフなどの生活に欲しいと思った刃物を作りながら掃除洗濯の日々……。
違うだろ。
そうじゃないだろう?
俺は家事をする為に迷宮都市に来たんじゃないんだ!!
今日こそ!!今日こそ振り切ってやる!!
「今日は二人で何とかしてくれ。
私はダンジョンに行ってくる………待ちたまえ、私のエプロンを掴むんじゃない」
「待ちなさい」
「待つがよい」
彼女たちの目は真剣だ。
いつもはここで、俺は折れてしまって家事に戻ってしまうのだが……。
今日はダンジョンへ行く!!
俺はNOと言える日本人になるんだ!!
「断る。私は冒険がしたいんだ。
ヘファイストス、君は私が入る時の条件を覚えているだろう?」
「覚えているわ。
だから…料理を作ってから行きなさい」
「そうだ、我らはお主でなければ満たされぬ」
まるで、捨てられた子犬の様に料理を求めてくる二人。
美女と美少女に懇願された俺は、ため息を付きながも料理だけを作って、ダンジョンへと向かうのであった。
☆
ダンジョンへと潜る前に、紅い外装と干将莫邪を装備した俺は、ギルドにて冒険者登録とダンジョンに関する講習を他の新人冒険者達と共に受けていた。
「ダンジョンで生まれるモンスターは、地上に居るモンスター達に比べて強力であり、ダンジョン内では罠や怪物の宴と呼ばれる災害も発生します。
ですので、上層であろうとも油断せず、出来る限りパーティーを組んで潜ってください」
ダンジョンの上層で生まれるモンスターの種類と弱点、簡単な注意事項を教わった俺は、さっそくパーティーを組めそうな人間を探す。
周りには全身鎧の男?や猫耳のシーフの男、筋肉が目立つ猪種の男に小柄な体を持つ小人族のイケメン君。
見事に男ばかりだ。
一人くらい女が居てもいいのではなかろうか?
まあ、冒険者というおっかない職業にわざわざ就こうと思う女性は早々居ないと言う事なのだろう。
仕方がない。
一人で潜るとするか。
ギルドで販売している初心者用のポーション等が入ったバックパックを購入した俺はさっそく、ダンジョンへと潜った。
ダンジョンの入り口にある階段を降りると目の前には洞窟のような空間が広がっていた。
地面と壁と天井は微かな光を放っており、中が良く見える。
ギルドの講習によると壁と天井が光る原因は分かっていないらしい。
俺なりに調べてみるか。
膝を折って床に手を当てた俺は、解析を行った。
「トレース……オン」
しかし……。
『エラー』
何も分からなかった。
まあ、モンスターが誕生する壁や床の謎がそう簡単に解けるわけないか……。
俺が出来たらきっと、鑑定スキルを持った冒険者が解析しているに違いない。
床から手を放し立ち上がった俺は、ダンジョンを進む。
十分ほど、マップを見ながら進んでいくと床からボコりと音を立てて数匹のモンスターが床から這い出てくる。
「ギィ」
「ギギギ」
「ギィギ」
現れたのは小さな子供の様な背格好の人型モンスター。
ダンジョン内で最弱と呼ばれるモンスター…ゴブリンである。
貧弱そうな容姿からは手応えは全く感じる事が出来なさそうだ。
彼らは俺を見ると、ギィー!と鳴きながら短い脚を使って走ってくる。
その速度は小学校低学年と同レベルと思わせる遅さだ。
俺は向かってくる彼らに近づいて一匹ずつ顔面に蹴りを入れると、ゴキッっという音と共に首の骨が折れ曲がり、小さな魔石へと姿を変えた。
流石はダンジョン最弱のモンスター、素手で負けた上に魔石も小さい。
まるでモデルガンの玉のようだ。
俺はゴミの様に小さい魔石を回収することなく下の階層へと降りていく。
道中フロッグ・シューターと呼ばれるカエルのモンスターやダンジョンリザードというヤモリのモンスターに襲われるが、彼らでは俺の脅威にはなりえなかった。
物足りない。
まるで作業だ。
俺はもっと、心躍るような冒険がしたい。
強敵を求めて6階層にやって来た俺の前に現れたのは……。
全身黒色の人型モンスター…ウォーシャドウと槍で戦う血まみれの少年であった。
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