ポケットモンスター ノース・サウス   作:wisterina

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第五十二話『飲まれゆくアニヤ地方』

 セルピルは自分の腕が何かに引っ掛かていると感じた。どうやら地面には落ちてなく木の枝に引っ掛かっていて自分の身が一応は無事だと安心する。しかし、足元には葉っぱがいくつか重なっているという危なげな状態で不安も生じていた。

 上の方ではポケモンが技を放つ音が聞こえる。モミやセロたちが未だフリーと戦っているのだとわかる。みんなに自分が無事だということを知らせようにも、周りにナライはいなくもう自分の手元に空を飛べるポケモンはいない。

 

「とにかく先にナライを探さないと」

 

 すると木々の間から木々が折れると歌声のようなものが交った音が耳に届く。何か来ると顔を向く暇もなく自分の体が突然何かに捕まえられてしまう。自分の腕をつかんでいるのは見てくれからしてポケモンのものであり、フリーのポケモンが自分を人質にしたのかとセルピルは抵抗する。

 だが、ポケモンは全くセルピルを離そうとせずしっかりとつかんでいた。そして一気に上昇して木々の間から抜け出していく。未だ抵抗を続けるセルピルだが木々から抜けた時ある変化が彼女の周りに起きた。砂が急に空に舞い始めたのだ。それもとてもきめ細やかな砂の粒を運ぶ風がセルピルの前を横切っていたのだ。

 

「フラーイ!!」

 

 セルピルが顔を上げてそのポケモンを見る。ポケモン図鑑の記述にあった翼を羽ばたいたときに砂が舞い上がるポケモン。それはセルピルが自分の手持ちの中で進化した未来図を見て一目で惚れたポケモンフライゴンの姿だった。だが、野生のフライゴンは砂漠に生息していてこんな木々の多いところにはいないのは知っていた。だが、このフライゴンがここにいて自分を捕まえる理由を明確に答えれる。

 

「もしかして、ナライ!?」

「ラーイ」

 

 フライゴンは自分の手持ちであるビブラーバのニックネームを呼ぶと嬉しそうに美しい歌声のような羽ばたきをして返事をする。ビブラーバの時と同じ大きな目に二本の長い触覚のような角と二枚の緑の羽根、まるで竜のような美しい見た目と均整の取れた体と長いしっぽまさに図鑑で見た時と同じ姿であるがそれに加えて、進化前は超音波のような騒音が歌声のようなものに変化している。よくよく聞くと思わず聞きほれるものだった。

 

「凄い!ナライあなた綺麗になって背中の羽の音も素敵よ!」

 

 ナライの美しい姿に思わず興奮するセルピルだが、前を見るとフリーのエモンガがセルピルの前に立ちふさがる。先ほどナライにアクロバットを喰らわせたエモンガだ。

 

「ナライ、さっきのお返しよ!」

 

 セルピルの言葉に呼応してナライは両翼を羽ばたいてエモンガに接近する。進化したナライとはいえスピードは相手の方が勝っていて両腕を広げて降下しながら滑空すると一気に浮上してナライにアクロバット攻撃を決める。しかし、ナライとの体格差は歴然としそれは固いボールが早い速度で体に当たったぐらいのダメージしか負わなかった。向こうから接近してきたところでナライは新技ドラゴンクローをエモンガに与えて切り落とす。

 進化による恩恵は体格だけでなく能力までも大幅に向上し、一撃でエモンガを倒した。ナライは翼を大きく羽ばたかせると、モミたちに攻撃しているエモンガ達に向かって狙いを定めた。まずは一体のエモンガを爪から放たれたドラゴンクローで仕留める。続いて二体目は振り向きざまにナライにぶつかって倒されフリーのボールに戻る。

 エモンガたちを指揮していた団員は慌てて逃げるように命じる。飛行ポケモンにとって天敵である電気タイプ、それを空中にて飛びながら放てるエモンガは厄介であるがエモンガにとってそれにあたる存在がナライだ。使える技が電気主体であるエモンガは電気技を無効にする地面タイプを持っているナライを一番先に警戒して、素早さを活かして集中攻撃を仕掛けた。しかし、優勢であったスピードによる差が進化したことにより埋められて一体ずつ着実に仕留められてしまい逆に追われる立場となった。

 そしてエモンガたちは自分たちを攻撃している方一体の存在を忘れていた。

 

「ワマっち、固まっているエモンガに向かってシャドーボール!」

 

 ワマっちが両手から放たれた青空の中につくられた闇の塊が放たれ、逃げていたエモンガたちを一掃した。エモンガが倒れるのを見て、ナライはフリーのオオスバメたちにその矛先を向ける。ギラリと睨みつけられる新緑の目にオオスバメたちはたじろぎひるんでしまった。その一瞬でナライはオオスバメの胸元まで詰め寄り、爪で引き裂く。ほかのオオスバメにもドッグファイトを行い、一時優勢を保っていたフリーの包囲網は進化したナライによって崩壊の一途をたどっていた。

 

「頃合いだ。一気に抜けるよ!」

 

 モミの合図でエアームドとムクホークはフリーの包囲を抜け出して飛び去り、ナライも格闘戦から離脱してエアームドの後を追う。

 

 

 

 モミは木々の間にある開けた場所を探し、ちょうどよい場所を見つけるとハンドサインでムクホークに乗っているジムトレーナーに合図を送り降下を始める。それを見たセルピルはナライに降りるように伝えて開けた場所にへと着地する。

 セルピルが到着したときにはすでにみんなポケモンから降り始めていた。

 

「すっごーい!これがフライゴンなんだ。カッコいい、カッコいいよナライ!」

 

 セロがムクホークから降りるなり進化したナライを見てセルピル以上に興奮し、飛び上がっていた。ヴァディタウンへ行く列車の中でセロがフライゴンのことをカッコいいと言っていたことは覚えていたが、いざ自分のポケモンが直接そのように褒められるとまるで自分を褒めているようでセルピルは照れ臭かった。

 

「騒ぐんじゃないよ。まだ敵がいるんだ」

 

 モミがセロをいさめると懐から手のひらに収まるほどのコンパスを出して位置を探し出す。

 

「空から見えた先と方角からしてこのまま進めばスヨルタウンがある。そこでいったん休めるよ」

 

 スヨルタウン、ファトゥラシティへ向かう道中として大会に参加した記憶が未だ鮮明に覚えている。しかし、セルピルはまさかこんな形でまた戻ってくるとは思わなかったのだ。ポケモンをボールに戻して、モミに先導されてスヨルタウンを目指すセルピルたち。

 フリーに見つからないように静かに行軍していくと木々の間を抜けた先に、昼間の太陽によって遠くからでも水面が反射するのが分るほどのきれいさと町一つは入る巨大な湖トリ湖が見えていた。そしてその近くには青々とした草と色とりどりの花が咲きほこるスヨルタウンのはずだった。

 

「おいおい何だい。ジムのある街だけじゃないのかい見境なしだねあいつら」

 

 モミがそう呟いた先にあったのは、町中に土煙が舞い名物の色とりどりの花々が消え失せて人々とポケモンたちの悲鳴が聞こえてくるスヨルタウンの光景だった。町の異常事態に放ってはおけず、セルピルたちは駆け足でスヨルタウンに急行する。

 

 

 

 戦場を抜けたというのにここもまた戦場だった。白い服を身にまとったフリーの団員が名物であるスヨルタウンの草花を踏み荒らし、人やポケモンたちを追い詰めていく。建物も、ポケモンたちが窓ガラスやドアを破りそこから団員が入っていく姿もあった。

 ボルケニオンの追跡を後回しにして、モミたちはスヨルタウンの救出を優先した。

 

「ネイティオ、ファイアロー行くんだよ!」

 

 モミと部下が先頭に立って手持ちのポケモンたちを繰り出すと後ろに控えていたセルピルとセロも続けてポケモンを繰り出す。

 

「ニチャモお願い!」

「ヨっち、とっしん!」

 

 セロはハーデリアに進化したヨっちを繰り出すや否や、フリーの集団が固まっているところに向かってとっしん攻撃を命じる。側面を突かれたフリーの団員は吹き飛ばされて倒れ、セルピルたちはそのまま町の中心へと進んでいく。

 街の役場の前では人が多くいたが、同じようにフリーの団員の数も多くいた。だが、町の人が出しているポケモンの数が人の数に対して少なく感じた。すると、地面から一体のモグリューが飛び出してセルピルにその長い爪で切り裂こうと襲い掛かる。

 あわやというところで、ニチャモが長い脚を突き出してモグリューをはたき落とし命からがら助かった。モグリューはまだ戦う気力があり立ち上がろうとする。その時モグリューの目が赤く変化していたのが見えた。通常は色違いであっても目だけが赤くなるはずがない、だがセルピルはこの変化が起きているのを何度も見ていた。

 

「この赤い目、もしかしてドカリモ!?」

 

 そう、ポケモンを操る機械であるドカリモによるものだと知っていた。ナライと初めて会った時も塔の中でゴーストポケモンたちが暴れていた時も見た赤い目、ということはモグリューは誰かのポケモンということ。そして町の人のポケモンの数が少ないのもドカリモに操られて数を減らされているということだ。

 

「セロ!町のどこかにドカリモがあるわ!それを探して!」

「了解!」

 

 二人は周囲にドカリモがないか見回すが、どこにもなく手分けして探すことにする。セルピルは役場の前を抜けて広場の方へ入っていく。そこはかつてセルピルが参加した大会があった場所で、会場の入り口前をフリーが陣取り町の人たちを襲撃していた。

 すると、町の人と混じってモヒカンやらバンダナを巻いたひときわ目立つ集団が目についた。

 

「リタさん!?」

「セルピルかい。こんなところで会えるなんて嬉しいけど、できればもう少し早く会いたかったよ」

 

 ヴァディタウンからファトゥラシティへ向かう道中に出会った暴走族達だった。彼らもフリーの襲撃に巻き込まれて町の人たちとともに抵抗していた。

 

「リタさんたち大丈夫なんですか?」

「大丈夫とはいいがたいね。敵も多いし、それに行方不明になっていたポケモンや手持ちのポケモンたちがなぜかあいつらに従っているからやりにくいんだよ」

「そのポケモンたち操られているんです。操っている機械さえ止めればポケモンたちは元に戻るはずなんですが、どこにそれがあるのかわからなくて」

「会場の方はどうだ?あいつらさっきからずっとあそこに陣取ってやがるぞ」

 

 モヒカンのアキラが会場の方を指さす。確かに、ほとんどの団員が町の中へと入っているのに六人もあの会場の入り口付近しか動いていない。何かありそうだとセルピルも直感で気づいた。

 

「けど、どうやって中に入るのですか?」

「俺たちのバイクで一気に突っ走ればいいんだけどよ。ポケモンの数が多くてバイクがある駐車場までいけねーんだよ」

「だったら、ゴドラ!」

 

 セルピルがゴドラを繰り出すと、とっしん攻撃を命じてポケモンたちの中に突っ込み退かせる。暴走族たちとセルピルはゴドラの後ろに続いて、バイクのある駐車場へと向かう。

 何度もとっしん攻撃を繰り返しさすがのゴドラも疲労が見えていたところ、ようやく駐車場が見えてきた。セルピルがゴドラをボールに戻してリタたちと共にバイクに駆け寄る。

 

「乗りな!」

 

 リタに言われるがままセルピルはバイクの後ろに乗り込む。バイクの始動音がマフラーで消えないほどの轟く音がうねりを上げると、暴走族たちは一斉にハンドルを回して加速を始める。

 あっという間に速度に乗ったバイクは勢いを殺すことなく会場の入り口を陣取るフリーに向かっていく。

 

「あ、危ない!!」

 

 そこを守っていた団員たちは自分たちが轢かれるのを恐れて思わず入り口の守りを放棄し暴走族たちの突破を許した。

 

 

 

 会場の中に入ると、バトルフィールドの中央部分にあのドカリモが陣取り、その付近に二人の団員とポケモンたちが護衛についていた。ポケモンたちはアキラとアツシに襲い掛かり動きを止める。

 襲撃を運良くかわしたリタはそのままドカリモに向かって走ると、目の前に二人の団員が立ち塞がる。

 

「クサイハナ、しびれごなだよ!」

 

 団員が邪魔をする前にリタのクサイハナが上のつぼみから大量のしびれごなをまき散らし動きを止める。

 

「ぶっ潰しちまいなセルピル!」

「ニチャモ、ブレイズキック!」

 

 ニチャモが膝を曲げて高く飛ぶと、落下する勢いと共に脚から炎をまとわせてドカリモに叩きつける。ブレイズキックによる攻撃でドカリモは中の電子機器が露出ししばらくすると火花が飛び散るとともに光が消え失せる。

 

「リタ、ポケモンたちが俺たちを襲わなくなったぞ!」

 

 アキラからの声が聞こえると、セルピルとリタはハイタッチをして成功したことを称えた。

 

 

 

 ポケモンたちを操っていたドカリモが破壊されたことによりフリーの優勢が崩れ、森の中にへと逃げていった。フリーの襲撃も一時収まり、町の人々は傷ついたポケモンや洗脳された自分のポケモンの容体に変化はないか診てもらうため一堂にポケモンセンターに集まっていた。その数はあまりにも多くジョーイさんは手の空いている町の人にも手伝ってもらわないと回せない状態であった。

 一方でセルピルたちと暴走族は町の役場で待機していた。モミが戻ってくると、その皺がある手に一枚の紙を手にしていた。町長がそれを受け取りトレードマークである片眼鏡を持ち上げるとモミが内容を説明し始める。

 

「他の町の状況報告書だよ。どこも勝ちもしないけど負けもしていないね」

「よくこんな短時間で文字を起こせましたね。ネットも電話もできないというのに」

「モールス信号さね。若い奴らは知らないロストテクノロジーだけど、こういう事態にはとても有効な通信手段さね。郵便局には一人はこれを使える奴を配置しているのが功を奏したのさ」

 

 町長が手渡された報告書を読み終えてモミと今後どうするか話を始めている隙にセルピルがこっそりとその中身を見る。

 

『ゲンザイ、タッシーマシティユウセイ、ファトゥラシティレッセイ、デミルシティキッコウ、カリチィンシティキッコウナリ。オウエンモトム』

 

 報告書は全文がカタカナで表記されて読みにくかったが内容は把握できた。事細かな内容ではないが応援が求められるほどということは油断ならない状況であるのは確かだ。

 すると、老人二人がずっと内輪で話しているのを見かねたアキラが足を机の上に乗せてわざとらしく音を立てる。

 

「おい、ジーサンバーサン!俺らを放っておくなんざどういうことなんざ、あぁ?」

「そうだぜ、俺たちのポケモン、さっさと回復させてぇーのに人引き留めてよぉ。俺たちゃ明日を急ぐ族なんだ。老人のノロノロさに合わせてられねーんだよ!」

 

 言葉は悪いが、確かに彼らの言い分も間違ってはいなかった。暴走族たちもポケモンが傷ついていて回復させたいのはやまやまなのにここで足止めを喰らわされているからその怒りはもっともだ。すると、彼らを裏でまとめるリタがアキラとアツシを制止させて、モミたちの前に向かう。

 

「奴らは森に隠れているけど、アタイらに何協力させてほしんだい?バイクで森の中を突っ走れってのはなしだよ。あんな悪路よりひどいところ走りたくもないね」

「そんなことはさせないよ。先に尋ねるけど、ファトゥラシティからこの町までどのくらいで来たんだい?」

「だいたい、半日ぐらいだね。寄り道とか野生のポケモンと出くわしたから時間かかったけど」

「うむ、待たせたね若造たち。これからのことについて話そうとしよう」

 

 町長が本棚から地図を引っ張り出して机に広げるとモミはスヨルの森を最初に指し示す。

 

「まず第一に、森に逃げ込んだフリーの掃討とその準備。第二に、ファトゥラシティへの応援。第三にスヨルタウン以西の町の状況を探ることが必要さね。特に今晩は西の方の防衛に努めないとならない」

「東の朝日の洞窟からくる恐れはないんですか?」

 

 セルピルが懸念したこともしフリーが夜のうちに森にいるフリーと挟み撃ちにされたら切迫した状況になる。

 

「セルピルの言うことはわかるよ。けどいつ来るかわからない敵に注視しすぎて、目の前の敵おろそかにするのは危険さね。リソースも限られている。一応洞窟内にバリケードを設置させてしているけど」

 

 状況は理解しているだがそうせざる負えないということに事態は思った以上に切迫していることを物語っていた。

 

「第二のファトゥラシティへの応援。待たせたねあんたらの出番だ。ファトゥラシティはアニヤ地方の要所だ。そこが今劣勢だとかなり危うい。お前たちは数も腕もそして小回りの利く移動手段もある援軍としては最適だ明日の朝あたりに向かってくれないかい」

「ポケモンはどうすんだよ。まだ治ってないんだよポケモンセンターは混雑しているしよ」

 

 すると、役場の職員が一台の大きな機械を台車で運んできた。それは見た目は古く六つの穴のようなものが開いていて、ちょうどモンスターボールが入れるほどの大きさがあった。

 

「簡易のポケモンの治療装置です。役場にあった古いものを今しがた引っ張り出したところです。皆さんに優先してポケモンを治療させた後、他の皆さんにも利用させるようにしますので」

「汚いねぇ、大人ってのは」

「なんとでも言いな。重要な役目を負うことにしてしまったんだ。これぐらいのことはさせないといけないよ」

 

 必要な人が多くいるのに別の人に優先的に回させる。それはセルピルがここで臨時バスに乗れなかったときに経験したことだ。それが今度は逆の立場の目線で味わうことになるとは思わなかった。

 そんな一幕の後、町長は地図に目を向けてスヨルの森の奥にある一筋の太い線のようなものが入った場所を示した。

 

「そして第三。奴らが森から来たということは抜けた先にあるコンヤストリートが占領されているでしょう。そこが彼らの補給基地になっているかもしれません。誰かを偵察に行かせて様子を見てもらわないといけません」

「もしかしたらゴキューズシティも占領されているだろうね。何が教化だ。これは征服だよ。百年前の戦争の目的のな。キュレムだけでなく征服戦争までも再現するなんて」

 

 コンヤストリートにゴキューズシティ、セルピルが博士と出会った場所の名前が挙がった。ジムのある街だけでなく他の町まで襲うフリーに怒りを覚えると共に敵の巨大さを改めて思い知らされた。

 すると、役場の壁にかかっていた年季の入った柱時計がボーンという音を鳴らし夜の十一時を知らせた。

 

「先にセルピルさんとセロさんを休ませましょう。夜の晩は大人の仕事ですから」

 

 子供という身分の故の特権か、町長はセルピルとセロを休ませることを提案した。モミもそれに賛成したがセルピル本人は拒否を示した。自分たちだけ寝てしまうのは他の町を守っている人に取って申し訳ないと感じたからだ。

 だが、セロがセルピルの肩をつかみ首を横に振った。

 

「セルピル、言うとおりにしよう。セルピル朝からお母さんと話したりして疲れているでしょ」

 

 結局言われた通り役場の奥に入り、床に敷かれた薄い布団に潜り込む。床の冷たさと硬さが直接届き眠りづらかったが早く眠れるように目を閉じた。

 スヨルタウンにコンヤストリート、自分が旅してきた場所が次々とフリーに汚されていく。なんとしてでもフリーを倒さなくてはという怒りを胸に、モミのペリッパーが無事アレクサンダーに届いてくれるように祈るといつの間にか眠りに落ちていた。

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