申し訳ありません。
それでは、ルイズのなんちゃって無双をどうぞ。
ルイズには、確信があった。確かに目の前のゴーレムは巨大で、物々しい。しかしこれまで自らを散々悩ませてきた爆発呪文なら、これに対抗できる筈だと。
既にこの呪文の解読は、第四小節まで終えてある。これを放てば必ずや、効果を上げられるだろう。ルイズは落ち着き払ってそれを口ずさみ、己が直感の正しさを証明した。
エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ
とても小さな、それでいて澄み切った声が響いた。
その直後、彼女の視線の先では巨大な土人形の胸部が閃光に包まれた。土製の巨人は爆音と共に破片を撒き散らし、鎖骨部分から上を消し飛ばされたのである。
「………相手が悪かったわね。」
ルイズは杖を握りしめたまま、無感情に言い捨てた。実際に側から見れば、勝敗は決した様なものだ。
何しろ全身の1/7近くが、一瞬で吹き飛ばされたのだ。
いかに頑丈なゴーレムとはいえ、これでは一溜まりもあるまい。そう思って、何ら不自然はない。
しかしデルフリンガーは、警戒を呼びかけてきた。
「こいつぁオデレータ、なかなかやる………だけど油断するなよ。」
「アンタどこに目ぇついて……いないんだったわね。これで終いよ。」
「ちょいと気ぃ抜き過ぎだ。アイツは図体より、再生力の方が脅威だろ〜がよ。」
「何を言って……」
そうこうするうちに、デカブツ君は歩行を再開した。よくよく観察すると指摘どおりに、肩のあたりから再生が始まっている。
ルイズは二重の意味で唖然とした。
敵の再生力もさる事ながら、このことを事前に見抜いたデルフリンガーの眼力にも畏れ入ったのである。パチュリーに言われるならまだしも、接近戦主体の剣に指摘されるとは。
「しっかりしろよ、魔法はオメーさんの専門だろうに。今のは減点だぜ?」
「……すぐに取り返してやるわ。」
ルイズは気を引き締め直すと、すぐさま次の手に打って出た。
爆発呪文を第二小節で区切って、それを素早く二回唱える。
狙いは両の、膝関節。
これだけの重量を支えているのだ、その負担は計り知れない。それを内側から爆破してやれば、どうなるか。
結果はご覧の通りである。
デカブツ君は轟音とともに崩れ落ち、地面に両の手をついた。さしもの巨体も、こうなっては惨めなものである。このまま畳み掛ければ、結果は言わずもがな。しかし、ルイズはそうはしなかった。
「何をグズグズしてんだ?今みたいにして両腕を吹き飛ばしちまえば、無力化出来るだろうが。」
「私はこのデカブツ君には、感謝してるの。この爆発の魔法は……恐らくコイツみたいな規格外なバカが現れて、初めて存在意義を得られるのよ。それを与えてくれたコイツには、せめて華々しい最期を、と思ってる。」
彼女はクールダウンの時間を置き、最大出力で爆発呪文を詠唱する準備にかかっていた。初撃よりも研ぎ澄まされ、集中しきった一撃を放つ為である。
「何とも殊勝なこって、虫唾が走るぜ。なんだよその自己満足は?コイツみたいなデカブツを跪かせて、自分の凄さに溺れたか?」
「………凄いのは、この魔法を作ったメイジでしょう?私はそれを、原理も知らずに使っているだけ。この程度の理解に酔うくらいでは、メイジ失格よ。パチュリーなら、絶対そう言う筈。」
その様に言い切ったルイズは、揺るがずに真っ直ぐな視線を注いでいた。
どこぞの誰かに創り出され、自身と対峙するデカブツ君を。
畏れも忌諱も抱かず、奢らず見下さず。
極めて醒めた目で射抜いていたのである。
彼女は今、確信していた。この冷え切った境地こそが、この爆発魔法の使い手には求められているのだと。感情に任せて力を振るう様な者に、この呪文を唱える資格はない。この魔法を常に使わない理由を探し続けたこれまでの自分は、正しかったのだと。
「……ケッ、オレ様を面白半分に試し撃ちして来たジャリが、一端なことホザくんじゃねーよ。甘過ぎて反吐が出るわ……でもオレはそういう青臭いの、嫌いじゃないぜ。用心しろよ、チビピンク。アイツはまだ、諦めちゃあいない様だ。」
しかし。
デルフリンガーが呆れて指摘するように、敵も然る者であった。
デカブツ君は自らの折れた膝から先を拾い上げると、ルイズ目掛けて投げつけて来たのである。這いつくばったままなのに、その投擲の軌道はあり得ないほど正確だった。
「……そうよ、足掻くなら足掻き切って、思い残すところは無いようにしなさい。」
ルイズは何かに深く頷くと、パチュリーから受け継いだジェリーフィッシュ・プリンセスを心の中で詠唱した。今の自分の精神状態なら、不可能ではないと思ったのである。
しかし……何も起こらない事に気付いて、顔面蒼白となった。
不発。
その文字が頭に浮かぶと同時に、慌ててその場から跳び上がった。この時咄嗟に使ったのはもちろん、一番得意とする念力の魔法である。
その直後。
ついさっきまでルイズが立っていた場所には、轟音と共に巨大なクレーターが出来上がっていた。あのままだったら、結果は火を見るより明らかだ。
そして。こうして宙空に逃れて事なきを得てからようやっと、水の防御膜が彼女を包んだ。実はこの魔法に関しては、落ち着いた状況で集中して唱えて何とか、という完成度なのだ。練習すらしていない高等技術をブッツケ本番で使おうとするとは、何たる浅はかさか。
「なんて事なの……これを慢心と言わずに、何と言い訳するつもりなの、私は!」
ルイズは自らの愚かさに、唾を吐き棄てたい衝動に駆られていた。
そしてこのとき地上で読書中のパチュリーから、例の片方向通信が入った。
” 次が来るわよ”
ルイズがハッとして足元から視線を上げると、自分一人分はありそうな土塊の数々が、視界一面を覆い尽く勢いで迫ってきた。デカブツ君はもう片方の脚の残骸を握り潰すと、散弾としてルイズに投げ付けてきたのである。
しかし案ずる事はない。これはもう既に、展開済みの防御呪文で対応できる。そう思ったのだが……
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ルイズは思いっきり、水の防御膜ごと吹き飛ばされてしまった。
ダメージを負う事は無かったが、受けた衝撃までは殺しきれなかったのである。確かに鉄壁の防御呪文である事に変わりはないのだが……ぶつかってくるものとルイズ本体の間に顕著な質量差があり過ぎて、自分が吹き飛んでしまった。
この一連の事態に、デルフリンガーは舌打ちすると共に違和感を覚えた様だ。
「チビピンクめ、足元掬われやがった……タイプが違うオメーさんの背中追っかけたのが、仇になったな。しっかしあのゴーレム、反応良過ぎやしないか?あれじゃあまるで……」
「ルイズから攻撃されることも、その威力も、織り込み済みだった様ね。」
パチュリーとルイズの師弟はここのところ、毎晩この時間帯から、この広場で読書と魔法の練習に明け暮れていた。悪意のある第三者にそれを見られて、対策を立てられていたとして、何ら不思議はない。
「……なるほどな。随分と念入りな準備を重ねて、ご苦労なこったね。おまけに超巨大な土人形に、凄腕の制御とくれば、思い当たるのは一人くらいだ。」
「知り合い?」
「まっさか。噂で聞いただけだぜ。ソイツの犯行が報じられるたんびに、孤児院に一定額の寄付が寄せられるもんだから……下町じゃあ完全に、義賊扱いだった。」
実際にチクトンネ街の子供たちの栄養状態は、土塊のフーケというその盗賊が現れることで大きく改善されていたのである。
「盗賊の犯行なら、こんな派手な事をしている時点で陽動と見るべきよね。実際あれは、自動化されているもの。」
「だろうな。アレが現れた時点で、トンズラぶっこいてんだろ。しっかし自動化って………ちょっと出来過ぎじゃあね〜〜の?!そんなこと出来るなんて、初耳だぜ?!」
「不意をつくために間違った情報を流すのは、常識じゃないの?」
「まぁ、とにもかくにもアレを片付けないと、どーしよーもねーよ。そろそろアンタの出番じゃないのか?」
「ルイズがやると言った以上、あのゴーレムの始末はあの子にさせるわ。盗賊に盗まれたものがあったとして、私が召喚魔法で取り返せば済む話だもの。」
「……アンタそりゃ、やっちゃダメだよ。これだけどデカイゴーレム作り出すの、結構苦労したと思うぜ?それだけじゃねえ。学院の構造調べたり、警備体制に探りを入れたり……結構な下調べの時間があった筈だよ。そういう苦労の積み重ねを反則技で台無しにするのは、人としてオカシイと思うな。道徳的に間違ってるよ。」
「貴方はどっちの味方なのよ。」
「いや、だから取り返すなら正々堂々とやりましょうと言う話をだなぁ……いやでもこの場合は、やっぱしフーケが悪いのか。いや〜〜、困った困った!人間って難しいね!」
この様にパチュリーとデルフリンガーが呑気に話しているのは、二人ともルイズの心配をしていないからである。
何も薄情なのではなく、派手に吹っ飛んだ彼女の先には、パチュリーが緩衝材として空中に池を作っておいたのだ。ズブ濡れルイズの一丁出来上がりである。
ガコン。
そしてこのとき、第一回目の投擲で投げつけられたデカブツ君の右足が、耳障りな音を立てて空中に持ち上げられた。どこの誰の仕業かという話だが……ルイズだった。
彼女はプルプルと肩を震わせながら、右手を突き出して念力魔法を操っていた。目には少し赤みが差しており、俗に言う涙目になっている。そして、声を大にして叫んだ。
「今のはイタかった………イタかったわよ〜〜〜‼︎」
ルイズは顔を真っ赤にして叫び倒すと、右手を勢いよくブンと振り下ろした。
すると、何たることか。
10メイル以上ある瓦礫が、デカブツ君目掛けて宙を突き進んでいった。
おまけに先ほどのドサクサで何処かに落っことしたのか、ルイズは今、杖を持っていなかった。感情にあかせて念力を操ることで、杖を用いるのと同等の効果を発揮していたのである。なかなかに、トンデモナイ事をやってくれるものだ。
というか、さっきまでの冷静ぶった御高説はどうした。しかしデルフリンガーはそうとは皮肉らずに、このときルイズを大いに褒め称えた。
「そうだよ、そうやって心を震わせんだよ!変にカッコつけて、高尚ぶるんじゃね〜〜!今のオメーさん、さっきまでよりよっぽどイイツラしてっぞ!オレはそ〜ゆ〜奴の方が、好きだ!」
「ちょっと、変な事を吹き込まないでよ。魔法使いは心を乱してはダメよ。」
「だっからソレは、アンタの話だろう?!今のアイツを見ろよ!冷静でいるよりも、すごい事やってるじゃないか!アイツにはこういう、感情剥き出しのやり方が合ってるんだよ!」
「どこの野蛮人よ、それは。」
「テメーの弟子の事だよ!知らんぷりするんじゃね〜!」
「それなら破門ね。けれども確かに、魔力が底上げされているわ……これは興味深い。」
「血も涙もないヤツだな、アンタ?!」
デルフリンガーはルイズの様子にはしゃいでいたが、パチュリーは首を傾げたままだった。
「ところでルイズは一体、何を痛がっているの?ダメージが通る様なハンパな技を教えた覚えはないんだけど。」
「それをオレに言わせるか?!年頃の娘には、死活問題だろーがよ。」
「何の話よ。」
「生まれて初めて死ぬかもしれない攻撃喰らったんだ、察してやれ。」
「………ああ、そういう事。」
すでに全身びしょ濡れである為に、証拠は跡形もない。しかしそうそう、間違った推測ではあるまい。
ルイズは恐らく……チビった。
それもかなり、盛大に。漏らしたと言って差し支えないだろう。
その証拠にルイズの怒りは、留まるところを知らなかった。
「も、もももももう怒ったわ!アンタみたいな外道には、天誅よ、天誅!」
ルイズは辺りに散らばる等身大サイズの瓦礫を拾い上げると、次々とそれらを投げつけ始めた。これは確かに人間相手なら脅威な技であるが……如何せん相手が大きすぎた。多少蹌踉めく程度で、全く意に介していない。少々の足止めになっている程度だ。
しかしそこは、弾速で勝負である。豪速球で喰らわせてやれば、石の礫だって立派な凶器となる。ルイズは休む事を忘れて、やたらめったら投擲しまくった。
「痛い?!痛いかしら?!それが心の痛みよ!思い知りなさい!私はこの歳まで生きてきて、今日ほど惨めな思いをした事はないわよ!これまで私には、エレオノール姉様に優っていた事が、一つだけあったの!それが何かわかる?!」
ルイズはそうして、一気に言い放った。
「私の方が、オネショ離れが早かったのよ!それが何?!この歳になって下着一枚ダメにするとか、最早取り返しがつかないじゃない!どーしてくれんのよ!ねぇ、どーしてくれんの?!」
彼女は今もう、完全に我を失っていた。
ウガーーーーーっと唸り声を上げそうな勢いで、両手を天に突き上げている。背後でドッカーンと派手なVFXが炸裂していそうな構図だ。
「謝れ!私に謝りなさい!地面にキスして、額を擦りつけるのよ!自分の仕出かしたことを、この場で懺悔なさい!」
ルイズは再生途中のデカブツ君の頭を抑えつけると、そのまま地面に引きずり降ろそうとしていた。所謂、魔力全開状態である。
このサイズの巨人に、土下座をさせようというのだ。
爆発魔法をぶっ放さないあたりは、せめてもの矜持の表れなのか、はたまた単純にド忘れしているだけなのか。最早どうでもいい事に見えた。
煙と何とかは高い所が好きだと言うが、この時のルイズは完全に突き抜けていた。念力で自らを浮かばせると共に、デカブツ君の頭を押し下げようとしているのだ。何気に凄いのだが、理由がバカバカしくて感心する気も起きない。
おまけにこの事態が一番露見してはダメな相手の目の前で、モロに自白してしまっていた。
「聞〜〜〜いちゃった♪ 聞いちゃった♪」
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
ルイズにしてみれば家族ぐるみで因縁を分かつ相手に、最も知られたくない事が露見してしまったのである。しかもこの場に現れた彼女の格好が、これまた凄まじかった。
夜戦服。
コレはキュルケの信条なのだが、女たるもの夜這いを掛けられてナンボだと思っている。そのため就寝前には、朝のメイクより時間を掛けている。つまりはやたら扇情的な格好をしているのだ。いっそのこと真っ裸の方が、まだ目に優しい。男色家や春の過ぎた爺さんでも、今の彼女を見れば精力漲ることだろう。
最早コレは、犯罪である。ゲルマニアならいざ知らず、ここは保守的なトリステイン国内なのだ。
おまけにその褐色の艶めかしい素肌からは、妙な湯気が立ち昇っていた。
「ルイズが漏らした♪ヴァリエール家の三女が漏らした♪ 本家に報告ね♪」
「ウッッギャアアアアア?!や、やめててぇぇぇぇぇぇぇえ!」
ルイズはこの時、余りにも最悪な事態を想像して、得意とする念力の魔法すら失敗した。
真っ逆さまに、地面に落下したのである。デカブツ君よりも先に、自分が地面にキスする嵌めになりそうだった。もちろんそんな事になれば、命はない。
「……何を遊んでいるの、あの子は。」
「呑気に本読んでるアンタが言うかね、それを。」
ため息をついたパチュリーは、斥力を発生させてルイズを受け止めようとした。
しかし、この時。
落下中のルイズを上回る速度で追い抜き、彼女を無事に受け止める者がいた。それは、高度3,000メイルから降下角70度という基地外じみた急降下を仕掛けてゴーレムに奇襲を加えようとしていた、一騎の竜騎士であった。
そして、デルフリンガーは首を……無い首を傾げた。
「おいおい、ちょっと待てや。この国には、竜騎士は居ない筈だろ?ありゃ一体、どこの誰だよ?」
人騎一体となったその飛行技術は、巧みの一言に尽きた。
垂直落下に近い状態から失速する事なく急速反転上昇すると、再び高度をとったのである。一夜漬けで身につく技術ではない。月夜に煌めく青の鱗に座する人影は、一体何者なのか。
「た………タバサ?」
あわや墜落死という状況から一転して空の上の人となったルイズは、小柄な留学生の背中に少しだけトキメイテしまった。
これが男子生徒だったら、間違いなくコロっとイッテしまっただろう。使い魔を駆り闇夜を自在に翔び回る同級生はそのくらい頼もしく、そして幻想的だった。
「あ、アンタ一体、どうやってこんな飛行技術を………」
「練習。」
サラリと答えるその背中は、ドドンと効果音がつきそうなくらいに大きく見えた。
ルイズはまたもやクラっと来てしまいそうになった。
だが。
「降りて。」
背中を向けたまま、タバサはいつも通りの調子でとんでもない事を言ってきた。
自分で助けておいてこの言い様とは、まったくもって意味がわからない。
「この子が貴女の匂いを、気に入らないと言っている。」
「なっ………………‼︎」
この瞬間にルイズは、恩を忘れて怒り狂った。
「な、何よそれぇ……!」
「トイレの臭いがする、と言っている。」
彼女はこの時、自分がまだ身につけて居ない使い魔とのテレパシーじみた通信を、タバサが完全に身につけている事を知った。そして言われた内容に感情を激発させたまま、その高度からサラリと飛び降りた。
「ふ、フンっだ!アンタ、超カワイくないわよ!ありがとうって一応言っておくけど、この借りは絶対返すからね!」
捨て台詞を残していくのは、お約束である。
そうしてこの時、地上では。
これまで山の様な不動を貫いて来たパチュリーが、いよいよ動き出そうとしていた。
「…………アイツラ一体、ナニモンだよ?ストリッパーみたいなネーチャンが現れたと思ったら、チビピンク以上のチビ助が、しれっとスゲーことしやがったぞ?!」
「それでも少し、旗色が悪いわね。ルイズは無駄遣いが祟って、魔力が残り少ないし。あの子達が現状使える魔法では、あの巨人は仕留めきれないでしょう。」
「お、とうとうアンタの出番か。何をするんだ?」
「厄介なのは再生力だから、それを奪うわ。」
「スゲーな、そんな事出来んのかよ。」
「ネタとしては単純よ。錬金しづらい成分に変えて仕舞うのよ。」
「言うは易しの典型ってヤツだな。どれ、お手並み拝見と洒落込みますか!」
そうしてパチュリーは、イル・アース・デルと唱えた。
こうしてデカブツ君の身体に、七曜の魔女直々に錬金が掛けられた。
この様子を落下しながら眺めていたルイズは、唇が引き攣った。
茶色がかっていたデカブツ君の身体が、どんどん灰色になっていく。月光りを反射して鈍く煌めくその素材には、見覚えがあった。
これは………鋼鉄だ。
デカブツ君のボディは、破壊不能な装甲へと変えられてしまったのである。
呆気にとられるデルフリンガーの上空で、ルイズの悲鳴が虚しく響き渡った。
「あああああ貴女一体、自分が今何したか分かってるの?!ワザとよね、絶対これ、ワザとやったでしょう?!」
ちなみにフーケ本人は、彼女達の予測通りにとっくに一仕事終えているのでシメシメ引っ掛かってくれたなとホクホク顔です。ヘイトにならないように気をつけたつもりですが、気になる方がいたらご指摘下さい。私としては彼女大好きなので、表現がおかしいのだと思います。
どうして彼女がここまでの実力をつけているかは、フーケ編終了時には明らかにする予定です。
いや、私的には原作の時点でもう、トライアングルを自称するスクエァじゃないかと思っているので、説明とか要らないと思っているのですが……一応。