艦隊コレクション ~暁の水平線の果て~    作:カッパ中尉

7 / 10
※オリジナル設定モリモリです。
 そういった類が苦手の方は読むのを控えてください。
この話、実は#1を作ったときから考えていました。
自分の趣味を艦娘に誘った結果、見たいな感じです。
最後にひとつ。
レイブン、リンクス、傭兵の諸君、歓迎しよう!盛大になっ!!


#6 私たちの遊戯

 その戦場には、もう二人しか残っていなかった。

 両者ともに機体の装甲は剥げており、動けるか否かのエネルギーしかなかった。

 だが、彼にはまだ希望があった。

「オーバードウエポン」、一撃必殺の規格外兵器を搭載しているのだから。

 それは全てを黒く焼き尽くす兵器であり、辺りの建物やACの残骸がそれを強く物語ってくれた。

「降参する気はないんだな、響?」

 最後の慈悲なのか、彼は敵である彼女に語りかけた。

 彼女が壁が背後にあり、文字通りの絶体絶命の状態だから生まれた余裕だろう。

「私は諦めないよ、最後まで。ここが魂の場所だから!」

 ボロボロの軽量二脚に乗った彼女は答えた。

 その声は震えながらも自信に満ち溢れていた。

「もう言葉は不要だな、ではっ!!」

 エラーメッセージの出続けるモニターを無視してグラインドブレードを起動する。

 六つの巨大なチェーンソーが右腕に装着され、豪炎を撒き散らしながら円状に回り始める。

 もう片方の腕はパージされ、システム制御ユニットが強制的に接続されていた。

 いつ爆発してもおかしくない......。

 そう考えながら、俺は右腕を響に向けて突撃した。

 

 壁にめり込み、火花や破片を撒き散らしながら違和感に気づいた。

 手ごたえを感じられなかった。

 もしかすると、跡形も残さず破壊してしまったのかもしれない。

 だが、その謎はすぐに明かされた。

「ypaaaaa!!!」

 その叫び声は上から聞こえた。

 機体は俺の頭上を通過し、まだ元気に動いていた。

 とっさに体制を立て直そうとするが、右腕のそれがめり込んでいて抜けそうにない。

 かといって、左腕はもう無い。

 圧勝と思われたこの戦いは自分の慢心で変わってしまった。

「これがリンクスの力かよっ!?じゃあ、俺はなんなんだっ!!」

 その問いに答えるように腹部にブレードが突き刺さった。

「ただの傭兵、かな」

 意識のかすれる中、そんな声が聞こえた。

 

 GAME OVER

 

「いや~、負けちまったか!」

「実に楽しかった、ハラショー!」

 持っていたコントローラーを置き、俺は背をウンと伸ばした。

 響はテレビ画面にまだ釘付け、といった感じで目を輝かせていた。

 そんな俺と響は鎮守府内の工廠を管理している技術顧問の「明石」の部屋にお邪魔していた。

 工作艦として名を知られている彼女は、武器や装備だけでなく、色々な物を開発している。

 艦娘の要求に応じて作られるそれは、小物から精密な機器の類まで多種多様だ。

 ということで自分の好きなゲームの作成を要求して、今日はその発表日だったのだ。

「二人とも、楽しんでいただけたようで何よりです!」

 背後から明石がヒョィと顔を出す。

 普段から油の匂いでいっぱいな工廠に出入りしている彼女だが、今日は作業着ではなく艦娘の服に着替えていた。

「楽しめた、なんて言葉じゃ収まりきらないぞっ!期待以上の作品つくってくれやがってっ!」

「そ、そうですか?なんだか照れちゃいますよ......」

口ではそう言うが、まんざらでもないような顔をしている。

「しかし、提案したのをここまでうまく取り入れるとは...。全部、明石一人で?」

「いえ。私はプログラムを作ってそれを組み立てる専門ですから。システムとか私の手に及ばない物なんかは大淀さんと夕張ちゃんに助けてもらいました」

 大淀...、頻繁に休暇要望が来てると思ったらこれに関わってたのか。

「無理...させたか」

「いえ、そんなことありませんっ!」

 急に火がついたように彼女は喋りだした。

「私も今まで、多くの依頼をこなしてきましたが、ここまで難しくてやりがいのある仕事は初めてですよっ!もちろん、大淀さんも夕張ちゃんも自分からやりたいって言ってきてくれたんです!それに、こういう普段私が触れないようなことに関わらないと一技術者としての能力が欠落してしまいますし...!」

 普段から元気な彼女でも自分の世界に入ると、ここまで饒舌になるものだろうか。

 そして、ひとしきり語り終えた後に

「無理なんかしてませんっ!!」

 と息を切らしながら一言。

「そうか、ならよかった」

 

 

 プレイした時は昇っていた太陽が、今は水平線の向こうに沈もうとしていた。

 工廠を後にした俺と響は、書類たちの待つ提督室へと歩みを進めていた。

「明石さん、大丈夫かな」

 あんなに熱く語ってくれた我らが明石さんはゲッソリした顔で自室へと帰っていった。

 恐らく、話し疲れたのが原因だろう。

 まるで嵐のような女性だ(嵐は別にいるのだが)。

「あの様子だと、一日グッスリ休めば大丈夫だろ。後で大淀と夕張にも礼を言っておかないとな」

 あの明石でさえあんな感じなのだ、残り二人が元気なはずがない。

 また間宮さんに助けてもらわなければ。

「響はどうだった?」

「私かい?」

 彼女をロボット好きになったのは俺の趣味の影響を受けたからなのだが、果たして楽しんでもらえたのだろうか。プレイ中の反応を見る限り、退屈はさせていないと思うが...。

「すごくハラショーだったよっ!」

 それは良かった...のだが”ハラショー”という言葉がだいぶ自由になってきたように感じる。

「特にあの素早い挙動で翻弄してからの射突ブレードは最高にハラショーだったよっ!!」

 響がキラキラとした眼差しでこちらを見てくる。

「まあ、響ならあの機体を選ぶと思ってたよ」

 登場パイロットの名言が響と重なったこともあり、一応使用機体に加えてみたのだ。

 ゲーム本編では見ることが出来ない”とっつき”が出たのが予想外だったが。

「帰ったら仕事終わらせて、また対戦プレイでもするか!」

「またそれか、私は協力プレイがしたいな」

 そうして、いつもと同じ変に熱の入った会話をしながら部屋に戻っていった。

 結局、仕事終わりにやったゲームは”黒い魂”で、自分よりも強い響に侵入され続けた。

 

 後日、またあのゲームをさせてもらおうと明石の元に行ってそれが綺麗さっぱり消えていたのだが、それは語られることのない話である。

 




まず、投稿が遅れてしまってすみませんでした。
リアルのほうが忙しく、執筆活動に集中できなかったんです。

今回は、私の趣味もりもりにしました。
登場したゲームは分かる人なら分かる「アーマードコア」というロボットゲームです。
その中でも好きな機体はホワイトグリント(ACfa)です!
なんですが、ACVの顔のヴェンジェンスと、ハラショー繋がりでACfaのド・スを入れさせてもらいました。
まあ、日頃お世話になっている明石さんを出せたのでそれだけでもよかった、って感じです。
で、やりたいことが出来たので多少のシリアスを次回に混ぜようかなぁと適当に考えてます。
あとこの「私の~シリーズ」はどれくらい長続きするのか、書いてる本人が分かりません。
キャラの性格も右往左往するかもしれない、設定が狂ってしまうかもしれない、そんな考えが頭の中で生まれてます。

そんな行き当たりばったりな私の小説ですが、続けて読んでいただけると嬉しい限りです。
ではまた、次回でおあいしましょう!
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