艦娘たちの設定が多少改変されている可能性もあるかもしれません。
今回は多少のシリアスが存在します。
そんな感じで参りますのでよろしくです!
「見た感じ、至って正常ですね~。気になる点も放っといて大丈夫なやつですし」
「そりゃよかった」
明石からの診断を聞いて少し安心した。
「一応、他の精密検査もやっておきましょう。何か隠れてたりするかもしれませんし」
今、自分は明石さんによる身体検査を受けさせられている。
なぜ、そんなことになってしまったのかというと時は数時間前に戻る...。
「司令官、朝食はどうだった?」
白いエプロンを身につけた響が洗い物をしながら聞いてきた。
「ん?ああ、美味かったぞ。特にピロシキなんかどんどんすごくなってるぞ!店で出せるくらいだと確信したな」
「流石にそれは言いすぎだと思うけど...ありがと」
耳を赤くしていることから、明らかに恥ずかしがっていることが後ろ姿からでも分かった。
そんな響も見ていて可愛い。そう思うのだが、彼女に対していかんせん大きな疑問点がある。
「響。気づいてて追及しなかったんだが頭の上に乗ってる鍋はなんなんだ?」
そう、調理前から彼女の頭に居座っていた金色に光る異物。
見た限りだとそれは、響の頭にちょうど良くはまっている様子で一度も落ちるそぶりを見せなかった。
しかしそれが彼女のボケなのかが分からず、今の今まで指摘することが出来なかった。
「ああ、これかい」
彼女がそれを外してこちらに来た。
中を覗いたが何も入っておらず、触るとどうやら本物の鍋のようだった。
「夕張さんに特注で作ってもらったんだけど、見た瞬間に”かぶりたい”っていう考えがわいたんだ。それで実際に試してみるとこれが落ち着いてね。以来、料理をするときはこれをかぶろうと思ったんだ」
お前はどこぞの蛇か、と激しいツッコミをしたかったがあることを思い出した。
「...アニメの影響か」
「そんなことよりも」
よくわからない感傷に浸っていると、それを響がさえぎった。
「全部食べたのなら、薬飲んだら?」
「ああ、そうか」
自分には処方されている薬があってそれを毎日三食の食後に飲んでいる。
響の一件があってそれをすっかり忘れていた。
「...あれ?」
いつもここにあるはずの薬がない。ボケた、ということはないはずだが。
「響、確かここに置いといたよな?無いんだけど」
「え?」
食器を洗い終えた彼女が手を拭きながらこちらに来た。
そして、自分が見たところを詳しく調べてから首をかしげた。
「確かにここだったと思うけど、もしかして切れたのかな」
「多分、そうだろ。っていうことは明石のとこ行かないとな」
自分が服用しているものは少し特殊で明石にそれを管理してもらっている。
「私がもらいに行こうか。司令官は仕事があるし」
「いや、それを言ったら響だって演習とか出撃任務あったろ。俺が自分で行くよ」
分かった、と言って響はいつもの制服を着て出て行った。
その後は明石の部屋に向かい、成り行きを説明したら今の状況になっていた。
どうやら、この工作艦は以前に医者のドラマを見てから淡いあこがれを抱いていたらしい。
そんな彼女の実験台になってしまった、ということだ。
「よし!検査も一応終わりましたよ、お疲れ様でした~!」
ピンク色の髪がピョコピョコと揺れて、いかにも楽しんでいるようだ。
「終わったんだろ?じゃあ薬を...」
「まだです」
珍しく白衣に身を包み、バッと裾を翻して言い放った。
「まだ、問診してません!」
「問診って...あれは検査する前にやるやつじゃ...!」
「じゃあ、始めますね?」
息もつかせぬ調子で淡々と進めていく。
苛立ちこそ起きないが、ため息をついてしまう。
「提督、最近どうですか?元気です?」
「元気です...」
ウキウキしながらクリップボードに挟まれたメモ用紙に書き添えていく。...いつの間に用意していたのだろうか。
「じゃあ、欲求不満になってませんか?」
「...大丈夫です」
いたずらっぽく笑う明石を横目で見ながら話した。
「それじゃ次が最後の質問です」
もう最後!?というツッコミを入れる隙も与えられないまま、最後が来た。
「...再発とかしてませんよね?」
そう聞く彼女の顔は真剣そのものだった。
「薬のおかげでなにも起きてないよ。安心してくれ」
その一言を聞いてフッと胸を撫で下ろしたようだ。張り詰めていた表情が徐々に和らいでいった。
「なら、大丈夫です!じゃ、待っててください。今持ってきますからっ!」
そういって奥に駆けていった。
再発
それはもう聞きたくない単語だった。
過去に起きたあの出来事、忌み嫌われた自分、そして彼女たちに抱かせてしまった大きな不安。
あの時のことは未だに心に刻み付いている。
ある人が「過ぎてしまったことはいずれ、笑いながら話せる日が来る」と言った。
自分が招いてしまったあれも笑い話になる日がくるのだろうか。
「提督?薬、お持ちしましたよ?」
気づくと明石が目の前にいた。
「あ、ありがとうな。明石」
「いえ。困ったときはこの明石にお任せください!」
そして、俺は工廠を後にした。
少なくともまだその日ではない。
左手は強く握られ、薬袋は大きくしわを作っていた。
前回に引き続き、明石さんにご登場いただきました!
今回は多少のシリアスを含めてみました。
艦これ界隈でも多く存在する史実を交えたり、心を揺さぶられた作品などにインスパイアを受けて作りました。
というより、艦これの小説を書こうと思った辺りから設定は考えていました。
提督に何があったのか、そして、過去に起こった忌まわしい出来事とは何か?
ということに重点を置いて話は展開しようと思います。
ここから先は未定なのですが、現在の話と過去の話は別の小説と言う形で書いていこうかと思います。(あくまでも予定なので期待はしないでくださいね?)
そんな感じのゆる~い展開なので気長にお待ちください。
後書きまで読んでいただき、ありがとうございました!