ソードアート・オンライン 黒と紫の剣舞 作:grasshopper
ユージオside
「目的……か。…………そう言われても俺も内容は知らないんだ」
「どういうことだ?」
僕は問いかける。
「俺はディアベルに頼まれてやってんだよ」
「そうだったのか」
成る程、これなら情報屋から情報が流れる可能性がない。なら、キリトの方も同様にディアベルがパーティーメンバーにやらせているのか?だけど確信が持てないから言うべきではないか。
「ところで、その事言って大丈夫なの?」
「まあ、ディアベルからしたら大丈夫じゃないが、俺にとっては何の問題もない」
「それならいいんだけど。ならもう剣は諦めるようにしてくれないかな?」
「別に構わないぜ。そう言う訳で俺はもう行っていいか?明日の攻略頑張れよ」
ハルトというプレイヤーは他人事のように言って去った。
僕も宿に戻ることにした。
宿屋と言っても民家のNPCの家の二階をキリトと一緒に使っている。ユウキも別のNPC民家の二階を使っている。
宿屋に帰るとアスナさんが風呂に入っていると言われた。ついでに後でちゃんと紹介するとも。
「それよりユージオ、何処行ってたんだ?」
「ボクもそれ気になるなー」
キリトとユージオが聴いてきた。
「ちょっと野暮用があって」
「そうか」
すると部屋のドアがノックされた。アルゴさんかな。
おそらく昼間の剣を買い取る話だろう。
アルゴさんが入って来て、会話が始まるが、中々本題に入らない。すると、ようやく。
「そろそろ本題に入らせてもらってもいいかナ」
キリトは心の中で早く本題に入って欲しかったんだろうな。
「例の話だが、ユジ坊の剣は諦めたそーダ。キー坊の剣には三万九千八百コル出すそーダ」
サンキュッパ⁉︎そんなの向こうが損する金額じゃないか。キリトも驚いているが、冷静さを取り戻し。
「それ、なんかの詐欺じゃないのか?」
「オレっちも、何回も言ったゾ」
「……アルゴ、クライアントの名前を教えてくれ。千五百コルより積み返すか確認してくれ」
「……わかっタ」
一分後。
「教えて構わないそーダ」
キリトはウインドウからコルを取り出し、アルゴさんに渡す。アルゴさんは確認してから。
「キー坊はもう顔も名前も知ってるヨ。今日の会議で大暴れしたからナ」
「………キバオウか?」
アルゴさんが頷く。
キリトは余計に混乱しているな。僕も混乱している。なぜならディアベルのパーティーメンバーではないプレイヤーなのだから。
「この取引は不成立でいいんだナ?さんじゃ、オレっちはここで失礼するヨ」
「ああ……」
キリトとユウキは何か考えてるようだ。僕も少し考えよう。
「っと、帰る前に隣の部屋使うヨ。夜装備に着替えたいカラ」
「ああ……」
ーー待って。アルゴさん、今何て言いました。
言おうとしたら瞬間。
「きゃああああああああ‼︎」
僕とキリトはこの後の記憶はない。
non side
翌日。
「ねぇ、キリト、ユージオ。昨日の事覚えてる?」
ユウキが後ろにいる二人に言った。ユウキの隣にいるアスナはユウキの口を抑えようとしたが、手遅れだった。顔が赤い。
「それが、思い出せないんだよ」
「僕もキリトと同じ」
「だからもういいじゃん、アスナ」
「ダメよ!私は絶対に許さない。思い出したときは……」
と、アスナは言っている。
そうしているとボス部屋の前までたどり着く。
ディアベルが声を発した。
「皆!オレから言うことはたった一つ!勝とうぜ‼︎」
そしてボス部屋の扉を開く。
ボス部屋内に灯がともり、ボスの姿がハッキリ見えるようになる。獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》。そして取り巻きの三体の《ルインコボルド・センチネル》。
その計四体が走ってくる。
ディアベルも。
「行くぞ!」
と言い、戦闘が開始した。
キリトside
俺達のパーティーは四人なので、ボスとは闘わせてもらえない。だが、パーティーメンバーが少ない分、センチネルを倒したときの経験値は多い。俺達だけでセンチネルを二体倒し、今、ラストの一体と戦闘中だ。すると不意に、俺とユージオに声がかけられた。
「アテが外れたやろ。ええ気味や」
「……なんだって?」
その声はキバオウのものだった。
「こっちはもう聞いとるで。ジブンらが汚い立ち回りでボスのLAを取りまくっとったことをな!」
「な……」
LA。ラストアタック。
確かに俺とユージオはLAの取り合いを毎回していた。だがそれは、もう一つの浮遊城ーー《ソードアート・オンライン・クローズド・ベータテスト》のことだ。
こいつも元テスターなのか?いや、『聞いとるで』と言った。ならば、アルゴが?あいつは元ベータテスターは売らない。ならば、もしこいつのバックに元テスターのプレイヤーがいるとしたら。《アニールブレード》も、自身の強化ではなく、俺とユージオにLAを取らせないためだとしたら。それで全て納得がいく。なら、最後の問題はその人物が誰か、ということだ。
「雑魚コボ、くらいくれたるわ。LA取りや」
キバオウは仲間のもとへ行った。
すると壁の穴から最後のセンチネルにユウキとアスナがとどめを刺した。
「何話してたの?」
ユウキが首を傾げて聞く。
「いや…………なんでもない」
そして俺達もボスと闘おうとした、その時。
「ディアベル」
ユージオがボソッと言う。走っていた俺達は止まる。
「どうした?」
「キリト、ディアベルだ。あの人は元テスターだ!」
少し大きな声を出したが、恐らく他には聞こえていないだろう。
そして俺達四人はディアベルの方を見る。《イルファング・ザ・コボルドロード》が斧からタルワールに持ち帰る場面だった。ベータの時はそうだったし、アルゴの攻略本もそうだった。
ボスのHPも残り僅かだったので、ディアベルも前に出た。その視線がこちらを見ていた。
あんたが?あんたが全て仕組んだのか?騎士ディアベル。
俺は心でそう言った。
次の瞬間、ある違和感がした。それはボスからだった。あの剣は細すぎないか?確かあれはプレイヤーには扱えない、モンスター専用カテゴリの…………。
「だ、ダメだ!下がれ!後ろに跳べ!」
しかし遅かった。獣人の王はソードスキル《浮舟》でディアベルを攻撃する。スキルコンボのその技は、浮かされたら、体を丸めて最大防御姿勢を取らねばならない。しかし、ディアベルは剣を振る。だが、不安定な動作のためソードスキルは発動せず、ディアベルは攻撃をくらい、吹っ飛ぶ。
俺はディアベルのところまで駆けつける。俺はポーションを飲ませようとするが、ディアベルが拒否する。
「どうして……こんな」
「あんたも元テスターならわかるだろ」
やっぱり、LAか。
「……後は頼む、キリトさん。ボスを、倒」
その瞬間、ディアベルは青いガラスの欠片となり、四散した。
戦闘シーンが難しい!遅くなりました!すみません!次回予告です!
ディアベルの死んだボス戦の行方は……。そしてその先のキリト達の運命に……。
8話「ビーター」