メガトンの見張り台でストックホルムは近付いてくる人影を見つけた。背中のハンティングライフルを手繰り寄せて構える。これはいつもの事で接近している者が誰なのかわかるまでは警戒を解くことは無いし、こちらを確認次第距離も気にせず撃ってくるレイダーなどに先手を取らせないための行動だ。
「………?あれは…ジョンか?」
服装はいつもと違うが、よく知る人物であるとわかると銃を下ろす、しかし彼には新たな疑問が湧いてくる。
「なんでひとりなんだ?」
ジョンの居るスミスキャラバンは大体週に一度このメガトンへやって来る二人の商人に医者、ガード、修行中のジョンの大型キャラバンで取り扱い商品も多岐に渡る。モリアティの酒場やブラス・ランタンに商品を卸しているためメガトンにとってもとても重要な客人である
「とにかくルーカスに報告だな」
眺めていても答えは出ないと、門の制御スイッチを操作しつつ近くにいた入植者の一人にスミスが来たと伝言を伝えた
メガトン
スプリングベールから少し歩くと見えてくるその街は飛行機の残骸で作られたウェイストランドでは割としっかりした門に守られている時折出るジャイアントアントやレイダーなどは門番の副官ウェルドと見張り台からウェイストランドを警戒しているストックホルムに撃たれる事になる
「これはこれはメガトンへようこそ」
来る度に同じことしか喋らないウェルドには構わず開ききっている門を潜りメガトンへと入る
「お疲れ様、ジョン。お前…一人か?」
メガトンに入ると市長のルーカス・
シムズが訝しげに話しかけてきた。
「両親とフレッド、カーターが死にました…昨日レイダーに襲われて…」
何だと!と驚くルーカス
「アルバートは俺の知る限り最高のガンマンだった…レイダーなどにやられるとは思えん…」
「昨日は俺の誕生日でした、父も酒が進んでしまったようです…」
ルーカスは、そうか、と言って考えるように黙ってしまった
「自分はモリアティさんに会ってきます」
と言ってその場を離れる、ルーカスと父は旧知の仲だったらしい。らしいと言うのも父は自分の事をあまり話さないしルーカスも父との事は話したがらないので他人からの又聞きになってしまうためよく知らないのだ
父とルーカスの間に何があったのか考えながら歩いているモリアティの酒場に付いた
「………はぁ…」
コリン・モリアティ、物心つく前からの付き合いで、長年メガトンで酒場を経営しているらしい。スミスキャラバンはここに酒を卸しては1杯引っ掛けては宿をとっていたため昔から世話になっている…どんな反応をするのか…かなり不安で足が重い
意を決して扉を開ける
「いらっしゃい…ってジョンか」
グール特有のしゃがれた声が聞こえてきた、モリアティの酒場のバーテン、ゴブだ。奴隷らしいが普段から割と勝手な事を言ってる
「ゴブ、その様子だとモリアティさんは居ないな?どこに居る?」
ゴブは磨いてるグラスから顔を上げずに知らんと答える。なら用は無いと近くに居た商売女のシルバーに手を振り踵を返す
外に出て左に向くと、むこうからモリアティがタバコを吸いながら歩いてくるの見えた。
自分もポケットからタバコを取り出し父のライターで火をつける。立ちのぼる煙を見ながら思えばあれから一本も吸ってなかったと気付き、案外辞められるのかもなとも思う。
「…辞める気は無いけどな」
程なくしてモリアティが目の前にやってきた
「聞いたよ…皆死んじまったんだってな」
普段の人を喰ったような雰囲気がいくらか薄まった印象を受けるモリアティ。
「えぇ、まぁ…」
「そうか…結構いいやつだっただけに残念だ」
少し俯きながらタバコを吸っている自分を見て少し考えると、どうせ飯も食って無いんだろうと言って顎をしゃくる
「ブラス・ランタンに行くぞ、奢ってやる」