弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」 作:紗代
プロローグ
私、渋谷祷(しぶや いのり)は今とても参っている。
「ここはどこだ―――――!!」
只今見覚えのない平原でぼっちの迷子である。
そもそも私はこんな青々とした自然の中に迷いこむほど夢見てない。だってついさっきまで学校の屋上にいたのだから。
人生初の呼び出しを受けたのだ。おそらく告白の。体育館裏とか笑えない、というかまずそんなことされる身に覚えがない。だからテンションもいつもより高く油断していたのだ。
「うわ、風強い――――――――わっ」
風の勢いが強すぎて身構える。けどそんな抵抗空しく私は端の手摺りまで追いやられ背中が手摺りの金属の触感に撫でられるのを感じる。と同時に足の感覚が、ない。
あ――――私、死ん、だ?
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そして現在。目が覚めるとそこは見知らぬ大地だったのです。信じられる?死後の世界がこんな原始的なところなんて。そして
「キュウ?」
子ライオンちゃんが無垢な目でこちらを見る。私が抱き上げて撫でてやると気持ちよさそうにすり寄ってきた。————どーしよ、これ。
ひょっとしたらとんでもないところにきてしまったのかもしれない。
「まあ、いっか」
深く考えることをやめてとりあえず散策。しばらく歩いているとライオンの群れに遭遇した。ひょっとしたらこの子の群れなのかもしれない。即刻返しに――――いや待てよ。目の前の連中には私は子を連れ去った密猟者に見えるのではなかろうか。
もしそうだとすれば・・・・アウト完全に死亡フラグで捕食されちゃうわ。
そうやってうんうん無い知恵絞っているうちに群れが私たちに気付いた。
あ、バッドエンドですねわかります。
しかし、ざっくりとかばっさりとかそんな効果音はいつまでたってもこない。何故だと目を開けると至近距離にライオンの顔。ひえええええええええ。そうか、まだ準備中だったのか。死んだのに死後の世界でまた死ぬとか。ナニコレ。私、どうなるの?よくある魂が傷付いて消滅しちゃう系なの?何それ怖い。
とか思っていると顔を舐められた。え?
それでみんなすり寄ってくる。あれ?なんか助かったの?
そして気が付く。私はしゃがんでいるわけではないのに四足歩行のライオンに顔を舐められたのだ。まさか。
水たまりに映ったのは昔のアルバムにある懐かしい自分の姿だった。え、なん、だと?
死人は若返るというが、神様よ。さすがに女子高生にこんな恩恵をくれなくてもよかったのではないのだろうか。そこで私の意識はキャパオーバーを迎えたのか静かにログアウトしていくのであった。
死ネタっぽく見えますが、主人公死んでません。単純に運命でこっちの世界に引っ張りこむためのきっかけになっただけです。その辺はまた今度。それでは!