弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」   作:紗代

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ライダー陣営と水路の回です。
やっぱりイノリちゃんは子どもに執着しているのかも。


キャスターの痕跡~水路に残る傷痕~

遠坂家訪問の次の日。三人で朝ごはんを食べながらテレビをつけると連続児童誘拐事件の話題で持ちきりだった。

 

「連続児童誘拐事件・・・しかも今の冬木で・・・」

「いくらシールダーに魔術と護身術習ってるっていっても桜も気を付けるんだよ。世の中何があるか分からないから、寄り道しないで真っ直ぐ帰ってくるんだ、いいね?」

「うん、わかった。・・・でもうちのクラスも何人か来てない子いるの、これってこの事件と関係あるのかな・・・」

「どうだろうね・・・」

 

そして桜ちゃんが学校に行ってしばらくしてから雁夜さんに教会から招集がかかった。何かあってはまずいからと雁夜さんは蝶の形をした使い魔を教会に送った。そして監督役からなにを言われたのか大慌てで私の元に来た。

 

「シ、シールダー!!」

「どうしました?」

「キャスターのマスターが、冬木で起こってる連続児童誘拐事件の犯人だって!!」

「!!」

「それで見かねた教会が追加の令呪を報酬にキャスター討伐を依頼してきた」

「そう、ですか・・・よし、キャスターの拠点を襲撃しましょう」

「ああ!とその前に、拠点の正確な位置を割り出さないとな・・・シールダー、ここら辺で御三家以外に魔力を強く感じる所か魔力の残滓ないか?」

「今探ってます・・・・!ありました、中央を流れる未遠川、そこの一番大きな水路周辺におびただしい残留魔力と血の匂いがします!」

「そこか!なるほど、水路とか下水道なら誰も寄り付かないし、貯水池とか人が点検するときに入るスペースもあるから工房づくりに最適な環境だったってことか!くそ!なんで気が付かなかったんだ」

「マスター、ひょっとしたら今までの子たちもそこに・・・・」

「・・・可能性は、否定できない」

「っ・・・・・マスターは、桜ちゃんの所にいてあげて、工房には私一人で行ってくる」

「なに言って・・・」

「せっかく家族になれて安心しているあの子をまた一人にするつもり?だめよ、もしキャスターとそのマスターが二手に分かれているとしたら桜ちゃんが狙われたとき誰が守ってあげるの」

「!!」

 

はっとする雁夜さん。そう、桜ちゃんの心の負担は取れたがだからと言って安全に暮らせるようになったわけではないのだ。魔術も護身術も教え込みはしたがまだ6歳の子供。怖いことや知らなくていいことはいっぱいある。

 

「けどシールダー・・・」

「大丈夫ですよ、いざというときはパスで呼ぶか令呪使ってください。こっちも危なくなったらパスで連絡しますから」

「・・・・わかった、でも本当になにかあったら呼べよ」

「はい」

 

そして私は準備のためすぐに出ることはできず、次の日問題の水路へ向かった。

 

*****

 

水路に着くとそこにはさっき視た魔力の他にもう二つの魔力が微かに残っていた。

 

「さてと、ちょっと出遅れちゃったみたいだけど・・・・私もこの現場を見逃すわけにはいかないのよ」

 

そして私も水路に入っていく。

一歩踏み入れただけで分かるほどの濃密な魔力と耳障りなカサカサグネグネ動く触手のような生き物。他に罠は無さそうだ。とりあえず襲ってくる触手たちを焼き消して一番魔力の濃いところに向かう。そうして着いたのは貯水地のような広い空間。しかしそこには既に先客がいた。とりあえず隠れた方がいいのだろう。そう思って入り口の死角に身を寄せる。

 

「それはそうと、おい!そこの奴、いるのはわかっておる。出てきたらどうだ!」

「・・・」

 

やっぱり誤魔化せないか。観念して姿を見せるとライダーのマスターの蒼白かった顔色が更に血色悪くなる。

 

「シ、シールダー!?おい、ライダーどうすんだよ‼」

「落ち着きなさいライダーのマスター。私はキャスターの工房の偵察と破壊のためにきただけ。そちらが何もしなければ私もあなたたちに危害を加えるつもりはありません」

 

そうしてライダーのマスターたちを退けて工房の惨状を見る。

 

「酷い」

 

その一言に尽きた。そして私は子どもの遺体・・・・もう既に遺体と呼んでいいのか分からないものもあるけど一人一人抱き締めてから準備して持ってきた昔ながらの木の舟に乗せていく。

 

「お、おい。なにやってるんだ?」

「・・・・供養か」

「・・・ええ。きっとこの子たちも最後は抱き締めてほしかっただろうから、間に合わなかったせめてもの償い。・・・・ごめんね」

 

そう言って最後の子を乗せるとある呪文を唱える。すると奥の壁が開き、薄暗い海辺見えた。

 

「うわ、って海?」

「冥府に繋がる海よ、ライダーのマスター、きみは絶対入ってはだめ」

 

そして舟を海に流しゆっくりと進み見えなくなるのを確認すると閉じた。

みんな、アサシンの登場まで黙ったままだった。




子供たちのためにあの世へ繋がる涯(はて)を繋げて送り出してやるイノリちゃん。ここは零~刺青の聲~のエンディングで怜が零華と要を流してやるシーンをイメージしました。
次は凛ちゃんの冒険回…という名の雁夜さん・葵さんの回。どうなることやら・・・少なくとも葵さんはまともじゃないのは確かです。
イノリちゃんが木の舟持ってるわけないのと時系列合わせのために一日準備に使いました。木の舟はもちろんイノリちゃん製の品です。
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