弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」 作:紗代
王宮にお世話になって早数か月。ギルに慣れる(恐怖心をなくす)のに一週間。そのあとはギルと一緒に気ままに過ごしている。
友達になるのにはそうかからなかったけどギル本人には凄く微妙な顔された。「いや、あなたは友達というより・・・・」とかなんとか。なんだと、中学に上がってからは全く言われない「かわいい」の単語を連発されていた少しはましな小学生時代の容姿にどんな不満があるというんだ。それともあれか?近年やっと緩和されてきた男尊女卑的なことか?子供になってただでさえゆるくなった涙腺は決壊し、泣いていた私にはその先の言葉を聞いていない。結局ギルが怒って隠れた私を見つけ出し仲直りすることで事なきを得た。
そして今、私はギルの目を盗んでちょっと前に見つけた花畑でせっせと花の冠を作成中である。日頃の感謝を形にしてギルに伝えたかったのだ。お金で買えるものならとっくにギルは手に入れているだろうし、せっかくなら手作りのものをあげたい。ギルのことだから千里眼でお見通しなんだろうけど、それはそれ。突っ込まないでいただきたい。
ちなみになぜギルの目を盗んでなのかというと、一言でいうなら過保護なのである。私に対して。どこに行くにしても一緒。うん、これはいい。でもさすがにトイレは勘弁してほしい。あと、一緒じゃないと王宮から一定以上離れることをよく思っていない。この花畑があるのはギリギリその一定内か外かのくらいなのでなんともいえないところなのだ。
「よし、あとはここを・・・・できた!!」
我ながら結構うまくできたんじゃないだろうか。なんて思ってるとポン、と肩を叩かれた。「何ができたんです?」
「ギル!」
出たなラスボス。だがこっちはお前に用がある!!
「ギル。これをあなたに」
「僕に、?」
「そ、日頃の感謝の気持ち。どうしても形にしてあなたに渡したくて・・・・受け取って?」
「ふふ、そうですか・・・ならイノリ。君が僕に被せてくれませんか?」
「う、うん」
花の冠をギルの頭に乗せるとちょうど風が吹いた。花びらが舞う中で夕日に照らされながら悠然と立つその姿は―――――とても、とても美しかった。
「綺麗・・・」
「そんなに見つめられると穴が開いちゃいますよ」
「ご、ごめん!」
「・・・ねえ、イノリ。僕、今とってもほしいものがあるんです。まだ芽が出たばかりで時間はかかるかもしれないけど、これからもっと囲って愛でて・・・・花開かせたい」
「だから」と言った彼の目は歳に合わず切なげで、でもどこか獲物へ狙いを定める肉食獣のような異彩を放っていた。
「覚悟、しておいてくださいね」
恋とは不意打ち。きっと私は、自分のこの想いに気付くよりずっと前から、彼に囲われていたのだ―――――。
実はギル君の方は最初のうちから自覚していて、主人公の安全性もあるけどそれより誰にも奪われたくなくて目の届くところに置いておこうと囲っていきました。そして主人公も自分のギル君に対する恋心に気付いちゃったので今後デレが増えるかも(そもそも素直な子なのでツンデレにはなれない)。宣言しちゃったギル君は徹底的に落としにかかります。