弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」 作:紗代
停戦から数日後のこと。私はセイバー陣営のアイリスフィールさんから呼び出されアインツベルンの城にいた。聖杯問答の際、セイバーと一緒にいた彼女は幾分か・・・・というより全く私たちを警戒していなかった。おそらくセイバーと一緒に顔合わせしたことがあるだけでなく、停戦を宣言されたこともあるのだろう。セイバーと共に出迎えてくれた彼女は輝かしい笑顔だ。
「ごめんなさいね、急に呼び出してしまって」
「いいえ、お気になさなず。それで用件は?」
「ええ、もう気付いていると思うのだけれど実はセイバーの本来のマスターは私ではなくて衛宮切嗣。私の夫で、ほらこの前の教会での停戦宣言の時私の隣にいた彼よ」
「ああ!あの黒いコートに黒いスーツの人ですね」
「そう、その人なのだけれど・・・・実はまだ停戦や聖杯のことに納得いかないらしくて、申し訳ないのだけれどもう一度今度は私たちと一緒に大聖杯の安置されているところまで付いてきてくれないかしら?きっとあの人も自分の目で確認すれば納得すると思うの、そのためには第一発見者である貴方たちに来てもらえたら一番確実だと思って」
「私からも頼む、シールダー。あの男は未だに何を考えているのか解らないところがあって、アイリスフィールが話しかけようとしても停戦のことに対して思うところがあるのか上の空。もしアイリスフィールが言っていることが当たっているのならやはり貴方たちに同行してもらったほうがいい。」
「俺は別に行ってもいいと思う。もう争う必要もないんだし、あの時に出した例えも今思えば結構ショッキングなもんだったしそれで受け入れられなくなってるっていうなら・・・・シールダー、一緒に行かないか?」
全員なんだか申し訳なさそうな顔をしており、断りづらいというか私も雁夜さんと一緒に行動していたのでほぼ同罪に等しい。あれ、なんかこのなかで一番屑なのって私なんじゃ・・・・・とにかく私たちは切嗣さんやその助手の人が先に行って調査をしている大聖杯の安置場所である大空洞へと向かった。
*****
なのにこの状況はどういうことだろう。雁夜さんは私の令呪が宿った方の手首を切り落とされ即座に私が治癒に取り掛かったことで失血死やショック死は免れたし手首も元通りになった。けれど状況が好転したわけではない。私の令呪は前のキャスター戦の功績で令呪を回復しているため三画揃っている。その上今それの移植をしているセイバーのマスターはセイバーと契約を続けている以上少なくともセイバーの令呪を一画は持っている。計算上四画以上持ち合わせていることになる。これはさすがにまずい。私だけならなんとかなるかもしれないけど、絶対命令権のような令呪を根こそぎ持っていかれたので今のサーヴァントの状態では重ね掛けされたら逆らえなくなるだろう。
ここまで一緒に来たセイバーとアイリスフィールさんは信じられないものを見たように切嗣さんとその隣にいる助手の人たちを見ている。
「キリツグ、マイヤさんとエマさんもなんで・・・?」
「シールダーとそのマスターはこの現場の第一発見者だから重要参考人として同行すると言っていたはず、なのにこの有様はなんだ!?なぜ我々を騙しシールダーの令呪まで奪う必要がある!?もう既に停戦したというのに何故そこまで戦う!?」
しかし切嗣さんはまるで二人の声が聞こえないかの如く私に向き直り移植された私の令呪が宿った手を翳す。
「令呪を持って命じる。シールダー、本来の力と姿を取り戻し、聖杯を浄化しろ」
言われるがままに半強制的に本来の姿になり大聖杯とそれを経由して小聖杯の方(おそらくアイリスフィールさんの心臓)も浄化する。ただ後二画残っている。腕は翳されたまま、きっとまだ何かある―――――――――
「令呪を併用、三画を重ねこれを勅命とする。――――――――――――――――――――――――自害しろ、シールダー」
刹那、その一瞬で
私は私自身の心臓に無数の光の刃を突き立て絶命した。
雁夜さんは能力的にかなり強くなっていますが、切嗣さんや助手さんたちと比べて場数、戦闘経験の経験値がないのであっさりやられちゃってます。
それで今回明らかになった作戦ですが、ずばりいうと「全部イノリちゃんでまかなっちゃおう作戦」です。間違ってないし中身はクリーンですが・・・FGOやってる人(オケアノスクリアしてる人)ならたぶん分かりますよね・・・・?