艦これ 転生するジオンの意思 作:ジオン十字勲章
最近いきなり暑くなったので熱中症にはご注意を
「提督……今のこの状況わかってます?」
長門は呆れ顔で部屋からのこのこ顔を出したサイ・ハルノエを追求する。
「あれだけの大きな声で言い合いをしたら嫌でも話の内容が耳に入るさ。そこの2人が俺を殺しに来たんだろう?」
長門は小さく溜息を吐き、言葉を紡ぐ。
「あなたはそれがわかっていて何故のこのこ顔を出すんですか……阿保ですか?」
「……お前なぁ、いくら俺でも傷付くぞ?」
「あはは、面白い冗談ですね」
榛名と吹雪は2人のやり取りを見て唖然とする。時間が止まっているのではと錯覚してしまうほど固まっていた。
「さて」とサイは言葉を発し暗殺計画を企てた張本人たちを睨め付け、続ける。
「お前たち……上官殺しの罪、未遂とはいえ重罪だ。覚悟は出来ているな?」
サイは長門と話していた時より声質にドスを利かせ2人を
「お前たち覚悟しろよ。今夜は寝させないからな」
この言葉の意味を榛名と吹雪の両名、長門はそれぞれ違う意味で捉えるのであった。
眠い……どうしてこうなったのだろうか?
確かに暴力を振るわれるよりは100倍マシなのだが……これはこれで迫り来る睡魔がかなり厄介だ。
吹雪と榛名は今サイ暗殺行為(未遂)の罰として鎮守府改善のための資料作成を手伝わされており、一方の長門は本来サイが使用するハズのベッドで小さいな寝息を立てていた。
長門さん……気持ちよさそうに寝てるなぁ、と吹雪は羨望の気持ちを抱きつつベッドに目を向ける。
「おい」
突如サイが喋りかけてくる。
ま、まさか今の見られてた⁉︎
「す、すいません‼︎ な、殴らないで下さい」
吹雪は顔に恐怖の色を宿しつつサイに頭を下げる。サイは少し困り顔をしつつ言う。
「……コーヒー飲むか? 榛名、お前もだ」
突如名前を呼ばれてビクッと榛名は肩を震わした。
「2人ともブラックは大丈夫か?」
「えと……私は大丈夫……です」
「榛名は甘めで……お願い……しま、いたします」
多少気まずい空気が流れる中、サイは「わかった」とインスタントコーヒーを入れ始める。粉砕されたコーヒー豆の粉がカップに入れられ、そこにお湯が注がれる。粉がお湯に溶け一つの液体となり、部屋の中に僅かながらコーヒーの香りが広がる。いい香りだな、と吹雪は思った。
サイはスプーンでカップを軽く混ぜ吹雪に渡し、もう一方のカップは砂糖を数杯入れてから混ぜ始める。数回混ぜるとそれを榛名に渡し、サイは自分のぶんのコーヒーを入れた。
「お疲れさん。少し休憩しようか」
長門は相変わらず心地よさそうな寝息を立てていた。
榛名たちと一緒に鎮守府改善の資料を作成していたサイ・ハルノエという新しい提督は
サイはコーヒー片手に作成した資料に目を通す。予想していた時間よりだいぶ早く終わるな、とサイは思う。
「吹雪、榛名、完成までもう少しだ。榛名と吹雪には罰として手伝わせたわけだが……正直かなり助かった。素直にお礼を言わせてもらうぞ、ありがとう。だがこれだけは言っておく、次また暗殺行為をしたその時は容赦しない」
「「了解しました」」
と榛名と吹雪はサイに敬礼した。
「いい返事だ。さて、そろそろ作業を再開する。気張るぞ2人とも」
3人は各々の作業を再開した。
午前3時半――ようやく資料は完成する。長門を除いた3人はそれぞれ、他に空いていた客間を利用し睡眠をとった。
日が昇り始めた頃、長門は目が覚めた。
眠気まなこでベッドの中から上体のみを起こし辺りを見る。机の上に置いてあった資料に目がいき手に取る。
長門はパラパラと簡単に目を通し、凄いな、と素直に感心した。たった数時間回った程度で鎮守府の現環境の問題点が事細かに記してあり、それに対する対策も具体的な案が幾らか書いてある。艦娘でないとわからない問題点も含めてだ。
榛名と吹雪もしっかりと協力してくれたのだな、長門は内心嬉しくなり笑みをこぼした。
ふとあるページで目が止まる。
そこにはこう書いてあった。
呉市住人との和解、と――