艦これ 転生するジオンの意思   作:ジオン十字勲章

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今回はわりと早く書けました


呉鎮守府に着いて早々

 微睡(まどろ)みから意識が覚醒する。

 タクシー車内から見えるのは閑静な街並み、元の世界にはこんな綺麗な景観はなかったなとサイ・ハルノエは思う。サイはこの世界の人間ではない、とある目的を持ってこの世界に転生したのだ。

 車に揺られながらさきの出来事、謎の声――死神(仮)の話を思い出す。

 艦娘――深海棲艦と呼称されるアンノウンにダメージを与えられる存在。

 深海棲艦――人類の敵とされるアンノウン、その正体は一切不明。

 そして地球――アースノイドやスペースノイドの概念が存在しない地球。

 サイは改めて思う。

(スペースノイドの俺が別次元とはいえ地球の部隊を見ることになるとはな)

 サイは手元にある資料に一通り目を通すことにした。

 

 タクシーが目的の場所に止まる。

「お客さん、着きましたよ」

「どうも。代金は呉鎮守府によろしくお願いします」

「毎度」

 タクシーはサイを降ろした後、街の方に走り去って行った。サイはタクシーを目で追った後、前方の建築物に視線を移す。

「ここが呉鎮守府か」

 赤レンガを主な建材として使用された、厳荘と幻想の二極を合わせ持った庁舎がそこにあった。

「すごいな」

 サイは眼前の厳かな門に足を踏み入れる。すると眼鏡を掛けた端正な顔立ちの少女がサイに「あの」と呼びかけた。

「あ、あなたが今日ここに着任される提督ですか?」

 気のせいかもしれないが少し声が震えている? とサイは直感的に感じる。

「サイ・ハルノエ大佐だ。これからよろしく頼む」

 と敬礼をし「そして」と続ける。

「君の名は?」

 眼鏡を掛けた少女は顔を青くして答える。

「し、失礼いたしました。大淀型1番艦、大淀です。主に通信や事務などの業務をしています。て、提督であるあなた様より後に名乗って本当に申し訳ありません。ど、どうか罰だけは」

 大淀型 ……彼女はもしかして艦娘というやつか? とサイは思う。と、同時にえらく挙動不振だなとも思う。

 車の中で資料は見たが前任のヤツが相当馬鹿をやらかしたらしい。艦娘に対する非人道的な扱い、性的暴行、轟沈(艦娘で言われる死亡)前提の出撃……他にも色々あるが上げているときりがない。全く……アースノイドは何処にいてもこうなのか。

「そんなくだらないことで罰は与えん。それより案内を頼んでも構わないか?」

 本当……ですか? と目の前の少女、大淀はキョトンとした顔で聞き、

「で、では執務室にお連れしますので私について来て下さい」

 サイは黙って頷き大淀の後について行く。

 

「手筈通り大淀さんがこちらに来ます。本当にやるんですね……長門さん」

「あぁ……もうお前たちにあんな真似はさせない。安心しろ吹雪」

「長門さん……」

「長門さんだけが罪を背負う必要はありません。榛名たちも同罪なんですから」

「――すまない」

 少女3人が画策する。

 

 おかしい……あまりにも静かすぎる。

 サイが足を踏み入れた庁舎内は閑散としていた。人っ子一人いない。

「大淀」

「は、はい」

 ビクッと肩を震わせる大淀。

「ここの庁舎内はいつもこんなに静かなのか?」

 「そ、それは……」と大淀は言葉を濁らせる。

「そ、そうです」

「そうか」

 おかしい。

 明らかにおかしい。

 今の間はなんだ? それに態度が挙動不振すぎる。

 そして何よりこの妙な胸騒ぎはなんだ?

 サイと大淀は執務室に向かう。

 

「長門さん、大淀さん来ます」

「榛名たちはどうすれば?」

「外に出ていろ。私が直接やる」

「「了解です」」

 3人の少女は行動に出る。

 

「着きました」

「ここか……」

 真正面には中世ヨーロッパの宮殿を思わす程の豪奢な扉があった。扉の縁は金で彩られ、内面には様々な彫刻が施されている。

「趣味が悪過ぎるだろ、これは」

「私もそう思います」

 だがそれよりも今は別の問題がある。

 サイはこの扉よりこの扉の向こう側、この部屋の中に妙な胸騒ぎを覚えていた。

(なんだ……この妙な感覚。この扉の中に誰かいるのか? だとしたら敵側勢力の刺客か、それとも)

 サイは扉の取っ手に手を掛ける。

 刹那、背後から嫌な気配を感じた。

「大淀……」

「なんでしょう?」

 サイは振り向き左手で大淀の右手首を掴む。そして右手の甲が背中に付くように押さえつけ、右手で隠し持っていた拳銃を突き付けた。

「い、痛いです! 離して下さい!」

「断る。まずはこの状況を説明してからだ」

 サイはドスの効かせた声を出し大淀を萎縮させる。その際大淀は顔を蒼白にさせて「ひぃ」と(うめ)いた。

 サイは執務室のドアを蹴破った。

 

 新しく来た提督を暗殺するためにとある少女は執務室の中で待機していた。扉が開いた瞬間に短刀で斬りかかる予定だ。

 絶対に、絶対に殺せ。じゃないと、また……

 嫌な記憶がフラッシュバックするが首を振ってから払う。

 大丈夫、やれる。やれる。ヤれる。ヤれる。殺れる。殺れる。

 扉が勢いよく開かれた。

「覚悟しろ!」

 短刀で斬りかかろうとする……が、そこには予想外の展開が待っていた。

「動くな」

「……っ!」

「下手なことをしたらこいつを殺す」

 仲間が……大淀が人質に取られていた。

 

 

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