艦これ 転生するジオンの意思 作:ジオン十字勲章
「あなたは私たち『艦娘』を兵器と見ますか? それとも人間と見ますか?」
長門は内心怯えていた。
この質問の答え……場合によっては今度こそ、提督を、人間を信じられなくなる。
サイが答える。
「結論だけ言えば、間違いなく兵器だ」
「――そうですか」
聴きたくなかった答え。
この人もやっぱり私たちを人として扱ってくれないのか……長門は目の前が暗くなる。が――
「なら俺も長門に質問する。『艦娘』の定義とはなんだ?」
とサイは長門に質問を返した。
艦娘の定義? 今まで考えたこともない。
私たちは生まれた瞬間から艦娘……深海棲艦と戦うための存在、それだけじゃないのだろうか。
「深海棲艦と戦える力を持った娘……かと」
「違うな」とサイは首を横に振る。
「そうだな……戦闘機をイメージしてみろ」
「……はい」
長門は二次大戦の頃の記憶を呼び起こし戦闘機をイメージする。プロペラ機の飛行機で、パイロットがいて――それがどうかしたのだろうか?
「戦闘機は立派な兵器だ。だがパイロットがいなければ所詮は単なる鉄くず……そうは思わないか?」
「確かに……そうです」
「戦闘機はパイロットを得て初めて兵器となりその真価を発揮する。『艦娘』もそれと同じだ」
「もしかして」
長門はこの時点で確信を得た。
この人は前任とは明らかに違う。
「だいたい察しがついたようだな。艤装と呼ばれる装備とそれを扱える個人が揃って初めて『艦娘』と言う兵器になると俺は考える。もう一度言う、『艦娘』は間違いなく兵器だ。だが、お前たちは決して兵器などではない」
サイは長門の目を確と見て言う。
「お前たちは兵士であり、俺の大事な部下だ。それがこの質問の答えだ」
長門は思った。
この人を、もう一度だけ人間を信じてみようと。
「提督」
「なんだ?」
「私はあなたを信じてみようと思います。秘書艦……やらせてもらいましょう」
「そうか……ならお前にはこれ預けておこう」
サイは机の引き出しを開き拳銃を取り出し、銃口側を持って長門に手渡す。
「どういう……ことです?」
「簡単だよ。俺がもし、部下に非人道的な行いをするようなら、それを使って俺を殺せ」
「――な!」
この人は本気なのか? と長門は思う。
この人は本当に……変わった人だ。
「提督は変わっていますね」
「言うな……自覚はある」
この人ならこの鎮守府を変えてくれるかもしれない。そう感じる長門であった。
「あーそれと長門、一つ頼みがある」
サイが思い出したように長門に言う。
「なんですか?」
「艤装を装備してこの執務室を吹っ飛ばして欲しい」
「――!」
長門は予想外の言葉に吹き出しそうになる。
本当にこの人は……面白いな。
「わかりました。後ほどまた来ます……ですが、またなんで?」
「言わなくてもわかるだろ……こんな趣味の悪い部屋で仕事なんぞ出来るか」
「ですよねー」
少し後、執務室は吹っ飛んだ。
長門は執務室後地を後にする。
「長門さん!」
吹雪が長門に駆け寄る。
「大丈夫でしたか? 何かされませんでしたか?」
長門は答える。
「された、いっぱいされたさ」
そう答えた長門は曇りのない笑顔で、
「こんなに清々しい気分は久しぶりだ」
と吹雪に答えた。